太平洋経済協力会議(PECC)発足30年を記念し第19回国際総会が10月20日から22日まで東京で開催された。太平洋経済展望(PEO)日本委員会は、2日目午後のコンカレント・セッションにおいて「Macro-financial Linkages and Financial Deepening(マクロ金融リンケージと東アジアの金融市場発展)」をテーマとするパネル討議を主催した。
最初にMcKinnon スタンフォード大学教授より中国の人民元切上げと貿易黒字をめぐる問題に関するプレゼンテーション、次いで高阪章 PEO構造問題主査・大阪大学教授より東アジアの金融市場発展に関するPEOの研究成果に基づくプレゼンテーションの後、3名の専門家からコメントがあった。約60名が聴講した。
PEO主催セッションの概要
日 時:2010年10月21日(木)
会 場:ホテルオークラ(東京)
モデレータ:高阪 章・PEO構造問題プロジェクト主査・大阪大学大学院教授
スピーカー:Prof. Ronald I, McKinnon, Professor, Stanford University
“China’s Exchange Rate, Trade Balance, and Wage Explosion”
同 :高阪 章 氏
“Macro-financial Linkages and Financial Deepening”
コメンテータ:Dr. Pakorn Vichyanond, Research Director for Financial & Capital Markets,
Macroeconomic Policy Program, Thailand Development Research Institute (TDRI)
同 :岡嵜 久実子 日本銀行金融研究所 経済ファイナンス研究課企画役
同 :Prof. Huang Weiping, Professor, Renmin University of China
PECC国際総会の概要はこちら
(問い合わせ先 PEO日本委員会事務局はこちら)
太平洋経済展望(PEO)構造問題プロジェクト(太平洋経済協力会議(PECC)のInternational Project)は、「Macro-financial Linkages and Financial Deepening(マクロ金融リンケージと東アジアの金融市場発展)」をテーマに第2回目の国際専門家会合を開催した。本プロジェクトでは、2010年3月に第1回国際専門家会合を開催、アジア通貨危機(1997-98年)と世界金融危機(2008年)という2度の金融危機を経験した東アジアにおけるマクロ金融リンケージの進展や特徴について議論が行われており、今回はこの成果を踏まえ最終論文取りまとめに向けて開催したものである。概要は以下のとおり。
日 時:2010年9月11日(土)~12日(日)
場 所:関西経済連合会会議室(大阪)
プロジェクト参加エコノミー:オーストラリア、中国、香港、インドネシア、日本、フィリピン、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、
タイ(9ヵ国・地域)
コーディネータ:高阪 章・大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
参加者:上記エコノミーから9名をはじめ国内外からの専門家、PECC各国委員会、オブザーバー等、計38名。
会合の概要:
冒頭、PEO日本委員会委員長代理の田邊隆一特命全権大使(関西担当)から歓迎挨拶のあと、高阪コーディネータから第1回会合のレビューと本会合における議論の狙い等について説明があり、その後セッション毎に議論が展開された。
2度の危機を通じたマクロ的な金融の結びつきの変化、国際投資フローの構成・規模の変化、国内金融市場の深化、さらには、アジアの新興債権エコノミー(中国、香港、チャイニーズ・タイペイ)、その他の新興エコノミー(インドネシア、タイ、フィリピン)、先進国(日本、オーストラリア)といった各エコノミー・グループ毎の問題について各々発表と意見が交わされた。
最後に、各国専門家は2010年12月下旬を目途に最終論文の提出を約束し、盛会のうちに2日間の議論を終えた。
なお、2011年4月を目途に本テーマに関する論文のエグゼクティブ・サマリーをとりまとめる予定である。
(問い合わせ先 PEO日本委員会事務局 e-mail:peo@kiser.or.jp)
太平洋経済展望(PEO)構造問題プロジェクト(太平洋経済協力会議(PECC)のInternational Project。コーディネータは日本の高阪章・大阪大学大学院教授)は、2009年~2010年の研究テーマを「Macrofinancial Linkages and Financial Deepening(マクロ金融リンケージと東アジアの金融市場発展)」とする研究活動を進めており、2010年3月に第1回目の国際専門家会合を開催した。概要は以下のとおり。
◆本テーマ設定の背景と狙い
グローバル資本市場の統合化により、各国経済はマクロ金融リンケージを深め、景気循環の増幅効果を強めている。本プロジェクトでは、近年におけるマクロ金融リンケージが東アジアの金融発展プロセスにどのような影響を及ぼしているのかについて考える。
97-98年のアジア金融危機は、太平洋地域の貿易・投資活動を支えるより強固なアジア域内金融システムの必要性を示した。実際、アジア新興国は、域内金融協力を模索するとともに、国内金融市場の再構築に努め(世界銀行2007)、先進国もまた、金融市場統合化というトレンドの中で、新興市場への金融リンケージを再構築した(IMF2009)。
今回のグローバル金融危機において、新興国の金融・資本市場においては、市場開放度の違いに由来する各国特有のショックに加え、地域共通の大きなショックが起きていることを確認したが、アジア太平洋地域の金融構造がどれほどショックに強いのかということに対して答えを見出したい。
◆プロジェクト参加国・地域(2010年3月現在):
オーストラリア、中国、コロンビア、香港、インドネシア、日本、チャイニーズ・タイペイ、タイ、フィリピン、米国
◆第1回国際専門家会合の概要
日時:2010年3月6日(土)-7日(日)
場所:関西経済連合会会議室(大阪)
参加者:
上記プロジェクト参加国・地域のうち、オーストラリア、フィリピンを除く国・地域から13名の専門家、PECC各国委員会、オブザーバー等 計42名。
会合の概要:
1日目は、野上義二PEO日本委員会委員長(PECC日本委員会委員長)より挨拶、高阪章コーディネータより本プロジェクトの趣旨説明の後、専門家から提出された各国論文に基づき活発な議論を展開した。日本からは白塚重典・日本銀行金融研究所参事役が論文発表を行った、夕食会では、田邊隆一特命全権大使(関西担当)から歓迎の挨拶をいただいた。
2日目は、アジア太平洋地域において存在感を高める中国について、リーマン・ショック後の経済動向や金融・資本市場の深化などを議論、その後、総括討議を行い、2010年9月の第2回目の国際専門家会合開催を決め、2日間の日程を終えた。
(問い合わせ先 PEO日本委員会事務局 e-mail:peo@kiser.or.jp)