Kansai Economic Insight Monthly Vol.144
-景気は現況下げ止まり、先行きは改善が見込まれる: 米国関税政策発動による海外経済減速が先行きリスク要因-

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ABSTRACT

<総括判断>

  • 関西の景気の現況については、景気動向指数(現況判断CI)は当月の前月差がマイナスとなり、3カ月後方移動平均も4カ月ぶりに悪化した。しかし、基調判断を下方修正する基準は満たしていなかったため、「下げ止まり」と据え置いた。
  • 先行きについては、関西CLIは基調判断を変化する基準を満たしていなかったため、前月の判断を踏襲し「改善」と据え置いた。ただし米国関税政策発動による海外経済の減速が今後のリスク要因となろう。

<項目別動向>

  • 生産・労働関連のうち、2月の生産は4カ月連続の減産。1-2月平均は10-12月平均比大幅低下しており、生産は低調な動きとなっている。
  • 2月の失業率は前月と同水準となり、労働力人口と就業者数はともに増加した。また、就業率も上昇し、雇用情勢の改善が続いている。なお、足下では有効求人数が減少した一方で、有効求職者数は一進一退の動きが続いている。
  • 1月の現金給与総額は14カ月連続の前年比増加。名目賃金の伸びは3カ月連続の3%台だが、物価上昇率は依然としてそれを上回っている。その結果、実質賃金の減少が続いている。
  • 内需関連のうち、2月の大型小売店販売額は41カ月連続で前年を上回った。ただし、営業日数の減少や春節期間の影響により伸びは減速した。
  • 2月の新設住宅着工戸数は4カ月連続で前月から増加した。うち、貸家は4カ月ぶりに減少に転じたが、持家と分譲は増加し、全体の押し上げに寄与した。
  • 2月の建設工事出来高は3カ月連続で前年を上回るも伸びは前月から横ばい。公共工事が2カ月連続で前年を下回ったため。3月の公共工事請負金額は5カ月連続で前年から減少し、1-3月期でみても3四半期連続で前期を下回った。
  • 景況感をみれば、3月の景気ウォッチャー現状判断DIは3カ月連続の悪化。インバウンド消費の鈍化に加え、物価やコスト上昇が悪影響した。また、先行き判断DIは米国の関税政策変更の影響もあり2カ月ぶりの悪化となった。
  • 外需関連では、3月は輸出が過去最高額を更新するなど、輸出入ともに前年比増加。貿易収支は2カ月連続で黒字となったが、黒字幅は前年比縮小した。
  • 3月の関空経由の外国人入国者数は桜の開花シーズンに入り訪日旅行需要が高まった影響もあり、堅調に推移している。
  • 3月の中国経済は、生産、消費の回復ペースはともに加速した。ただし、物価は引き続き低迷、不動産市場においても回復の勢いが停滞しており、雇用情勢の改善も見られない。さらに、米国トランプ政権の対中関税政策は米中貿易摩擦を一層激化させ、先行きへの不透明感を高めている。

【関西経済のトレンド】

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