都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.68

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ABSTRACT

【ポイント】

・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は378万1,200人となり、過去最高値を更新。春節に伴う大型連休(1月28日から2月4日)やウィンタースポーツ需要の高まりもあり、アジアや欧米豪を中心に訪日外客数が増加した

・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は318万7,175人。うち、観光客は292万2,383人となった。

・大阪・関西万博の開催が近づき、各自治体は国内外の誘客を図るため、観光キャンペーンを展開している。こうした取組は、万博来訪者の広域・周遊化を促進し、万博開催による経済効果が地域経済に一定程度波及することに繋がろう。

 

【トピックス1】

・関西1月の輸出は4カ月連続の前年比増加。また、輸入は2カ月連続で増加した。春節時期のずれの影響もあり、関西の貿易収支は12カ月ぶりの赤字となり、赤字幅は拡大した。

・1月の関西国際空港への訪日外客数は春節に伴う大型連休の影響もあり、98万3,015人と過去最高を更新し、100万人に迫る水準となった。

・12月のサービス業の活動は一進一退の動きが続く。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比上昇。また、対面型サービス業指2カ月連続で同上昇した。観光関連指数も旅行業や飲食店、飲食サービス業等が上昇に寄与し、3カ月連続の同上昇となった。

 

【トピックス2】

・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12,620.9千人泊。前年同月比で2021年11月以降増加が続いているが、増加幅は前月から縮小した。

・うち、日本人延べ宿泊者数は8,330.4千人泊、前年同月比2カ月ぶりの減少。一方、外国人延べ宿泊者数は4,290.5千人泊で、前年同月比2桁の伸びが続いており、日本人宿泊者に比して外国人宿泊者は好調を維持している。

 

【トピックス3】

・2023年10-12月期における関西2府8県の国内旅行消費額(速報)は1兆2,189億円、4四半期連続の前年同期比プラスだが、増加幅は2四半期連続で縮小。24年通年では4兆7,245億円と、3年連続の前年比プラスだが、増加幅は23年から縮小した。

・国内旅行消費額のうち、10-12月期の宿泊旅行消費額は9,612億円、4四半期連続の前年比プラス。また、日帰り旅行消費額は2,576億円で、5四半期連続の前年同期比プラスとなった。

DETAIL

ポイント

2月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、1月の訪日外客総数(推計値)は378万1,200人となり、過去最高値を更新した(前年同月比+40.6%)。春節に伴う大型連休(1月28日から2月4日)やウィンタースポーツ需要の高まりもあり、アジアや欧米豪を中心に訪日外客数が増加した。一方、出国日本人数は91万2,300人と、7カ月ぶりに100万人の水準を割り込んだ(同+8.8%)。なお、2019年同月比-33.9%となり、減少幅は前月(同-30.7%)から拡大。アウトバウンドはインバウンドに比して依然低迷が続く。

 

 

 

▶なお、足下25年2月の平均為替レートは151.96円、19年同月は110.36円、37.7%の円安となっている。

 

▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、1月は中国が98万300人(前年同月比+135.6%)で最多となった。次いで韓国が96万7,100人(同+12.8%)、台湾が59万3,400人(同+20.5%)、香港が24万3,700人(同+30.8%)、米国が18万2,500人(同+38.4%)と続く。なお、今月は韓国、台湾や豪州が過去最高値を更新した。

 

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、11月は318万7,175人であった(前年同月比+30.6%)。うち、観光客は292万2,383人(同+32.4%)。また、商用客は12万7,781人(同+9.4%)、その他客は13万7,011人(同+17.0%)であった。

 

 

 

 

▶大阪・関西万博の開催が近づき、各自治体は国内外の誘客を図るため、観光キャンペーンを展開している。関西自治体における具体的な事例をいくつか見てみよう。和歌山県では、2025年4月13日~10月13日にかけて「プラスワントリップ和歌山キャンペーン」を行う予定である。具体的な内容としては、(1)デジタルパス「和歌山満喫わくわくパス2」の導入、(2)万博1日券と大阪、和歌山の宿泊をセットした旅行商品の造成や(3)インバウンド向け観光周遊券「Have Fun in 和歌山 Pass」が利用可能な施設の拡充である。また、奈良県ではデジタル周遊パスの「大阪・奈良楽遊パス」を造成し、県内北部及び南部への誘客・周遊促進を図る予定である。このような各自治体の取組は、万博来訪者の広域・周遊化を促進し、万博開催による経済効果が地域経済に一定程度波及することに繋がろう。

 

トピックス1

1月関西の財貨・サービス貿易及び12月のサービス産業動向

▶関西1月の輸出額は前年同月比+3.5%と4カ月連続で増加した(前月:同+3.1%)。また、輸入額は同+19.1%と2カ月連続で増加し、増加幅は前月(同+3.1%)から大幅拡大。春節時期のずれの影響もあり、関西の貿易収支は-2,834 億円と 12 カ月ぶりの赤字となり(図4)、赤字幅は同+578.2%拡大した。

 

 

▶対中貿易動向をみると(図5)、関西1月の対中輸出は前年同月比-11.8%と 2 カ月連続で減少した(前月:同-6.7%)。輸出減に寄与したのは半導体等製造装置や半導体等電子部品などであった。一方、対中輸入は同+19.6%と 2 カ月連続の増加(前月:同+5.1%)。輸入増に寄与したのは衣類及び同付属品や通信機などであった。

 

 

 

▶1月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は98万3,015人と過去最高を更新し、100万人に迫る水準となった(前月:88万5,400 人)。前年同月比+40.4%と増加幅は前月(同+22.7%)から拡大。春節に伴う大型連休の影響もあり、外国人入国者数は加速した。一方、同月の日本人出国者数は16万7,198人であった。前年同月比+11.0%と増加幅は前月(同+29.1%)から縮小。なお、2019 年同月比では-42.0%と、減少幅は 2 カ月連続で拡大(前月:同-33.6%)、アウトバウンド需要は低迷している。

 

 

 

▶12月のサービス業の活動は一進一退の動きが続く(図7)。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば、12月は101.9で前月比+0.1%小幅上昇し、2カ月ぶりのプラスとなった(前月:同-0.3%)。また、対面型サービス業指数*は 99.2 で同+1.2%と 2 カ月連続のプラス(前月:同+0.2%)。うち、娯楽業(同+4.2%、2 カ月連続)や宿泊業(同+6.5%、2カ月ぶり)が上昇に寄与した。結果、10-12月期の第 3 次産業活動指数は前期比-0.6%と 3 四半期ぶりのマイナス(7-9 月期:同+0.5%)。一方、同期の対面型サービス業指数は同+0.8%と3四半期連続のプラスとなった(7-9月期:同+0.6%)。

 

 

 

▶観光関連指数**(2015年平均=100)は、95.3と前月比+1.0%上昇し、3カ月連続のプラス(前月:同+0.1%)。うち、宿泊業や飲食店、飲食サービス業(同+1.4%、2カ月連続)等が上昇に寄与した。結果、10-12月期の観光関連指数は前期比+0.6%と2四半期連続のプラスとなった(7-9月期:同+1.5%)。

 

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店,飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

11月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県

▶観光庁によれば、11月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は12,620.9千人泊であった(表1)。前年同月比+3.6%と2021年11月以降増加が続いているが、増加幅は前月(同+7.4%)から縮小した。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は8,330.4千人泊となった(表1及び図8)。前年同月比-0.9%と2カ月ぶりに減少した(前月:同+1.1%)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,754.8千人泊、京都府1,559.3千人泊、兵庫県1,392.9千人泊、三重県738.9千人泊、滋賀県416.0千人泊、和歌山県368.4千人泊、福井県333.4千人泊、鳥取県275.8千人泊、奈良県250.2千人泊、徳島県240.7千人泊であった。前年同月比でみると、京都府(同-18.4%、18カ月連続)、大阪府(同-2.4%、2カ月ぶり)や滋賀県(同-2.1%、3カ月連続)が、日本人延べ宿泊者の減少に寄与した。

 

 

 

▶外国人延べ宿泊者数は4,290.5千人泊となった(表1及び図9)。前年同月比+13.5%と増加幅は前月(同+20.8%)から縮小したが、11カ月連続で2桁の伸びが続いており、好調を維持している。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,299.0千人泊、京都府1,576.3千人泊、兵庫県151.2千人泊、和歌山県104.2千人泊、奈良県42.7千人泊、滋賀県34.7千人泊、三重県26.4千人泊、徳島県22.6千人泊、鳥取県21.6千人泊、福井県11.9千人泊であった。なお、徳島県の延べ宿泊者数が過去最高値を更新した。前年同月比をみれば、大阪府(同+14.3%、34カ月連続)、京都府(同+9.3%、32カ月連続)や兵庫県(同+35.9%、28カ月連続)等、9府県が外国人延べ宿泊者の増加に寄与した。

 

 

 

▶宿泊料金を巡る状況(現金給与総額/宿泊料金)を見れば、2025年1月は70.7で、19年同月比-15.8ポイント低下した(前月:同-17.7%)。宿泊料金の高騰に対して賃金上昇が追いついておらず、日本人宿泊者数にとっては厳しい状況が続いている(図10)。

 

 

トピックス3

2024年10-12月期国内旅行消費の動向:関西2府8県

▶観光庁によれば、2024年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆2,189億円となった(表2)。前年同期比+6.5%と4四半期連続のプラスだが、増加幅は2四半期連続で縮小した(4-6月期:同+23.9%、7-9月期:同+11.1%)。結果、24年通年では4兆7,245億円となった(23年:4兆1,150億円)。前年比+14.8%と3年連続のプラスだが、増加幅は23年(同+17.4%)から幾分縮小。なお、全国の24年通年は25兆1,175億円となり(前年比+14.6%)、2025年の政府目標である22兆円を上回った。

 

 

▶国内旅行消費額のうち、10-12月期の宿泊旅行消費額は9,612億円であった。前年同期比+4.0%と4四半期連続のプラスだが、7-9月期(同+9.4%)から増加幅は縮小した(図11及び表2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府2,859億円(同-5.2%)、京都府1,955億円(同-2.5%)、兵庫県1,223億円(同-24.5%)、三重県1,065億円(同+123.7%)、奈良県688億円(同+63.6%)、和歌山県561億円(同-19.4%)、滋賀県397億円(同+142.9%)、福井県378億円(同-20.8%)、鳥取県307億円(同+28.3%)、徳島県180億円(同+38.8%)であった。

 

 

▶国内旅行消費額のうち、10-12月期の日帰り旅行消費額は2,576億円であった。前年同期比+16.7%と5四半期連続のプラスだが、7-9月期(同+17.9%)から増加幅は縮小(図12及び表2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府840億円(同+40.9%)、京都府621億円(同+103.7%)、兵庫県364億円(同-23.5%)、三重県279億円(同-9.7%)、滋賀県121億円(同37.8%)、福井県98億円(同+9.5%)、奈良県91億円(同10.7%)、和歌山県64億円(同+40.4%)、徳島県57億円(同+15.9%)、鳥取県42億円(同+2.7%)であった。

 

 

*トピックス3は四半期ごとの掲載である。

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