Kansai Economic Insight Quarterly No.73
-弱含みではあるが緩やかに持ち直している 万博開催を契機とする関西経済の成長に向けて機運醸成を-

洞察・意見 » 経済予測 » 四半期レポート(関西)

ABSTRACT

  1. 2024年10-12月期の関西経済は、緩やかに持ち直している。家計部門では、センチメントは伸び悩んでいるものの、所得、雇用、住宅など持ち直しの動きが見られる。企業部門では、生産は一進一退であるが、景況感や設備投資計画は旺盛である。対外部門では、財輸出・インバウンド需要とも堅調に推移している。
  2. 家計部門は、センチメントが停滞しているものの、全体としては持ち直しの動きが見られる。雇用環境は緩やかに改善している。所得環境では賃上げ機運が定着しており、実質賃金のマイナス幅は縮小傾向にある。消費者物価はエネルギー・食料品の価格上昇が全体を押し上げ、上昇幅が拡大した。
  3. 企業部門は、緩やかに持ち直している。生産は、増産と減産を繰り返しているが、底を打ち持ち直しつつある。設備投資計画や景況感は、製造業・非製造業ともに概ね好調に推移している。
  4. 対外部門のうち、財貿易は輸出・輸入ともに持ち直している。米国・中国向け輸出は弱い動きであるが、ASEAN向けの半導体関連部材の輸出が大きく増加した。またインバウンド需要は回復ペースがやや鈍化しているものの、依然として堅調である。
  5. 公的部門は、公共工事請負金額・出来高で全国の伸びを下回る動きが見られるなど、やや弱い動きとなっている。
  6. 関西の実質GRP成長率を2024年度+1.2%、25年度+1.0%、26年度+1.3%と予測する。22年度以降+1%台の緩やかな伸びが続く。
  7. 前回予測(24年12月20日)に比べて、2024年度は+0.3%ポイントの上方修正、25年度は修正なし、26年度は-0.1%ポイントの下方修正とした。
  8. 成長に対する寄与をみると、民間需要は2024年度+1.0%ポイント、25年度+0.9%ポイント、26年度+1.1%ポイントと、全国と同様に成長を牽引する。公的需要は万博需要で24年度は+0.4%ポイントと成長を押し上げるが、25年度・26年度は小幅寄与にとどまる。域外需要は24年度-0.2%ポイント、25年度+0.1%ポイント、26年度は-0.0%ポイントとなり、これも全国と同様に成長に対する寄与は小さい。
  9. 日本経済予測と比較すると、2024年度は関西が全国を上回る伸び、25年度・26年度は関西と全国で概ね近い成長率となる見通しである。
  10. 今号のトピックスでは、インバウンドツーリズムの可能性として、訪日外客6千万人の実現可能性と、観光需要における訪日客と国内客の不均衡について論じる。
予測結果表

 

DETAIL

※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

①00’00”~01’57”: Executive summary

②01’57”~30’07”: 第152回「景気分析と予測」

<内需を中心とした緩やかな景気回復だが…>

③30’07”~41’04”: Kansai Economic Insight Quarterly No.73

<弱含みではあるが緩やかに持ち直している>

④41’04”~49’16”: トピックス<SNSから見た万博の機運醸成の評価分析>

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