ABSTRACT
- 2月17日発表のGDP1次速報によれば、10-12月期の実質GDPは前期比年率+2.8%と3四半期連続のプラス成長。実績は市場コンセンサスの最終予測を大きく上回った。一方、CQM最終予測のうち、支出サイド同+2.5%、生産サイド同+3.1%、両者の平均は同+2.8%と、実績に対してピンポイントとなった。過去値が遡及改定された結果、23年7-9月期から24年1-3月期は3四半期連続のマイナス成長。このため、2024暦年の実質GDP成長率は前年比+0.1%とかろうじてのプラス。
- 10-12月期の実質GDP成長率(前期比+0.7%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.1%ポイントと3四半期ぶりのマイナス寄与となった。うち、民間需要は同-0.1%ポイントと3四半期ぶりのマイナス寄与。特に、民間最終消費支出、民間企業設備が小幅ながらプラス寄与したものの、民間在庫変動がそれらを相殺した。公的需要は同+0.0%ポイントと3四半期連続のプラス寄与。一方、純輸出は同+0.7%ポイントと5四半期ぶりのプラス寄与となった。ただ中身はよくない。というのも、財貨・サービスの輸入の大幅減少により実質GDP成長率が引き上げられたからだ。
- 10-12月期の実質雇用者報酬は前期比+1.5%と5四半期連続のプラスだが、インフレの加速に加え定額減税の効果が一巡したことから実質可処分所得が減少した。結果、民間最終消費支出は同+0.1%とほぼ横ばい。民間消費関連月次指標の需給両面(総消費動向指数と消費活動指数の加重平均)の動きからはマイナス成長が予想されていたが、小幅ながら3四半期連続のプラスとなった。
- 10-12月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2024-26年度日本経済の見通しを改定した。実質GDP成長率を、24年度+0.8%、25年度+1.2%、26年度+1.3%と予測。前回(151回予測)から、24年度を+0.5%ポイント上方修正し、25-26年度を据え置いた。25年の賃上げは前年に匹敵する伸びが実現でき、消費者物価インフレが減速する年度後半には、実質賃金の増加幅は緩やかな拡大が期待できよう。ただ純輸出については景気下押しのリスクが高まっている。このため、25-26年度は内需を中心とした緩やかな回復となろう。
- 消費者物価コア指数のインフレ率を、2024年度+2.7%、25年度+2.3%、26年度+1.7%と予測する。足下の食料価格の高止まりから24-26年度を前回予測より+0.1から+0.3%ポイント上方修正した。GDPデフレータは24年度+2.7%、25年度+2.1%、26年度+2.0%となる。
- 前回指摘したように、米国トランプ大統領の政策は海外経済、貿易やサプライチェーンに副次的効果をもたらすが、その影響の幅については不確実性が高い。これは世界経済の回復にとっては深刻なリスクである。このため日本経済の回復は内需中心にならざるを得ない。それが持続可能となるためには、実質賃金と生産性の好循環が鍵となろう。
※本レポートの詳細版については2/26(水)に公表予定
【予測結果の概要】