ABSTRACT
<総括判断>
- 景気の現況については、関西の景気動向指数(現況判断CI)は3カ月後方移動平均が3カ月以上連続で悪化していることに加え、前月差がマイナスであった。これを機械的な基調判断に当てはめた結果、今月の判断は前月と同様「悪化」となった。
- 先行きについては、関西CLIの3カ月後方移動平均が3カ月以上連続で改善し、当月の前月差がプラスとなった。結果、前月から基調判断を引き上げ、今月の判断は「改善」とした。インバウンド消費が景気を下支えするが、米国の関税政策変更など海外経済の先行きが景気回復のリスク要因となろう。
<項目別動向>
- 生産・労働関連のうち、10月の生産は生産用機械の大幅増産の影響もあり、2カ月連続で前月比上昇した。
- 10月の失業率は前月からほぼ横ばいであるが、就業者数と労働力人口の回復がみられる。しかし、9月の悪化を相殺するには至らず、雇用情勢の停滞が続いている。また、有効求職者数の減少傾向が鮮明になりつつある。
- 9月の現金給与総額は10カ月連続の前年比増加。名目賃金の伸びは2%台を維持しているが、依然として物価上昇率を下回っているため、実質賃金の減少傾向が続いている。
- 内需関連のうち、10月の大型小売店販売額は堅調なインバウンドの下支えにより37カ月連続の前年比増加。うち、百貨店をみると、国内客売上の寄与は32カ月ぶりに減少に転じている。
- 10月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりに前月比減少した。持家、貸家、分譲すべてにおいて前月比減少しており、住宅市場は低迷している。
- 10月の建設工事出来高は7カ月連続の前年比増加だが伸びは低調。11月の公共工事請負金額は大阪府の減少が寄与し、4カ月ぶりに大幅減少した。
- 景況感をみれば、10月の景気ウォッチャー現状判断DI及び先行き判断DIはいずれも2カ月連続の改善。現状、先行きともインバウンド増加が好影響した。
- 外需関連では、11月は輸出が2カ月連続で前年比増加し、輸入が8カ月ぶりに同減少したため、貿易収支は黒字を維持した。輸出では対ASEANの増加が目立つが、輸入では特に対EUが大幅減少した。
- 11月の関空経由の外国人入国者数は過去最高値を更新。前年比2桁増加が続いており、引き続き堅調に推移している。
- 中国経済をモニターすれば、11月の中国経済は、生産の回復は限定的で、加えて消費の回復も鈍化している。雇用状況の悪化を背景に内需不足による経済の停滞が長引いており、10-12月期の景気の基調は7-9月期に続き弱い。