Kansai Economic Insight Quarterly No.71
-万博近づき、緩やかな持ち直し続く関西経済:万博後の26年度成長率予測を追加、緩やかな成長を維持-

洞察・意見 » 経済予測 » 四半期レポート(関西)

ABSTRACT

  1. 2024年7-9月期の関西経済、緩やかな持ち直しが続いている。家計部門は一部に弱い動きもみられるが、所得、雇用、住宅など緩やかに持ち直している。企業部門では、総じて緩やかに持ち直しているが、業種・規模・地域によって二極化傾向にある。生産は一進一退であるが、景況感や設備投資計画は旺盛である。対外部門は落ち着きを見せているが堅調に推移している。
  2. 家計部門は一部に弱い動きがみられるが、緩やかに持ち直している。雇用環境は持ち直しており、大型小売店販売や名目賃金は堅調な伸びが続いている。ただし物価高の影響から、実質賃金は足下マイナスで推移している。センチメントも弱い動きで、頭打ちとなっている。
  3. 企業部門は、総じて緩やかに持ち直しているが、業種・規模・地域によって二極化傾向にある。生産は台風の影響による稼働停止などもあり伸び悩んでいる。設備投資計画や景況感は概ね好調に推移している。海外景気や物価・金融資本市場の動向など先行きリスクが大きく注意すべき状況にある。
  4. 対外部門のうち、財貿易は輸出・輸入ともに持ち直している。欧米向け輸出は弱い動きであるが、中国・ASEAN向けの半導体関連部材の輸出が増加傾向にある。インバウンド需要は回復ペースに鈍化がみられるものの、依然として堅調である。
  5. 公的部門は持ち直している。公共工事は請負金額、出来高とも全国を上回る伸びである。
  6. 関西の実質GRP成長率を2024年度+0.9%、25年度+1.1%、26年度+1.3%と予測。民需の下支えにより1%前後の緩やかな伸びが続く。今回から26年度の予測を新たに追加した。
  7. 前回予測に比べて、2024年度は-0.4%ポイントの下方修正、25年度-0.2%ポイントの下方修正。24年度、25年度とも民間需要を小幅上方修正した。一方輸入を上方修正したことに伴い外需が下方修正となり、全体として下方修正となった。
  8. 成長に対する寄与をみると、民間需要は2024年度+0.9%ポイント、25年度+1.1%ポイント、26年度+1.0%ポイントとなり、成長を牽引する。公的需要は万博需要で24年度は+0.3%ポイントと成長を押し上げるが、25年度、26年度は小幅寄与にとどまる。域外需要は24年度-0.4%ポイント、25年度-0.1%ポイントと成長を引き下げるが、26年度は+0.2%ポイントとプラスに転じる。
  9. 関西経済の予測結果を日本経済予測と比較すると、24年度は関西が全国を上回る伸び、25年度、26年度は関西と全国で概ね近い成長率となる見通しである。
  10. 今号のトピックスでは「関西各府県GRP早期推計」と「SNSから見た万博の機運醸成の評価分析」を取り上げる。
予測結果表

 

 

 

※説明動画は下記の通り5つのパートに分かれています。

  1. 00’00”~02’13”: Executive summary
  2. 02’13”~22’55”: 第150回「景気分析と予測」<内需中心の穏やかな回復を予測、先行きリスクは純輸出>
  3. 22’55”~33’43”: Kansai Economic Insight Quarterly No.71<万博近づき、緩やかな持ち直し続く関西経済:万博後の26年度成長率予測を追加、緩やかな成長を維持>
  4. 33’43”~34’33”: トピックス<関西2府4県GRP早期推計>
  5. 34’33”~40’00”: トピックス<SNSから見た万博の機運醸成の評価分析>
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