都道府県別訪日外客数と訪問率:9月レポート No.64

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【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、9月の訪日外客総数(推計値)は287万2,200人となり、同月の過去最高値を更新。結果、7-9月期の訪日外客数は909万7,802人と、2四半期連続で900万人超の水準となった。
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば7月は329万2,602人。うち、観光客は305万5,187人となり、初めて300万人を超えた。

 

【トピックス1】

  • 関西9月の輸出額は前年同月比-3.0%と5カ月ぶりに前年比減少した一方、輸入額は同+4.7%と6カ月連続で増加した。結果、関西の貿易収支は8カ月連続の黒字だが、黒字幅は同-39.7%縮小した。
  • 9月の関空への訪日外客数は73万8,390人で、同月としては過去最高値となった。前年比2桁の伸びが続いており、関空への訪日外客数は好調を維持している。
  • 8月のサービス業の活動は一進一退で推移している。第3次産業活動指数は2カ月ぶりに、対面型サービス業指数3カ月ぶりにそれぞれ前月比低下した。一方、観光関連指数は「飲食店、飲食サービス業」や「宿泊業」等が上昇に寄与した影響で、5カ月連続で上昇した。

 

【トピックス2】

  • 7月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,607.8千人泊。前年同月比では+11.7%と前月とほぼ横ばい。
  • うち、日本人延べ宿泊者数は7,360.8千人泊で3カ月ぶりの前年比増加。一方、外国人延べ宿泊者数は4,247.1千人泊で、7カ月連続で2桁の伸びが続いており、日本人延べ宿泊者に比して外国人延べ宿泊者は好調を維持している。

 

【トピックス3】

  • 2024年7-9月期の訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は1兆9,480億円で、24年に入っても、3四半期連続で前年比2桁の伸びとなっている。夏季休暇に伴う訪日旅行需要の増加に加え、1人当たりの旅行支出が増加した影響が表れた。
  • 一般客1人1泊当たり旅行支出(全目的)は2万3,410円となった。国・地域別では、イタリアが最も高く、次いで、香港、中国、スペイン、台湾と続いている。
  • 7-9月期の1人1泊当たり旅行支出を費目別にみれば、買物代が大幅増加したことに加え、宿泊費が着実に増加しているのが特徴的である。

DETAIL

ポイント

10月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、9月の訪日外客総数(推計値)は287万2,200人となり、同月の過去最高値を更新した(前年同月比+31.5%)。また、出国日本人数は121万2,600人となり、3カ月連続で100万人超の水準となった(同+20.7%)。ただし、19年同月比でみれば-30.8%と、依然コロナ禍前の水準を下回っている。結果、7-9月期の訪日外客数は909万7,802人となり(前年同期比+36.6%)、2四半期連続で900万人超の水準となった(4-6月期:922万3,939人)。また、出国日本人数は369万8,550人であった(同+19.4%)。夏季休暇による海外旅行需要増加の影響もあり、2四半期ぶりに300万人超の水準となった(4-6月期:276万704人)。

 

 

 

 

 

▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、9月は韓国が65万6,700人(前年同月比+15.1%)で最多であった。次いで中国が65万2,300人(同+100.3%)、台湾が47万600人(同+22.2%)、米国が19万1,900人(同+22.5%)、香港が17万200人(同+12.6%)と続く。

 

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、7月は329万2,602人であった(前年同月比+41.9%)。うち、観光客は305万5,187人となり、初めて300万人を超えた(同+44.9%)。また、商用客は9万6,045人(同+0.4%)、その他客は14万1,370人(同+21.2%)であった。

 

 

 

 

▶観光客のTOP5を国・地域別にみれば(表5)、7月は韓国が73万371人(前年同月比+21.1%)と最多であった。次いで中国が71万2,606人(同+174.3%)、台湾が55万8,802人(同+35.6%)、香港が27万5,751人(同+29.0%)、米国が23万6,813人(同+28.5%)と続く。なお、7月は香港とメキシコが単月として過去最高値となった。

 

▶国土交通省が公表した2024年冬期国際定期便のスケジュール(24年10月27日~25年3月29日)によれば、国際旅客定期便は5,178便と19年同期(5,219便)とほぼ同水準まで回復した。うち、訪日旅行需要の高まりもあり、韓国路線は1,291便(19年比+66%)と最も多い。次いで、中国路線が1,062便(同-24%)、台湾路線が606便(同-5%)となっており、コロナ禍前を着実に回復しつつある。このため、11月以降の訪日外客数についてはアジア方面の国際旅客便の回復もあり、引き続き堅調に推移すると見込まれよう。

 

トピックス1

9月関西の財貨・サービス貿易及び8月のサービス産業動向

▶関西9月の輸出額は前年同月比-3.0%と5カ月ぶりの減少に転じた(前月:同+4.0%)。一方、輸入額は同+4.7%と6カ月連続の増加(前月:同+4.1%)。関西の貿易収支は+1,960億円と8カ月連続の黒字だが(図4)、輸出が減少に転じ、輸入が増加した結果、黒字幅は同39.7%縮小した(前月:同+3.3%)。結果、7-9月期の貿易収支は+4,615億円と8四半期連続の黒字だが、黒字幅は前年同期比30.9%縮小した(4-6月期:同-0.7%)

 

 

▶対中貿易動向をみると(図5)、関西9月の対中輸出は前年同月比4.0%と7カ月ぶりに減少した(前月:同+1.1%)。輸出減に寄与したのは鉱物性燃料や電気回路等の機器等であった。また、対中輸入は同-2.4%と2カ月連続の減少(前月:同-9.2%)。輸入減に寄与したのは衣類及び同付属品やがん具及び遊戯用具等であった。結果、7-9月期の対中輸出は前年同期比+2.0%と3四半期連続で、対中輸入は同+1.6%と2四半期連続でいずれも増加。ただし、輸出入ともに伸びは4-6月期(輸出:同+6.1%、輸入:同+6.2%)から減速した。

 

 

▶9月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は73万8,390人となり(前月:76万2,632人)、9月としては過去最高値を更新した(図6)。前年同月比+24.8%と前月(同+28.9%)から増加幅は幾分縮小したものの、依然2桁の伸びが続いており、関空への訪日外客数は好調を維持。また、日本人出国者数は22万8,387人であった(同月+28.7%)。なお、19年同月比では-32.3%と3カ月連続で減少幅は縮小したものの、依然コロナ禍前の水準は回復できていない。79月期をみれば、訪日外客数は233万2,057人で、4四半期連続で200万人超の水準となった(前年同期比+30.7%)。また、日本人出国者数は69万7,620人(同+27.7%)と、アウトバウンド需要は緩やかに増加している(4-6月期:50万5,681人)。

 

 

 

▶8月のサービス業の活動は一進一退の動きが続く(図7)。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば、8月は102.7で前月比-1.1%低下し、2カ月ぶりのマイナスとなった(前月:同+2.2%)。また、対面型サービス業指数*は98.2で同-0.5%低下し、3カ月ぶりのマイナス(前月:同+0.7%)。うち、運輸業(同-3.8%、3カ月ぶり)が低下に寄与。

 

 

▶観光関連指数**(2015年平均=100)は、94.7と前月比+1.2%上昇し、5カ月連続のプラス(前月:同+0.0%)。うち、飲食店、飲食サービス業(同+6.3%、2カ月ぶり)、宿泊業(同+3.0%、2カ月ぶり)等が上昇に寄与した。

 

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

 

**観光関連指数は第3次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店,飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

7月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県

▶観光庁によれば、7月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は11,607.8千人泊であった(表1)。前年同月比では+11.7%と前月(同+11.6%)からほぼ横ばいとなった。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は7,360.8千人泊となった(表1及び図8)。前年同月比+1.6%と3カ月ぶりに増加した(前月:同0.7%)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,484.3千人泊、兵庫県1,266.7千人泊、京都府1,202.0千人泊、三重県731.4千人泊、和歌山県381.4千人泊、滋賀県373.1千人泊、福井県319.2千人泊、鳥取県230.4千人泊、奈良県190.3千人泊、徳島県182.0千人泊であった。前年同月比でみると、三重県が同+36.6%(4カ月連続)、兵庫県が同+10.1%(2カ月連続)といずれも増加しており、日本人延べ宿泊者の増加に寄与した。なお、京都府は同-16.3%と14カ月連続で減少しており、好調な外国人宿泊者数に比して日本人宿泊者数の弱さが目立つ。

 

 

▶外国人延べ宿泊者数は4,247.1千人泊となった(表1及び図9)。前年同月比+34.8%と7カ月連続で2桁の伸びが続いており、好調を維持している(前月:同+51.2%)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,488.3千人泊、京都府1,449.8千人泊、兵庫県129.9千人泊、和歌山県68.5千人泊、奈良県33.5千人泊、滋賀県22.0千人泊、三重県19.1千人泊、徳島県17.0千人泊、鳥取県13.7千人泊、福井県5.5千人泊であった。なお、大阪府の延べ宿泊者数は過去最高値を更新した。前年同月比をみれば、大阪府(同+37.8%)や京都府(同+29.8%)が大幅に伸び、全体の増加に寄与した。

 

 

▶関西2府8県延べ宿泊者を居住地別でみると(図10)、県内のべ宿泊者数は1,532.3千人泊、県外は9,577.9千人泊でった。前年同月比をみれば、県内は同+0.4%と16カ月ぶのプラスに転じ(前月:同-3.5%)、県外(含む外国人)は同13.4%と33カ月連続のプラスとなった(前月:同+15.7%)。

 

 

トピックス3

2024年7-9月期訪日外国人消費の動向

▶観光庁によれば、2024年7-9月期の訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は1兆9,480億円となった(図11)(4-6月期:2兆1,370億円)。前年同期比+41.1%と24年に入っても、3四半期連続で2桁の伸びとなっている。夏季休暇に伴う訪日旅行需要の増加に加え、1人当たりの旅行支出が増加した影響が表れた。なお、1-9月期累計の消費額は5兆8,582億円と、過去最高値であった23年通年(5兆3,065億円)を上回った。

 

 

▶訪日外国人消費のトップ5を国・地域別にみれば(図12)、中国が5,177億円(前年同期比+87.2%)と最多であった。次いで、台湾が2,844億円(同+35.8%)、韓国が2,285億円(同+19.0%)、米国が1,860億円(同+28.8%)、香港が1,677億円(同+27.2%)と続く。

 

 

▶一般客1人1泊当たり旅行支出(全目的)は2万3,410円となり、前年同期比+18.2%増加した(4-6月期:同+30.6%)。国・地域別にみれば(表2)、イタリアが3万2,687円(同+8.1%)と最も高い。次いで、香港が3万2,027円(同+4.6%)、中国が3万601円(同+38.3%)、スペインが2万9,430円(同+41.4%)、台湾が2万5,818円(同+23.7%)となっている。

 

 

▶7-9月期の1人1泊当たり旅行支出を費目別でみれば(表3)、宿泊費が7,944円(同+17.5%)と最も多く、次いで買物代が6,636円(同+28.2%)、飲食費が5,167円(同+14.6%)、交通費2,559円(同+14.1%)、娯楽等サービス費が1,100円(同0.6%)と続いている。7-9月期は、買物代が大幅増加したことに加え、宿泊費が着実に増加しているのが特徴的である。なお、平均泊数は9.5泊と、前年同期差-1.0泊減少した。

 

 

*トピックス3は四半期ごとの掲載である。
**「全目的」とは、観光・レジャー目的以外に、業務、留学、親族・知人訪問等の目的の旅行者を含む。ただし、1年未満の滞在者が対象である。

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