都道府県別訪日外客数と訪問率:8月レポート No.63

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ABSTRACT

【ポイント】

・JNTO訪日外客統計によれば、8月の訪日外客総数(推計値)は293万3,000人。学校休暇による訪日旅行需要が増加した影響もあり、8月としては過去最高値を更新した。

・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば6月は314万642人。うち、観光客は291万3,631人、9カ月連続で200万人超の水準となり、単月過去最高値を更新した。

 

 

【トピックス1】

・関西8月の輸出額は前年同月比+4.5%と4カ月連続で増加。また、輸入額は同+4.1%と5カ月連続で増加した。結果、関西の貿易収支は7カ月連続の黒字となり、黒字幅は同+8.9%拡大した。

・8月の関空への訪日外客数は76万2,632人で、8月としては最高値となった。外国人入国者数は好調を維持している。

・7月のサービス業の活動は一進一退で推移している。第3次産業活動指数は2カ月ぶりに、対面型サービス業指数3カ月ぶりにそれぞれ前月比上昇した。一方、観光関連指数は「飲食店、飲食サービス業」や「劇場・興行段」等が低下した影響で、4カ月ぶりに低下した。

 

【トピックス2】

・6月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,628.3千人泊。前年同月比では+11.6%と増加幅は前月から小幅拡大した。

・うち、日本人延べ宿泊者数は6,739.1千人泊で前年同月比-0.7%と2カ月連続で減少しており、停滞している。一方、外国人延べ宿泊者数は3,889.2千人泊で、同+42.2%と6カ月連続で2桁の伸びが続いており、外国人延べ宿泊者は好調を維持している。

 

【トピックス3】

・2024年4-6月期における関西各府県の訪問率をみれば、大阪府の41.1%が最も高く、次いで京都府30.9%、奈良県8.6%、兵庫県5.4%、和歌山県1.4%と続く。

・2024年4-6月期の関西2府4県の訪日外国人消費単価(旅行者1人1回当たりの旅行消費金額)は前年同期比+8.4%増加。費目別では、買物代や宿泊費が大幅増加した一方、娯楽等サービス費や飲食費が減少した。

・2024年4-6月期の関西における消費額をみれば、訪日外客消費額は5,424.5億円で、前年同期比+63.0%大幅増加した。

 

DETAIL

ポイント

9 月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1 及び表 4)、8 月の訪日外客総数(推計値)は 293 万 3,000 人であった(前年同月比+36.0%)。学校休暇による訪日旅行需要が増加した影響もあり、8 月としては過去最高値を更新。また、同月の出国日本人数は 143 万 7,100 人であった。夏季休暇による海外旅行需要の高まりも影響し、2 カ月連続で 100 万人超の水準となった(同+19.6%)。ただし、19 年同月比でみれば31.9%とコロナ禍前の水準は依然回復できていない。

 

 

▶訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると(図 2 及び表 4)、8 月は中国が 74 万 5,800 人(前年同月比+104.8%)で最多であった。次いで韓国が 61 万 2,100 人(同+7.6%)、台湾が56 万 4,300 人(同+42.4%)、香港が 24 万 6,600 人(同+19.6%)、米国が 17 万 4,000 人(同+25.8%)と続く。なお、イタリア(3 万 4,700 人)とスペイン(2 万 5,900 人)が単月過去最高値となった。

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図 3 及び表 5)、6 月は 314 万 642 人であった(前年同月比+51.5%)。うち、観光客は 291 万 3,631 人、9 カ月連続で 200 万人超の水準となり、単月過去最高値を更新した(同+54.8%)。商用客は 10 万 2,531 人(同+14.1%)、その他客は 12 万 4,480 人(同+22.9%)であった。

▶観光客の TOP5 を国・地域別にみれば(表 5)、6 月は韓国が 67 万 6,967 人(前年同月比+29.7%)と最多であった。次いで中国が 60 万 9,272 人(同+270.4%)、台湾が 56 万 1,037人(同+48.1%)、米国が 28 万 1,918 人(同+32.0%)、香港が 24 万 7,237 人(同+34.7%)と続く。なお、台湾と米国が単月として過去最高値となった。

▶10 月 1 日より中国の国慶節に伴う大型連休が始まったことに加え、紅葉シーズンを迎えることもあり訪日旅行需要の増加が期待されている。特にこれまで回復が遅れていた訪日中国人客の動向が気になるところである。関西国際空港が 9 月25 日に発表した 8 月の国際線旅客便の発着回数によれば、中国方面の発着回数はコロナ禍前の8割(19年同月比-19%)を回復した。中国方面の旅客便は着実に回復しつつあるが、中国国内の景気停滞もあり訪日旅行消費の伸び悩みが懸念されている。このため、訪日中国人客の消費回復には引き続き注意が必要である。

 

トピックス1

8 月関西の財貨・サービス貿易及び 7 月のサービス産業動向

▶関西 8 月の輸出額は前年同月比+4.5%と 4 カ月連続で増加した(前月:同+7.7%)。また、輸入額は同+4.1%と 5 カ月連続の増加(前月:同+13.8%)。結果、関西の貿易収支は+1,629 億円と 7 カ月連続の黒字となり(図 4)、黒字幅は同+8.9%拡大した(前月:同-42.3%)。

▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 8 月の対中輸出は前年同月比+1.1%と 6 カ月連続で増加した(前月:同+9.3%)。輸出増に寄与したのは半導体等製造装置や半導体等電子部品等であった。一方、対中輸入は同-9.2%と 5 カ月ぶりの減少(前月:同+17.2%)。輸入減に寄与したのはがん具及び遊戯用具や衣類及び同付属品等であった。

▶8 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 76 万 2,632人(前月:83 万 1,035 人)となり(図 6)、8 月としては最高値となった。前年同月比+28.9%と前月(同+38.2%)から減速したものの 2 桁増加が続いており、外国人入国者数は好調を維持している。また、8 月の日本人出国者数は 27 万 6,060 人、同+28.8%と大幅増加した。なお、19 年同月比では-33.5%と前月(同-39.3%)からマイナス幅は縮小したものの、全国と同様に依然コロナ禍前の水準を回復できていない。

▶7 月のサービス業の活動は一進一退で推移している(図 7)。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば、7 月は 102.6 で前月比+1.4%上昇し、2 カ月ぶりのプラスとなった(前月:同-1.2%)。7 月を 4-6 月平均と比較すると、+0.7%上昇した(4-6 月期:前期比+1.1%)。また、対面型サービス業指数*は 98.6 で同+2.7%上昇し、3 カ月ぶりのプラス(前月:同-0.1%)。うち、運輸業(同+6.9%、3 カ月ぶり)や宿泊業(同+3.0%、2 カ月連続)が上昇に寄与した。結果、7 月の対面型サービス業指数は 4-6 月平均比+2.5%上昇した(4-6 月期:前期比+1.8%)。

▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、91.9 と前月比-1.4%低下し、4 カ月ぶりのマイナスに転じた(前月:同+0.5%)。うち、飲食店、飲食サービス業(同-2.1%、3 カ月ぶり)、劇場・興行団(同-22.2%、2 カ月連続)等が低下に寄与した。7 月の観光関連指数を 4-6 月平均と比較すると、-0.7%低下した(4-6 月期:前期比-0.9%)。

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

6 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、6 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は10,628.3千人泊であった(表1)。前年同月比では+11.6%と増加幅は前月(同+11.1%)から小幅拡大した。

▶日本人延べ宿泊者数は 6,739.1 千人泊となった。前年同月比-0.7%と 2 カ月連続で減少しており(前月:同-2.3%)、日本人延べ宿泊者数は停滞している(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,343.7 千人泊、京都府 1,348.3 千人泊、兵庫県 1,076.6 千人泊、三重県 585.7 千人泊、滋賀県 322.7 千人泊、和歌山県 279.0 千人泊、福井県 245.7 千人泊、鳥取県 195.1 千人泊、奈良県 179.5 千人泊、徳島県 163.0 千人泊であった。前年同月比でみると、京都府が 13 カ月連続で減少しており、日本人延べ宿泊者の減少に寄与した。

▶外国人延べ宿泊者数は 3,889.2 千人泊となった。前年同月比+42.2%と 6 カ月連続で 2 桁の伸びが続いている(前月:同+51.2%)(表 1 及び図 9)。日本人延べ宿泊者に比して、外国人延べ宿泊者は好調を維持している。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,263.6 千人泊、京都府 1,345.0 千人泊、兵庫県 116.2 千人泊、和歌山県 60.8 千人泊、滋賀県 28.4 千人泊、奈良県 27.3 千人泊、三重県 19.9 千人泊、徳島県 11.1 千人泊、鳥取県 10.9 千人泊、福井県 6.2 千人泊であった。前年同月比をみれば、大阪府(同+45.2%)や京都府(同+35.6%)が増加に寄与した。

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者を居住地別でみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,313.6 千人泊、県外は 8,967.5 千人泊であった。前年同月比では県内は同-3.5%と 15 カ月連続のマイナス(前月:同-8.9%)。一方、県外(含む外国人)は同+15.7%と 32 カ月連続のプラスとなった(前月:同+14.4%)。

 

トピックス3

2024 年 4-6 月期訪日外国人訪問率と消費単価:関西

▶2024 年 4-6 月期における関西各府県の訪問率をみると(図11)、大阪府 41.1%が最も高く、次いで京都府 30.9%、奈良県 8.6%、兵庫県 5.4%、和歌山県 1.4%、三重県 0.8%、滋賀県0.4%、徳島県 0.3%、鳥取県 0.3%、福井県 0.2%と続く。前年同期と比較すると(表 2)、大阪府(+1.2%ポイント)、奈良県(+0.5%ポイント)、京都府(+0.5%ポイント)、徳島県(+0.1%ポイント)、三重県(+0.0%ポイント)はいずれも上昇。一方、兵庫県(-1.3%ポイント)、滋賀県(-0.4%ポイント)、和歌山県(-0.3%ポイント)、鳥取県(-0.1%ポイント)、福井県(-0.0%ポイント)はそれぞれ低下した。

▶当該期間の各府県の訪問率に訪日外客数を乗じて推計した関西における訪日外客数を要約しておこう。推計された 2024 年 4-6月期の訪問者数を降順にみれば(表2)、大阪府が379万5,236人(前年同期比+60.2%)と最も多く、次いで京都府が 285 万 1,166 人(同+58.2%)、奈良県が 79 万 7,695 人(同+65.6%)、兵庫県が 49 万 9,153 人(同+25.6%)、和歌山県が 12 万 7,752人(同+27.0%)、三重県が 6 万 9,853 人(同+57.2%)、滋賀県が 3 万 7,781 人(同-17.4%)、徳島県が 2 万 8,502 人(同+90.2%)、鳥取県が 2 万 4,074 人(同+25.3%)、福井県が 1 万 6,852 人(同+51.2%)と続く。

▶表 3 は 2024 年 4-6 月期の関西における訪日外国人消費単価(旅行者 1 人 1 回当たりの旅行消費金額)を示している。関西 2府 4 県では前年同期比+8.4%増加した。費目別にみれば、買物代(同+39.2%)や宿泊費(同+24.4%)が大幅増加した一方、娯楽等サービス費(同-20.6%)や飲食費(同-2.1%)は減少した。

▶なお、2024 年 4-6 月期の関西における消費額をみれば、訪日外客消費額は 5,424.5 億円、前年同期比+63.0%大幅増加した。なお、同期の全国の消費額は 2 兆 1,402 億円、同+73.7%となり、関西は全国の伸びを幾分下回った。

*全国の費目別消費単価及び消費額については本レポート No.61 を参照。

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