都道府県別訪日外客数と訪問率:7月レポート No.62

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【ポイント】

・JNTO訪日外客統計によれば、7月の訪日外客総数(推計値)は329万2,500人。夏季休暇に伴う訪日旅行需要の高まりもあり、単月として過去最高を更新した。

・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば5月は304万294人。うち、観光客は275万8,219人と8カ月連続で200万人を超える水準となった。

 

 

【トピックス1】

・関西7月の輸出額は前年同月比7.7%と3カ月連続の増加。また、輸入額は同+13.8%と4カ月連続で増加した。結果、関西の貿易収支は6カ月連続の黒字だが、輸入の伸びが輸出のそれを上回ったため、黒字幅は縮小した。

・7月の関空への訪日外客数は83万1,035人となり、2カ月連続で80万人を超えた。外国人入国者数は好調を維持している。

・6月のサービス業の活動は一進一退で推移している。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも3カ月ぶりの前月比低下。一方、観光関連指数は「飲食店、飲食サービス業」や「宿泊業」が上昇に寄与し、3カ月連続で同上昇した。

 

【トピックス2】

・5月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,862.0千人泊。前年同月比では+11.1%と増加幅は前月から幾分縮小した。

・うち、日本人延べ宿泊者数は7,807.5千人泊で前年同月比-2.3%と2カ月ぶりの減少。また、外国人延べ宿泊者数は4,054.5千人泊で、同+51.2%と6カ月連続で2桁の伸びが続く。

 

【トピックス3】

・2024年1-3月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆3,278億円と、統計が利用可能な2017年以降、過去最高額を更新した。

・国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は9,982億円、前年同期比+19.1%と2四半期連続のプラス。うち兵庫県や三重県が宿泊旅行消費額の増加に大きく寄与した。また、日帰り旅行消費額は3,296億円、前年同期比+60.9%と3四半期連続のプラス。和歌山県が大幅プラスとなっており、日帰り旅行消費額の増加に大きく寄与した。

 

DETAIL

ポイント

●8 月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1 及び表 4)、7 月の訪日外客総数(推計値)は 329 万 2,500 人となり、5 カ月連続で 300 万人を超えた(前年同月比+41.9%)。夏季休暇に伴う訪日旅行需要の高まりもあり、単月として過去最高を更新。また、同月の出国日本人数は 104 万 8,800 人と、4 カ月ぶりに 100 万人超の水準となった(同+17.6%)。なお、19 年同月比では-36.8%と依然コロナ禍前の水準を回復できていない。

▶訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると(図 2 及び表 4)、7 月は中国が 77 万 6,500 人(前年同月比+147.8%)で、コロナ禍以降初めてトップとなった。なお、19 年平均比-2.9%まで回復してきており、24 年に入って回復のペースが加速している。次いで韓国が 75 万 7,700 人(同+20.9%)、台湾が 57 万 1,700 人(同+35.4%)、香港が 27 万 9,100 人(同+29.0%)、米国が 25 万 1,200 人(同+26.3%)と続く。

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図 3 及び表 5)、5 月は 304 万 294 人となった(前年同月比+60.1%)。うち、観光客は 275 万 8,219 人と 8 カ月連続で 200 万人を超える水準(同+66.5%)。商用客は 10 万 6,519 人(同+11.6%)、その他客は 17 万 5,556 人(同+18.9%)であった。

▶観光客の TOP5 を国・地域別にみれば(表 5)、5 月は韓国が70 万 6,635 人(前年同月比+45.3%)と最多であった。次いで中国が 47 万 2,394 人(同+499.7%)、台湾が 45 万 854 人(同+54.8%)、米国が 23 万 1,028 人(同+37.6%)、香港が 21 万 3,788 人(同+41.3%)と続く。

▶アジアや欧米地域において、夏季休暇が 8 月末まであることもあり、先行きの訪日外客数は引き続き増加が見込まれよう。一方で、(1)宿泊業等における人手不足、(2)オーバーツーリズム問題に加え、(3)航空燃料不足による国際線増便の見合わせなど課題が山積している。観光庁は 8 月 27 日に公表した 2025 年度の予算概算要求において、観光地・観光産業における人材不足対策やオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた支援事業をいずれも前年度予算から増額し、対策を行う予定である。また、航空燃料不足解消に向けて政府は、官民一体となった行動計画を作成し、対策を行うことを発表した。急増する訪日外客に対して上述したようなきめ細やかな支援を行っていくかが重要となろう。

トピックス1

●7 月関西の財貨・サービス貿易及び 6 月のサービス産業動向

▶関西 7 月の輸出額は前年同月比+7.7%と 3 カ月連続の増加となった(前月:同+2.0%)。また、輸入額は同+13.8%と 4 カ月連続の増加(前月:同+1.5%)。結果、関西の貿易収支は+1,111億円と 6 カ月連続の黒字だが(図 4)、輸入の伸びが輸出のそれを上回ったため、黒字幅は同-42.3%縮小した(前月:同+4.4%)。

▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 7 月の対中輸出は前年同月比+9.3%と 5 カ月連続で増加した(前月:同+0.3%)。輸出増に寄与したのは半導体等製造装置やプラスチック等であった。また、対中輸入は同+17.2%と 4 カ月連続の増加(前月:同+1.3%)。輸入増に寄与したのは通信機やがん具及び遊戯用具等であった。

▶7 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 83 万 1,035人となり(図 6)、2 カ月連続で 80 万人を超えた(前月:81 万2,689 人)。前年同月比では+38.2%と大幅増加(前月:同+47.1%)。7 月はアジアや欧米地域における夏季休暇の開始で訪日旅行需要が増加した影響もあり、外国人入国者数は好調を維持した。また、7 月の日本人出国者数は 19 万 3,173 人であった。前年同月比+25.0%増加。なお、2019 年同月比では-39.3%と、前月(同-41.8%)から減少幅は幾分縮小したが、日本人出国者数は依然コロナ禍前を回復できていない。

▶6 月のサービス業の活動は一進一退で推移している(図 7)。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば、6 月は 101.4 で前月比-1.3%低下し、3 カ月ぶりのマイナスとなった(前月:同+0.6%)。また、対面型サービス業指数*は 96.4 で同-1.0%低下し、3 カ月ぶりのマイナス(前月:同+0.8%)。うち、運輸業(同-4.6%、3 カ月ぶり)が低下に寄与した。結果、4-6 月期の第 3 次産業活動指数は前期比+1.2%と 3 四半期ぶりのプラス(1-3 月期:同-0.1%)。また、対面型サービス業は同+2.4%と 3 四半期ぶりのプラスとなった(1-3 月期:同-2.0%)。

▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、94.2 と前月比+0.9%上昇し、3 カ月連続のプラス(前月:同+1.7%)。うち、飲食店、飲食サービス業(同+2.2%、2 カ月連続)、宿泊業(同+5.8%、2カ月ぶり)等が上昇に寄与した。4-6 月期の観光関連指数は前期比-0.3%と 2 四半期ぶりのマイナスとなった(1-3 月期:同+1.7%)。

 

トピックス2

●5 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、5 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は11,862.0千人泊であった(表1)。前年同月比では+11.1%と増加幅は前月(同+19.3%)から幾分縮小した。

▶日本人延べ宿泊者数は 7,807.5 千人泊となった。前年同月比-2.3%と 2 カ月ぶりの減少(前月:同+5.3%)(表 1 及び図 8)。なお、19 年同月比でも-3.3%と 2 カ月連続で減少しており、日本人延べ宿泊者数は停滞している。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,641.5 千人泊、京都府 1,536.4 千人泊、兵庫県 1,146.3 千人泊、三重県 721.7 千人泊、滋賀県403.8 千人泊、和歌山県 346.2 千人泊、福井県 280.5 千人泊、奈良県 252.7 千人泊、鳥取県 252.5 千人泊、徳島県 226.1千人泊であった。前年同月比でみると、京都府が 12 カ月連続で、大阪府、兵庫県、和歌山県がいずれも 2 カ月ぶりに減少しており、日本人延べ宿泊者の減少に寄与した。

▶外国人延べ宿泊者数は 4,054.5 千人泊となった。前年同月比+51.2%と 6 カ月連続で 2 桁の伸びが続いている(表 1 及び図 9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,125.6千人泊、京都府 1,572.4 千人泊、兵庫県 155.6 千人泊、和歌山県 79.7 千人泊、奈良県 36.3 千人泊、滋賀県 22.9 千人泊、三重県 20.7 千人泊、徳島県 16.7 千人泊、福井県 13.6 千人泊、鳥取県 11.0 千人泊であった。前年同月比をみれば、いずれの府県も大幅増加となったが、特に大阪府(同+42.9%)や京都府(同+21.5%)が増加に寄与した。

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者を居住地別でみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,382.7 千人泊、県外は 10,036.3 千人泊であった。前年同月比では県内は同-8.9%と 14 カ月連続のマイナス(前月:同-3.8%)。一方、県外(含む外国人)は同+14.4%と 31 カ月連続のプラスとなった(前月:同+26.0%)。県内の延べ宿泊者数は伸び悩む一方、外国人宿泊者を含む県外の延べ宿泊者は堅調に推移している。

トピックス3

●2024 年 4-6 月期国内旅行消費の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、2024 年 4-6 月期関西(2 府 8 県ベース)の国内旅行消費額(速報)は 1 兆 3,278 億円と、統計が利用可能な2017 年以降、過去最高額を更新した(表 2)。前年同期比+27.3%と 2 四半期連続のプラスとなり、1-3 月期(同+17.8%)から増加幅は拡大した。

▶国内旅行消費額のうち、4-6 月期の宿泊旅行消費額は 9,982 億円で前年同期比+19.1%となり、2 四半期連続のプラス(1-3 月期:同+14.7%)(図 11 及び表 2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府 2,712 億円(同+14.2%)、京都府 1,947 億円(同+34.4%)、兵庫県 1,873 億円(同+66.5%)、三重県 1,251 億円(同+89.9%)、福井県 651 億円(同+113.6%)、奈良県 487億円(同-25.7%)、和歌山県 457 億円(同-42.1%)、滋賀県 258億円(同-38.1%)、鳥取県 176 億円(同-31.0%)、徳島県 170 億円(同-51.7%)であった。前年同期比でみると、滋賀県、奈良県、和歌山県、鳥取県と徳島県を除く府県がプラスとなり、うち兵庫県や三重県が宿泊旅行消費額の増加に大きく寄与した。

▶国内旅行消費額のうち、4-6 月期の日帰り旅行消費額は 3,296 億円であった。前年同期比+60.9%と 3 四半期連続のプラス(1-3 月期:同+30.8%)(図 12 及び表 2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府 900 億円(同+64.2%)、京都府 480 億円(同+79.6%)、兵庫県 452 億円(同+12.7%)、和歌山県 416 億円(同+953.4%)、三重県 403 億円(同+44.7%)、滋賀県 253 億円(同+139.5%)、福井県 145 億円(同-1.3%)、奈良県 138 億円(同-18.5%)、鳥取県 75 億円(同+5.8%)、徳島県 36 億円(同+58.0%)であった。前年同期比でみれば、和歌山県が大幅プラスとなっており、日帰り旅行消費額の増加に大きく寄与した。

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