ABSTRACT
【ポイント】
- JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値)は304万2,900人。桜の開花シーズンの影響もあり、2カ月連続で300万人超の水準となった。
- 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば2月は278万8,224人。うち、うち、観光客は254万8,085人と5カ月連続で200万人を超える水準となった。
【トピックス1】
- 関西4月の輸出額は前年同月比-1.8%と2カ月ぶりの減少。一方、輸入額は同+1.4%と2カ月ぶりの増加となった。結果、貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小した。
- 4月の関空への訪日外客数は77万2,860人となり、過去最高値を更新した。
- 3月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に悪化した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数は旅行業や旅客運送業が低下に寄与し、4カ月ぶりの同低下となった。
【トピックス2】
- 1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,352.4千人泊で、2019年同月比+7.9%と6カ月連続の増加となった。
- うち、日本人延べ宿泊者数は6,574.0千人泊で、2019年同月比+5.3%と6カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,778.4千人泊で、同+14.5%と7カ月連続で増加した。
【トピックス3】
- 2024年1-3月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆350億円。新型コロナ5類移行後、初めての年始休暇の影響もあり、宿泊旅行消費、日帰り旅行消費ともに増加した
- 国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は8,158億円、日帰り旅行消費額は2,193億円であった。
DETAIL
ポイント
5月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、4月の訪日外客総数(推計値)は304万2,900人であった。桜の開花シーズンの影響もあり、2カ月連続で300万人超の水準となった(前月:308万1,600人)。2019年同月比では+4.0%と3カ月連続でコロナ禍前を超えた(前月:同+11.6%)。なお、中国人客を除いた総数は250万9,300人(同+14.0%)で、10カ月連続でコロナ禍前上回った。一方、同月の出国日本人数は88万8,800人であった。19年同月比では-46.7%と前月(同36.8%)からマイナス幅は拡大した。
▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、4月は韓国が66万1,200人(2019年同月比+16.7%)と最多であった。次いで中国が53万3,600人(同-26.5%)、台湾が45万9,700人(同+13.9%)、米国が22万8,900人(同+34.5%)、香港が18万4,500人(同-5.3%)と続く。なお、4月はフランス、イタリア、中東地域が単月として過去最高値を更新した。
▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、2月は278万8,224人となった(2019年同月比+7.1%)。うち、観光客は254万8,085人と5カ月連続で200万人を超える水準となった(同+8.8%)。商用客は8万3,836人(同-35.8%)、その他客は15万6,303人(同+18.1%)であった。19年同月比でみると、観光客は5カ月連続、その他客は2カ月連続でそれぞれプラスとなったが、商用客は依然低迷している。
▶観光客のTOP5を国・地域別にみれば(表5)、2月は韓国が79万2,173人(2019年同月比+17.4%)と最多であった。次いで台湾が48万9,092人(同+27.4%)、中国が39万2,159人(同-39.5%)、香港が20万2,534人(同+15.5%)、米国が13万6,225人(同+88.0%)と続く。なお、2月は台湾が単月として過去最高値を更新した。
▶先行きの訪日外客については引き続き堅調に推移すると見込まれる。国際旅客便の回復に加え、円安基調が続いていることもあり、1-4月累計の訪日外客数は1,160万1,200人となった。第4次観光立国推進基本計画で、政府は2025年までに訪日外客数をコロナ禍前の水準(3,188万人)超とする目標を設定している。ちなみに1-3月期の訪日外客数は年率ベースで3,423万人となっており、増加ペースを維持することができれば、本年中に目標を達成する可能性が高い。
トピックス1
4月関西の財貨・サービス貿易及び3月のサービス産業動向
▶関西4月の輸出額は前年同月比-1.8%と2カ月ぶりの減少(前月:同+1.5%)。一方、輸入額は同+1.4%と2カ月ぶりの増加となった(前月:同-13.6%)。結果、関西の貿易収支は+1,902億円と3カ月連続の黒字だが(図4)、黒字幅は同-22.2%縮小した(前月:同+95.2%)。
▶対中貿易動向をみると(図5)、関西4月の対中輸出は前年同月比+5.5%と2カ月連続で増加した(前月:同+1.9%)。輸出増に寄与したのは半導体等製造装置やプラスチック等であった。また、対中輸入は同+5.8%と2カ月ぶりの増加(前月:同-21.7%)。輸入増に寄与したのは衣類及び同附属品や通信機等であった。
▶4月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は77万2,860人となり、過去最高値を更新した(図 6)。2019 年同月比では+1.1%と5カ月連続のプラス(前月:同+6.4%)。外国人入国者数は堅調に推移している。また、4月の日本人出国者数は15万8,125 人であった。2019年同月比では-53.2%と、減少幅は前月(同-40.0%)から拡大した。外国人入国者数に比して日本人出国者数は依然低調である。
▶3 月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に悪化した(図 7)。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば、3月は100.2で前月比-2.4%低下し、2 カ月ぶりのマイナスとなった(前月:同+2.2%)。また、対面型サービス業指数は90.2で同-10.3%大幅低下し、2カ月ぶりのマイナス(前月:同+4.0%)。うち、運輸業(同-14.7%、2 カ月ぶり)とその他の生活関連サービス業(同13.9%、2カ月ぶり)が大幅低下に寄与した。結果、1-3月期の第3次産業活動指数は前期比+0.2%と2四半期ぶりのプラスだが、小幅上昇にとどまった(10-12月期:同-0.5%)。一方、対面型サービス業は同-0.6%と 2 四半期連続のマイナスとなった(10-12 月期:同-0.6%)。
▶観光関連指数(2015年平均=100)は、90.6と前月比-6.1%低下し、4カ月ぶりのマイナス(前月:同+4.0%)。うち、旅行業(同-52.5%、4カ月ぶり)、旅客運送業(同-5.7%、2カ月ぶり)等が低下に寄与した。1-3月期の観光関連指数は前期比+1.5%と2四半期ぶりのプラスとなった(10-12月期:同-0.0%)。
トピックス2
2月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、2月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は9,352.4千人泊であった(表1)。2019年同月比では+7.9%と6カ月連続で増加した(前月:同+7.5%)。
▶日本人延べ宿泊者数は6,574.0千人泊となった。2019年同月比+5.3%と6カ月連続で増加した(前月:同+3.5%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,384.1千人泊、京都府1,240.7千人泊、兵庫県1,042.6千人泊、三重県640.2千人泊、和歌山県301.1千人泊、滋賀県281.9千人泊、福井県210.2千人泊、鳥取県172.4千人泊、徳島県156.6千人泊、奈良県144.4千人泊であった。2019年同月比でみると、京都府(同-3.6%)と福井県(同-26.2%)を除く府県ではプラスとなった。
▶外国人延べ宿泊者数は2,778.4千人泊となった。2019年同月比+14.5%と7カ月連続のプラス。増加幅は前月(同+17.7%)から縮小したものの、6カ月連続で2桁の伸びが続いている(表1及び図9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府1,698.6千人泊、京都府864.5千人泊、兵庫県105.6千人泊、和歌山県27.5千人泊、滋賀県23.7千人泊、奈良県20.0千人泊、三重県14.9千人泊、鳥取県9.8千人泊、徳島県8.8千人泊、福井県5.2千人泊であった。2019年同月比でみると、大阪府(同+22.5%)と京都府(同+16.2%)がいずれも8カ月連続で増加したものの、その他の県では減少傾向が続いている。
▶関西2府8県延べ宿泊者を居住地別でみると(図10)、県内の延べ宿泊者数は1,206.6千人泊、県外は7,837.2千人泊であった。2019年同月比では県内は同+6.6%と29カ月連続のプラスだが、増加幅は4カ月連続で縮小。また、県外(含む外国人)は同+10.0%と6カ月連続のプラスとなり、増加幅は前月(同+9.2%)から小幅拡大した。
トピックス3
2024年1-3月期国内旅行消費の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、2024年1-3月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆350億円であった(表2)。2019年同期比+27.7%と2四半期連続のプラス(10-12月期:同+13.6%)。新型コロナ5類移行後、初めての年始休暇の影響もあり、宿泊旅行消費、日帰り旅行消費ともに増加した。
▶国内旅行消費額のうち、1-3月期の宿泊旅行消費額は8,158億円で2019年同期比+37.4%となり、3四半期連続のプラス(10-12月期:同+23.0%)(図11及び表2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府2,734億円(同+59.4%)、京都府1,645億円(同+48.6%)、兵庫県1,140億円(同-8.2%)、三重県917億円(同+52.7%)、福井県454億円(同+324.3%)、奈良県375億円(同+138.5%)、和歌山県357億円(同+59.3%)、滋賀県272億円(同+35.0%)、鳥取県211億円(同-32.1%)、徳島県52億円(同-80.9%)であった。19年同期比でみると、兵庫県、鳥取県と徳島県を除く府県でプラスとなり、大阪府と京都府が宿泊旅行消費額の増加に大きく寄与した。
▶国内旅行消費額のうち、1-3月期の日帰り旅行消費額は2,193億円であった。2019年同期比+1.2%とプラスに転じた(10-12月期:-14.0%)(図12及び表2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府688億円(同+26.0%)、兵庫県483億円(同4.1%)、京都府392億円(同-20.8%)、三重県227億円(同9.3%)、滋賀県177億円(同+18.1%)、徳島県72億円(同+148.7%)、福井県59億円(同+41.3%)、奈良県56億円(同18.1%)、和歌山県30億円(同-34.2%)、鳥取県9億円(同75.9%)であった。19年同期比でみると、大阪府、滋賀県、福井県と徳島県がプラスとなった。