ABSTRACT
関西経済は緩やかな回復基調も、長引く消費増税からの調整(要旨)
1. GDP1次速報によると、2014年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と2期連続のマイナス成長。市場にとってはネガティブ・サプライズとなり、消費増税の調整が長引いていることを示唆する結果となった。2014年7-9月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを維持しているものの、これまでの見通しを下回り、弱い動きにとどまっている。回復の勢いは力強さに欠き、足踏みしている。
2. 部門別にみると、企業部門では、停滞する全国と異なりこれまで生産は高水準を維持しており、2014年度の設備投資計画は引き続き積極的である。しかし景況感はやや緩慢な動きとなっており、先行き注意が必要である。家計部門では、4-6月期の反動減から緩やかに回復しているものの、所得の増加は力強さを欠いており、加えてセンチメントは悪化しつつある。
3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2014年度-0.1%、15年度+1.8%、16年度+1.9%と予測する。前回予測結果から、14年度は1.0%ポイントの大幅下方修正、15年度・16年度はそれぞれ0.2%ポイント、0.4%ポイントの上方修正である。14年度は消費増税反動減からの回復の弱さを反映した結果であり、15年度・16年度は消費増税の延期を織り込んだことによる。
4. 成長率に対する寄与度をみると、2014年度は民間需要の寄与が-1.1%ポイントと景気押し下げ要因となる。外需は+0.9%ポイントと成長を押し上げるが、民需のマイナスを補うことはできない。一方、15年度・16年度は民間需要と外需がバランスよく成長を下支えする。
5. 今後の関西経済の回復に着実にするために、民間消費拡大が重要なポイントとなる。トピックスでは①訪日外国人観光客の消費による底上げ、②中小企業における賃上げの波及の重要性を分析した。