Kansai Economic Insight Quarterly No.25
<緩やかな回復基調にある関西 さらなる力強い成長には好循環の持続が不可欠>

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<要 ?旨>

1. 2014年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%で、3四半期ぶりのプラス成長となった。成長率の内訳は、内需が+1.4%ポイント、純輸出が+0.9%ポイントであった。内需の増加に寄与したのは民間最終消費支出と民間在庫品増加で、これら以外の内需項目は成長に対する貢献がほとんどなく、自律的な力強い回復とは言えない。

2. 2014年10-12月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを継続している。特に企業部門については、関西は生産・投資計画ともに全国を上回る水準で推移しており、足下の景況感も回復してきている。輸出も堅調に推移している。しかしながら先行きの見通しには不透明感を伴っており、所得環境や雇用環境への大幅改善には至らず、家計部門の動向は全国並みにとどまっている。

3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2014年度-0.4%、15年度+2.0%、16年度+2.1%と予測する。前回から、14年度は0.3%ポイントの下方修正、15年度・16年度はそれぞれ0.2%ポイントずつの上方修正。また県民経済計算確報値の公表に伴い、実績見通しを修正した。

4. 成長率に対する寄与度をみると、2014年度は民間需要の寄与が-0.8%ポイントと景気押し下げ要因となる。15年度は民間需要+1.0%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.9%ポイントと民間需要と外需がバランスよく経済成長に貢献する。16年度には、民間需要が+1.4%ポイントと景気をけん引する。

5. 関西を訪れる外国人旅行者の急増とその購入行動に注目が集まっている。シミュレーションによると、訪日外国人旅行者の関西訪問率を40%まで引き上げられれば、関西経済に対して年間約579~4,645億円の効果が期待できる。

6. 今後の関西経済の回復に着実にするために、企業部門から家計部門への還元とそれに伴う民間消費拡大が重要なポイントとなる。上述の訪日外国人観光客の消費による底上げと、中小企業における賃上げが鍵となろう。

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