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日本の人口は2009年をピークとして既に減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所や国連の人口推計によればこの傾向は21世紀の終わりまで続くという。しかし、人口減少の影響は将来の問題として、GDPや一人あたりGDPの短中期の予測にはほとんど取り入れられていない。
本稿では、われわれが独自に開発した人口とGDPに関する簡単なモデルを使って、2100年までの日本のGDPを推計し、1)過去140年の日本に固有なX 効率性が今後も不変とすれば、GDPは長期にわたって年平均1.3%減少する、2)GDPを2010年の水準に保とうとすれば、X効率性は年平均1?2%上昇しなければならない、3)一人あたりGDPを2010年の水準に保つためには、X効率性の上昇率は0.9%でよい、という結論を得る。
本論の結論はOECDが2060年まで予測している安定的経済成長仮説を否定するものである。これからアジアをはじめ世界各国で人口減少が始まるという「人口大転換期」を迎えて、本稿が示したような超長期予測の必要性は高まっていくと思われる。