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- GDP1次速報によると、15年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.4%(前期比-0.2%)となった。2四半期ぶりのマイナス成長。内需が-2.0%ポイントで2四半期ぶりに成長引き下げ要因となった。特に賃金の増加ペースの鈍化から民間最終消費支出の減少が大きい。純輸出は+0.6%ポイントで2四半期連続のプラスだが、輸入減が輸出減を上回った結果で、内容は良くない。景気は踊り場局面にある。
- 関西経済は、足踏み状態から景気後退気配で、先行きに警戒感が強まってきている。家計部門は、センチメントや雇用環境などで改善の兆しが一部見られるも、所得の改善が緩慢なことから弱含みである。企業部門では、生産は足踏み状態が続いており、設備投資計画は慎重な動きとなっている。域外取引は、中国経済の停滞などから輸出が4カ月連続の前年割れで、かつマイナス幅が拡大している。
- 関西の実質GRP成長率を2015年度+0.4%、16年度+1.4%、17年度-0.3%と予測する。前回予測と比較すると、2015年度0.2%ポイント、16年度0.5%ポイント、17年度0.2%ポイントのいずれも下方修正。民需は前回予測と大きく変わらないが、外需の伸びを大幅に下方修正したことによる。
- 成長に対する寄与度を見ると、2015年度は民間需要+0.2%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.1%ポイントと、成長の牽引役が不在となる。16年度は翌年の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要から、民間需要が成長を押し上げる(+1.1%ポイント)。公的需要と外需の寄与は小さい。17年度は、消費税率引き上げにより民間需要は-0.4%ポイントと成長を抑制。外需も-0.1%ポイントと小幅ながら成長を押し下げる。公的需要の寄与は+0.1%ポイントにとどまる。
- 関西の2015年の賃金は伸び悩んだ。その要因として、相対的に給与の低い非正規やパートタイム労働者比率の上昇、生産調整による所定外給与減少、夏季賞与支給額減少による特別給与減少の3つがある。また、春闘が企業側に配慮した形で交渉が進んでいること、世界経済の減速による生産調整が続くことなどから、関西の賃金は2016年も引き続き伸び悩むとみられる。
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