ABSTRACT
関西経済は弱い基調が定着、先行きも好材料に乏しい
民需外需は牽引力不足、景気対策の効果も関西では期待薄
1.4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%(前期比+0.0%)と2四半期連続のプラスとなった。閏年要因を除けば年前半は小幅のプラス成長であり、日本経済は緩やかに回復しているといえる。寄与度を見ると、内需は前期比+1.2%ポイントと2四半期連続のプラスだが、純輸出は同-1.0%ポイントと4四半期ぶりのマイナス。
2.関西経済は、足下弱い基調が定着しつつあり、かつ先行きも好材料に乏しい。家計部門は、前期から引き続いて弱含んでいる。企業部門は、景況感や生産などで足下では弱い動きが見え始めている。域外取引では、輸出と輸入の失速が続いており、かつマイナス幅が拡大し続けている。
3.関西の実質GRP成長率を2016年度+0.7%、17年度+0.8%と予測する。前回予測と比較すると、2016年度は0.1%ポイントの下方修正、17年度は0.2%ポイントの上方修正となった。また景気対策の影響の大小の違いにより、関西の成長率は日本経済予測の結果より若干下回って推移すると見込む。
4.成長に対する寄与度を見ると、2016年度は民間需要が+0.4%ポイントと3年ぶりにプラスに転じる。公的需要も+0.2%ポイント、外需も+0.1%ポイントと小幅ではあるが各項目ともプラスの寄与となる。17年度も、民間需要+0.3%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.3%ポイントと各項目ともプラスの寄与となる。しかしいずれも小幅にとどまり、景気を牽引するような力強さには物足りない。
5.8月2日、政府は新たな景気対策を閣議決定した。民需や外需の牽引力に期待しづらい関西経済において、公的需要が景気を幾分下支えする役割を果たそう。ただし関西では景気対策の影響が限定的となることから、公的需要の寄与は全国に比べると小幅にとどまる。
6.2015年の関西経済におけるインバウンド需要の影響は歴史的なものであった。(1)訪日外国人消費は2015年の関西GRPを0.76%程度説明している。関西におけるインバウンド・ツーリズムの影響力は年々高まっているが、特に、15年のGRPに対する寄与は前年の1.73倍となっている。(2)就業者についてみると、15年は1.10%程度押し上げたことがわかる。15年の雇用押し上げ効果は前年比1.67倍である。