134回景気分析と予測
<岐路に立つ回復シナリオ:景気回復は後ずれ-実質GDP成長率予測:21年度+3.3%、22年度+2.3%->

洞察・意見 » 経済予測 » 四半期レポート(日本)

ABSTRACT

一般財団法人アジア太平洋研究所では、日本ならびに関西経済について、四半期ごとに景気分析と予測を行っています。8月31日、最新の「日本経済予測」と「関西経済予測」を発表しました。経済見通しの説明動画を以下の通り配信しています。

 

1.  8月16日発表のGDP1次速報によれば、4-6月期の実質GDPは前期比年率+1.3%(前期比+0.3%)増加した。2四半期ぶりのプラス成長だが、1-3月期の落ち込み(同-3.7%)を回復できておらず、前期の反動とみてよい。21年前半は世界主要国が着実に回復するのに比して、日本経済は停滞していたといえよう。4-6月期の実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の最終予測(同+0.66%)から上振れた。なお、CQM最終予測の支出サイドは同+0.9%であった。
2.  4-6月期は3回目の緊急事態宣言期を含むため、マーケットは低調なパフォーマンスを見込んでいた。しかし、緊急事態宣言の人流抑制効果、特に消費抑制効果は小さかった。一方、期待されていた公的固定資本形成は2四半期連続のマイナス。実質GDP成長率(前期比+0.3%)への寄与度を見ると、国内需要は同+0.6%ポイントと2四半期ぶりのプラス。うち、民間需要は同+0.6%ポイント、公的需要は同+0.0%ポイントと、いずれも2四半期ぶりのプラス。一方、輸入の回復もあり純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期連続のマイナスとなった。
3. 新たに、4-6月期GDP1次速報を追加し、外生変数の想定を織り込み、21-22年度の日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、21年度+3.3%、22年度+2.3%と予測。暦年ベースでは、21年+2.3%、22年+2.5%と予測した。前回(第133回)予測に比して、21年度は-0.1%ポイント下方修正したが、22年度は変化なし。足下、ワクチン接種は遅ればせながら加速しているが、コロナ変異株のまん延が7-9月期の人流を抑制し、成長の加速を後ずれさせるとみる
4.  実質GDP成長率への寄与度をみれば21年度は、民間需要(+2.3%ポイント)、純輸出(+0.7%ポイント)、公的需要(+0.3%ポイント)、すべての項目が景気を押し上げるが、民間需要は前年度の落ち込みに比すれば回復力に欠ける22年度も、民間需要(+1.8%ポイント)、公的需要(+0.3%ポイント)、純輸出(+0.2%ポイント)と、いずれも景気を押し上げるが、民間需要、純輸出の寄与度が前年から低下する
5.  四半期パターンをみれば、21年7-9月期はCOVID-19感染再拡大(第5波)と4度目の緊急事態宣言の影響で民間消費の急回復は後ずれる。感染力が強いコロナ変異株のまん延と感染者数の急増から、センチメントの急回復は期待できない。22年以降、潜在成長率を上回るペースが持続するため、コロナ禍前の水準を超えるのは21年10-12月期、コロナ禍前のピークを超えるのは22年10-12月期となる。
6.  消費者物価指数の基準年が2020年に移行した。先行きについて、宿泊料と通信料は基調に対するかく乱要因となろう。年後半以降前年同月比プラスに転じるが、サービス価格が下押し圧力となるため、消費者物価指数の基調は低調である。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、21年度-0.1%、22年度+0.7%と予測する

 

※説明動画の一般公開は終了しました。会員企業の方は会員専用ページから閲覧可能です。

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