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【ポイント】
- JNTO訪日外客統計によれば、9月の訪日外客総数(推計値ベース)は17,700人となった(前月:25,900人)。年前半の月平均(16,049人)を上回ったものの、東京オリンピック・パラリンピックが閉幕したこともあり、9月は2カ月連続で減少した。
- JNTO訪日外客統計を目的別にみれば、7月の総数(暫定値ベース)は51,055人となった。うち、観光客は42,621人、商用客は941人、その他客は7,493人であった。東京オリンピック開催で参加選手や関係者が入国したこともあり観光客が前月(1,657人)から大幅増加した。
【トピックス1】
- 関西9月の輸出は7カ月連続の前年比増加だが、前月から減速した。輸入は8カ月連続の同増加。結果、貿易収支は20カ月連続の黒字だが、輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったため黒字幅は前年比縮小した。7カ月ぶりのマイナス。
- 9月の関西国際空港への訪日外客数は3,079人と、前月(2,476人)から幾分増加した。政府が1日当たりの日本への入国者数の上限を2,000人から3,500人に緩和した影響が表れたようである。
- 8月のサービス業は緊急事態宣言の対象地域拡大により前月から悪化した。8月の第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比マイナス。COVID-19感染再拡大(第5波)により緊急事態宣言の対象地域が拡大されたことが悪影響した。
- 第3次産業活動指数のうち、対面型サービス業指数、観光関連指数はいずれも3カ月ぶりの前月比マイナス。飲食店、飲食サービス業、旅行業や宿泊業の悪化が大きく影響した。
【トピックス2】
- 7月の関西2府8県の延べ宿泊者数は5,356.3千人泊、コロナ禍の影響がない前々年同月比は-49.5%と前月の減少幅(同-65.7%)から大きく縮小した。京都府、大阪府、兵庫県に発令された3度目の緊急事態宣言が6月20日に解除され、行動規制の緩和や東京五輪開催に伴う外国選手団事前合宿の実施が要因となり、国内外の宿泊者数が回復した。
- うち日本人延べ宿泊者数は5,314.6千人泊で、前々年同月比-28.3%と前月の減少幅(同-51.5%)から大きく縮小した。府県別では特に、京都府や奈良県の減少幅が前月から大きく縮小。外国人延べ宿泊者数は41.7千人泊と、同-98.7%減少した。
- 関西の延べ宿泊者数を宿泊者の居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は1,414.1千人泊(前々年同月比+4.2%)、県外は3,746.5千人泊(同-56.5%)であった。なお、県内の伸びは前月(同-32.1%)からプラスに転じ、県外の減少幅は前月(同-71.1%)から縮小したことに注意。
DETAIL
ポイント
10月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表2)、9月の訪日外客総数(推計値ベース)は17,700人となった(前月:25,900人)。年前半の月平均(16,049人)を上回ったものの、東京オリンピック・パラリンピックが閉幕したこともあり、9月は2カ月連続で減少した。なお、前々年同月比では-99.2%と大幅減少した。
▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると、中国が4,000人で最も多かった。次いで韓国が2,200人、米国が1,700人、ベトナムが1,000人、インドネシア、インド、フランスがいずれも500人であった。
▶JNTO訪日外客統計を目的別にみれば(図2及び表3)、7月の総数(暫定値ベース)は51,055人となった(前々年同月比98.3%)。うち、観光客は42,621人(同-98.4%)、商用客は941人(同-99.4%)、その他客は7,493人(同-94.0%)であった。東京オリンピック開催で参加選手や関係者が入国したこともあり観光客が前月(1,657人)から大幅増加した。
▶目的別国・地域別のトップ5をみれば、7月の観光客は米国が4,614人、英国が3,169人、中国が2,225人、フランスが2,207人、ドイツが2,008人。商用客は中国が243人、米国が99人、韓国が92人、英国が50人、フランス、ドイツがいずれも36人。その他客は中国が1,463人、米国が1,426人、韓国が693人、フィリピンが344人、ベトナムが325人であった。
▶ワクチン接種の進展により、世界各国で入国緩和が進みつつある。米国では11月8日から観光客向けにワクチン接種証明書の提示などで入国後の隔離措置の撤廃を発表した。また、シンガポール、タイやベトナムなど東南アジアにおいても欧米からの入国者を中心に入国制限を緩和する方針を打ち出している。緩和を表明している各国のワクチン接種状況(2回接種)をみれば、シンガポール、米国などは比較的高い接種率となっている一方で、タイやベトナムでは低い接種率にとどまっている(図3)。緩和によって観光客の回復が期待されるが、同時に感染再拡大の懸念もあるため、今後の動向は引き続き注視が必要である。
▶日本のワクチン接種率をみれば、10月19日時点で68.3%と欧米に比して進展しているが、大幅な入国緩和は行われていない。1日当たりの入国者数の上限緩和や隔離措置期間の短縮にとどまっており、技能実習生などの入国も滞っている。段階的な入国緩和の議論は行われているものの、変異株流入のリスクも指摘されており、全面緩和はしばらく期待しづらい状況が続こう。
トピックス1
9月関西の財貨・サービス貿易及び8月のサービス産業動向
▶関西 9 月の輸出は前年同月比+21.2%と 7 カ月連続で増加したが、前月(同+26.2%)から減速した(図4)。品目別にみれば、半導体等電子部品の輸出額が月別で過去最高額となった。また、対EU向けでは前月に引き続き建設用・鉱山用機械が好調であった。輸入は同+30.7%と8カ月連続で増加した(前月:同+30.6%)。結果、関西の貿易収支は+2,258億円と20カ月連続の黒字だが、輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったため黒字幅は前年同月比-16.3%縮小した。7カ月ぶりのマイナス。
▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 9 月の対中輸出は前年同月比+11.9%と16カ月連続の増加だが、前月(同+14.7%)から減速した。うち、半導体等電子部品や金属製品が輸出増に寄与した。また、対中輸入は同+31.4%と 4 カ月連続で増加した(前月:同+32.4%)。うち、通信機や衣類及び同附属品が輸入増に寄与した。
▶9月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は3,079人と、前月(2,476人)から幾分増加した(前々年同月比-99.5%)(図6)。政府が 1 日当たりの日本への入国者数の上限を 2,000 人から3,500 人に緩和した影響が表れたようである。7-9 月期では、8,331 人となり、前期(6,073人)から増加したが、コロナ禍の影響のない前々年同期の水準(203万1,655人)と比較すれば、低水準の状況が続いている。また、同月の日本人出国者数は4,090人で前月(5,788 人)から減少し、伸びは前々年同月比-98.8%と底這いの状況が続く。7-9月期では12,866人となり、前期(8,385人)から増加したが、依然底這いの状況が続く。
▶8 月のサービス業は緊急事態宣言の対象地域拡大により前月から悪化した。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば(図7)、8月は95.0で前月比-1.7%低下した。2 カ月連続のマイナス(前月:同-0.6%)。COVID-19 感染再拡大(第5波)により緊急事態宣言の対象地域が拡大されたことが悪影響した。対面型サービス業指数*は74.6で同-6.6%低下し、3 カ月ぶりのマイナス(前月:同+0.4%)。飲食店、飲食サービス業の悪化が大きく影響した。
▶観光関連指数**(2015年平均=100)は、63.2となった(図7)。東京オリンピック開催の影響もあり、前月改善した旅行業や宿泊業などが大幅悪化したことで前月比-10.6%低下し、3カ月ぶりのマイナスに転じた(前月:同+5.4%)。
*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。
**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。
トピックス2
7月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶7月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は5,356.3千人泊であった。コロナ禍の影響がない前々年同月比は-49.5%と前月の減少幅(同-65.7%)から大きく縮小した(表1)。京都府、大阪府、兵庫県に発令された3度目の緊急事態宣言が6月20日に解除され、行動規制の緩和や東京五輪開催に伴う外国選手団事前合宿の実施が要因となり、国内外の宿泊者数が回復する結果となった。
▶うち日本人延べ宿泊者数は、5,314.6千人泊であった。前々年同月比-28.3%と前月の減少幅(同-51.5%)から大きく縮小した(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が1,585.0千人泊、京都府が1,025.7千人泊、兵庫県が837.6千人泊、三重県が482.0千人泊、和歌山県が372.8千人泊、滋賀県が270.3千人泊、福井県が231.5千人泊、鳥取県が209.7千人泊、徳島県が155.8千人泊、奈良県が144.3千人泊であった。特に、京都府や奈良県の減少幅が前月から大きく縮小した。
▶うち外国人延べ宿泊者数は、41.7千人泊と、前々年同月比-98.7%減少した(前月:同-98.9%)(表1及び図9)。府県別に外国人延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が21.1千人泊、京都府が8.1千人泊、兵庫県が5.4千人泊、滋賀県が1.8千人泊、三重県、徳島県がそれぞれ1.3千人泊、鳥取県が1.2千人泊、福井県が0.9千人泊、奈良県、和歌山県がそれぞれ0.3千人泊であった。
▶7月の関西2府8県の延べ宿泊者数を居住地別でみると(図10)、県内の延べ宿泊者数は1,414.1千人泊(前々年同月比+4.2%)、県外は3,746.5千人泊(同-56.5%)であった。延べ宿泊者数に占めるシェアは、県内が26.4%、県外が69.9%となっている。なお、県内の伸びは前月(同-32.1%)からプラスに転じ、県外の減少幅は前月(同-71.1%)から縮小したことに注意。
▶8月は、感染状況の悪化により、関西府県において2日から大阪府が、20日から京都府、兵庫県が、27日から三重県、滋賀県が4度目の緊急事態宣言の対象となった(期間は9月30日まで)。旅行手控えにより、ここ2カ月の宿泊者数の回復は見込めない。