Kansai Economic Insight Monthly Vol.105
-景気は足下、先行きともに足踏み: 半導体不足は緩和だが、オミクロン株拡大リスクが懸念-

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・関西の景気は足下、先行きともに足踏みを見込む。半導体不足が幾分緩和されたが、オミクロン株拡大リスクの懸念で先行きのセンチメントは悪化した。
・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日移動平均)は、12月下旬に増加に転じた後、急激に増加し、足下では第5波のピークを2.5倍上回り過去最高を更新した。確保病床使用率も上昇し、医療提供体制の逼迫が懸念される。
・11月は半導体不足等の影響が幾分緩和されこともあり、輸送機械が増産した結果、鉱工業生産は5カ月ぶりに前月比上昇した。
・11月の完全失業率は2カ月連続の悪化。感染状況が落ち着いた9-11月の変化を均すと労働力人口と就業者数が減少しており、労働市場改善の足取りは鈍い。11月の有効求人倍率は3カ月連続の前月差横ばい。
・10月の関西2府4県の現金給与総額は名目で8カ月連続の前年比改善だが、伸びは小幅にとどまった。消費者物価が上昇に転じたため、実質賃金は2カ月ぶりの同減少。所得環境は悪化している。
・11月の大型小売店販売額は2カ月連続の前年比増加。新規陽性者数が低水準で推移したことで人流の増加傾向が続き、百貨店を中心に回復が見られた。ただし、前々年同月比では依然低水準となっている。
・11月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前月比減少。持家と貸家の減少が寄与した。回復は鈍化したが、低迷していたアパートローンにも底打ちが見られることから、今後も持ち直しの基調が続こう。
・11月の公共工事出来高は26カ月連続の前年比増加と、全国に比して好調。一方、12月の公共工事請負金額は関西、全国共に大幅減少が続いている。
・12月の景気ウォッチャー現状判断DIは、クリスマスや年末商戦などの好調もあり、4カ月連続の前月比改善だが、オミクロン株の感染拡大懸念もあり小幅にとどまった。一方、先行きは感染拡大や原材料価格上昇の懸念の高まりから2カ月連続で悪化した。
・12月の輸出は10カ月連続、輸入は11カ月連続の前年比増加。貿易収支は23カ月連続の黒字。輸出は半導体等電子部品が、輸入はエネルギー関連が引き続き増加に寄与。通年では輸出は半導体等電子部品、建設用・鉱山用機械の好調で過去最高額を更新した。輸入は医薬品に加え、エネルギー関連の増加により、2014年に次ぐ大きさとなった。
・12月の関空への外国人入国者数は、外国人新規入国停止の影響もあり2,737人と前月(3,678人)から減少。通年では4万1,119人と、1994年の開港以来、過去最低となった。
・中国10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.0%と7四半期連続のプラスだが、前期から-0.9%ポイント減速した。20年は、COVID-19の影響もあり前年比+2.2%の低成長だったが、21年は同+8.1%と回復し11年以来の高成長となった。また、「政府工作報告」の目標値(6.0%)を上回った。

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