都道府県別訪日外客数と訪問率:9月レポート No.40

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ABSTRACT

【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、9月の訪日外客総数(推計値)は20万6,500人とコロナ禍の影響が表れ始めた2020年3月の水準(19万3,658人)を上回った。
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば7月は14万4,578人となった(2019年同月比-95.2%)。うち、観光客は3万315人、商用客は4万616人、その他客は7万3,647人。
  • 10月以降、水際対策の大幅緩和により訪日外客数の一層の回復が見込まれるが、回復のペースは国・地域によって異なる。特に2019年時に訪日外客の30%を占めていた中国ではゼロコロナ政策の影響で、回復が遅れる可能性が高い。

 

【トピックス1】

  • 関西9月の輸出は19カ月連続で前年比増加し、伸びは前月から加速。また、輸入は20カ月連続の同増加となり、2桁の高い伸びが続く。輸出の伸びが加速し、輸入の伸びが前月から減速した結果、関西の貿易収支は3カ月ぶりに黒字となった。
  • 9月の関西国際空港への訪日外客数は4万1,456人と前月から増加し、コロナ禍の影響が出始めた2020年3月の水準を上回った。
  • 8月のサービス業の活動は行動制限のない夏季休暇もあり改善した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数、観光関連指数は、いずれも3カ月ぶりに前月比上昇。夏季休暇による旅行需要増加もあり、宿泊業などが上昇した。

 

【トピックス2】

  • 7月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,379.2千人泊。2019年同月比-30.4%と減少幅は3カ月連続で縮小した。
  • うち日本人延べ宿泊者数は7,274.1千人泊で、2019年同月比-1.9%と減少幅は5カ月連続で縮小し、コロナ禍前の水準を回復しつつある。一方、外国人延べ宿泊者数は105.1千人泊で、同-96.7%と依然大幅減少が続く。

 

DETAIL

ポイント

10月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表2)、9月の訪日外客総数(推計値)は20万6,500人とコロナ禍の影響が表れ始めた2020年3月の水準(19万3,658人)を上回った。1日あたりの入国者数の上限が5万人に引き上げられた影響もあり、19年同月比では-90.9%と前月(同-93.3%)から減少幅は縮小した。また、同月の日本人出国者数は31万9,200人と前月(38万6,412人)から減少するも、2カ月連続で30万人を超える水準となった(2019年同月比-81.8%)。

 

 

 

 

▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると、韓国は3万2,700人と2019年1月以来のトップとなった。次いでベトナムが3万900人、米国1万8,000人、中国が1万7,600人、インドネシアが9,200人と続く。

 

▶7-9月期の訪日外客数は52万878人と、4-6月期(40万7,024人)から11万人程度増加した(2019年同期比-93.3%)。また、同期の日本人出国者数は98万3,256人と、4-6月期(43万4,711人)から55万人程度増加(同-82.2%)。日本を上回るスピードで海外における水際対策緩和が進捗しており、アウトバウンド需要がインバウンド需要を上回っている。

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、7月は14万4,578人となった(2019年同月比-95.2%)(図2及び表3)。うち、観光客は3万315人(同-98.9%)、商用客は4万616人(同73.5%)、その他客は7万3,647人(同-40.8%)であった。観光客、商用客は前月(観光客:1万2,405人、商用客:3万908人)から増加した一方で、その他客は幾分減少した(前月:7万7,117人)。

 

 

 

 

▶10月以降、水際対策の大幅緩和により訪日外客数の一層の回復が見込まれるが、回復のペースは国・地域によって異なる。コロナ禍前(2019年)における訪日外客数のトップ5の国・地域別(中国、韓国、台湾、香港、米国)19年同月比をみれば、韓国(同-83.8%)や米国(同-85.8%)の減少幅はいずれも7カ月連続で縮小している。一方、台湾(同-98.2%)は4カ月連続で、香港(同-98.2%)は3カ月連続、中国(同-97.9%)は2カ月ぶりにそれぞれ減少幅は縮小したが、依然90%超の減少にとどまっている。今後、韓国や米国などでは、着実な回復が期待されよう。一方、19年時に訪日外客の30%を占めていた中国ではゼロコロナ政策の影響で、回復が遅れる可能性が高い。

 

 

トピックス1

9月関西の財貨・サービス貿易及び8月のサービス産業動向

▶関西9月の輸出は前年同月比+19.5%と19カ月連続で増加し、前月(同+15.7%)から加速した(図4)。また、輸入は同+33.3%と 20 カ月連続で増加し、2 桁の高い伸びが続く(前月:同+39.8%)。輸入の伸びが前月から減速し、輸出が加速した結果、関西の貿易収支は+744億円と3カ月ぶりの黒字(前月:-688億円)。結果、7-9 月期は輸入の高い伸びが輸出の伸びを上回ったことで、貿易収支は-308億円と2014年7-9月期以来(-868億円)の赤字に転じた。

 

 

▶対中貿易動向をみると(図5)、関西9月の対中輸出は前年同月比+12.9%と 5 カ月連続で増加した(前月:同+6.8%)。輸出増に寄与したのは半導体等電子部品や映像機器等であった。また、対中輸入は同+17.4%と5カ月連続の増加(前月:同+30.7%)。うち、輸入増に寄与したのは無機化合物や衣類及び同附属品等であった。7-9月期の対中輸出は前年同期比+12.5%と10四半期連続、対中輸入は同+27.0%と5四半期連続、それぞれ増加した(4-6 月期:輸出:同+6.4%、輸入:同+21.0%)。

 

 

▶9 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は4万1,456人と前月(3万4,311人)から増加し(2019年同月比-93.1%)、コロナ禍の影響が出始めた 2020 年 3 月(3 万 5,696 人)を上回った。また、日本人出国者数は3万7,649人と前月(4万2,797人)から減少。2019年同月比では-88.8%となり、減少幅は6カ月連続で縮小した。7-9月期の訪日外客数は10万956人と46 月期(7万2,240人)から増加し、10万人を超える水準まで回復した(2019 年同期比-95.0%)。また、同期の日本人出国者数は10万6,454人と4-6月期(3万6,305人)から増加した(同90.5%)。

 

 

▶8 月のサービス業の活動は行動制限のない夏季休暇もあり改善した。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば(図7)、8月は100.0で前月比+0.7%上昇し、3カ月ぶりのプラス(前月:同-0.5%)。対面型サービス業指数*は90.8と同+1.9%上昇し、3カ月ぶりのプラス(前月:同-2.0%)。うち、飲食店、飲食サービス業(同+3.4%、3カ月ぶり)が上昇に寄与した(前月:同-4.2%)。

 

 

▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、82.8 と前月比+2.8%上昇し、3カ月ぶりのプラス(前月:同-3.7%)(図 7)。夏季休暇による旅行需要増加もあり、宿泊業(同+11.0%、2カ月ぶり)が上昇に寄与した(前月:同-13.6%)。

 

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第3次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

7月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県

▶観光庁によれば、7月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は7,379.2千人泊となった(表1)。2019年同月比では-30.4%となり、減少幅は3カ月連続で縮小した(前月:同-33.1%)。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は7,274.1千人泊であった。2019年同月比では-1.9%と減少幅は5カ月連続で縮小し、コロナ禍前の水準を回復しつつある(前月:同-5.6%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が2,407.7千人泊、京都府が1,761.4千人泊、兵庫県が1,037.1千人泊、三重県が550.2千人泊、和歌山県が386.0千人泊、滋賀県が300.9千人泊、福井県が280.6千人泊、徳島県が215.2千人泊、奈良県が187.4千人泊、鳥取県が147.7千人泊であった。2019年同月比でみれば、京都府が+26.0%(2カ月連続)、奈良県が+7.7%(6カ月ぶり)、徳島県が+7.5%(7カ月ぶり)といずれもプラスとなった。

 

 

▶外国人延べ宿泊者数は105.1千人泊であった。2019年同月比96.7%と減少幅は前月(同-97.3%)から小幅縮小した(表1及び図9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が50.2千人泊、京都府が34.1千人泊、兵庫県が6.1千人泊、滋賀県が3.9千人泊、和歌山県が2.9千人泊、三重県が2.4千人泊、鳥取県が2.0千人泊、福井県が1.3千人泊、奈良県が1.1千人泊、徳島県が1.1千人泊であった。

 

 

▶関西2府8県延べ宿泊者を居住地別でみると(図10)、県内の延べ宿泊者数は1,675.7千人泊となった(2019年同月比+23.5%)。伸びは前月(同+14.1%)から拡大し10カ月連続のプラス。県外は5,476.9千人泊(同-36.3%)であった。伸びは前月(同-39.7%)から縮小した。

 

 

▶8月の全国延べ宿泊者数(全体、1次速報ベース)は46,719千人泊、2019年同月比-26.1%と減少幅は前月(同-23.1%)から拡大した。

 

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