Kansai Economic Insight Monthly Vol.118
-景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意-

洞察・意見 » 経済予測 » 月次レポート(関西)

ABSTRACT

・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、生産は3カ月ぶりの増産だが、回復のペースは遅い。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費は百貨店を中心に持ち直しが続く。先行きは消費者物価の上昇と海外経済減速による景気下押しリスクに注意が必要である。
・COVID-19の新規陽性者数は減少が続く。3月13日よりマスクの着用は個人の判断に委ねられ、5月8日から感染症法上の分類が5類へ変更となる。
・12月の生産は3カ月ぶりの前月比上昇だが、小幅増産にとどまった。2022年平均では2年ぶりのマイナスとなり、依然としてコロナ禍前の水準を回復できていない。
・22年通年では、失業率は3年ぶりに低下したと同時に、労働力人口と就業者数はともに増加し、雇用の回復は順調に進んだ。しかし、足下12月に失業者数の減少が見られたが、10‐12月期を均してみると、失業率の上昇及び労働力人口と就業者数の減少が同時に見られ、雇用の回復に一服感が出ている。
・11月の現金給与総額は21カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では9カ月連続の減少となった。ただし、一部の企業で賃上げの動きが見られ、賃上げの機運が高まりつつある。今後の実質賃金の動向に注視を要する。
・12月の大型小売店販売額は15カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド需要の回復により10カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり3カ月連続の増加となった。
・12月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加した。うち、貸家と分譲が全体の増加に寄与した。
・12月の建設工事出来高は12カ月連続の前年比増加で全国に比して高い伸びが続いている。関西、全国ともに民間工事は前月から減速、公共工事は加速した。また、1月の公共工事請負金額は3カ月ぶりに増加に転じた。
・1月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で前月比改善した。また先行き判断DIも2カ月連続で改善。インバウンド需要増加の影響もあり、百貨店やホテルなどが好調であった。
・1月の貿易収支は5カ月ぶりの赤字。中国の春節時期のずれの影響もあり、輸出は23カ月ぶりに減少し、一方、輸入は24カ月連続で増加したためである。
・1月の関空への外国人入国者数は37.9万人。2カ月連続で30万人を超えたが、訪日中国人客の回復が遅れており回復のペースは緩やかである。
・1月の中国経済は、経済活動の再開と春節連休による旅行機運の高まりが景況感の回復に繋がり、消費者物価指数からも対面型サービスを中心に個人消費は持ち直しつつあることが窺える。ただし、新規貯蓄が高水準で、消費に慎重な姿勢が続いているため、1-3月期の景気は大きな改善が見込まれない。

pagetop
loading