都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.44

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ABSTRACT

【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は149万7,300人と、150万人に迫る水準となり、コロナ禍前の5割強を回復した。なお、訪日中国人客を除いた総数では146万6,100人(同-24.2%)となり、コロナ禍前の7割強である。
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は93万4,599人。うち、観光客は77万3,983人と、前月(32万6,699人)から大幅増加し、20年2月(89万8,976人)以来の水準となった。
  • 先行きの訪日外客数については、水際対策の更なる緩和により一層の回復が見込まれよう。これまで続いていた中国からの入国者に対する水際対策の強化が、3月1日から緩和された。このため、これまで回復が遅れていた訪日中国人客数の増加が見込まれ、訪日外客数の回復ペースは加速すると考えられる。

 

【トピックス1】

  • 関西1月の輸出は中国の春節休暇の時期のズレもあり23カ月連続の前年比減少。一方、輸入は24カ月連続で同増加した。結果、輸関西の貿易収支は5カ月ぶりの赤字となった。
  • 1月の関西国際空港への37万9,298人と2カ月連続の30万人超の水準だが、訪日中国人客の回復が遅れていることもあり、回復のペースは緩やかである。
  • 12月のサービス業の活動は小幅悪化だが、持ち直し傾向を維持。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずもれ3カ月ぶりに前月比低下した。一方、観光関連指数は飲食店、飲食サービス業の上昇もあり、2カ月ぶりに同上昇した。

 

【トピックス2】

  • 11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,070.4千人泊、2019年同月比では-7.3%となった。全国旅行支援事業や水際対策緩和の継続により、日本人宿泊者及び外国人宿泊者数が回復しつつある。
  • うち、日本人延べ宿泊者数は8,915.0千人泊と2カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は1,155.4千人泊と前月(555.9千人泊)から倍増。京都府や大阪府は5割程度の回復となっているが、他府県では2~3割程度の回復にとどまっている。

 

【トピックス3】

  • 2022年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆2,651億円となった。10月11日から開始された全国旅行支援事業が国内旅行需要回復に大きく影響した。
  • 2022年通年では4兆2,581億円(19年比+3.1%)と、経済活動の正常化に加え、国内旅行需要喚起策の影響もあり、関西ではコロナ禍前を上回った。

 

DETAIL

ポイント

2月データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1 及び表 3)、1 月の訪日外客総数(推計値)は 149 万 7,300 人と、前月(137 万人)から増加し、150 万人に迫る水準となった。2019 年同月比では-44.3%(前月:同-45.8%)と、コロナ禍前の 5 割強の回復となっている。なお、訪日中国人客を除いた総数では 146 万 6,100 人(同+24.2%)となり、コロナ禍前の 7 割強である。出国日本人数は 44 万 3,100 人、2 カ月連続で 40 万人超の水準となった(同+69.5%)。日本における水際対策緩和と円安の影響もありインバウンド需要は急回復しているが、アウトバウンド需要の回復は緩やかである。

 

 

 

▶訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると(図 2 及び表 3)、韓国が 56 万 5,200 人(2019 年同月比-27.5%)と最多であった。2019 年 7 月(56 万 1,675 人)以来、単月で 50 万人超の水準となり、2019 年平均(46 万人)を上回った。次いで台湾が 25万 9,300 人(同-33.1%)、香港が 15 万 1,900 人(同-1.6%)、米国が 8 万 8,100 人(同-14.6%)、タイが 6 万 3,400 人(同+31.6%)と続く。なお、中国は 3 万 1,200 人(同-95.9%)と依然低水準にとどまっており、回復が遅れている。

 

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、11 月は 93 万 4,599 人となった(2019 年同月比-61.7%)(図 3 及び表 4)。うち、観光客は 77 万 3,983 人となった(同-63.9%)。前月(32 万 6,699人)から大幅増加し、20 年 2 月(89 万 8,976 人)以来の水準となった。商用客は 8 万 1,921 人(同-52.3%)、その他客は 7 万8,695 人(同-36.6%)であった。

 

 

 

 

▶観光客の TOP5 を国・地域別にみれば、11 月は韓国が 29 万3,344 人(2019 年同月比+78.3%)と最多で、19 年 7 月(51 万7,548 人)以来の水準となった。次いで台湾が 9 万 1,896 人(同-75.5%)、香港が 8 万 1,008 人(同-58.4%)、米国が 7 万 219人(同-43.3%)、タイが 4 万 8,390 人(同-63.9%)と続く。なお、中国は 8,796 人(同-98.7%)であった。

 

▶先行きの訪日外客数については、水際対策の更なる緩和により一層の回復が見込まれよう。これまで続いていた中国からの入国者に対する水際対策の強化が、3 月 1 日から緩和された。このため、これまで回復が遅れていた訪日中国人客数の増加が見込まれ、訪日外客数の回復ペースは加速すると考えられる。

 

トピックス1

1 月関西の財貨・サービス貿易及び 12 月のサービス産業動向

▶関西 1 月の輸出は前年同月比-0.2%と 23 カ月ぶりに減少した(図 4)。中国の春節休暇の時期のズレもあり、前月(同+9.5%)から伸びは減速。一方、輸入額は同+7.2%と 24 カ月連続で増加した(前月:同+16.6%)。結果、関西の貿易収支は-2,802 億円と 5 カ月ぶりの赤字となった(同+72.3%)

 

 

▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 1 月の対中輸出は前年同月比12.4%と前月(同+0.2%)から大幅減速し、9 カ月ぶりに減少した。輸出減に寄与したのは非鉄金属や半導体等製造装置等であった。一方、対中輸入は同+2.9%と 9 カ月連続の増加(前月:同+4.4%)。輸入増に寄与したのは無機化合物やがん具及び遊戯用具等であった。

 

 

▶1 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 37 万 9,298 人と、前月(33 万 1,249 人)に引き続き 30 万人超の水準となった。2019 年同月比では-45.4%と前月(同-48.6%)から縮小。訪日中国人客の回復が遅れていることもあり、回復のペースは緩やかである。また、日本人出国者数は 6 万 3,437 人で、前月(6 万 4,060人)から幾分減少した。2019 年同月比では-78.0%と、10 カ月連続で減少幅は縮小しているが(前月:同-81.4%)、インバウンド需要に比してアウトバウンド需要の回復のペースは緩慢である。

 

 

▶12 月のサービス業の活動は小幅悪化だが、持ち直し傾向を維持。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば(図 7)、12 月は 99.7 で前月比-0.4%低下し、3 カ月ぶりのマイナスとなった(前月:同+0.1%)。また、対面型サービス業指数*は 90.9 となり同-1.6%低下し、3 カ月ぶりのマイナス(前月:同+1.4%)。うち、運輸業(同-4.5%)やその他生活関連サービス業(同-3.6%)が低下した。結果、10-12 月期の第 3 次産業活動指数は 99.9、前期比+0.4%上昇し 2 四半期ぶりのプラス(7-9 月期:同-0.0%)。また、対面型サービス業は 90.7、同+1.5%上昇。3 四半期連続のプラスとなり、前期(同+0.5%)から伸びは加速した。

 

 

▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、85.5 と前月比+1.3%上昇し、2 カ月ぶりのプラス(前月:同-1.6%)(図 7)。感染が再拡大していたものの、行動制限が取られなかったこともあり、飲食店・飲食サービス業(同+5.4%)が 2 カ月ぶりに上昇した(前月:同8.6%)。10-12 月期は 85.2、前期比+4.8%上昇し、2 四半期ぶりのプラス(7-9 月期:同-1.2%)。全国旅行支援や水際対策の緩和もあり、宿泊業(同+14.8%)や旅行業(同+42.0%)が大幅上昇した。

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店,飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

11 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、11 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は 10,070.4 千人泊であった(表 1)。2019 年同月比-7.3%と前月(同-16.0%)から減少幅縮小。全国旅行支援事業や水際対策緩和の継続により、日本人宿泊者及び外国人宿泊者数が回復しつつある。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は 8,915.0 千人泊、2019 年同月比+11.2%と 2 カ月連続で増加した(前月:同+10.8%)(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,926.0 千人泊、京都府 2,426.7 千人泊、兵庫県 1,225.6 千人泊、三重県 712.4 千人泊、滋賀県 365.4 千人泊、和歌山県 355.4 千人泊、福井県 305.0 千人泊、奈良県 230.2 千人泊、鳥取県 204.7千人泊、徳島県 163.7 千人泊であった。2019 年同月比でみると、京都府が同+40.0%(6 カ月連続)、大阪府が同+13.1%(2 カ月連続)、兵庫県が同+11.0%(2 カ月連続)、奈良県が同+8.6%(2 カ月連続)、三重県が同+0.3%とそれぞれプラスとなった。

 

 

▶外国人延べ宿泊者数は 1,155.4 千人泊と前月(555.9 千人泊)から倍増した。2019 年同月比-59.3%と減少幅は前月(同+81.5%)から大幅縮小(表 1 及び図 9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 596.9 千人泊、京都府 476.0 千人泊、兵庫県 30.5 千人泊、和歌山県 18.4 千人泊、滋賀県 9.2 千人泊、奈良県 8.0 千人泊、三重県 7.5 千人泊、徳島県 4.4 千人泊、福井県 2.3 千人泊、鳥取県 2.3 千人泊であった。2019 年同月比でみると、京都府(同-56.4%)、大阪府(同-57.7%)を中心に回復している。京都府や大阪府は 5 割程度の回復となっているが、他府県では 2~3 割程度の回復にとどまっている。

 

 

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者を居住地別でみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,648.1 千人泊(2019 年同月比+28.9%)、県外は 8,179.1 千人泊(同-8.9%)であった。伸びをみれば、県内は 14 カ月連続のプラス。また、県外は前月(同-20.6%)から減少幅が縮小した。

 

 

トピックス3

2022 年 10-12 月期国内旅行消費の動向:関西 2 府 8 県*

▶観光庁によれば、2022 年 10-12 月期関西(2 府 8 県ベース)の国内旅行消費額(速報)は 1 兆 2,651 億円であった(表 2)。2019年同期比+25.5%とコロナ禍前を上回った(7-9 月期:同+7.2%)。10 月 11 日から開始された全国旅行支援事業が国内旅行需要回復に大きく影響した。2022 年通年では 4 兆 2,581 億円、19 年比+3.1%となった(全国:17 兆 1,695 億円、同+21.7%)。経済活動の正常化に加え、国内旅行需要喚起策の影響もあり、関西ではコロナ禍前を上回った。

 

 

▶うち、宿泊旅行消費額は、1 兆 630 億円で 2019 年同期比+41.5%となり、7-9 月期(同-3.8%)からプラスに転じた(図 13及び表 2)。府県別に消費額を降順にみれば、三重県 2,879 億円(同+320.9%)、大阪府 2,392 億円(同+3.0%)、京都府 1,871億円(同+34.9%)、兵庫県 1,135 億円(同-20.8%)、和歌山県592 億円(同+223.8%)、徳島県 451 億円(同+16.1%)、福井県 392 億円(同+13.7%)、滋賀県 384 億円(同+68.7%)、鳥取県 318 億円(同+32.7%)、奈良県 216 億円(同-28.5%)であった。兵庫県と奈良県を除く府県ではプラスとなり、うち、三重県と和歌山県は大幅増加した。

 

 

▶うち、日帰り旅行消費額は 2,021 億円で 2019 年同期比-21.3%と 7-9 月期(同-17.5%)からマイナス幅は拡大した(図 14 及び表 2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府 556 億円(同+20.0%)、京都府 380 億円(同-36.4%)、兵庫県 356 億円(+12.1%)、三重県 247 億円(同+36.6%)、奈良県 177 億円(同+79.3%)、和歌山県 96 億円(同+97.4%)、滋賀県 84 億円(同-63.8%)、福井県 63 億円(同-61.0%)、鳥取県 37 億円(同+48.3%)、徳島県 25 億円(同-67.0%)であった。和歌山県、奈良県や三重県では大幅プラスとなった。

*トピックス 3 は四半期ごとの掲載である。

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