Kansai Economic Insight Monthly Vol.122
-景気は足下改善、先行きは足踏みの兆し: 消費は緩やかな増加も生産と輸出に陰り-

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ABSTRACT

・関西の景気は足下改善、先行きは足踏みの兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりの減産となり、回復のペースは依然緩慢。雇用環境、消費は持ち直しているものの、景況感は食料品価格高騰の影響もあり悪化した。消費は緩やかに増加しているものの、欧米を中心とした海外経済減速リスクから生産と輸出の下振れが懸念されており、先行きは足踏みの兆しがみられる。
・4月の生産は3カ月ぶりに前月比低下。電気・情報通信機械や汎用・業務用機械等が減産に寄与した。生産の回復ペースは依然緩慢である。
・4月は失業率が前月から低下したと同時に、就業率の上昇が見られた。また、有効求人倍率は4カ月ぶりに上昇した。雇用情勢は前月より持ち直した。
・3月の現金給与総額は25カ月連続の前年比増加となったが、実質では13カ月連続で減少した。物価上昇が止まらず、実質賃金の低下が続いている。
・4月の大型小売店販売額は19カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加とマスク着用ルールの緩和もあり、衣料品などの需要が増加し、売上をけん引した。スーパーは7カ月連続の増加となった。
・4月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比減少。貸家と分譲が大幅に減少した。
・4月の建設工事出来高は16カ月連続の前年比増加となった。伸びは3カ月連続で2桁の伸びが続く。うち公共工事は4カ月連続で2桁の伸びとなった。また、5月の公共工事請負をみれば、大学法人や万博に関連する発注が影響し、2カ月ぶりの大幅増加となった。
・5月の景気ウォッチャー現状判断は6カ月ぶりの前月比悪化。物価高の影響により小売関連が悪化したようである。また、先行き判断も2カ月連続で悪化。食料品の値上げやコストの価格転嫁などが悪影響した。
・5月は輸出入ともに前年比減少となったため、貿易収支は4カ月連続の黒字。輸出は4カ月ぶりに前年比減少に転じたが、輸入の減少幅が大幅に拡大したため黒字を維持した。
・5月の関空への外国人入国者数は50万人超の水準となり、インバウンド需要は回復傾向を維持。ただし、依然として中国からの団体旅行が認められていないため、先行き回復のペースは緩やかなものとなろう。
・5月の中国経済は、前年のロックダウンに対する反動増が弱まったため、生産と消費の回復は前月より減速した。その上、雇用と所得の改善は緩慢であるため、耐久財や住宅など高額消費支出は低迷している。そのため、4-6月期の経済成長率は前期より小幅加速にとどまろう。

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