都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.57

洞察・意見 » インバウンドレポート

ABSTRUCT

【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値)は278万8,000人、2019年同月比+7.1%であった。春節休暇やうるう年で日数が増加した影響もあり、単月過去最高を更新した。
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば12月は273万4,115人。うち、観光客は255万1,290人、商用客は8万703人、その他客は10万2,122人であった。
  • 国土交通省が公表した2024年夏季運航スケジュール(3月31日~10月26日)によれば、国際線の旅客便は週4,875便で、19年同期比-7%とコロナ禍前をほぼ回復。面別にみれば、韓国、米国はコロナ禍前を上回った一方、中国は依然コロナ禍前の6割程度にとどまっている。今後、中国を除くアジア地域を中心に回復が見込まれるが、中国人客は緩やかな回復にとどまろう。

【トピックス1】

  • 関西2月の輸出は春節休暇の時期のズレも影響し、2カ月ぶりの前年比減少。一方、輸入は11カ月ぶりに増加した。結果、貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は縮小した。
  • 2月の関空経由の外国人入国者数は春節休暇の影響もあり、単月としては過去最高を記録。インバウンド需要は堅調に推移している。
  • 1月のサービス業の活動は2カ月連続の改善だが小幅にとどまり、足踏みの状態が続く。第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比上昇。また、対面型サービス業指数も2カ月連続で同上昇した。観光関連指数はコロナ5類移行後初めての年始休暇の影響もあり、劇場・興行団や旅客運送業が上昇に寄与し、2カ月連続の同上昇となった。

 

【トピックス2】

  • 12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,068.0千人泊で、2019年同月比+12.8%と4カ月連続の増加となった。
  • うち、日本人延べ宿泊者数は7,593.7千人泊、2019年同月比+3.1%と4カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は3,474.3千人泊となり、同+41.6%と5カ月連続で増加した。

 

【トピックス3】

  • 2023年10-12月期における関西各府県の訪問率をみれば、大阪府39.3%が最も高く、次いで京都府28.9%、奈良県6.8%、兵庫県5.5%、和歌山県1.2%、三重県0.8%、滋賀県0.6%、鳥取県0.3%、徳島県0.2%、福井県0.2%と続く。
  • 2023年10-12月期の関西2府4県の訪日外国人消費単価(旅行者1人1回当たりの旅行消費金額)は19年同期比+29.2%増加。費目別では、飲宿泊費や娯楽等サービス費が大幅増加した。
  • 関西2府4県の訪日外客数と消費単価を用いて、2023年10-12月期の関西における消費額を推計した。結果、訪日外客消費額は4,164億9,716万円となり、19年同期比では+25.7%とコロナ禍前を回復した。

 

DETAIL

ポイント

3 月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1)、2 月の訪日外客総数(推計値)は 278 万 8,000 人であった。春節休暇やうるう年で日数が増加した影響もあり、単月過去最高を更新2019 年同月比では+7.1%と 2 カ月ぶりに増加した。なお、中国人客を除いた総数は 232 万 8,600 人で、同+23.8%と 8 カ月連続のプラス(前月:同+17.4%)。また、同月の出国日本人数は 97 万 8,900人となった(前月:83 万 8,581 人)。19 年同月比-36.2%と前月(同-42.3%)から減少幅は縮小した。

 

 

 

訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると(図 2)、韓国が 81 万 8,500 人(2019 年同月比+14.3%)と最多であり、次いで台湾が 50 万 2,200 人(同+25.6%)、中国が 45 万 9,400 人(同 36.5%)、香港が 20 万 5,900 人(同+14.8%)、米国が 14 万 8,700 人(同+60.5%)と続く。

 

 

目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、12 月は 273 万 4,115 人となった(2019 年同月比+8.2%)(図 3)。うち、観光客は 255 万 1,290 人(同+11.3%)、商用客は 8 万 703 人(同 35.1%)、その他客は 10 万 2,122 人(同-7.2%)であった。

 

 

2023年通年の目的別訪日外客総数(暫定値)は、2,506万6,350 人、19 年比-21.4%となった。うち、観光客は 2,237 万 9,962 人と前年(248 万 7,835 人)から大幅増加(同-20.8%)。また、商用客は 106 万 7,684 人(同-39.2%)、その他客は 161 万 8,074 人(同-13.3%)であった。

▶なお、12 月の観光客の TOP5 を国・地域別にみれば、韓国が 75 万 7,696 人(2019 年同月比+260.4%)と最多であった。次いで
台湾が 38 万 8,567 人(同+16.9%)、中国が 26 万 9,957 人(同 58.2%)、香港が24 万 8,105 人(同+0.9%)、米国が17 万 2,056 人(同+37.7%)と続く。

▶国土交通省が公表した 2024 年夏季運航スケジュール(3 月 31 日~10 月 26 日)によれば、国際線の旅客便は週 4,875 便で、19 年同期比-7%とコロナ禍前をほぼ回復した。方面別にみれば、韓国は週 1,211 便(同+56%)、米国は週 329 便(同+11%)とコロナ禍前を上回った。また、台湾は週 594 便(同-7%)、香港は週 414 便(同-1%)とほぼコロナ禍前を回復。一方、中国は週 1,054 便と依然コロナ禍前の 6 割程度(同-38%)の回復にとどまっている。今後、中国を除くアジア地域を中心に回復が見込まれる一方、中国人客の回復は緩やかなものにとどまろう。

トピックス1

2 月関西の財貨・サービス貿易及び 1 月のサービス産業動向

関西 2 月の輸出額は前年同月比-1.0%と 2 カ月ぶりに減少(前月:同+6.2%)。一方、輸入額は同+2.9%と 11 カ月ぶりの増加となった(前月:同-9.5%)。結果、貿易収支は+1,957 億円と 2 カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は前年同月比-22.8%縮小した(前月:同 85.9%)(図 4)。

 

 

▶うち、対中貿易動向をみると(図 5)、関西 2 月の対中輸出は前年同月比-7.0%と 3 カ月ぶりに減少した(前月:同+21.8%)。春節休暇の時期のズレ(23 年 1 月→24 年 2 月)が影響したためである。輸出減に寄与したのは半導体等電子部品や医薬品等であった。一方、対中輸入は同+13.0%と 10 カ月ぶりの増加(前月:同-10.4%)。輸入増に寄与したのは衣類及び同附属品及び金属製品等であった。結果、対中貿易収支は-449 億円と 2 カ月連続の赤字となった(前年同月差-721 億円)。

 

 

2 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 71 万 5,170 人と、全国と同様に単月としては過去最高を記録した(前月:70 万 402 人)。2019 年同月比では+6.0%と 3 カ月連続のプラス。また、日本人出国者数は 18 万 3,012 人であった(前月:15 万 652 人)。19 年同月比では-40.1%と、前月(同-47.7%)からマイナス幅は縮小したが、インバウンド需要に比してアウトバウンド需要は低調である(図 6)。

 

 

1 月のサービス業の活動は 2 カ月連続の改善だが小幅にとどまり、足踏みの状態が続く。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば(図 7)、1 月は100.9 で前月比+0.3%小幅上昇し、2 カ月連続のプラスとなった(前月:同+0.5%)。1 月を 10-12 月平均と比較すると、+0.5%上昇した(10-12 月期:前期比-1.3%)。また、対面型サービス業指数は 97.3 で同+2.2%上昇し、2 カ月連続のプラス(前月:同+1.6%)。うち、飲食店、飲食サービス業(同+9.9%、2 カ月連続)や運輸業(同+0.4%、2 カ月ぶり)が上昇に寄与。1 月の対面型サービス業指数は 10-12 月平均比+2.7%上昇した(10-12 月期:同 2.4%)。

観光関連指数(2015 年平均=100)は、95.8 と前月比+6.0%上昇し、2 カ月連続のプラス(前月:同+2.3%)(図 7)。うち、コロナ 5 類移行後初めての年始休暇の影響もあり、劇場・興行団(同+49.7%、6 カ月連続)や旅客運送業(同+3.1%、3 カ月連続)が上昇に寄与した。1 月の観光関連指数を 10-12 月平均と比較すると+6.8%上昇した(10-12 月期:前期比-2.5%)。

 

 

トピックス2

12 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、12 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は11,068.0 千人泊であった(表 1)。2019 年同月比+12.8%と 4 カ月連続で増加した(前月:同+10.0%)。

日本人延べ宿泊者数は 7,593.7 千人泊となった。2019 年同月比+3.1%と 4 カ月連続で増加した(前月:同+1.3%)(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,637.7 千人泊、京都府 1,842.2 千人泊、兵庫県 1,174.0 千人泊、三重県 607.1 千人泊、滋賀県 334.0 千人泊、和歌山県 292.2 千人泊、福井県 237.6 千人泊、奈良県 172.1 千人泊、徳島県 163.0 千人泊、鳥取県 151.9 千人泊であった。2019 年同月比では、京都府が 7 カ月連続のプラス、大阪府、兵庫県、奈良県はそれぞれ 4 カ月連続のプラス。滋賀県もコロナ禍以降、初めてプラスに転じた。

 

外国人延べ宿泊者数は 3,474.3 千人泊となった。2019 年同月比+41.6%と 5 か月連続のプラスとなり、増加幅は前月(同+34.6%)から拡大(表 1 及び図 9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,154.7 千人泊、京都府 1,080.9 千人泊、兵庫県 104.1 千人泊、和歌山県 38.3 千人泊、奈良県 28.4 千人泊、滋賀県 23.4 千人泊、三重県 21.6 千人泊、徳島県 8.5 千人泊、鳥取県 7.9 千人泊、福井県 6.7 千人泊であった。2019 年同月比では、大阪府と京都府はいずれも 6 カ月連続のプラス。また、兵庫県、和歌山県はそれぞれ 2 カ月連続でプラスとなった。

 

 

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者数を居住地別にみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,426.0 千人泊、県外は 9,241.2 千人泊であった。2019 年同月比をみれば、県内は同+12.6%と 27 カ月連続のプラス。県外(含む外国人)は同+15.8%と 4 カ月連続でプラスとなり、増加幅は前月(同+12.6%)から拡大した。

 

 

2023 年関西の延べ宿泊者数は 1 億 2,386 万人泊、19 年比-1.3%となった(22年:8,724万人泊、同-29.6%)。うち、日本人延べ宿泊者数は 8,906 万人泊(同-1.2%)、外国人延べ宿泊者数は 3,314 万人泊(同-1.8%)であった。COVID-19 が 5 類に移行し、社会経済活動が正常化したことで、国内旅行及びインバウンド需要が回復した。

トピックス3

2023 年 10-12 月期訪日外国人訪問率と消費単価:関西

2023 年 10-12 月期における関西各府県の訪問率をみると(図11)、大阪府39.3%が最も高く、次いで京都府28.9%、奈良県 6.8%、兵庫県 5.5%、和歌山県 1.2%、三重県0.8%、滋賀県 0.6%、鳥取県 0.3%、徳島県 0.2%、福井県0.2%と続く。2019 年同期と比較すると、大阪府(+0.3%ポイント)や京都府(+0.2%ポイント)はいずれも上昇。一方、奈良県(-5.3%ポイント)、兵庫県(-0.6%ポイント)、和歌山県(-0.2%ポイント)、滋賀県(-0.2%ポイント)はそれぞれ低下した。

 

 

▶当該期間の各府県の訪問率に訪日外客数を乗じて推計した関西における訪日外客数を要約しておこう。推計された2023 年 10-12 月期の訪問者数を降順にみれば(表 2)、大阪府が 302 万 2,248 人(2019 年同期比+3.9%)と最も多く、次いで京都府が 222 万 5,188 人(同+3.8%)、奈良県が 52 万 1,369 人(同-42.2%)、兵庫県が 42 万 1,601 人(同 8.0%)、和歌山県が 9 万 3,346 人(同-9.0%)、三重県が 5 万 8,487 人(同-0.5%)、 滋 賀 県 が 4 万 5,242 人(同 22.2%)、鳥取県が 2 万 544 人(同-33.2%)、徳島県が 1 万 8,875 人(同-38.8%)、福井県が 1 万 6,375 人(同+1.1%)と続く。19 年同期比では大阪府、京都府と福井県がプラスとなった。奈良県については訪問率が大幅低下した影響もあり、同-42.2%減少した。

 

 

▶表 3 は 2023 年 10-12 月期の関西における訪日外国人消費単価(旅行者 1 人 1 回当たりの旅行消費金額)を示している。関西 2 府 4 県では 19 年同期比+29.2%増加した。費目別にみれば、 宿泊費(同+81.9%)や 娯 楽 等 サ ー ビ ス 費(同+75.7%)が大幅増加した。

▶なお、関西 2 府 4 県の訪日外客数(表 2)と消費単価(表 3)を用いて、2023 年 10-12 月期の関西における消費額を推計した。結果、訪日外客消費額は 4,164 億 9,716 万円となった。19 年同期比では+25.7%と、コロナ禍前を回復した。同期の全国の消費額は 1 兆 6,688 億円、同+37.6%となっており、関西は全国の伸びを幾分下回った。

 

pagetop
loading