ABSTRACT
【ポイント】
- JNTO訪日外客統計によれば、3月の訪日外客総数(推計値)は308万1,600人。イースター休暇や桜の開花シーズンの影響もあり、単月として初めて300万人を超えた。
- 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば1月は268万8,478人。うち、観光客は238万6,640人と4か月連続で200万人を超える水準となった。また、商用客は8万8,781人(同-35.9%)、その他客は21万3,057人(同+3.6%)であった。
- 先行きの訪日外客数は引き続き中国を除くアジア地域や欧米を中心に増加が見込まれよう。また、1人当たりの消費単価が着実に上昇しており、コト消費も増加しつつある。観光立国推進閣僚会議(2024年4月17日)で述べられているように、今後は日本における受入体制の強化に加え、各地域の観光資源の一層の磨き上げがより重要となろう。
【トピックス1】
- 関西3月の輸出は前年同月比+1.5%と2カ月ぶりの増加。一方、輸入額は同-13.6%と2カ月ぶりの減少となった。結果、貿易収支は2カ月連続の黒字となり、黒字幅は拡大した。
- 3月の関空への訪日外客数は77万2,640人となり、開港以来、過去最高値を記録した。
- 2月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に持ち直した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも2カ月ぶりに前月比上昇。また、観光関連指数は旅行業
旅客運送業が上昇に寄与し、3カ月連続の同上昇となった。
【トピックス2】
- 1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,040.0千人泊で、2019年同月比+7.5%と5カ月連続の増加となった。
- うち、日本人延べ宿泊者数は6,231.0千人泊で、2019年同月比+3.5%と5カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,809.0千人泊で、同+17.7%と6カ月連続で増加した。
【トピックス3】
- 2024年1-3月期の訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は1兆7,505億円となり、四半期調査としては過去最高額を更新。円安の影響もあり、旅行者の消費意欲が高まり、1人当たりの旅行支出が増加した影響が表れた。
- 一般客1人当たり旅行支出(全目的)は20万8,760円となった。2019年同期比+41.6%と2四半期連続で増加幅が拡大。欧米豪を中心に単価は着実に上昇しつつある。
- 1人1泊当たり旅行支出をみれば、2万2,456円となり、2019年同期比+29.5%増加。買物代に比して、娯楽等サービス費等のコト消費に加え、宿泊費が大きく伸びていることが特徴的である。
DETAIL
ポイント
4月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、3月の訪日外客総数(推計値)は308万1,600人であった。イースター休暇や桜の開花シーズンの影響もあり、単月として初めて300万人を超えた。2019年同月比では+11.6%と2カ月連続のプラス(前月:同+7.1%)。なお、中国人客を除いた総数は262万9,200人(同+27.1%)で、9カ月連続でコロナ禍前上回った。同月の出国日本人数は121万9,800人であった。4カ月ぶりに100万人超の水準となったが、依然コロナ禍前の6割程度(同-36.8%)の回復にとどまっている。結果、1-3月期の訪日外客数は855万8,078人となった。19年同期比+6.3%と2四半期連続のプラス(10-12月期:同+3.0%)。また、出国日本人数は303万7,266人であった(同-38.2%)。
▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、3月は韓国が66万3,100人(2019年同月比+13.2%)と最多であった。次いで台湾が48万4,400人(同+20.4%)、中国が45万2,400人(同-34.6%)、米国が29万100人(同+64.3%)、香港が23万1,400人(同+35.0%)と続く。なお、米国、ベトナム、カナダ、ドイツ、インド等が単月として過去最高値を更新。
▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、1月は268万8,478人となった(2019年同月比-0.0%)。うち、観光客は238万6,640人と4か月連続で200万人を超える水準となった(同+1.8%)。商用客は8万8,781人(同-35.9%)、その他客は21万3,057人(同+3.6%)であった。19年同月比でみると、観光客は4カ月連続のプラスとなり、その他客は20年1月(同+25.5%)以来のプラスに転じた。
▶観光客のTOP5を国・地域別にみれば(表4)、1月は韓国が82万1,971人(2019年同月比+13.6%)と最多であった。次いで台湾が47万4,810人(同+29.3%)、中国が32万5,521人(同-50.3%)、香港が18万2,289人(同+21.7%)、米国が11万3,870人(同+51.3%)と続く。なお、韓国、台湾と豪州が単月として過去最高値を更新した。
▶先行きの訪日外客数は引き続き中国を除くアジア地域や欧米を中心に増加が見込まれよう。また、1人当たりの消費単価が着実に上昇しており、コト消費も増加しつつある(後掲トピックス3参照)。観光立国推進閣僚会議(2024年4月17日)で述べられているように、今後は日本における受入体制の強化に加え、各地域の観光資源の一層の磨き上げがより重要となろう。
トピックス1
3月関西の財貨・サービス貿易及び2月のサービス産業動向
▶関西3月の輸出は前年同月比+1.5%と2カ月ぶりの増加(前月:同-1.0%)。一方、輸入額は同-13.6%と2カ月ぶりの減少となった(前月:同+2.9%)。関西の貿易収支は+5,133億円と2カ月連続の黒字となり、黒字幅は同+95.2%拡大した(前月:同-22.8%)(図4)。結果、1-3月期の貿易収支は+6,672億円と6四半期連続の黒字となり、黒字幅は前年同期比+192.5%拡大した(10-12 月期:同+134.0%)。
▶対中貿易動向をみると(図5)、関西3月の対中輸出は前年同月比+1.9%と2カ月ぶりに増加した(前月:同-7.0%)。輸出増に寄与したのは半導体等製造装置や映像機器等であった。一方、対中輸入は同-21.7%と2カ月ぶりの減少(前月:同+13.0%)。輸入減に寄与したのは通信機や衣類及び同附属品等であった。1-3月期の対中輸出は前年同期比+4.1%と5四半期ぶりに増加(前期:同-1.9%)。対中輸入は同-8.8%と4四半期連続で減少したものの、前期(同-10.4%)から減少幅は縮小した。
▶3月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は77万2,640人となり、開港以来、過去最高値を記録した(前月:71万5,170人)(図6)。2019 年同月比では+6.4%と4カ月連続のプラス(前月:同+6.0%)。また、日本人出国者数は24万2,657人。2019年同月比では-40.0%となった(前月:同-40.1%)。結果、1-3月期では訪日外客数は218万8,212人で、19年同期比+4.4%と2四半期連続のプラスとなった(10-12月期:同+3.8%)。一方、日本人出国者数は57万6,321人となり、コロナ禍前の6割程度の回復(同-42.3%)にとどまった。インバウンド需要は好調を維持しているが、アウトバウンド需要の回復は遅れている。
▶2月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に持ち直した(図7)。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば、2月は102.1で前月比+1.5%上昇し、2カ月ぶりのプラスとなった(前月:同-0.5%)。また、対面型サービス業指数は99.2で同+2.4%上昇し、2カ月ぶりのプラス(前月:同-0.5%)。うち、運輸業(同+2.0%、2カ月ぶり)や飲食店、飲食サービス業(同+3.1%、2カ月ぶり)が上昇に寄与した。
▶観光関連指数(2015年平均=100)は、97.3と前月比+4.9%上昇し、3カ月連続のプラス(前月:同+0.1%)。うち、旅行業(同+63.5%、3カ月連続)や旅客運送業(同+5.1%、3カ月ぶり)が上昇に寄与した。
トピックス2
1月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、1月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は9,040.0千人泊であった(表1)。2019年同月比では+7.5%と5カ月連続で増加した(前月:同+12.8%)。
▶日本人延べ宿泊者数は6,231.0千人泊となった。2019年同月比+3.5%と5カ月連続で増加した(前月:同+3.1%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,299.1千人泊、京都府1,146.2千人泊、兵庫県1,010.7千人泊、三重県597.2千人泊、和歌山県278.0千人泊、滋賀県270.3千人泊、福井県176.2千人泊、鳥取県158.0千人泊、徳島県154.4千人泊、奈良県141.0千人泊であった。2019年同月比でみると、大阪府(同+16.2%)、兵庫県(同+6.3%)や奈良県(同+22.9%)がそれぞれ5カ月連続で増加し、日本人宿泊者の増加に寄与した。
▶外国人延べ宿泊者数は2,809.0千人泊となった。2019年同月比+17.7%と6カ月連続のプラス。増加幅は前月(同+41.6%)から縮小したものの、5カ月連続で2桁の伸びが続いている(表1及び図9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府1,755.3千人泊、京都府864.4千人泊、兵庫県90.9千人泊、和歌山県23.6千人泊、滋賀県22.4千人泊、奈良県16.9千人泊、三重県14.4千人泊、鳥取県7.9千人泊、福井県6.8千人泊、徳島県6.4千人泊であった。2019年同月比でみると、大阪府(同+24.4%)と京都府(同+17.2%)がいずれも7カ月連続で増加したものの、その他の県では減少となった。
▶関西2府8県延べ宿泊者を居住地別でみると(図10)、県内の延べ宿泊者数は1,232.7千人泊(2019年同月比+12.3%)、県外は7,531.5千人泊(同+9.2%)であった。県内は同+12.3%と28カ月連続のプラス。県外(含む外国人)は同+9.2%と5カ月連続のプラスとなった(前月:同+15.8%)。
トピックス2
2024年1-3月期訪日外国人消費の動向
▶観光庁によれば、2024年1-3月期の訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は1兆7,505億円となり(図11)、四半期調査としては過去最高額を更新した(10-12月期:1兆6,793億円)。2019年同期比+52.0%と3四半期連続のプラス。円安の影響もあり、旅行者の消費意欲が高まり、1人当たりの旅行支出が増加した影響が表れた。
▶訪日外国人消費のトップ5を国・地域別にみれば(図12)、中国が3,526億円(2019年同期比-16.9%)と最多であった。次いで、台湾が2,512億円(同+64.8%)、韓国が2,379億円(同+55.1%)、米国が1,716億円(同+179.5%)、香港が1,543億円(同+86.4%)と続く。
▶一般客1人当たり旅行支出(全目的)は20万8,760円となった。2019年同期比+41.6%と2四半期連続で増加幅が拡大した(7-9月期:同28.5%、10-12月期:同+29.1%)。国・地域別にみれば(表2)、オーストラリアが37万3,343円(同+52.1%)と最も高い。次いで、英国が36万7,434円(同+97.5%)、スペインが35万1,760円(同+105.3%)、フランスが31万4,305円(同+79.0%)、米国が30万2,621円(同+79.7%)となっている。欧米豪を中心に単価は着実に上昇しつつある。
▶1-3月期の1人1泊当たり旅行支出をみれば(表3)、2万2,456円となり、2019年同期比+29.5%増加した。費目別では、宿泊費(同+43.8%)、飲食費(同+28.0%)、交通費(同+41.9%)、娯楽等サービス費(同+96.9%)、買物代(同+7.3%)がいずれも増加した一方、その他(同-25.3%)は減少となった。買物代に比して、娯楽等サービス費等のコト消費に加え、宿泊費が大きく伸びていることが特徴的である。なお、平均泊数が19年同期差0.8泊伸びている。