ABSTRACT
本稿では、地球温暖化防止のためのカーボンニュートラルを実現するために、各団体や企業が取り組んでいる温室効果ガス(本稿ではCO₂とする)排出量削減活動に着目し、今後のASEAN主要国とインドにおけるCO₂排出量がどのように変化していくのかを予測することを検討した。
本稿では、「電源構成」と「CO₂排出係数」の関係を把握することにより、電源構成の内訳からCO₂排出係数を算出する関係式を推定した。さらに、今後各団体や企業がASEAN主要国やインドに新たな拠点を置く場合、将来におけるそれらの国のエネルギー政策によってCO₂排出量がどのように変動していくのかについて、関係式を用いて予測した。
さらに、その関係式を用いて日本のCO₂排出係数について試算を行った。もし仮に、石炭燃料の使用をゼロにし、その分を水力以外の再生可能エネルギーに切り替えると、CO₂排出係数を半減させることができる。先進国の中でも石炭火力発電の比率が高い日本においては、まず石炭を他の燃料に切り替えることから始めなければならないことを、今回のモデルは示唆している。