研究・論文

search results

「日本経済」の検索結果 [ 17/26 ]

  • 稲田 義久

    第124回景気分析と予測<下げ止まりも、予断を許さない世界貿易の回復>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. CPB World Trade Monitorによれば、2019年7-9月期の世界輸出は前期比+0.6%増加した。4四半期ぶりのプラスとなった。日本の7-9月期機械受注(外需)は前期比+6.8%と3四半期ぶりのプラス。10-12月期見通しで外需は2四半期連続の増加が予測されている。9月の世界半導体売上高(3カ月移動平均)は前年比-14.6%と9カ月連続のマイナスを記録したが、落ち込み幅は前月から幾分縮小した。IT関連輸出は下げ止まり傾向を示しているが、世界貿易の回復は予断を許さない。
    2. 11月14日発表のGDP1次速報によれば、7-9月期実質GDPは前期比年率+0.2%(前期比+0.1%)と4四半期連続のプラス成長となったが小幅にとどまった。市場コンセンサスやCQMの最終予測は実績から上振れ、過大予測となった。
    3. 4-6月期は堅調な内需が低調な純輸出を相殺したが、7-9月期は低調な純輸出に加え内需が減速したため、4四半期連続のプラス成長となったものの小幅な伸びにとどまった。民間最終消費支出の伸びが予想ほど高くなかったことに加え、民間在庫変動のマイナスの寄与(駆け込み需要による在庫取り崩し)が大きかったことが、内需の減速の要因といえよう。
    4. 7-9月期GDP1次速報を織り込み、予測を改定した。2019年度の実質GDP成長率は+0.7%、20年度は+0.4%と更に減速する。21年度は+0.7%と回復に転じよう。前回(第123回)予測に比して、19年度を-0.3%ポイント、20年度を-0.1%ポイント、いずれも下方修正した。19年前半の低調な民間需要を反映して、19年度全体の予測を下方修正した。内需の下方修正と米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度も幾分下方修正となっている。
    5. 駆け込み需要は前回増税時に比して限定的だが、低い可処分所得の伸びに加え消費者センチメントの回復が遅いため、民間最終消費支出の基調は弱い。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。しかし、米中貿易戦争解決には時間がかかり世界貿易への下押し圧力は依然強いこと、また政策効果の一巡から20年度は更に落ち込む。日本経済が回復に転じるのは21年度である。
    6. 物価の先行きについては、エネルギー・非エネルギー価格の動向と消費税増税に加え教育無償化の影響が重要だ。10月における消費増税と幼児教育無償化のCPIに与える影響は+0.2%にとどまった。これらに加え、今後の需給ギャップの動向をふまえ、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.6%、20年度+0.4%、21年度+0.5%と予測する。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    インバウンド先進地域としての関西 持続可能な観光戦略を目指して

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2019年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究統括兼数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学経済学部教授

     

    研究目的

    ・世界に通用する観光圏「関西」形成のための、関西におけるインバウンド戦略の必要性

    日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。本テーマでは、関西におけるインバウンド戦略を検討するための関西基礎統計の整理、マイクロデータによる分析に取り組んできた。これらを引き続き深化させる。

    ・持続可能な戦略策定のために考慮すべき課題

    インバウンド需要を持続的に拡大するうえで課題となるオーバーツーリズムの解消に加え、最近の課題として、今後数年の間に動向変化が見込まれるIR/MICEの観点、関西三空港の観点も研究に含める必要がある。

     

    研究内容

    2018年度に引き続き、以下4つの軸でバランスよく進めるが、特に②に重点をおく。

    ①関西基礎統計の整理

    インバウンド関係基礎データ(観光庁の公開データ、RESAS等)の整理に加え、18年度に開発した府県別外客数の月次推計手法を用いて動態を分析する 。

    ②マイクロデータによる実証分析

    近畿運輸局等の協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査(個票をもとに、訪日外国人の多面的な移動パターンの分析)・宿泊旅行統計調査(同じく、府県別宿泊者数の動態分析)等の分析を行う。

    ③観光戦略の在り方成長戦略立案のための課題の認識と共有

    政策担当官庁、推進組織、民間団体と、持続可能なマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる「場」を提供し、分析を通じて得られた解決策を発信する。

    ④IR/MICEに関する調査分析

    動向調査による現状把握をもとに、課題抽出と提言の検討を行う。

     

    研究体制

    リサーチャー

    松林洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院教授

    森本 裕  甲南大学経済学部 准教授

    研究協力者

    柴谷淳一  国土交通省・近畿運輸局観光部 計画調整官

    村上良明  国土交通省・近畿運輸局観光部 観光企画課 課長

    野口礼子  関西観光本部 事務局長

    都留敦徳  日本旅行業協会 事務局長

    筒井千恵  関西エアポート株式会社 グループリーダー

    ※必要に応じてDMOや民間企業、IR/MICE関係者 等にも参画いただく。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西の各自治体・観光団体・経済界に対して

    基礎的な観光指標を公表する

    昨年に続いてインバウンド関係基礎データを整理し、関西観光本部と協力して公表する。

    インバウンド戦略策定に向けた実績推計値とマーケティング情報を提供する

    観光庁データのより詳細な分析により、関西におけるインバウンド需要の特性を分析し、観光戦略を検討するために必要となる実績推計を行う 。これらは、新たなツーリズム施策の効果検証を可能にする。

    また個票データ等の分析による関西と他地域の比較から、関西の強みを活かしたマーケティングの立案に貢献することができる情報を提供する。インバウンド消費需要の数量的分析(需要関数の推定)もここで行う。

    観光戦略の在り方と課題を共有するための、情報と「場」を提供する

    関西三空港の動向も踏まえ、四半期毎の研究会を想定する。

    IR/MICEについて、現状分析と新たな提言を行う

    最近の動向を含む分析から、新たな提言を行う。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2019年 7月31日   第1回研究会開催

    ・2019年11月21日   シンポジウム開催  (シンポジウム概要はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    第123回景気分析と予測<深刻度を増す世界貿易、足下堅調も民需先細り懸念>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    深刻度を増す世界貿易、足下堅調も民需先細り懸念

    1. 世界貿易は深刻度を増している。CPB World Trade Monitor(23 August, 2019)によれば、19年4-6月期の世界輸出数量は前期比-0.9%減少し、3四半期連続のマイナス。地域別にみれば、先進国は同-0.5%と2四半期ぶりのマイナス、新興国は同-1.4%と3四半期連続のマイナスを記録した。米国の対中制裁第4弾をめぐり、事態打開は当面期待できない。世界貿易の先行きが読みにくくなっており、米中貿易戦争は世界を巻き込みその影響は長期化かつ深刻化している。
    2. 8月9日発表のGDP1次速報によれば、4-6月期実質GDPは前期比年率+1.8%と3四半期連続のプラス成長。市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の最終予測(同+0.25%)は実績を大幅下回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+1.5%、生産サイドが同+2.1%、平均同+1.8%となり、実績とほぼピンポイントとなった。
    3. 4-6月期の実質GDP成長率は、堅調な内需が低調な純輸出を相殺し、3四半期連続のプラスとなった。民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、公的需要(政府最終消費支出、公的固定資本形成)が成長率を押し上げる一方で、民間在庫変動や純輸出は押し下げた。4-6月期1次速報発表に合わせて、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しが行われ、過去値が改訂された。19年1-3月期の上方修正と4-6月期の堅調な成長により、19年1-6月期は前期比年率+2.1%と予想を上回る高成長となった。
    4. 4-6月期GDP1次速報を織り込み、2019年度の実質GDP成長率を+1.0%、20年度を+0.5%と予測した。前回(第122回)予測に比して、19年度を0.4%ポイント上方修正した。一方、20年度を-0.1%ポイント下方修正した。19年前半の好調を反映して、19年度全体の予測を上方修正した。内需の下方修正と米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度は幾分下方修正となっている。
    5. 足下、民間最終消費支出の堅調は大型連休の影響による一時的なものにとどまり、基調は弱い。標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定している。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。
    6. 物価の先行きについては、エネルギー・非エネルギー価格の動向と消費税増税の影響に加え教育無償化の影響が重要だ。これらを考慮し、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.6%、20年度+0.5%と予測する。
    7. 世界経済は減速を避けるために、一連の景気刺激策を打っている。一方、米中貿易摩擦の高進は最大のリスク要因となっている。両国の敵対的行動がさらに進めば、世界経済が同時不況入りするリスクが高まる。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    第122回景気分析と予測<高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク

    1.CPB World Trade Monitorによれば、2019年1-3月期の世界輸出(数量ベース)は前期比-0.3%低下した。15年7-9月期以降18年7-9月期まで13四半期連続で増加したが、足下の2四半期は連続で減少している。1-3月期の機械受注(外需)は2四半期ぶりのマイナス成長、4-6月期も低調が見込まれている。機械受注の先行性を考慮すれば、19年後半も輸出市場は低迷が続く

    2.5月20日発表のGDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率+2.1%と2四半期連続のプラス成長となった。1-3月期実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査)の同-0.06%を大幅に上回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+0.1%、生産サイドが同+0.8%、平均同+0.5%とかろうじてプラス成長を予測したが、実績から下振れた。

    3.1-3月期の結果はポジティブサプライズとなったが、内容は決してよくない。民間最終消費支出、民間企業設備、輸出が前期比減少する一方で、民間在庫変動の増加、輸入の大幅減が成長率を押し上げたからだ。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.1%ポイント(うち、民間在庫変動は同+0.1%ポイント)と2四半期連続、純輸出は同+0.4%ポイント(うち、輸入は同+0.9%ポイント)と4四半期ぶりの、プラスとなった。

    4.1-3月期GDP1次速報を織り込み、2019年度の実質GDP成長率を+0.6%、20年度を+0.6%と予測した。前回(第121回)予測に比して、19年度は変化なし、20年度は-0.1%ポイント下方修正した。米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度は下方修正となっている。

    5.標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定している。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。

    6.標準予測に対して、最大のリスク要因は米中貿易摩擦の激化と長期化である。これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復に一段と下押し圧力が高まってきている。輸出の減少が企業収益縮小につながり企業設備を抑制するという、輸出・投資の縮小スパイラルに転じる瀬戸際に日本経済は位置している

    7.物価の先行きについては、エネルギー価格の動向と消費税増税の影響に加え教育無償化の影響が重要だ。これらを考慮し、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.7%、20年度+0.8%と予測する。

    PDF
  • 稲田 義久

    第121回景気分析と予測<世界輸出減速、高まる景気下押し圧力>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    世界輸出減速、高まる景気下押し圧力

    1.世界輸出はすでに減速局面に入っている。CPB World Trade Monitor(November 2018)によれば、2018年10-11月平均の世界輸出数量は7-9月平均比-0.2%と低調である。引き続き12月も低調であれば10-12月期は15年4-6月期以来のマイナス成長になり、景気下押し圧力が高まろう。

    2.2月14日発表のGDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率+1.4%(前期比+0.3%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。10-12月期実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)の同+1.61%とほぼ同じ結果となった。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+2.4%、生産サイドが同+2.0%、平均同+2.2%と実績から幾分上振れた。

    3.10-12月期実質GDPプラス成長は7-9月期における自然災害による供給制約の影響が剥落した結果であるが、7-9月期における成長率の落ち込み(-2.6%)を回復できていない。2018年後半にかけて、景気回復の勢いは明らかに鈍化している。10-12月期の実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.6%ポイントと2四半期ぶり、純輸出は同-0.3%ポイントと3四半期連続のマイナス。純輸出の景気下押し圧力が高まっている。

    4.10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+0.5%、19年度を+0.6%、20年度を+0.7%と予測した。前回(第120回)予測に比して、18年度-0.2%ポイント下方修正、19年度+0.1%ポイント上方修正、20年度-0.1%ポイント下方修正した。世界経済減速の影響もあり、前々回の予測(第119回)から18年度は大幅な下方修正(-0.5%ポイント)となっている。

    5.貿易摩擦高進の影響が大きくなっている。これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復に下押し圧力が高まっている。低い潜在成長率の下では、緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。

    6.標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。四半期パターン(前年同期比)でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はゼロ%台前半の成長率にとどまるが、マイナス成長を回避できよう

    7.今回は平成31年度予算を政策に反映し、これまでの消費税増税の影響に加え教育無償化によるコアCPI上昇率への影響をみた。恒久措置である幼児教育無償化により約-0.6%ポイント、また20年4月に予定されている高等教育無償化により約-0.1%ポイント程度押し下げられる。これらを考慮すると、コアCPIのインフレ率は、18年度+0.8%、19年度+0.6%、20年度+0.6%と予測する。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.41 <足下の景気は堅調だが先行き下降局面を迎える-18年7-9月期GDP2次速報値反映>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰

    ABSTRACT
    1. 12月10日発表のGDP2次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率-2.5%と1次速報値(同-1.2%)から大幅下方修正された。最大の要因は民間企業設備の下方修正である。また17年度の第一次年次推計値、16年度の第二次年次推計値が公表された。結果、16年度の実質GDP成長率は下方修正(+1.2%→+0.9%)されたが、17年度は上方修正(+1.6%→+1.9%)された。
    2. 日本経済の先行きについては、7-9月期GDP2次速報を織り込み、実質GDP成長率を2018年度+0.7%、19年度+0.6%、20年度+0.8%と予測 (APIR『第120回 景気分析と予測』)。緩やかな回復を維持するが、低い成長率にとどまろう。
    3. 関西の実質GRP成長率を2018年度+1.4%、19年度+0.7%、20年度+0.5%と予測する。前回予測と比較すると、2018年度は7-9月期GDP2次速報値の結果と日本経済予測の下方修正を織り込み、18年度は-0.4%ポイントの下方修正とした。19年度・20年度は、民間需要を上方修正、外需を下方修正した結果、成長率全体では修正なしとなった。
    4. 実質GRP成長率に対する寄与度を見ると、2018年度は民間需要+1.0%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.3%ポイントと民需が成長を牽引する。19年度は民間需要+0.5%ポイントで、前年度と同様に景気を下支えするが、年度央の消費増税の影響もあり、寄与は小幅となる。公的需要は+0.1%ポイント、外需は+0.1%ポイントと成長への貢献は小さい。また20年度は民間需要+0.3%ポイントと消費増税の影響が顕在化し、民需の寄与はさらに小さくなる。公的需要は+0.2%ポイント、外需は+0.1%ポイントとなる。

    全国の成長率と比較すると、18年度は、所得環境での全国を上回る改善やインバウンド需要の加速により、全国より高い成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速し、全国並みの成長率となる。2020年度には、全国に比して関西では内需の貢献が小幅となり、日本予測の成長率が関西を若干上回る。

    PDF
  • 稲田 義久

    第120回景気分析と予測<120回予測:18年7-9月期2次速報値反映 緩やかな回復だが、減速傾向は強まる>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    120回予測:18年7-9月期2次速報値反映
    緩やかな回復だが、減速傾向は強まる

    1.CPB World Trade Monitor(2018年12月)によれば、2018年4-6月期の世界輸出(数量ベース)は前期比+0.4%と1-3月期の同+0.9%から減速した。7-9月期は同+1.3%増加し、一転回復したように見える。地域別に見れば、先進国は同-0.4%と2四半期ぶりのマイナスだが、新興国は同+3.1%と2四半期ぶりのプラス。米中貿易摩擦高進の影響を受け、新興国では駆け込み輸出が出ているようである。このため18年後半から19年にかけて世界貿易減速リスクが高まるとみてよい。
    2.12月10日発表のGDP2次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率-2.5%と1次速報値(同-1.2%)から大幅下方修正された。最大の要因は民間企業設備の下方修正であり、7-9月期法人企業統計が反映されたためである。過去に遡ってデータが改訂された結果、2017年成長率は4四半期のうち3四半期が上方修正されたが、18年は3四半期すべてが下方修正された。また17年度の第一次年次推計値、16年度の第二次年次推計値が公表された。結果、16年度の実質GDP成長率は下方修正(+1.2%→+0.9%)されたが、17年度は上方修正(+1.6%→+1.9%)された。
    3.7-9月期GDP2次速報を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+0.7%、19年度を+0.6%、20年度を+0.8%と予測した。7-9月期GDP成長率が大幅下方修正された結果、前回(第119回)予測に比して18年度を-0.3%ポイント下方修正した。一方、19年度、20年度は前回予測から横ばい。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、低い成長率にとどまろう。
    4.標準予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度はマイナス成長を避けられよう。ただ前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はほぼゼロ成長が続く。
    5.緩やかな回復を維持するが、成長の減速傾向が強まるもう一つの理由は米中貿易摩擦の高進である。これまで日本経済が享受してきた財とサービスの「2つの輸出」による景気回復への下押し圧力となろう。緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。
    6.12月1日の米中首脳会談で、90日かけて中国の知的財産権やサイバー攻撃、技術移転の強要などの是正を協議することとなり、この間追加関税の発動を猶予した。この決定は米中の関税合戦の緩和に期待を抱かせるが、協議がすべて合意可能となる可能性は低い。むしろ貿易戦争は長期化し、今後その影響は2019年以降に発現してくる。

    PDF
  • 稲田 義久

    第119回景気分析と予測<成長牽引の2つの輸出に先行きリスク>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    成長牽引の2つの輸出に先行きリスク自然災害と貿易摩擦の高進が景気下押し

    1.CPB World Trade Monitorによれば、2018年4-6月期の世界輸出(数量ベース)は前期比+0.1%と1-3月期の同+1.0%から減速した。7-9月期は前期比+1.3%増加し、回復したように見える。地域別に見れば、先進国は引き続き低下トレンドを示している。一方、新興国は増加に転じたが米中貿易摩擦高進の影響を受け、駆け込み輸出が出ているようである。このため18年後半から19年にかけて世界貿易減速リスクが高まる可能性が高い。

    2.11月14日発表のGDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDPは前期比年率-1.2%と2四半期ぶりのマイナス成長。実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査)の同-0.72%とCQM最終予測(支出サイド)の同-1.8%のほぼ間に収まった。CQM最終予測は幾分ペシミスティックであったが、3カ月前からマイナス成長を予測し続けた。一方、市場コンセンサスは最終予測を除きプラス成長を予測し続けた。

    3.7-9月期は自然災害(7月の豪雨、9月の台風21号、北海道胆振東部地震)の影響が供給制約として色濃く出た。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比年率-0.8%ポイントと2四半期ぶり、純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期連続、ともにマイナスとなった。特に民間最終消費支出と輸出は影響を強く受けた。

    4.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.0%、19年度を+0.6%、20年度を+0.8%と予測した。前回(第118回)予測に比して、18年度を-0.1%ポイント、19年度-0.3%ポイント下方修正、20年度を+0.2%ポイント上方修正した。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、18-19年度については自然災害と貿易摩擦高進の影響を強く見た。

    5.自然災害と貿易摩擦の高進は、これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復への下押し圧力となろう。緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。

    6.標準予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度はマイナス成長を避けられよう。ただ前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はゼロないし小幅のマイナス成長が続く。

    7.先行き世界経済にとっての課題は米中貿易摩擦の高進である。11月米国中間選挙の結果はこの傾向に影響を及ぼさない。むしろ長期化の様相を呈し、今後影響は2019年以降に発現してくる。多くのシミュレーション結果が示すように、関税報復合戦の影響は当事者国のみならず世界にとって、誰も勝者たりえないマイナスの結果をもたらす。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.40 <2つの輸出により足下景気は堅調も先行きに黄信号>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰

    ABSTRACT

    2つの輸出により足下景気は堅調も先行きに黄信号自然災害と米中貿易摩擦高進で高まる景気減速リスク

    1.2018年7-9月期実質GDP成長率は前期比-0.3%(年率換算-1.2%)と2四半期ぶりのマイナス成長となった。実質GDP成長率に対する寄与度は国内需要-0.8%ポイント、純輸出-0.3%ポイントとともにマイナスとなった。国内需要は相次ぐ自然災害の影響で伸び悩み、民間最終消費支出が-0.3%ポイント、民間企業設備が-0.1%ポイントと成長を押し下げた。また輸出は関空の一時閉鎖の影響もあり、-1.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナスとなった。

    2.2018年7-9月期の関西経済は、一部で自然災害の影響が見られたが、おおむね堅調を維持した。家計部門では、所得や雇用は改善が続いているが、センチメントや大型小売店販売は低調だった。企業部門では、景況感は堅調に推移し、設備投資計画は旺盛である一方、生産は弱い動きとなった。対外部門は、関空一時閉鎖により輸出入や外国人客数は一時的に前年割れとなったが、インバウンド需要は前年を上回る拡大を維持した。公的部門は弱い動きである。

    3.関西の実質GRP成長率を2018年度+1.8%、19年度+0.7%、20年度+0.5%と予測する。前回予測と比較すると、18年度は修正なし、19年度・20年度ともに-0.3%ポイントの下方修正である。

    4.全国の成長率と比較すると、18年度は、所得環境の全国を上回る高い伸びやインバウンド需要の加速により、全国より高い成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速し、全国並みの成長率となる。2020年度には、全国に比して関西では内需の貢献が小幅となり、日本予測の成長率が関西を若干上回る。

    5.標準予測に対して、海外・国内とも様々なリスクが懸念される。海外リスクとしては、世界経済全体の鈍化が指摘できる。特に中国経済にスローダウンの兆しが見えつつある中で、米中間の貿易戦争の高進は、関西経済にも影響が波及するおそれがある。国内リスクとしては、消費増税後の民間需要の停滞がある。一方で、2025年の万博開催が大阪・関西に決定したことは、先行きの明るい材料となろう。

    6.トピックスとして、自然災害の中でも、9月の台風21号による影響について検討した。9月の関空一時閉鎖によりインバウンド関連では317億円、財輸出関連では281億円となり、合計では約598億円の経済的損失が発生した見込み。これは輸出の0.3%、関西GRPの0.1%に相当する。関西に対する風評被害が履歴効果として蓄積しないよう、迅速かつ適切な情報発信が必要である。また、関西2府4県のGDP早期推計の改定結果および超短期予測の結果が示されている。

     

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.39 <緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰

    ABSTRACT

    緩やかな改善を継続できるか、岐路に立つ関西-足下は踊り場、山積するリスクと課題

    1.2018年4-6月期実質GDP成長率は前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。実質GDP成長率への寄与度は、国内需要が前期比+0.6%ポイントと2四半期ぶりに成長を押し上げた。特に民間最終消費支出と民間企業設備の貢献が大きかった。一方純輸出は同-0.1%ポイントと2四半期ぶりのマイナス。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。

    2.2018年4-6月期の関西経済は、おおむね緩やかに改善しているが、一部の指標には弱い動きも見られ、踊り場局面が続いている。家計部門は、所得環境や雇用環境など緩やかに改善しているが、消費者心理は悪化した。企業部門では景況感は改善が続き、今年度の設備投資計画は極めて旺盛であるが、生産は一進一退で足踏み状態。対外部門は輸出輸入とも拡大しており、インバウンド需要も堅調である。公的部門は、一進一退で停滞している。なお大阪北部地震の影響は限定的。

    3.関西の実質GRP成長率を2018年度+1.8%、19年度+1.0%、新たに20年度+0.8%と予測する。前回予測と比較すると、18年度は+0.5%ポイント、19年度は+0.1%ポイントのそれぞれ上方修正。また過年度の実績見通しについて、16年度の成長率を+0.1%、17年度+2.5%とした。

    4.実質GRP成長率に対する寄与度を見ると、2018年度は民間需要+1.1%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.6%ポイントと民需と外需がバランス良く成長を下支えする。19年度は民間需要+0.4%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.5%ポイントで、民需の寄与が小幅となる。20年度は民間需要+0.1%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイントとなり、消費増税の影響が顕在化して、民需の寄与はさらに小さくなる。

    5.全国と比較すると、18年度は、所得環境の回復やインバウンド需要の再加速により、全国を上回る成長率で推移する。19年度以降は、消費増税の影響から日本経済予測と同様に関西でも成長率は減速する。

    6.2017年のインバウンド需要の経済波及効果を推計した。17年の関西インバウンド消費需要(直接効果)は前年比+16.4%増加し、その波及効果により関西のGRPに対して1%程度貢献できるようになった。急増するインバウンド需要に対応し、特に爆買いの2015年以降は、大規模で急速な宿泊施設への投資が進んでいる。稼働率等から見ていまのところ過剰投資の傾向はみられない。

    ※英語版はこちら

    PDF
  • 稲田 義久

    第118回景気分析と予測<企業部門中心の緩やかな回復が続くが成長率は低下>(2018.8.29revised)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    企業部門中心の緩やかな回復が続くが成長率は低下-消費増税後の景気については不確実性が高まる-

    1.実質GDPは2016年1-3月期から8四半期連続のプラス成長、特に、17年1-3月期から2%超のプラス成長が続き、1%と推計される潜在GDP成長率を3四半期連続で上回った。このため、17年度は景気の回復を久方ぶりに実感できる年となった。この背景には、純輸出の回復とそれに続き内需(特に、民間企業設備)が回復するという好循環があり、しばらくはこの好循環が続くとみる。

    2.8月10日発表のGDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDPは前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。4-6月期の実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の前期比年率+1.46%より上振れたが、CQM最終予測(支出サイド)の同+2.0%とほぼ同じ結果となった。

    3.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.6%ポイント(同年率+2.4%ポイント)と好調で2四半期ぶりのプラス、純輸出は前期比-0.1%ポイント(同年率-0.5%ポイント)と2四半期ぶりのマイナスとなった。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。

    4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.9%、新たに20年度を+0.6%と予測した。前回(第117回)予測に比して、19年度を+0.2%ポイント上方修正した。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、消費増税後の景気については不確実性が高い。

    5.ベースライン予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回に比して、税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。

    6.消費増税の影響は2020年に顕在化する。増税に伴う駆け込み需要増とその反動減は相殺されるが、増税に伴う実質所得減や消費者心理への悪影響は看過できない。前年比でみて、20年の最初の3四半期はゼロないし小幅のマイナス成長が続く。

    7.米国と中国の間で、貿易摩擦が進行している。トランプ政権は6月15日に中国の知的財産権侵害への制裁措置として500億ドルの中国製品に対して25%の追加関税を決定し、中国も同規模の報復関税発動を打ち出した。この直接の影響は今は限定的と見ているが、報復合戦が世界経済に波及すればその影響は大きい。

    8.この状況をシミュレーション(2018-20年に実質世界輸出の伸びが半減し、株価が20%低下)すると、名目世界輸出は2,780-1兆2,280億ドル程度減少し、結果、日本の実質GDPは標準予測から0.3%-0.6%程度減少する。1%程度の潜在成長率が続く日本経済にとって、小さくないインパクトである。

    PDF
  • 稲田 義久

    インバウンド先進地域としての関西+MICE

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2018年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

     

    研究目的

    日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。昨年度は、関西におけるインバウンド戦略を検討するための関西基礎統計の整理、マイクロデータによる分析に取り組んだ。

    研究の3つの方向:2017年度に引き続き、関西におけるインバウンド戦略を検討するために、以下の4つの軸を中心にバランスよく研究を進める。

    ①関西基礎統計の整理

    ②マイクロデータによる分析

    ③観光戦略の在り方

    ④MICEに関する調査分析

    特に研究の中心は、②である。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査個票・宿泊旅行統計調査個票(今年度データ取得予定)を用いたマイクロデータの分析である。

     

    研究内容

    <成長戦略立案のための実証分析>

    産業としての「インバウンド・ツーリズム」を確立するために、近畿運輸局などの協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。

    具体的には「訪日外国人消費動向調査」等の個票データを用いて、消費品目別の需要関数を推定し、「爆買い」以降のインバウド需要決定の構造的要因を定量的に考察していく。

    <成長戦略立案のための課題の認識>

    政策担当官庁、推進組織、民間団体が認識する「爆買い」以降のマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる場を提供し、その解決策を発信する。

    <関西のインバウンド需要の定量分析と他地域との比較分析>

    今年度の個票データを活用した分析により、観光エリアとしての調査分析が可能となり、より詳細な成長戦略立案への具体的な資料提供が可能となる。

    <観光施策についてより実現性のある研究>

    本研究により観光DMOや観光庁、民間の事業方針とマーケティング分析や効果検証が実現できる。

    リサーチャー

    大井達雄 和歌山大学観光学部 教授

    松林洋一 APIR主席研究員、神戸大学教授

    研究協力者

    柴谷淳一 国土交通省・近畿運輸局観光部計画調整官

    森 健夫 関西観光本部 事務局長

    濱田浩一 関西観光本部 事務局次長

    角倉洋介 日本旅行業協会 事務局長

    筒井千恵 関西エアポート㈱ グループリーダー

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・関西インバウンド基礎統計の整備

    ・マイクロデータによる分析成果

    ・関西観光戦略の課題の共有化

    ・関西の観光産業の成長戦略の立案

    ・観光ハードとソフトのインフラ整備の選択・集中

    ・DMOのKPIとその検証

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2018年9月   第1回研究会開催(予定)

    ・2018年11月   第2回研究会開催(予定)

    ・2019年1月   第3回研究会開催(予定)

    ・2019年2月   第4回研究会開催(予定)

    ・2019年3月   第5回研究会開催(予定)

    PDF
  • 稲田 義久

    第117回景気分析と予測<117回予測:18年1-3月期GDP2次速報値反映>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    117回予測:18年1-3月期GDP2次速報値反映
    シミュレーション:米中貿易摩擦進行による日本経済への影響

    ・6月8日発表のGDP2次速報値によれば、18年1-3月期の実質GDP成長率は前期比-0.2%、同年率-0.6%となり、1次速報値(前期比-0.2%、同年率-0.6%)から変化なしである。一方、総合的な物価動向を示すGDPデフレータは前期比-0.3%と1次速報値(同-0.2%)から幾分下方修正された。
    ・過去に遡ってデータが改訂された結果、2017年の成長率は、1-3月期+0.1%ポイント、4-6月期+0.1%ポイント、10-12月期+0.5%ポイント、いずれも1次速報値から上方修正された。一方、7-9月期は-0.1%ポイント下方修正された。10-12月期の上方修正幅が比較的大きかったので、2017年度の実質成長率は+1.6%と1次速報値(+1.5%)から0.1%ポイント上方修正された。
    ・1-3月期GDP2次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.7%と予測。前回(第116回)予測に比して、18年度、19年度、いずれも変化なし。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに変化はない。
    ・1-3月期が9四半期ぶりのマイナス成長であったが、足下のデータは1-3月期のマイナス成長は一時的であったことを示唆している。4月の民間消費(消費活動指数や消費総合指数といった供給側統計)と純輸出は、特に強い結果を示している。
    ・標準予測では、海外からの大きなショック(貿易紛争や金融ショック)が生じない限り、しばらく企業部門中心の回復が続くとみている。ただ、景気持続性の観点からは家計の実質所得の着実な拡大が課題である。
    ・米国と中国の間で、貿易摩擦が進行している。トランプ政権は6月15日に中国の知的財産権侵害への制裁措置として500億ドルの中国製品に対して25%の追加関税を決定した。中国も同規模の報復関税発動を打ち出した。今のところ、この直接の影響は限定的と見られているが、経済規模世界第一、第二位の国が報復合戦を起し世界経済に波及すればその影響は大きい。
    ・本予測のシミュレーションとして米中間の貿易摩擦が世界経済に波及するケースを検討する(後掲シミュレーション参照)。具体的には、実質世界輸出の伸びが半減するようなケースを想定する。2016年の実質輸出は前年比2%程度まで落ちたが、17年は5%超の伸びに戻り、いわゆるslow tradeを脱した。標準予測では18-19年は世界実質輸出が4%台後半で推移すると想定している。今この伸びが半減し16年のような貿易状況となった場合の影響を検討した。
    ・2018-19年に実質世界輸出の伸びが半減した場合、名目世界輸出は3,900-8,600億ドル程度減少する。結果、日本の実質GDPは標準予測から0.1-0.25%程度減少する。1%程度の潜在成長率が続く日本経済にとって、小さくないインパクトである。

    PDF
  • 稲田 義久

    第116回景気分析と予測<一時的な踊り場をこえ企業部門中心の回復が続く>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    一時的な踊り場をこえ企業部門中心の回復が続く-課題は家計実質所得の改善

    1.GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDPは前期比-0.2%(同年率-0.6%)と9四半期ぶりのマイナス成長となった。また季節調整のかけ直しや基礎統計の改定に伴い過去の値が改定され、2017年の3四半期はいずれも前回から下方修正された。結果、2017年度の実質GDPは+1.5%と3年連続のプラス成長となったが、実績は超短期最終予測(+1.7%)より低めとなった。

    2.1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比-0.2%ポイント(同年率-0.9%ポイント)と2四半期ぶりのマイナス、純輸出は前期比+0.1%ポイント(同年率+0.3%ポイント)と2四半期ぶりのプラスとなったが小幅の寄与にとどまった。実質GDPのマイナス成長は一時的で、これまで順調な回復の踊り場とみている。大雪や生鮮野菜価格の高騰による民間最終消費支出の小幅減少や民間住宅の低迷、加えて企業設備の減少や輸出の減速が複合的に影響している。

    3.1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.7%と予測を改定した。過去値の下方修正から成長の下駄が低くなったため、前回(第115回)予測に比して、18年度+0.1%ポイント、19年度+0.1%ポイント、いずれも小幅の下方修正となった。ただ緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はない。

    4.ベースライン予測では、2019年10月に消費増税が予定通り実施されると想定している。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回(14年4月実施)に比して、税率引き上げ幅が小幅にとどまること、飲食料品と新聞には軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、またオリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。

    5.海外からの大きなショック(貿易紛争や金融ショック)が生じない限り、しばらく企業部門中心の回復が続くが、景気持続性の課題は家計の実質所得拡大である。所得環境は改善しているが、春闘賃上げは3%を下回り厳しい状況である。加えて消費者物価が緩やかに上昇する中、非勤労者世帯を含む家計全体の実質可処分所得の伸びは実質雇用者報酬の伸びを下回る。実質民間最終消費支出の伸びは低調となる。

    6.原油価格は前回予測を上回る上昇となっている。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、18年度+1.1%、19年度は消費増税の影響で+1.6%と予測。国内企業物価指数は+2.1%、+2.4%。18年度はガソリン価格の高騰によりいずれも上方修正となった。GDPデフレータは、+0.1%、+1.1%と予測している。日銀は4月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、18年度+1.3%、19年度+2.3%(+1.8%、除く消費税の影響)とみており、18年度を前回から0.1%ポイント下方修正した。この予測実現には依然困難が伴うと思われる。

     

    ※ 英語版はこちら

    PDF
  • 木下 祐輔

    北陸新幹線開業後、北陸と関西の結びつきはどう変わったか

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    木下 祐輔 / 馬場 孝志

    ABSTRACT

    2018年3月14日の北陸新幹線開業以来3年間の大学進学先や就職先などの「人」の流れに着目して分析した結果、北陸と関東間の関係性は強化される一方、関西間との関係性は相対的に弱くなっていることがわかった。
    現在関西では、北陸新幹線だけでなく、様々な交通インフラの整備計画が進行中である。財源の確保や、関係者間の利害調整など、いくつもの壁を乗り越える必要があるが、これらの事業は、国内に点在する地域資源を結び付け、新たなイノベーションを生むだけでなく、海外と国内地域を結ぶ交通ネットワークにも大きな経済的インパクトをもたらす可能性を秘めている。グローバルに開かれた日本経済を支える屋台骨として交通インフラ整備を位置づけ、より俯瞰的な視点から、検討を行うべきであろう。

    PDF
  • 稲田 義久

    第115回景気分析と予測<企業部門中心の回復の持続可能性に疑問符:課題は家計の実質所得拡大>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    企業部門中心の回復の持続可能性に疑問符:課題は家計の実質所得拡大

    1.GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDPは前期比+0.1%(同年率+0.5%)増加した。バブル期以来の8四半期連続のプラスだが、成長率は前期から減速した。季節調整のかけ直しや基礎統計の改定に伴い過去の値が改定され、2017年の3四半期はいずれも下方修正された。結果、2017暦年の実質成長率は6年連続のプラス成長となったが、+1.6%と予想より幾分低めの成長率となった。

    2.10-12月期実質GDP成長率の減速は輸入の増加、民間在庫変動の減少による。一方、民間最終消費支出は増加となったが前期の減少幅を回復できていない緩やかな回復で、民間企業設備と輸出が拡大し成長率を押し上げるという企業部門中心の景気回復といえよう。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.1%ポイント(前期比年率+0.6%ポイント)と5四半期連続のプラス、純輸出は同-0.0%ポイント(同-0.1%ポイント)と2四半期ぶりのマイナスとなった。

    3.10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+1.7%、18年度+1.2%、19年度+0.8%と予測を改定した。前回(第114回)予測に比して、17年度は過去値が下方修正されたが変化なし。18年度は+0.1%ポイント、19年度-0.1%ポイント、いずれも小幅の修正。予測シナリオに大きな変化なしである。

    4.ベースライン予測では、2019年10月に消費増税が予定通り実施されると想定している。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回(14年4月実施)に比して、税率引き上げ幅が小幅にとどまること、飲食料品と新聞には軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、またオリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。

    5.今回の景気回復は2017年12月で「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月)」を超えて戦後2番目の長さ(61カ月)となった。19年1月に「いざなみ景気(2002年2月~08年2月)」超えの可能性が見えてきた。海外からの大きなショック(貿易戦争や金融ショック)が生じない限り、しばらくは企業部門中心の回復が続くが、持続性の課題は家計の実質所得拡大である。

    6.原油価格の上昇幅を前回予測から上方修正。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.8%、18年度+0.9%、19年度は消費増税の影響で+1.6%と予測。17年度は小幅の上方修正。国内企業物価指数は+2.7%、+1.9%、+2.7%。GDPデフレータは0.0%、+0.7%、+1.9%と予測している。日銀は1月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+0.8%、18年度+1.1%、19年度+2.3%(+1.8%、除く消費税の影響)とみており、いずれも前回からは変化なしである。この予測実現には依然困難が伴うと思われる。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.37 <緩やかな内需の好循環で総じて改善している>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰

    ABSTRACT

    緩やかな内需の好循環で総じて改善している先行きは成長率低下を見込み、リスクの顕在化に注意

    1.2017年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比年率+0.5%(前期比+0.1%)と8四半期連続のプラスとなった。成長に対する寄与度をみると、国内需要は+0.6%ポイントで5四半期連続のプラスとなった。民間消費や設備投資が堅調に成長を下支えしたが、在庫循環の進展から在庫品増加がマイナスの寄与となった。純輸出は同-0.1%ポイントと小幅ではあるが2四半期ぶりに成長を押し下げた。

    2.2017年10-12月期の関西経済は、前期に引き続き総じて堅調な改善ペースを維持した。家計部門は、消費者センチメント、所得環境、雇用環境など改善が見られ、堅調である。企業部門では、景況感は好調を維持し、生産も持ち直している。対外部門は輸出輸入とも拡大が続いている。公的部門は、底打ちの動きを見せている。

    3.関西の実質GRP成長率を2017年度+1.8%、18年度+1.5%、19年度+0.9%と予測する。前回の予測結果と比較すると、17年度は修正なし、18年度は+0.1%ポイントの上方修正、19年度は-0.2%ポイントと下方修正とした。

    4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、先行きでの成長率低下は民需が主因である。2017年度は民間需要が中心となり成長に貢献する。18年度は前年度に似た民需中心の成長パターンとなるが寄与度はやや小さくなる。19年度は民需の寄与がさらに小幅となるが、外需とともに成長を下支えする。

    5.日本経済予測と比較すると、堅調な輸出にともなう外需の貢献から17年度以降は全国を上回る成長率で推移する。日本経済予測に比べて特に外需の貢献が関西では大きい。

    6.足下では総じて好調な関西経済であるが、在庫循環や景気先行指標などでは景気後退局面への移行を示唆するシグナルも見え始めている。標準予測に対するリスク要因として、円高進行リスク、地方金融機関の経営リスクを指摘している。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.36 <停滞を抜け、堅調な改善が続いている。実感のある景気回復を定着させよ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介 / 馬 騰

    ABSTRACT

    停滞を抜け、堅調な改善が続いている。実感のある景気回復を定着させよ

    1.2017年7-9月期実質GDP成長率は前期比+0.4%(同年率+1.4%)と7四半期連続のプラス。市場コンセンサスにほぼ一致する結果であった。成長に対する寄与度をみると、国内需要は-0.2%ポイントで4四半期ぶりのマイナス。純輸出は同+0.5%ポイントと2四半期ぶりのプラスとなった。

    2.2017年7-9月期の関西経済は、堅調な改善ペースを維持した。家計部門は、堅調に推移している。住宅市場や雇用環境では改善傾向に一服感が出ているが、消費者センチメントや所得環境は、足下改善している。企業部門は、景況感は好調を維持しているが、生産は弱い動きであり、在庫は積み上がり局面を迎えている。対外部門は輸出輸入とも拡大が続いており、貿易収支は黒字基調が定着している。公的部門は、大幅な前年割れが続いていたが、足下では底打ちしている。

    3.関西の実質GRP成長率を2017年度+1.8%、18年度+1.4%、19年度+1.1%と予測する。日本経済予測の下方修正を反映した結果、前回の予測結果と比較して、2017年度は0.1%ポイント、18年度は0.3%ポイントのともに下方修正である。なお今回から19年度の予測を新たに追加した。

    4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、2017年度は民間需要が+1.1%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.6%ポイントと、各項目がバランスよく成長に貢献する。18年度は民間需要+0.8%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.5%ポイント、19年度は民間需要+0.6%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.3%ポイントとなる。成長に対する寄与度は徐々に減速していくが、バランスの良い成長パターンが続こう。

    5.日本経済予測と比較すると、2015-16年度の回復の立ち遅れから転じて17年度以降は全国を上回る成長率で推移する。内需の寄与は日本経済予測とほぼ同じであるが、外需はアジア向けを中心とした輸出の伸びが旺盛なことと純移出の貢献から、全国よりも寄与が大きくなる。

    6.県内GDP早期推計(2015-16年度実績見通し)を改定した。関西2府4県の実質GRP成長率(生産側)の実績見通しは、2015年度-0.0%、16年度-0.4%となる。日本経済(GDP)では15-16年度にプラス成長に回復していたのとは対照的に、関西は2年連続でマイナス成長であった。なお2017年度(超短期予測、参考値)は+1.4%と3年ぶりのプラス成長に回復する。

    PDF
  • 稲田 義久

    第114回景気分析と予測<7期連続のプラス成長を確認するが、課題は実質雇用者所得の拡大>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    7期連続のプラス成長を確認するが、課題は実質雇用者所得の拡大

    1.GDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDP成長率は前期比+0.4%(同年率+1.4%)と7四半期連続のプラス。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサスにほぼ一致した。なおCQM最終予測は、支出サイドが同年率+0.2%と実績よりも下振れた。

    2.実質成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比-0.2%ポイントと4四半期ぶりのマイナス、純輸出は同+0.5%ポイントと2四半期ぶりのプラス。4-6月期とは逆の回復パターンである。これまで成長を牽引してきた民間最終消費支出、民間住宅、公的固定資本形成が内需を押し下げた。一方、輸出は2四半期ぶりに増加。Slow trade脱却の兆しは明瞭で、日本経済にとって輸出市場の持続的回復が期待できる。

    3.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+1.7%、18年度+1.1%。今回新に19年度を+0.9%と予測した。前回(第113回)予測に比して、17年度は-0.3%ポイントと比較的大幅の、18年度は-0.1ポイントと小幅の、いずれも下方修正となった。17年度の下方修正は4-6月期の成長率が2次速報値で大幅下方修正(前期比年率+4.5%→+2.5%)された影響である。ただ、半期ベース(4-9月期)では前期比2%程度の堅調な成長となっている。

    4.ベースライン予測では、2019年10月に消費増税が予定通り実施されると想定している。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回(14年4月実施)に比して、税率引き上げ幅が小幅にとどまること、飲食料品と新聞には軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であることなどから19年度のマイナス成長は避けられよう。

    5.今回の景気回復は2017年9月で「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月)」を超えて58カ月と戦後2番目の長さとなった。19年1月に「いざなみ景気(2002年2月~08年2月)」超えの可能性も見えてきた。ただ今回の景気回復は途中に消費増税による景気の踊り場を含んでおり、景気回復の実感を伴うものではない。景気回復が持続可能となるため課題は実質雇用者所得の拡大となろう。

    6.原油価格の上昇幅を前回予測から上方修正した。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.7%、18年度+1.0%、19年度は消費増税の影響で+1.7%と予測。前回から上方修正となっている。また国内企業物価指数は+2.7%、+2.0%、+2.8%となる。GDPデフレータは+0.1%、+0.9%、+1.5%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+0.8%、18年度+1.1%と前回からは下方修正しているが、19年度は+2.3%と変化なしである。この予測実現には依然困難が伴うと思われる。

    PDF
  • 稲田 義久

    第113回景気分析と予測<足下堅調な景気回復を確認するが、先行き持続性に難点>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    足下堅調な景気回復を確認するが、先行き持続性に難点

    1.GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率+4.0%(前期比+1.0%)と6四半期連続のプラス。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサス(2%台前半)から大幅に上振れた。CQM最終予測は、支出サイドが同+2.8%、生産サイドが同+3.0%、平均同+2.9%である。

    2.基礎統計の追加と推計方法の変更の結果、過去値が遡及改訂された。16年度の四半期実質成長率のパターンを前回と比較すると、4-6月期こそ下方修正されたものの、7-9月期、10-12月期、1-3月期、いずれも上方修正された。結果、2016年度の実質成長率は+1.3%と前回から上方修正された。また17年度にかけての実質成長率の下駄が+0.6%と前回から上昇している。

    3.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比年率+5.1%ポイントと3四半期連続のプラス、純輸出は同-1.1%ポイントと6四半期ぶりのマイナス。これまで成長を牽引してきた輸出は4四半期ぶりのマイナス、民間最終消費支出の大幅拡大、民間企業設備の好調、補正予算の影響が出だした公的固定資本形成の大幅増加が特徴といえよう。

    4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+2.0%、18年度+1.2%と予測する。前回(第112回)予測に比して、17年度は+0.6%ポイントの大幅上方修正、18年度は+0.1ポイントの小幅上方修正。17年度にかけての成長率の下駄の影響もあり、大幅な上方修正となった。

    5.1-3月期、4-6月期に見られた民間最終消費支出の回復は消費性向の急上昇に支えられている。問題は好条件に支えられた消費性向の持続性である。緩やかな所得環境の回復に対してエネルギー価格の上昇から消費者物価が上昇し、実質可処分所得の伸びは減速する。合わせて消費性向が低下するため17年度後半から18年度の民間最終消費支出の伸びは減速しよう。

    6.原油価格の上昇幅を前回予測から下方修正した。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.5%、18年度+0.8%と予測。前回から下方修正となっている。また国内企業物価指数は+2.1%、+1.6%となる。GDPデフレータは+0.3%、+0.3%と予測している。日銀は7月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+1.1%、18年度+1.5%と引き続き下方修正しているが、この予測実現には困難が伴うと思われる。

    PDF