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「稲田 義久」の検索結果

  • 稲田 義久

    人口減少下における活力ある関西を目指して~2050年を見据えて~

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2024年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

    研究計画

    研究の背景

    2024年4月に人口戦略会議は、全国地方自治体の「持続可能性」についての分析レポートを発表した。その中で、2020年から2050年までの間に若年女性人口の減少率が50%以上になる自治体(消滅可能性自治体)は全国1,729のうち744(43%)あるとし、関西は全198のうち門真市等81の自治体(41%)が該当している。まずは、この状況が前回2014年のレポートと比較して改善しているのか、そして今何が問題になっているかを把握する必要がある。

    国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の最新の推計によると、日本の総人口は2023年の1億2,435万人から2056年に1億人を割り、2070年には8,700万人になるとされている。特に関西(2府4県)は、全国や関東に比べて人口減少のスピードが速い。社人研の推計を基に2022年~2050年の減少率をみると、全国-19.4%、関東-7.5%に対し、関西は-23.3%となる。

    また、高齢化の進行も厳しい。社人研の推計によると2050年には生産年齢人口が5,540万人と2023年(7,395万人)比25.1%の減少、およそ4人に1人が75歳以上になるとされている。将来の労働力となる子どもの出生数も年々減少しており、人手不足によって社会インフラの維持が困難になる可能性も指摘されている。

    人手不足は足下でも深刻である。帝国データバンクによると、2023年の人手不足を理由とした倒産件数は260件で前年比1.9倍(前年:140件)と過去最多を更新した。業種別では建設業や運輸業が多く、生活に必要不可欠な職種(エッセンシャルワーカー)の人手不足は深刻である。

    一方で、労働参加率を上げ、特にサービス業の生産性を向上させれば人口が減少しても問題ないとする議論もあるが、最適解はどこにあるかについて検討する必要があると考える。

    そこで、全国に比して人口減少・高齢化が厳しい関西において、人口や労働等に関する様々な基礎データを整理し、加えてAPIRがこれまで蓄積してきたデータベースや知識を組み合わせながら総合的に分析しつつ、データを可視化することで、関西各府県及び自治体の特徴と課題を明らかにする。そして中長期的な視点で、この先人口が減っても豊かさと活力を維持・向上させていくための方策を模索していきたい。

    研究内容

    ●関西基礎統計の整理
    ・労働に関する基礎データ(就業構造基本調査、賃金構造基本統計調査 等)を基に、関西の地域別、産業別、企業規模、性別、年齢別の5軸でデータベースを構築し、県民経済計算に対応できるようなシステム開発及びメンテナンスを行う。
    ・地域別将来人口推計データを整理しつつ、足下と比較して関西の特徴を明らかにする。

    ●関西における詳細なデータ分析と労働需給分析
    ・整理したデータベースを基に産業構造や雇用構造、年齢構造、賃金構造等から、関西が抱える労働問題を総合的に明らかにする。
    ・介護、建設、宿泊サービスの分野に焦点を絞って詳細なデータ分析を行い、どの職種に労働需給のミスマッチが起きるのかを明らかにし、中長期視点で解決策を検討する。

    ●経済成長を維持し、持続可能な社会をつくるための施策の検討
    ・労働需給の課題に対してどのような処方箋が考えられるか、有識者等から様々な視点での知見をもらい、関西において実現できる未来の姿を模索する。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・マクロデータの分析成果(関西経済白書、トレンドウォッチ)
    ・人口減少による人手不足の課題の共有化(研究会等での情報提供と議論)

    ・人手不足(特に介護、建設、宿泊分野)の解消に向けた対応の検討
    ・人口減少下においても人手不足を補い経済力を維持するための施策の立案

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学 名誉教授

     

    サブリサーチリーダー

    松林 洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科 教授

     

    リサーチャー

    野村 亮輔  APIR副主任研究員
    吉田 茂一  APIR研究推進部員
    古山 健大  APIR研究推進部員
  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の利活用:2020年表作成に向けての準備

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2024年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生(大阪経済法科大学経済学部 教授)

    研究計画

    研究の背景

    関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。本研究プロジェクトでは、これまで様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては、2025年大阪・関西万博をはじめとするイベントの開催、さらにIRを機とした新たな産業の展開が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。

    研究内容

    ・関西地域間産業連関表2020年版の作成に向けたWebアンケート調査の実施
    ・2020年時点と2023年時点のデータを取得し、コロナ禍と平時の比較分析
    ・関西地域間産業連関表2015年版を使用し、各種イベントの経済分析
    ・国、大阪府市、APIRの3機関による大阪・関西万博の経済波及効果を比較・分析
    ・対中貿易減速による関西各府県への影響についての分析
    ・関西地域間産業連関表2015年版を用いた経済構造の分析、2011年版との比較分析
    ・分析結果を関西経済白書やAPIRの各種レポートに掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算の一層のPR

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。

    これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

    研究体制

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

     

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

     

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部商経科教授
  • 稲田 義久

    持続可能なツーリズム先進地域・関西をめざして

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

    成果報告

    2023年度は22年度に引き続き観光基礎統計を用いて、回復するインバウンド需要並びに国内旅行需要に関する分析を行いました。また、急速に回復するインバウンド需要下において、関西における大型ホテル建設の動向に着目し、コロナ禍における宿泊事業者の対応を明らかにしました。さらに、訪日中国人客の回復が遅れていることに注目し、オープンデータを基に回復パターンを想定するとともに、関西及び日本経済に与える影響についても分析を行いました。加えて、昨年度に引き続き観光地の「ブランド力」確立に向けて、Webアンケート調査を実施しました。今年度はサンプル数及び対象となる関西の観光地を拡充するとともに、日本人並びに日本在住の外国人を対象に調査を実施しました。アンケート調査から得られた結果より、観光客の属性に基づいた関西広域周遊を明らかにするための基礎研究を行いました。

    当初計画

    研究目的

    自治体・DMO等での、持続可能なツーリズム戦略策定への情報提供の必要性

    コロナ後の観光戦略には、万博開催に向けて急回復が見込まれるインバウンドの獲得に加えて、国内客も含めた高付加価値化、さらにSDGs・観光地域づくりも踏まえ、経済、環境、地域社会いずれの面でも持続可能であることが求められている。自治体・DMO等での今後の戦略策定に寄与するため、数量分析を中心に現状の課題と解決の方向性を検討したい。

    観光地の「ブランド力」指標の必要性

    本研究が示してきたインバウンド消費の4つの決定要因のうち、地域のツーリズム関係者が唯一、自力で向上できる「ブランド力」には定量的な指標が確立されていない。ブランド力向上の戦略策定に寄与すべく、これを定量化する指標を作りたい。

     

    研究内容

    2022年度に引き続き、以下の5つの軸でバランスよく進める。

    ①関西基礎統計の整理

    ②マイクロデータによる実証分析

    ③ブランド力指標の開発のための、アンケート調査と結果の解釈

    ④観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題検討

    ⑤万博に向けた戦略を官民で意見交換する場の設定

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(トレンドウォッチ)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、フォーラム等での情報提供と議論)を予定している。
    また、上記研究成果を「ポストコロナにおける観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

     
    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授
    野村 亮輔  APIR副主任研究員
    郭 秋薇  APIR研究員
    KARAVASILEV Yani  APIR研究員、京都文教大学総合社会学部講師
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  • 稲田 義久

    関西経済の持続的発展に向けて ~大阪・関西万博を契機に~

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

    成果報告

    当プロジェクトは、2年間にわたり研究活動を行いました。初年度は、1970年大阪万博以降 50 年にわたる経済のシェア低下の原因・理由を分析し、関西経済の持続的発展を実現するための課題を整理しました。
    2年目の2023年度は、前年度整理した課題から「人材・投資が集まる関西」に向け、人材を呼び込むための生活環境や、投資を呼び込むためのビジネス環境の現状把握と改善策を検討しました。また、2025年大阪・関西万博を契機に、万博を体験した次世代を担う子どもたちが夢を描き、将来、世界で活躍するためには何が必要か、具体的には万博をきっかけとして子どもたちのモチベーションを高めるにはどのような教育が必要かについて議論しました。さらに、今回の万博は「関西」の名が付くことから、「関西はひとつ」の意識で世界に発信し、知名度・認知度を高める絶好の機会として、個性・特徴のある関西各府県が、それぞれの魅力を発揮し目指す方向をあわせていくにはどうすればよいかについて議論しました。

    当初計画

    研究概要

    今年度は、前年度に積み残した論点を引き続き議論し、研究成果をとりまとめる。

    前年度は、EXPO70をピークに関西経済のシェアが低下してきた原因・課題をもとに、関西経済の持続的発展に向け、もうかる産業(分野)を発掘する考え方を整理した。今年度は、経済発展を続ける都市の事例を参考に、投資、人材を関西に呼び込む方策を議論する。さらには、2025年大阪・関西万博を見た小・中学生(EXPO2025世代)が2050年に世界中で活躍している状況にするため、教育・人材育成をはじめ、Web社会がどのように変わっていなければならないかを議論し、成果を経済界・行政に向けに発信し、政策・戦略立案に活用していただく。

     

    研究内容

    ①関西へ投資・ヒトが集まる環境整備に向けて
    対日直接投資の状況、関西における行政の政策や経済団体等の提言を振り返るとともに、国内外で成果を上げている事例を参考に、関西への投資や人を呼び込むための制度・規制緩和、生活環境の整備の方策を議論する。

    ②EXPO2025世代が活躍している社会の実現
    万博を見に来た小・中学生(EXPO2025世代)が2050年には世界中で、また関西を中心に活躍いているようにしたい。そのためには、この世代にどのような教育・育成が必要か議論する。

    ③関西への帰属意識が定着
    地元への帰属意識が醸成されている他地域の調査・ヒアリング等を行い、その結果を参考に関西での帰属意識定着に向けた議論をする。

     

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチャー

    足利 朋義  APIR総括調査役
    井上 建治  APIR総括調査役
    野村 亮輔  APIR副主任研究員
    吉田 茂一  APIR所員
    寺田 憲二  APIRアウトリーチ推進部長
    新田 洋介  APIR調査役

    研究協力者

    経済産業省近畿経済産業局、関西広域連合、公益社団法人関西経済連合会、一般社団法人関西経済同友会

    オブザーバー

    近畿2府4県(政策企画部署、産業政策部署、万博関連部署)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・「フォーラム」、「研究報告書」等により情報発信を行う。

    ・関西経済の持続的発展につながる産業の発掘、関西のあらまほしき姿の実現に向けた提案を行い、経済団体・企業には新しいビジネスの発掘に、自治体には地域経済の持続的発展に向けた政策立案に活用いただく。

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  • 関 和広

    テキストデータを利用したS-APIR指数の実用化

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    関 和広

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR主席研究員 関 和広 甲南大学知能情報学部教授

    成果報告

    景況感指数は、金融当局の政策決定や企業の生産計画、機関投資家・個人の投資判断等、様々な経済活動の拠りどころとして重要な役割を担っています。本プロジェクトでは、日々配信されるニュース記事のテキストデータを事前学習させた言語モデルに読み込ませ、景況感を数値として推定する「S-APIR指数」を開発しています。政府による既存の景況感指数に比べて速報性があり、日次での集計も可能なことが特徴です。2023年度は、様々なテキストデータの組み合わせや言語モデルの選定とその設定の違いが及ぼす影響について調査し、政府の景況感指数との相関をより高めてきました。

    また、いくつか新たな機能も追加しています。例えば任意のキーワードを入力すると、それが指数にどのような影響を与えたのかについて可視化するだけでなく、そのキーワードを含む影響度の大きな文章(記事の一部)を例示したり、当月においてバーストしているキーワード(急上昇ワード)を表示したりする機能等です。

    当初計画

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究プロジェクトではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    S-APIR指数(景気関連指数)を推定するため、Transformerを用いた大規模言語モデルを利用する。Transformerは、それ以前に用いられていた回帰的ニューラルネットワーク(RNN)のように単語の順番に入力して学習することはせず、文中の全ての単語を一度に入力することで全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数を推定するモデルの精度向上を図る。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用していただくことを検討する。また、本研究の成果の一つとして期待できるデモ・システムを、会員企業に試行的に提供する。システムのユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「大阪関西万博」という語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、大阪関西万博が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。

    研究体制

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    関 和広   APIR主席研究員、甲南大学知能情報学部教授

    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授
    生田 祐介  大阪産業大学経営学部准教授
    盧 昭穎  APIR研究員
    吉田 茂一  APIR研究推進部員
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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

    研究成果

    2023年度は、APIRが独自に開発した「関西地域間産業連関表」の2015年版を作成し、これを用いて、各種イベントにおける経済波及効果を試算・公表し、大きな反響を呼び各種のメディアに数多く取り上げられました。

    59年ぶりに行われた阪神・オリックスの関西ダービーの経済波及効果では、①公式戦およびポストシーズンにおける球場観戦や球場外での消費、②リーグ優勝および感謝セール、③優勝パレードに伴う様々な消費を精緻に想定し、関西各府県への経済波及効果を936億円と算定しました(日本全体では1607億円)。その中でも、大阪府と兵庫県を中心に効果が大きく、関西のGRP(域内総生産)を0.05%程度押し上げると分析しました。

    また、国、自治体等から公表された最新のデータを基に、大阪・関西万博の経済波及効果を試算しました。万博関連事業費と来場者消費に分けて、基準ケース※2と観光客が万博会場外のイベントや施設を訪れる「拡張万博」※1ケース1※3、2※4における経済波及効果をそれぞれ算定しました。結果、基準ケースで2兆7,457億円、拡張万博ケース1で3兆2,384億円、拡張万博ケース2で3兆3,667億円と試算しました。
     
    ※1拡張万博:万博のテーマ・時間軸・空間軸の概念を拡張し、関西全体を仮想的なパビリオンに見立て、万博本体では実施しにくい事業も含めて様々な経済活動を展開する取り組み

     

    当初計画

    研究の背景

    関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。当プロジェクトでは様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては大阪・関西万博をはじめとするイベント、さらにIRを機に新たな産業が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。

     

    研究内容

    ・奈良県DATA取得後に正式版関西地域間産業連関表の作成:奈良県のDATAの差し替えを行い再度統合作業とバランス調整を行う

    ・昨年度算出した大阪・関西万博の経済波及効果の再算出:万博アクションプランVer3を反映し、さらに正式版関西地域間産業連関表完成後に再度試算する。

    ・分析結果を関西経済白書、APIRの各種レポートへの掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算のPR

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、経済部門の一部をAPIRのホームページ上で発表する。また、分析成果は景気討論会や環太平洋産業連関分析学会やセミナー等で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

    研究体制

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部商経科教授
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  • 稲田 義久

    関西経済の持続的発展に向けて~大阪・関西万博を契機に~

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

     

    研究目的

    1970年に開催された日本万国博覧会(70年万博)は、博覧会としては成功したもののその後の関西経済の成長につなげられなかった。一方、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に向け都市・交通インフラが整備されつつあり、関西経済の反転に向けた準備が整いつつある。
    そこで、当研究プロジェクトは、70年万博を持続的経済成長につなげることができなかった原因・課題を分析し、2025年大阪・関西万博を契機に、関西経済を長期停滞から反転させるための戦略を考える。具体的には、関西経済の中長期的成長に向けもうかる産業を発掘し、投資、人材を関西に呼び込む戦略を議論し、経済界・行政に向けた情報発信を行っていく。

     

    研究内容

    ①大阪万博後の関西経済低迷の原因と課題
    環境変化(産業構造、インフラ整備、人口動態等)を踏まえ経済停滞の原因と課題を調査。
    ②投資と経済成長に関するシミュレーション
    例)どれくらいの追加投資をすると関西の経済成長率がどれくらい上がるか試算し、成長率・期間をいくつかのパターンに分け経済反転のシミュレーションを行う。
    ③業種別のシェア・付加価値の動向調査
    内閣官房のRESAS(地域経済分析システム)のデータに基づき、付加価値額の高い業種(もうかる産業)とその関西におけるシェアを抽出し、関西の産業構造の動向を調査
    ④関西の経済回復のシミュレーションをもとに、経済界・行政等と具体的なシナリオを議論
    ⑤「関西の魅力」を高める提案
    ・「イノベーション」の起こるポテンシャルのある地域と認知してもらうための提案
    例)産業クラスター、技術力のある中小企業の現場を周遊化する仕掛け
    ・老若男女、外国人も活き活き生活できる地域と認知してもらうための提案
    例)健康・医療、教育のさらなる充実と行政手続のワンストップ化・共通化・デジタル化

     

    研究体制

     
    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

     
    リサーチャー

    寺田 憲二  APIRアウトリーチ推進部長
    井上 建治  APIR総括調査役・研究員
    井原 渉   APIR総括調査役・研究員
    大島 久典  APIR総括調査役・研究員
    山守 信博  APIR調査役・研究員
    野村 亮輔  APIR研究員
    吉田 茂一  APIR所員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・「トレンドウォッチ」、「フォーラム」、「研究報告書」等により情報発信を行う。
    ・関西の経済回復に向けた情報提供として、分析・シミュレーション結果等を発表する。
    ・「関西の魅力」をより高めるために、もうかる産業を発掘し、アジア・世界中から投資・人材を呼び込むためのより良い環境整備を提案する。

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  • 稲田 義久

    持続可能なツーリズム先進地域・関西をめざして

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

     

    研究目的

    ・持続可能なツーリズム産業に向けた、戦略の転換の必要性
    コロナ禍による需要の消失を経て、今後の観光戦略はインバウンド重視から、国内客・訪日外客それぞれの1人当り付加価値を高める戦略へと大幅な転換を迫られている。本研究もコロナ前はインバウンド産業の分析に注力してきたが、この転換に対応するとともに、持続可能性の視点から自治体・DMOの課題と解決の方向性を検討したい。

    ・観光地の「ブランド力」への注目
    本研究ではインバウンド消費の決定要因として、ブランド力、広域・周遊化、イノベーション、安全・安心・安堵の4つを示してきた。このうち、観光地のブランド力の定量化に取り組み、観光地の魅力と各種の要素の寄与度を示す指標を作りたい。また、観光地の魅力を向上する施策を、事例をもとに検討したい。

    ・ポストコロナのインバウンド戦略策定を意識した、基礎的分析の継続の必要性
    2021年度まで行ってきた、インバウンド関係基礎データの整理・推計や、マイクロデータ分析といった基礎的な分析を継続し、自治体・DMO等の戦略策定の参考として提供したい。
    従来はデータが利用可能でなかった、県域より小さいレベルの観光動態にも注目し、共同研究により分析を行いたい。

     

    研究内容

    2021年度に引き続き、以下の5つの軸でバランスよく進める。

    ①関西基礎統計の整理

    ②マイクロデータによる実証分析

    ③ブランド力指標の開発のためのアンケート調査から得られる結果の解釈

    ④観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題検討

    ⑤成果の発信、課題共有の「場」作り

     

    研究体制

     
    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

     
    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・教授
    KARAVASILEV Yani  APIR研究員、京都文教大学総合社会学部講師
    野村 亮輔  APIR研究員
    郭 秋薇   APIR研究員

     
    研究協力者

    衣川 勝己  国土交通省 近畿運輸局観光部 計画調整官
    山本 康彦  国土交通省 近畿運輸局観光部 観光企画課長
    西川 敬三  関西観光本部 事務局次長
    筒井 千恵  関西エアポート株式会社 航空営業部 広域連携グループリーダー
    花﨑 由季子 関西エアポート株式会社 航空営業部 広域連携グループ
    原 菜々子  関西エアポート株式会社 航空営業部 広域連携グループ
    中野 裕行  日本旅行業協会 関西事務局長
    古山 健大  京都府観光連盟 主事
    LUONG ANH Dung  APIRインターン

     
    オブザーバー

    森本 裕   甲南大学経済学部準教授

    ※必要に応じてDMO、自治体や民間企業等関係者にも参画いただく。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(トレンドウォッチ)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、シンポジウム等での情報提供と議論)を予定している。
    また、上記研究成果を「ポストコロナにおける観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。

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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の作成と利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究目的

    これまで、本プロジェクトでは、COVID-19が経済社会活動にもたらした影響について、産業連関表を用いた分析を行ってきた。2020年度は,COVID-19感染拡大が関西のスポーツ関連産業に与えた生産減少額を「負の経済波及効果」として府県別・産業部門別に推計した。また、2021年度は,観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、独自の観光産業の分析を行うとともに、観光消費額減少が地域経済にもたらす経済波及効果や、観光関連消費回復のための需要喚起策として行われた「Go Toトラベル事業」の効果についても分析を行った。2021年度の研究成果は『アジア太平洋と関西―2021年関西経済白書』の「Chapter6 関西と観光産業:産業連関表を用いた分析」にまとめられている。

    また、APIRでは前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。2021年度は2020年度に実施した基礎調査(関西居住者や関西への来訪者を対象に、消費費目や金額、消費場所などについて尋ねたWEBアンケート調査)の結果をまとめ、関西経済白書に掲載するとともに、2015年の関西地域間産業連関表(以下、2015年表)作成のために、統合中分類(107部門)をベースに統合・調整を行うなどの基礎作業を実施した。それを受けて、2022年度は,2015年表の完成を目指すとともに、その利活用を行う。

     

    研究内容

    1)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
    2021年度、地域間表の作成に必要な関西2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)の「2015年地域産業連関表」をほぼ全て入手し、入手した府県については産業分類の統合・調整を行い、産業中分類(107部門)をベースに2015年表の作成作業を行った。2022年度はこの作業を継続するとともに、未公表の県については暫定版をAPIRで推計し、それを用いて地域間表の統合作業を行う(暫定版の作成)。その後、当該府県より2015年の産業連関表が公表され次第、差し替え・再度統合作業・バランス調整を行う(確定版の作成)という二段階の作業を行う(※1)。
    また、作業過程において必要な移出入等に関する情報について、APIRマクロ経済研究プロジェクト等のネットワークを活用して府県の統計担当者へのヒアリングを行う(※2)。
    (※1)本項を執筆している5月23日時点で、対象府県のうち、奈良県のみ未公表である。
    (※2)これまでに関係が深い大阪府、兵庫県、和歌山県などを予定している。
    2)「2025年大阪・関西万博 」の経済波及効果の分析
    足下で入手できる最新の情報に基づき、「2025年大阪・関西万博」の経済波及効果の推計を行う。
    なお、2025年大阪・関西万博の経済効果は2019年の関西経済白書で試算を行っているが、コロナ禍による訪日外国人の激減,予算額の変更等が報道されていることを受け、来場者数や訪日外国人の人数、工事費等について再検討を行う。必要な情報については、APIR所内の万博検討チームや万博関連プロジェクトとも連携して、効率的な把握に努める。
    3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
    2021年度に引き続き、「2025年大阪・関西万博」に関連した取り組みを行っている組織や、広域的な交通ネットワーク整備や今後備えるべき災害への対応など,関西で問題となっているインフラ課題について専門家を招聘し、勉強会を行う。
    2022年度は、事業整備を通じた生活の質向上や時間短縮による生産性向上といった「ストック効果」に着目するとともに、産業連関表やマクロ計量モデルを用いてどのように分析を行うかといった手法面についても議論を行う。年2回程度実施を検討している。
    4)対外的な成果報告
    メンバーは各々の立場で分析結果を報告することを通じて、積極的な対外発信に努める。。

     

    研究体制

     
    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

     
    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

     
    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部教授
    藤原 幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授
    木下 祐輔  大阪商業大学経済学部専任講師

     

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会や外部の研究会で報告することを予定している。
    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 関 和広

    テキストデータを利用したS-APIR指数の実用化

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    関 和広

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR主席研究員 関 和広 甲南大学知能情報学部教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    S-APIR指数(景気関連指数)を推定するため、リカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network,以下RNN)に加え、Google社が開発した最新の学習モデルであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いる。BERTは、RNNのように単語の順序を考慮した上では学習することはせず、文中の全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数を推定するモデルの精度向上を図る。

     

    研究体制

     
    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

     
    リサーチリーダー

    関 和広   APIR主席研究員、甲南大学知能情報学部教授

     
    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授
    生田 祐介  大阪産業大学経営学部准教授

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。

    景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。具体的に、本研究の成果の一つとして期待できる「単語のデモ・システム」を、ユーザーへ公開する。ユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「東京五輪」という単語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、東京五輪が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。

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  • 守屋 貴司

    アジア人材との共働社会

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    守屋 貴司

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 守屋 貴司 立命館大学経営学部教授

     

    研究の背景

    米国の大手IT企業のCEO(Google、マイクロソフト等)として多くのインド出身者が活躍している。インド工科大学(IIT)は超難関大学として知られ、卒業生は現地のGAFA関連などの巨大企業の研究所への高度人材供給源となっており、国内起業家の育成にもIITは熱心に取り組んでいる。また、インドを含め、シンガポール、ベトナムなどアジア諸国も各国とも大学教育(産業界との連携)を含めて、先進的な取り組みを行い、高度人材を自国の経済発展への繋げる動きが活発、加速化している。特に、インドの場合においてはカースト制などの社会構造制度などの理解も不可欠である。そこで、本研究プロジェクトでは、アジア人材(インド、ベトナム、シンガポールなど)に焦点をあて検討を進める。

     

    研究内容

    2021年度は、日本で働くインド・ベトナム人エンジニアへのアンケート調査と先進的な企業事例のヒアリングなども実施し、日本企業がアジア人材との共働社会を実現するために必要な制度や取り組みへの提言を報告書としてまとめる。

    ①アジアに進出する日系企業の先進事例の調査・検討
    既にアジアに進出している(アジア人材を採用している)日系企業の先行事例を調査・検討し、今後の日本企業に必要な要素を抽出する。

    ②日本企業とアジア企業との連携・イノベーションの調査・検討
    「アジア人材と日本人材の『協働』によるイノベーション」が実現していることを定量的・定性的データ(特許データ〔PCT出願〕)から明らかにし、それに基づきながら「アジアの高度人材との共働のための企業政策」について検討する。

    ③日印間の移動と在日インド系IT人材の動向
    インド人人材が日本でどのように就労しているのかについて、各種統計や公表されている資料を中心に分析を行う。

    ④日本企業におけるアジアの高度人材とのダイバーシティマネジメントとイノベーション
    ②の研究事例として日本企業、アジア現地企業のケーススタディを行い、日本企業への提案としてまとめる。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    守屋 貴司  APIR上席研究員、立命館大学経営学部教授

    リサーチャー

    安田 聡子  関西学院大学商学部教授
    松下 奈美子 名古屋産業大学現代ビジネス学部准教授
    宮本 和明  HENNGE株式会社 代表取締役副社長
    奥田 智   株式会社をくだ屋技研 代表取締役社長

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    「アジア人材との共働社会」フォーラム開催し、2021年度末に研究会成果報告書を取りまとめ、APIRホームページに掲載する。
    アジア人材との共働社会を実現するための企業の具体的な人事制度設計や取り組みなどに関して活用されることを想定している。

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  • 稲田 義久

    インバウンド先進地域としての関西 ―持続可能な観光戦略を目指して―

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

     

    研究目的

    ・持続可能なインバウンド産業にむけての戦略転換の指針の導出
    コロナ前のインバウンド産業では訪日外客の量的拡大を志向する傾向が強く、供給制約に直面した場合、持続可能な発展が望めない状況にあった。こういった量的拡大志向から、コロナ後を見据えて1人当たりの付加価値を高める戦略への転換が必要であり、コロナ禍によって訪日外客が途絶えている現在は戦略を再考する好機といえる。
    2020年度、本研究PJではインバウンド消費を分析する視点として「ブランド力」「広域・周遊化」「イノベーション」「安全・安心・安堵」を提示した。2021年度は特に「ブランド力」の向上のために、日本人が気づきにくい観光資源の魅力や課題を抽出する施策を検討し、戦略転換の指針を導きたい。

    ・ポストコロナのインバウンド戦略策定を意識した、基礎的分析の継続
    本テーマでは、マーケティングの指標となるインバウンド関係基礎データの整理・推計や、戦略策定に参考となるマイクロデータ分析といった基礎的な分析を継続的に行い、得られた知見をトレンド・ウォッチ等の形で都度発表してきた。2021年度はコロナ禍の影響も取り入れた分析を継続し、コロナ後のインバウンド戦略の策定に資する情報として成果を発信したい。コロナ禍により訪日外客のデータが公表されない期間については、対象を拡大して国内旅行について同様の分析を行う。

     

    研究内容

    2020年度に引き続き、以下の5つの軸でバランスよく進める。

    ①関西基礎統計の整理

    ②マイクロデータによる実証分析

    ③ブランド力指標の開発のための基礎調査、アンケート調査の実施

    ④観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題検討

    ⑤成果の発信、課題共有の「場」作り

     

    <研究体制>

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・教授
    KARAVASILEV Yani  APIR研究員、京都文教大学総合社会学部講師
    郭 秋薇   APIR研究員
    野村 亮輔  APIR研究員

    研究協力者

    道久 聡   国土交通省 近畿運輸局観光部 計画調整官
    岩﨑 靖彦  国土交通省 近畿運輸局観光部 観光企画課 課長
    濱田 浩一  関西観光本部 事務局次長
    中野 裕行  日本旅行業協会 関西事務局長
    筒井 千恵  関西エアポート株式会社 航空営業部 グループリーダー
    TIRTARA Alin  APIRインターン

    オブザーバー

    森本 裕   甲南大学経済学部準教授

    ※必要に応じてDMO、自治体や民間企業等関係者にも参画いただく。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(研究報告書)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、シンポジウム等での情報提供と議論)を予定している。
    また、上記研究成果を「ポストコロナ禍における観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。

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  • 松林 洋一

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    松林 洋一

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 松林 洋一 神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    本研究で基本となる成果物は、テキストデータから推定された景気関連指数(S-APIR指数)である。指数を推定するため、2020年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習を用いる。深層学習のモデルとして、これまでと同様にリカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network、以下RNN)に加え、Google社が開発した最新の学習モデルであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いる。BERTは、RNNのように単語の順序を考慮した上で学習することはせず、文中の全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数の各バージョンを推定するモデルを構築する。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授

    リサーチャー

    関 和広   甲南大学知能情報学部教授
    生田 祐介  大阪産業大学経営学部講師

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。

    景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。具体的に、本研究の成果の一つとして期待できる「単語のデモ・システム」を、ユーザーへ公開する。ユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「東京五輪」という単語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、東京五輪が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の作成と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    APIRでは、前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。
    COVID-19は経済社会活動に大きな影響をもたらし、特に観光産業に大きな打撃を与えた。世界的な感染拡大に伴い、観光消費額は日本人、外国人ともに大きく落ち込んだ。観光消費額に関する統計は「旅行・観光消費動向調査」などがあるが、観光消費額の減少が地域経済にどのような経済波及効果をもたらすか分析した研究は少ない。したがって、2021年度は観光産業に焦点を当て、全国や関西各府県の産業連関表を用いて分析を行う。
    また、昨年度末にかけて地域間表の作成に必要な関西2府8県の「2015年地域産業連関表」がほぼ出そろったことから、「2015年 APIR関西地域間産業連関表(以下2015年表)」の作成を行う。

     

    研究内容

    1)観光庁TSAに基づく観光産業分析のフレームワークの構築
    現在入手できる最新版の全国表である経済産業省「平成29年 延長産業連関表(平成27年基準)」の各産業部門を観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、「観光部門」と「非観光部門」に分割し、他産業と比較した観光産業の特徴を明らかにする。同様に、関西2府8県の「2015年地域産業連関表」を用いて、観光産業の特徴を分析する。
    2)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
    2020年度実施したWEBアンケート結果を基に、府県間の取引関係を示した交易マトリックスを更新する。また、関西2府8県の「2015年地域産業連関表」から統合小分類をベースに産業部門の統合・調整を行い、2015年表の作成を行う。
    3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
    2025年に予定されている大阪・関西万博に向けた交通ネットワークの整備や今後備えるべき災害への対応を始め、関西で課題となっているインフラに関する勉強会を数回程度実施する。

    既存の研究との差異は以下の2点である。
    1つ目は、観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、観光に関連する産業を「観光部門」と「非観光部門」に分割する。観光産業はすそ野が広く、産業連関表の産業分類では観光関連とそれ以外が分かれておらず、分析が粗くなってしまうという問題がある。そのため、観光部門と非観光部門を分けることで、分析の精緻化を図っている。
    2つ目は、分析ツールとしてAPIRが持つ2015年表を用いることである。現存する最新版の関西の地域間産業連関表はAPIRが作成した2011年表のみである。地域間かつ広域で経済活動を把握することができる地域間産業連関表について、年次を2015年に更新したものを用いることで2011年表よりも直近の経済構造を反映でき、より実態に即した分析が可能となると考えられる。
    なお、関西地域間産業連関表の対象地域は広域関西2府8県であり、関西広域連合や関西観光本部の対象地域をカバーしている。これにより関西を広域で捉えた際の経済波及効果等の分析を行うことが可能となる

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、関西学院大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部准教授
    藤原 幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授
    木下 祐輔  APIR調査役兼研究員

     

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会など外部の研究会で報告することを予定している。
    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 守屋 貴司

    インド/アジアの人材活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2020年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    守屋 貴司

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 守屋貴司 立命館大学経営学部教授

     

    研究の背景

    米国の大手IT企業のCEO(グーグル、マイクロソフト等)として多くのインド出身者が活躍している。インド工科大学(IIT)は超難関大学として知られ、卒業生は現地のGAFA関連などの巨大企業の研究所への高度人材供給源となっており、国内起業家の育成にも熱心に取り組んでいる。また、インドを含め、シンガポール、ベトナムなどアジア諸国では、各国とも大学教育(産業界との連携)を含めて、先進的な取り組みを行い、高度人材を、自国の経済発展への繋げる動きが、活発、加速化している。

    そこで、本研究プロジェクトでは、インドを中心に、シンガポール、ベトナムの3カ国に焦点をあて、下記通り検討を進めたい。

    ・優秀な高度人材を育成する環境、教育などに関して、各国の文化、風土を背景とした相違点や共通点を抽出、明確化する。

    ・世界企業が高度人材をどのように生かしているかを明らかにする。

    ・日本企業が積極的に高度人材に目を向けて、企業の成長に活かしていくための課題、高度人材獲得に向けた魅力的な制度、取り組みなどに関して研究会活動を通じて提言を行う。

     

    研究内容

    2020年度は、インド、シンガポールおよびベトナムにおいて上記の目的を達成するために、現地の新型コロナの影響を含めて最新状況の把握を中心に行い、まとめる。

    インドをはじめとする文化・経済の調査・検討

    インド人材の活用に関しては、カースト制などの社会構造制度の理解などが不可欠であり、インドを中心として文化や経済について、人材活用の背景を理解するために調査・検討を行う。

    世界企業の高度人材活用に関する調査・検討

    欧米の大手IT企業がインド/アジア人材をどのように活用しているか、新型コロナの影響を含めて、その実態を調査・検討し、分析を行う。現地の人材コンサルタント、企業駐在員などのWEBヒアリングなども行う。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

    リサーチリーダー

    守屋貴司  APIR上席研究員、立命館大学経営学部教授

    リサーチャー

    安田聡子  関西学院大学商学部教授

    松下奈美子 名古屋産業大学現代ビジネス学部准教授

    宮本和明  HENNGE株式会社 代表取締役副社長

    奥田 智  株式会社をくだ屋技研 代表取締役社長

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    2020年度末に研究会成果報告書を取りまとめ、APIRホームページに掲載する。

    インド/アジアの高度人材活用に関して活用されることを想定している。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2020年 8月25日   第1回研究会開催(オンライン)

    ・2020年 9月14日   第2回研究会開催(オンライン)

    ・2020年10月29日   第3回研究会開催(オンライン)

    ・2020年11月26日   第4回研究会開催(オンライン)

    ・2020年12月17日   第5回研究会開催(オンライン)

    ・2021年 1月29日   第6回研究会開催(オンライン)

    ・2021年 2月12日   第7回研究会開催(オンライン)

    ・2021年 3月12日   第8回研究会開催(オンライン)

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  • 古沢 昌之

    関西の大学・大学院で学ぶ留学生の就職に関する研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2020年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    古沢 昌之

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 古沢昌之 近畿大学経営学部教授

     

    研究目的

    経営のグローバル化が進展する中、企業の人的資源管理においては、多様な人材の登用が求められている。その1つが日本の大学(含む大学院)で学ぶ外国人留学生の活躍である。一方で、日本での就職を希望する外国人留学生の就職決定率は日本人学生のそれよりもいまだ遥かに低く、就職後の定着率に関する問題についてはここ数年間指摘され続けるも、改善には至っていない。かような状況下、本研究プロジェクトでは、企業、大学、留学生それぞれの立場に根差す実態を明らかにし、上記ミスマッチの原因究明を図るとともに、その解決に向けた提言を行う。

     

    研究内容

    2019年度は大学側の状況調査を実施したが、2020年度は留学生、企業側の実態を把握すべく取り組む。制度や取り組みの最新状況一つ一つを留学生、大学、企業3つの角度から分析することで、留学生の認識、大学の支援、企業ニーズの間に生じているギャップをつまびらかとし、深堀した分析から3者のスタンスの違いを踏まえた実効的な提案に繋げていきたい。

    定量的調査(アンケート)と定性的調査(ヒアリング)の両面から分析し、多角的にアプローチする。2019年度の大学側調査では167大学のサンプルを基に大学側から見た様々な課題について整理、分析を実施。2020年度は外国人留学生本人並びに企業への調査を実施し、各視点のギャップを見出すことで研究の深耕と課題解決策の提言を図る。学術と実務両面に対する貢献を果たしたい。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久 研究統括兼数量経済分析センターセンター長、  甲南大学経済学部教授(2021年4月以降、同大学名誉教授)

    リサーチリーダー

    古沢昌之  APIR上席研究員、近畿大学経営学部教授

    リサーチャー

    松川佳洋  広島経済大学経営学部教授

    カオ・ティ・キャン・グェット  関西学院大学経済学部講師(2021年4月以降、京都先端科学大学経済経営学部准教授)

    越村惣次郎  大阪産業経済リサーチ&デザインセンター 主任研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    大学における外国人留学生の就職支援に向けた取り組みの現状と課題、外国人留学生の就職活動を巡る現状と課題等について、報告書に取りまとめる。

    また研究成果を、企業の外国人留学生活用に向けた人的資源管理施策、大学における外国人留学生の就職支援施策、日本の大学で学ぶ外国人留学生の就職活動に活用されたい。

    <研究会の活動>

    研究会

     

    報告書「関西の大学・大学院で学ぶ留学生の就職に関する研究」はこちら

  • 松林 洋一

    テキストデータを利用した新しい景況感指標の開発と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2020年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    松林 洋一

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

     

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータに着目して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    2019年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習(ニューラルネットワークという人間の脳神経回路を模したモデルを構築し、コンピュータに機械学習させること)を、テキストマイニングに用いる。2020年度も、深層学習における推定モデルの一つである、リカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network,以下RNN)を、基本の分析枠組みとする。そうした分析による出力結果が、本年度の研究の出発点となる「S-APIR指数」である。

    ①低コスト・低タイムラグ

    景況感を代理する既存の指数は、CI一致指数や消費者態度指数のように、多大な労力を投入したアンケート調査から構築されて、月次で報じられている。ところで、経済情勢の要因は一カ月単位ではなく、日々刻々と変化している。ある月の景況感指数を見て、結果的に経済情勢が前月と異なることに気付いたとしても、景気の転換局面が“いつ”であったのか、“その時”に気づくことはできない。本研究は、こうした課題を克服するため、「S-APIR指数」という新しい指数を提案する。この指数は2つの特徴を有する。まず、既存の新聞記事から自動的に出力されるため、多くの人員を必要としない(低コスト)。さらに、日次で報じることができるため、日々起こりうる景気の転換局面を把握することが可能となる(低タイムラグ)。

    ②S-APIR指数の評価

    一般に、“景況感そのもの”を表す指標は存在せず、既存のCI一致指数や消費者態度指数は、あくまでも、“景況感らしきもの”を示した代理指標に過ぎない。本研究が提案するS-APIR指数についても、その出力の過程は異なるものの、同様に景況感の代理指標である。このため、S-APIR指数が景況感らしきものを表す指標として、どういった観点から、どの程度信頼できるものなのか、定量的にその特徴を明らかにする。具体的に、S-APIR指数は、様々なデータに対して、常に安定した入出力を繰り返すモデルであるのか、既存の類似する指数と比べてどういった特徴を有しているのか、という点に着目する。

    ③S-APIR指数を用いたマクロ経済分析

    S-APIR指数を利用して、予期せぬイベントの発生によるマクロ経済への影響を把握することを試みる。対象のイベントとして、世界金融危機(2008年9月15日)、東日本大震災(2011年3月11日)、上海株式市場暴落(2016年1月4日)を視野に入れている。これらのイベントへ注目することにより、負のショックに対して消費者や企業がどう反応するかという観点から、「経済の不確実性」の特徴を示す。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

    リサーチリーダー

    松林洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・教授

    リサーチャー

    関 和広  甲南大学知能情報学部准教授

    生田祐介  大阪産業大学経営学部講師

    期待される成果と社会還元のイメージ

    新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。

    「S-APIR指数」を見ることで、消費者にとっての景況感を、より深く知ることができるようになる。まずは、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。

    <研究会の活動>

    研究会

  • 稲田 義久

    インバウンド先進地域としての関西

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2020年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究統括兼数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学経済学部教授

     

    研究目的

    ・インバウンド産業の戦略転換の必要性

    近年急成長してきたインバウンド産業では、訪日外客数の急増を志向する傾向が強いが、需要・供給両面の制約により持続可能な発展が望めない状況にある。こういった量的志向から、訪日外客1人当たりの付加価値を高める戦略への転換が必要であり、コロナ禍によって訪日外客が途絶えている現在はその再考の好機といえる。本研究会が昨年度開催したシンポジウムでは「ブランド力」「広域・周遊化」「イノベーション」の視点でインバウンドを分析する枠組みを提示した。今年度は特に「ブランド力」の向上のために、日本人が気づきにくい観光資源の魅力や課題を抽出する施策を検討したい。

    ・ポストコロナのインバウンド戦略策定を意識した、基礎分析の継続の必要性

    本テーマではマーケティングの指標となるインバウンド関係基礎データの整理・推計や、戦略策定の参考となるマイクロデータ分析といった基礎的な分析を引き続き行っている。そこで得られた知見はトレンド・ウォッチ等の形で都度発表してきた。今年度はコロナ禍の影響も取り入れた基礎的な分析をサーベイ調査などの代替的な方法でも継続し、コロナ後のインバウンド戦略の策定に資する情報として成果を発信したい。

     

    研究内容

    2019年度に引き続き、以下4つの軸でバランスよく進めるが、特に②に重点をおく。

    ①関西基礎統計の整理

    インバウンド関係基礎データ(観光庁公表データ、RESAS等)の整理に加え、2019年度に開発した府県別外客数の月次推計も継続して行う。

    ②マイクロデータによる実証分析

    エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための基礎データの整理及び実証分析を行う。具体的には、訪日外国人客の多面的な移動パターンの分析、宿泊旅行統計調査の個票をもとに、府県別宿泊者数の動態の分析を、それぞれ行う。

    ブランド力指標の開発のためのアンケート調査及びヒアリング調査の実施

    在留外国人へのアンケート調査及びヒアリング調査を行う。在留外国人が日本の魅力をどういった場所に感じているのか、またその理由について調査を行い、日本が従来持っている観光資源のブランド力について指標化し、分析を行う。また、アンケート設計時より外国人研究員及びインターンシップ生からこれまでのインバウンド戦略の課題等をヒアリングすることでこれまでのアンケート調査と差別化も図る。

    観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題を共有する「場」作り

    政策担当官庁、推進組織、民間団体等と、ポストコロナ禍の戦略について議論できる「場」を提供し、分析を通じて得られた解決策を発信する。

     

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学教授

    リサーチャー

    松林洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科長・教授

    KARAVASILEV Yani 京都文教大学総合社会学部講師

    野村亮輔  アジア太平洋研究所 研究員

    郭 秋薇  アジア太平洋研究所 研究員

    研究協力者

    村上進一郎  国土交通省・近畿運輸局観光部 計画調整官

    岩﨑靖彦  国土交通省・近畿運輸局観光部 観光企画課 課長

    濱田浩一  関西観光本部 事務局次長

    都留敦徳  日本旅行業協会 事務局長

    筒井千恵  関西エアポート株式会社 グループリーダー

    ※必要に応じてDMO、自治体や民間企業等関係者にも参画いただく。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(研究報告書)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、シンポジウム等での情報提供と議論)を予定している。

    また、上記研究成果を「ポストコロナ禍における観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2020年10月 8日   第1回研究会開催(オンライン)

    ・2020年11月27日   第2回研究会開催(オンライン)

    ・2021年 1月25日   第3回研究会開催(オンライン)

    ・2021年 3月 4日   オンラインシンポジウム開催  (開催概要はこちら

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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2020年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 高林喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    APIRでは,前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成に取り組んでいる。昨年度の自主研究プロジェクト(関西地域間産業連関表の利活用と2015年表に向けての検討)では、「2011年版APIR関西地域間産業連関表(以下,2011年表)」を暫定版から確定版へと改定するとともに、利活用に重点を置くという趣旨からG20大阪サミットや夏の甲子園開催、大阪・関西万博などを対象に経済波及効果の分析を行った。これらの成果は夏のフォーラムやトレンドウォッチ、『アジア太平洋と関西』等で発表し、これらを通じて地域間産業連関表の有用性を伝えることができた。

    その一方で、対象年である2011年から約10年が経過し、関西経済を取り巻く状況は大きく変化している。インバウンド需要の増大による交流人口の拡大や、交通網整備によるインフラ整備、グローバル・サプライチェーンの進展による貿易構造の変化は関西の経済構造に大きな影響を与えている。そのため、地域間かつ広域で経済活動を把握することができる地域間産業連関表は、今まで以上に関西経済の分析に重要な役割を果たすと考えられる

    産業連関表は通常、5年ごとに更新されるため、次のベンチマークイヤーは2015年である。2011年から15年にかけては,2013年以降のアベノミクスによる景気の好転、14年以降の外国人観光客急増とそれに伴うインバウンド需要の高まりなど、関西経済にとって重要な出来事が多く起こった期間でもある。ただし、関西各府県における2015年産業連関表の公表はまだ一部府県にとどまっているため、2015年を基準年とした作表に着手できるのは、来年度以降となる。そこで2020年度は、2011年APIR関西地域間産業連関表をベンチマークとした、2015年の関西地域間産業連関表延長表(以下、2015年延長表)作成を行うとともに、引き続き2011年表を利用した分析に取り組む。なお、本年度の調査研究で実施するWEBアンケート等の交易マトリックスに関する調査結果は、来年度以降に実施する2015年基準表の作成においても利用することを見込んでいる。

     

    研究内容

    WEBアンケート結果を利用し2015年延長表の作成作業を行うとともに、今後関西地域で開催が予定されている大規模イベント等の経済波及効果の推計について検討する。作業過程で蓄積された知見や分析の成果はトレンドウォッチなどの形で適宜報告を行うとともに、学会などでも対外発表を行いたい。

    1)「2015年 APIR関西地域間産業連関表延長表」作成に向けた基礎調査の実施

    2011年表作成時に実施した調査から得られた課題(サンプルサイズや設問の尋ね方)を踏まえ、WEBアンケート調査を実施する。

     

    2)「2015年 APIR延長関西地域間産業連関表延長表」の作成

    1)で得られたアンケート調査結果を利用し、府県間の取引関係を示した交易マトリックスを更新するとともに、2015年延長表の作成を行う。

     

    3)対外的な成果報告

    メンバーは各々の立場で2011年表を活用した分析結果を報告することを通じて、積極的な対外発信に努める。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、 甲南大学教授

    リサーチリーダー

    高林喜久生  上席研究員、関西学院大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充  日本アプライドリサーチ研究所主任研究員

    下山 朗  奈良県立大学地域創造学部教授

    入江啓彰  近畿大学短期大学部准教授

    藤原幸則  APIR主席研究員

    木下祐輔  APIR調査役・研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    近畿経済産業局「近畿地域産業連関表」は2005年表を最後に作成中止となっており、当研究所の表が関西を対象とする唯一の本格的な産業連関表となる。対象地域は広域関西2府8県で、関西広域連合や関西観光本部の対象地域をカバーしている点も特徴である。また、年次を2015年に更新することで、2011年表よりも直近の経済状況を反映できることから、2015年延長表を活用した分析や対外発表等は非常に価値が高いと考えられる。

    加えて、産業連関表は政策評価を行う上での基礎資料でもあるため、所内の他の自主研究(インバウンド等)とのクロスオーバー、関連する調査を受託することでの外部資金獲得等が期待できる。

    成果物である2015年延長表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会や外部の研究会で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。また、外部資金獲得についても、既に受託している大阪府の調査(新型コロナウイルス感染症に関する大阪経済への影響分析等調査)の中で、産業別の影響を推計した結果を報告するなどして活用している。

     

    <研究会の活動>

    研究会・分科会

  • 藤原 幸則

    「関西のスポーツ産業振興に係る基礎調査報告書」(公益社団法人関西経済連合会委託調査)

    その他の活動・出版物紹介

    その他の活動・出版物紹介 » その他の活動

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    藤原 幸則

    ABSTRACT

    調査内容

    日本では2015年にスポーツ庁が発足し、スポーツの成長産業化に向けた議論が活性化している(スポーツ基本計画策定など)。また、ラグビーワールドカップ2019に加えて、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、ワールドマスターズゲームズ2021関西と、連続で3つの大きなスポーツイベントがあり、ゴールデン・スポーツイヤーズとも称されており、スポーツ産業活性化に向けては絶好の機会が到来している。

    スポーツ産業は、スポーツ用品をはじめとする製造業・商業に限らず、医療・健康、観光、サービス業など幅広い産業分野に関係し、産業横断的に存在していると言える。スポーツ用品の製造・販売だけでは成長に限界があり、スポーツツーリズムなど、異なる産業分野の様々シナジーがスポーツ産業の発展につながる。

    欧州諸国においては、スポーツサテライトアカウント(Sport Satellite Account)が開発され、経済計算に基づきGⅤA(粗付加価値)、雇用者数などのスポーツ産業規模の統計値が推計されている。スポーツサテライトアカウントは、産業分類の中でのスポーツ産業の位置づけや範囲が示され、また国際比較可能であることから、欧州各国のスポーツ産業振興のベンチマークとして活用されている。

    日本全体のスポーツ産業規模の計測については、欧州スポーツサテライトアカウントの方法に準拠し、有識者の協力を得てすでに日本政策投資銀行で行われ、結果が2018年3月に公表されている(日本政策投資銀行地域企画部・同志社大学「わが国スポーツ産業の経済規模推計~日本版スポーツサテライトアカウント~」2018年3月)。

    そこで、本調査では、関西のスポーツ産業の現状と動向について、できる限り最新の情報を織り込みながら、統計データや情報の整理を行うとともに、日本版スポーツサテライトアカウント方法に準拠した関西のスポーツ産業規模の推計を行った。関西のスポーツ産業規模の推計にあたっては、アジア太平洋研究所が独自に作成した「2011年関西地域間産業連関表」(対象:関西2府8県)を利用した。今後、関西地域間産業連関表の改定にあわせ、関西のスポーツ産業規模の推計を継続して行いえることとなる。

     

    調査監修

    稲田義久 アジア太平洋研究所 研究統括兼数量経済分析センター長、 甲南大学経済学部教授

    調査担当

    藤原幸則  アジア太平洋研究所 主席研究員

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