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「日本経済」の検索結果 [ 19/26 ]

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.27 <緩やかな回復局面から踊り場を迎える関西経済 先行きは内外需とも弱含み、成長のカギは企業設備投資>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT
    1. 2015年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と、3期ぶりのマイナス成長となった。内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナス。内需のうち民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。
    2. 足下の関西経済は、緩やかな回復局面から踊り場に移りつつあることを示唆するシグナルが出始めている。家計部門では所得環境の改善が進まず、消費者心理は足踏みが続いている。域外取引は中国経済の減速を契機とした不透明感が強い。企業部門の景況感は改善しつつあり、設備投資計画も積極的な姿勢がうかがえるが、家計や輸出の状況、株価の推移から判断すると、楽観視はできない。
    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+1.4%、16年度+2.0%、新たに17年度+0.7%と予測する。前回予測から15年度0.6%ポイント、16年度0.3%ポイントのいずれも下方修正となった。日本経済予測と同様に、足下の民需と外需の停滞を織り込んだことによる。
    4. 2015-16年度は民間需要、特に企業設備投資が成長を牽引する。しかし15年度は先行きの不透明感から回復のペースは緩慢で、16年度は駆け込み需要を織り込んだ成長である。17年度は反動減が表れるため、民間需要の貢献は小さい。公的需要は、財政制約から大幅な支出拡大は見込めない。外需も、輸出の低調から力強さに欠く。
    5. リスクシナリオ・シミュレーションとして、日本経済予測と同様に、中国経済や新興国経済の低迷により世界貿易の伸びが半減した場合の影響を検討した。結果、関西の実質輸出は1.3%程度減少し、実質GRPは0.5%程度低下する。日本での影響よりも関西での影響が幾分大きい結果となっている。
    6. 2015年度以降の関西経済は、民間企業設備投資の動向に大きく左右される。この点、日銀短観の設備投資計画の「修正率」や、その他アンケート調査統計を見ていくと、関西企業の設備投資に対する積極的姿勢が確認できる。

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  • 稲田 義久

    第105回景気分析と予測<基本回復シナリオに変化なし、景気は一時的な踊り場へ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と3期ぶりのマイナスとなった。CQM最終予測と同じ結果である。アベノミクスが始まった2013年1-3月期以降、10四半期のうち4四半期がマイナス成長である。潜在成長率が低下する中、外的ショックにより成長率はマイナスに陥りやすくなっている。
    2. 4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。一方、純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナスとなった。内需のうち、民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質GDP成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。緩やかに回復していた民間最終消費支出は、結果、消費増税直後の水準をわずか0.2%上回る程度にまで低下した。足下、民間消費は停滞色が濃い。
    3. 4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.0%、16年度+1.8%、新たに17年度を+0.7%と予測する。前回(第104回)予測に比して、15年度を0.7%ポイント大幅に、16年度を0.2%ポイント小幅に下方修正した。
    4. 15年度の下方修正には民間最終消費支出と純輸出の大幅見直しが影響している。基本シナリオとしては、消費増税の影響剥落に加え、実質賃金上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくるため、実質所得増を伴った緩やかな民間消費の回復や企業設備の増加を想定している。しかし、足下雇用者所得の回復は幾分遅れており、世界経済の減速、特に中国経済及び新興国経済の減速が最大の懸念材料となっている。
    5. 16年度は15年度と同じように民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。
    6. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.8%、17年度+2.3%となる。国内企業物価指数は-1.9%、+0.7%、+2.7%となる。GDPデフレータは+1.1%、+0.1%、+1.5%と予測している。16年度のインフレ率は日銀目標の2%に至らない。
    7. リスクシナリオ・シミュレーションとして8月の中国経済をめぐるイベントの影響が深刻化するケースを検討した。実質世界貿易の伸びが半減した場合、日本の実質輸出は1.5%程度減少し、実質GDPは0.3%程度低下する。マイナス成長に陥らない(成長率の天井を高める)ためにも、成長戦略の加速が重要な課題となる。
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  • 前田 正子

    関西における女性就業率の拡大に向けた提言「女性は関西で夢を描けるか?鉄は熱いうちに打て」

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » 関西の成長牽引産業

    RESEARCH LEADER : 
    前田 正子

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 前田正子 甲南大学教授

     

    研究目的

    アベノミクスの成長戦略では女性の活躍が重視されている。今後は少子高齢化で労働力人口が減少し人手不足が予想されており、女性の能力は社会に欠かせない。だが、関西には女性が夢を描いて働ける場があるのだろうか。一方、関西の女性は「できれば働きたくない」という人が多いという説もある。

    能力のある女性が関西で働く場がないのか、それとも女性が働く意欲を失うのは、本人の責任だろうか、親や周りの大人の責任だろうか、それとも企業の責任だろうか。女性の問題は様々だが、今回の調査では特に関西の大卒女性に焦点を当て、高い教育を受けた女性たちが関西に留まり、その能力を地域の職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには、何が必要かを探る。

     

    研究内容

    女性の活用に関しては様々な提言が出ているが、多くのものが、年金や税制改革・保育所整備・柔軟な働き方・仕事の見える化・成果主義といった同じような項目となっているが、例えばそれを個々の企業や職場に具体的にどう導入するかにはまだ壁がある。また、すでに女性を対象とした様々な調査も実施されている。そこでより関西ならではの課題や問題点を明らかにするために、関西の自治体や企業の聞き取りだけでなく、大学卒業時の女性の進路や大学での進路指導なども踏まえ、関西の女性の実態や職場の課題を明らかにする。また企業で働くことだけでなく、女性自らが社会的起業やNPO設立など、求められる社会的ニーズにこたえる仕事づくりが可能かどうかについても検討する。

    そのなかで、関西の女性たちが、その能力を地域や職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには、何が必要かを探る。

     

    リサーチャー

    加藤久和 明治大学教授

    長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員

     

    オブザーバー

    藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐

    森田文子 関西電力 ダイバーシティ推進グループダイバーシティ推進部長

    佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長

    梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長

    宇野優子 関西経済連合会 労働政策部主任

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    報告書をまとめ、高い教育を受けた女性が、その能力を地域の職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには何が必要か、高校・大学での教育、就職先での経験、自体の施策、等それぞれの段階で提案する。報告会も実施し、企業、自治体、大学等に広く発信する。

    高校や大学での女子学生へのキャリア教育を実施する際、企業や自治体での女性育成の際、さらに地域の女性の活性化や地方創生を模索する行政の施策形成に活用されたい。

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  • 稲田 義久

    経済の定点観測と予測

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

     

    研究目的

    企業や政策主体(中央政府及び地方政府)にとって、正確で迅速な景気診断が、各主体の意思決定や政策判断にとって決定的に重要となる。本プロジェクトは、日本経済及び関西経済の高頻度の定点観測とともに、超短期予測モデル(CQM)や四半期マクロ計量モデルを用いてタイムリーで正確な短期経済見通しの提供に加え、刻一刻変化する経済に対する適切なコメントならびに政策評価を行うことを意図している。

     

    研究内容

    1.週次予測

    特徴は、高頻度(超短期)予測がベースにある。よく知られた超短期予測モデル(CQM)の手法を用いて、週次ベースで日米経済に対する超短期予測が週末に行われる。毎翌週の初めに当該四半期の日米経済の成長率予測が発表される。また月末には、週次予測は月次レポートとして整理、要約される。予測結果は、いずれもHPで発表される。

    2.月次経済見通しの作成

    日米経済の月次見通しに加え、関西経済の月次レポート(Kansai Economic Insight Monthly)を所内研究員の協力を経て毎月中旬以降に作成している。また翌月の初旬には関経連向けに『関西経済レポート』を提出している。この作業を通して所内エコノミストの分析力の向上を図っている。

    3.四半期予測と年次予測の四半期改訂

    超短期予測の足下の正確な予測成果を反映し、QE(四半期GDP一次速報値)発表の1週間後に日本経済の四半期予測とともに関西経済の年次予測の四半期改訂が発表される。予測結果や予測改訂は、『景気分析と予測』と『Kansai Economic Insight Quarterly』として発表され、プレスリリリースされる。

    また8月予測では関西2府4県経済の成長率予測がトッピクスとして発表される。これらの成果は関西各府県の早期推計として注目されている。また11月予測を受けて景気討論会を企画している。

     

    リサーチャー

    入江啓彰 近畿大学短期大学部講師

    小川 亮 大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部専任講師

    下田 充 日本アプライドリサーチ主任研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果はHP上で高頻度に提供。プレスリリースを行うことでマスコミに周知。一部成果はマクロモデル研究会やその他学会でも報告予定である。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.26 <2013-14年度の関西2府4県のGDP早期推計結果を公表 14年度は大阪府・京都府が成長に貢献>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT
    1. 2015年5月20日に公表された2015年1-3月期のGDP1次速報によると、実質GDP成長率は前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と、2四半期連続のプラス成長となった。市場コンセンサスを上回る回復となったものの、成長に最も貢献した需要項目は民間在庫品増加で、中身に乏しい結果となった。
    2. 2015年1-3月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを継続している。企業部門については、収益環境の改善から足下の景況感に明るい兆しが見えつつある。特に生産は依然として全国を大きく上回る水準で推移している。また家計部門も緩やかに持ち直しの動きが見られる。域外取引も堅調に推移している。
    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+2.0%、16年度+2.3%と予測する。前回予測から、15年度は修正なし、16年度は0.2%ポイントの上方修正である。
    4. 2015年度は民間需要+1.2%ポイント、外需+0.8%ポイントとそれぞれバランスよく経済成長に貢献する。16年度も民間需要+1.4%ポイント、外需+0.8%ポイントと堅調に成長を下支えする。公的部門の寄与は15年度・16年度とも+0.1%ポイントで、景気に対する寄与は小さい。
    5. 県民経済計算確報が未公表である2013-14年度の実績見通しについて、関西2府4県のGDP早期推計を更新した。推計結果によると13年度+1.39%、14年度+0.10%となった。全国の実績値と比較すると、13年度は全国を下回り、14年度は上回っていたことになる。13年度は2府4県とも前年度比プラスとなり、寄与度でみると成長の大部分を担ったのは大阪府であった。14年度は、前年度比プラスとなったのは大阪府・京都府のみであった。

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  • 稲田 義久

    第104回景気分析と予測

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と2期連続のプラス。市場コンセンサスを上回る回復となった。しかし、2014年度でみると消費増税の影響が大きく実質成長率は-1.0%のマイナスとなり、前回増税時(+0.1%)と比較して大きく下回った。
    2. 1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は+3.0%ポイント増加し2期連続のプラス。一方、純輸出は-0.7%ポイント減少し4期ぶりのマイナスとなった。内需のうち、実質民間在庫品増加は実質GDP成長率を+2.0%ポイント押し上げた。内需の寄与度の2/3が在庫投資であり、これによって成長率が嵩上げされており、中身に乏しい結果となった。
    3. 1-3月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.7%、16年度+2.0%と予測する。14年度のマイナス成長から2%を目指す回復となる。前回(第103回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.1%ポイントそれぞれ下方修正した。
    4. 14年度成長率が小幅下方修正された理由は、純輸出の下方修正による。米国経済の一時的な停滞、中国や新興国経済の不振による輸出の減速と消費増税の影響剥落による輸入の回復が影響している。しかし、民間需要が景気押し上げのメインエンジンとなり、先行き見通しは悪くない。
    5. 15年度は消費増税の影響が剥落することに加え、実質賃金の上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくる。所得増を伴った民間消費の回復や企業設備の増加が期待できる。
    6. 16年度は15年度と同じような民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。
    7. 3月の貿易収支は21カ月ぶりに黒字に転じたが、世界経済の回復が緩やかなものにとどまっていることや原油価格がすでに反転していることから、再び赤字に戻る可能性が高い。旅行収支の改善によりサービス収支の赤字は着実に縮小し、第一次所得収支は安定的に拡大するため、15年度の経常収支は前年度から大幅拡大する。16年度は幾分縮小する。
    8. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+1.2%となる。国内企業物価指数は-1.4%、+1.3%となる。GDPデフレータは+1.8%、0.0%と予測している。原油価格の下落によりインフレ見通しは下方修正されており、15-16年度のインフレは日銀目標の2%に至らない。
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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.25 <緩やかな回復基調にある関西 さらなる力強い成長には好循環の持続が不可欠>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT

    <要 ?旨>

    1. 2014年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%で、3四半期ぶりのプラス成長となった。成長率の内訳は、内需が+1.4%ポイント、純輸出が+0.9%ポイントであった。内需の増加に寄与したのは民間最終消費支出と民間在庫品増加で、これら以外の内需項目は成長に対する貢献がほとんどなく、自律的な力強い回復とは言えない。

    2. 2014年10-12月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを継続している。特に企業部門については、関西は生産・投資計画ともに全国を上回る水準で推移しており、足下の景況感も回復してきている。輸出も堅調に推移している。しかしながら先行きの見通しには不透明感を伴っており、所得環境や雇用環境への大幅改善には至らず、家計部門の動向は全国並みにとどまっている。

    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2014年度-0.4%、15年度+2.0%、16年度+2.1%と予測する。前回から、14年度は0.3%ポイントの下方修正、15年度・16年度はそれぞれ0.2%ポイントずつの上方修正。また県民経済計算確報値の公表に伴い、実績見通しを修正した。

    4. 成長率に対する寄与度をみると、2014年度は民間需要の寄与が-0.8%ポイントと景気押し下げ要因となる。15年度は民間需要+1.0%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.9%ポイントと民間需要と外需がバランスよく経済成長に貢献する。16年度には、民間需要が+1.4%ポイントと景気をけん引する。

    5. 関西を訪れる外国人旅行者の急増とその購入行動に注目が集まっている。シミュレーションによると、訪日外国人旅行者の関西訪問率を40%まで引き上げられれば、関西経済に対して年間約579~4,645億円の効果が期待できる。

    6. 今後の関西経済の回復に着実にするために、企業部門から家計部門への還元とそれに伴う民間消費拡大が重要なポイントとなる。上述の訪日外国人観光客の消費による底上げと、中小企業における賃上げが鍵となろう。

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  • 稲田 義久

    第103回景気分析と予測

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    <予測のハイライト>

    1. GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.6%)と3期ぶりのプラス成長となった。しかし、市場コンセンサスを下回り、緩慢な回復を印象付けた。結果、2014年の実質成長率は+0.0%とかろうじてマイナス成長を免れた。

    2. 2014年の実質GDPの内訳を見れば、民間最終消費支出と民間住宅が前年から大幅減少した。一方、消費増税の影響をあまり受けない純輸出と民間企業設備はそれぞれ実質GDPを押し上げた。2014年は如何に消費増税の影響が大きかったかをこれらは示している。

    3. 10-12月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度-0.9%、15年度+1.9%、16年度+2.1%と予測する。前回(第102回)予測に比して、14年度を0.1%ポイント下方修正、15年度を0.1%ポイント、16年度を0.7%ポイントそれぞれ上方修正した。

    4. 14年度成長率を小幅下方修正した理由は、景気はすでに回復局面に転じたものの足下の回復が緩やかなものにとどまったためである。しかし、先行き見通しは明るい。

    5. 15年度は消費増税の影響が剥落することに加え消費再増税の延期から追加的な税負担は回避されている。また実質賃金の上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくる。所得増を伴った民間消費の回復や企業設備の増加が期待できる。加えて円安の効果が発現することにより、15年度は内需と外需のバランスがとれた回復が期待される。

    6. 16年度は15年度と同じような回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。

    7. 訪日外国人消費の役割が高まっている。円安進行、ビザの大幅緩和や消費税免税制度拡充により、訪日外国人消費は国内消費を下支えている。15年度、16年度もこの傾向が加速されよう。

    8. 消費者物価コア指数インフレ率は2014年度+3.0%、15年度+0.3%、16年度+1.0%となる。国内企業物価指数は+2.7%、-2.1%、+1.2%となる。GDPデフレータは+2.4%、+1.2%、+0.3%と予測している。14年度には3指標ともにデフレ脱却が実現できるが、原油価格の下落によりインフレ見通しは下方修正されており、15-16年度のインフレは目標の2%に至らない。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.24 <関西経済は緩やかな回復基調も、長引く消費増税からの調整>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 木下 祐輔

    ABSTRACT

    関西経済は緩やかな回復基調も、長引く消費増税からの調整(要旨)

    1. GDP1次速報によると、2014年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と2期連続のマイナス成長。市場にとってはネガティブ・サプライズとなり、消費増税の調整が長引いていることを示唆する結果となった。2014年7-9月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを維持しているものの、これまでの見通しを下回り、弱い動きにとどまっている。回復の勢いは力強さに欠き、足踏みしている。

    2. 部門別にみると、企業部門では、停滞する全国と異なりこれまで生産は高水準を維持しており、2014年度の設備投資計画は引き続き積極的である。しかし景況感はやや緩慢な動きとなっており、先行き注意が必要である。家計部門では、4-6月期の反動減から緩やかに回復しているものの、所得の増加は力強さを欠いており、加えてセンチメントは悪化しつつある。

    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2014年度-0.1%、15年度+1.8%、16年度+1.9%と予測する。前回予測結果から、14年度は1.0%ポイントの大幅下方修正、15年度・16年度はそれぞれ0.2%ポイント、0.4%ポイントの上方修正である。14年度は消費増税反動減からの回復の弱さを反映した結果であり、15年度・16年度は消費増税の延期を織り込んだことによる。

    4. 成長率に対する寄与度をみると、2014年度は民間需要の寄与が-1.1%ポイントと景気押し下げ要因となる。外需は+0.9%ポイントと成長を押し上げるが、民需のマイナスを補うことはできない。一方、15年度・16年度は民間需要と外需がバランスよく成長を下支えする。

    5. 今後の関西経済の回復に着実にするために、民間消費拡大が重要なポイントとなる。トピックスでは①訪日外国人観光客の消費による底上げ、②中小企業における賃上げの波及の重要性を分析した。

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  • 稲田 義久

    第102回景気分析と予測<7-9月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度-0.8%、15年度+1.8%、16年度+1.4%と予測>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    予測のハイライト

    1. GDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と2期連続のマイナス成長となった。マーケットにとっては予想外のネガティブサプライズとなり、改めて消費増税の影響の大きさを確認した結果といえよう。景気は1月をピークに後退局面に入った可能性も否定しがたく、実質成長率の2期連続マイナスはそれを示唆するものである。

    2. 7-9月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度-0.8%、15年度+1.8%、16年度+1.4%と予測した。前回(第101回)予測に比して、14年度を1.2%ポイント大幅下方修正、15年度を0.4%ポイント、16年度を0.1%ポイントそれぞれ上方修正した。

    3. 14年度大幅下方修正の最大の理由は、7-9月期の消費増税の影響の大きさを過小に予測したこと。すなわち、民間需要の見通しに対して実績が大幅に下振れた結果である。消費増税後の民間最終消費の回復が緩やかなものにとどまり、民間住宅のマイナス幅も依然大きく、期待された民間企業設備もマイナス成長となった。加えて、民間企業在庫品増加を過大に予測したことにある。

    4. 15年度の上方修正の主要な理由は政策変更である。前回予測では15年10月に消費税再増税を想定したが、今回予測では再増税を2017年4月に延期した。このため消費増税による駆け込み需要とその反動減は15年度には発生しない。16年度の上方修正は年度末に駆け込み需要の影響が出るためである。

    5. 足下原油安と円安・株高が進行している。10円の円安加速は、実質GDPを14年度+0.06%、15年度+0.32%、16年度+0.42%押し上げる。円安はネットで日本経済にプラスの影響をもたらすが、輸出業者と輸入業者、家計と企業とでは異なった影響をもたらすことになる。

    6. 消費再増税は17年4月に延期された。結果、消費者物価コア指数インフレ率は2014年度+3.1%、15年度+1.0%、16年度+1.4%となる。国内企業物価指数は+3.4%、+0.9%、1.2%となる。GDPデフレータは+1.4%、+0.3%、+1.2%と予測している。14年度には3指標ともにデフレ脱却が実現できるが、15-16年度のインフレは2%に至らない。

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  • 稲田 義久

    第23回 関西エコノミックインサイト<全国に比して反動減の影響が軽微な関西経済―回復基調を維持し家計部門と企業部門の好循環を実現できるか―>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 木下 祐輔

    ABSTRACT

    <要 旨>

    1. 関西経済は、消費増税に伴う駆け込み需要からの反動減の影響があったものの、緩やかながら立ち直りの動きを見せており、その足取りは全国よりも順調である。14年4-6月期の経済指標は一時的な停滞を示しているが、先行き7-9月期以降には回復が見込まれている。

    2. 企業部門では、生産活動は、停滞する全国と異なり増産が続いている。また2013年の好況による収益環境の改善を背景に、14年度の設備投資計画は積極的である。関西企業の多くは、消費増税の影響を軽微と見ているようである。しかし家計部門のセンチメントの回復は緩やかであり、所得の伸びもいまだ緩慢である。今後は、足下の回復基調を維持し、家計部門と企業部門の好循環を実現できるかが重要である。

    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2014年度+0.9%、15年度+1.6%、16年度+1.5%と予測する。今回から16年度の予測を追加した。前回予測結果から、14年度は0.1%ポイントの上方修正、15年度は0.2%ポイントの下方修正である。

    4. 成長率に対する寄与度をみると、2014年度は民間需要の寄与が-0.2%ポイントと景気押し下げ要因となる。外需は+0.5%ポイントと成長の牽引役としての役割を果たす。15年度、16年度は民間需要と外需がバランスよく成長を下支えする。

    5. 雇用環境が改善する中、非製造業で人手不足感が高まっている。今後、生産年齢人口が減少していくが、雇用のミスマッチは解消されておらず、6割の企業が人手不足を懸念している。女性を中心とした人手不足の解消が求められる。

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  • 稲田 義久

    第101回景気分析と予測<4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度+0.4%、15年度+1.4%、16年度+1.3%と予測>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    <予測のハイライト>

    1. GDP1次速報値によれば、2014年4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-6.8%と大幅なマイナス成長。消費増税の影響の大きさを確認した結果といえよう。過去の成長率が遡及改定されたため、13年10-12月期は同-0.2%とマイナス成長に、14年1-3月期も同+6.1%へ下方修正された。結果、14年度への成長率の下駄は前回より0.2%ポイント低下した。1-3月期は駆け込み需要の影響で拡大したが、4-6月期はその反動で大幅縮小したため、足下の実質GDPは昨年10-12月の水準を幾分下回っている。

    2. 4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度+0.4%、15年度+1.4%、16年度+1.3%と予測した。前回(第100回)予測に比して、14年度を0.3%ポイント下方修正、15年度を0.2%ポイント上方修正した。16年度は変化なしである。

    3. 14年度予測の下方修正については、(1)成長率の下駄の低下に加え、(2)前回予測で消費増税の影響を小さめに見ていたことが影響している。実質民間需要の寄与度は-0.4%ポイントと前回から0.8%ポイントの下方修正。特に、民間最終消費支出と民間住宅で消費増税の反動は大きく出た。一方、政策効果の後ずれや駆け込み輸入増の剥落で実質公的需要と純輸出はそれぞれ+0.2%ポイント、+0.3%ポイント上方修正され景気底割れ回避の下支えとなっている。

    4. 15年度は10月に再度の消費増税が予定されているが、駆け込み需要もあり景気押し下げ要因は徐々に小さくなり回復基調に向かう。前回予測から民間最終消費支出と民間企業設備について強めの回復を見込んだ結果、民間需要の寄与度は+0.9%ポイントと大きく回復し、純輸出も+0.3%ポイント上昇する。16年度も前年度とほぼ同じような成長パターンとなるが、成長率は幾分低下する。

    5. 2013年度は貿易赤字が加速した年であった。13年4-6月期以降3期連続で拡大した貿易赤字(季節調整値)は、足下14年4-6月期に4期ぶり縮小した。この数年、コモディティー化が進む電気機器産業では、円高期に生産ベースが海外移転する一方で、海外からの輸入が急増している。この背景のため、為替が円安に振れたとしても輸出が伸びにくくなっており、これまでのように純輸出に景気ドライバーの役割は期待薄である。

    6. 消費増税が実現し、予測では来年10月の再増税も想定している。結果、消費者物価コア指数インフレ率は2014年度+3.3%、15年度+1.5%、16年度+1.6%となる。国内企業物価指数は+4.0%、+2.3%、+1.7%となる。GDPデフレータは+1.9%、+0.5%、+1.5%と予測している。14年度には3指標ともにデフレ脱却が実現できる。

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