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「日本経済」の検索結果 [ 18/26 ]

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.35 <緩やかな改善が続く関西経済>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介

    ABSTRACT

    緩やかな改善が続く関西経済

    1.2017年4-6月期実質GDP成長率は前期比年率+4.0%(前期比+1.0%)と6四半期連続のプラスとなった。市場コンセンサスから大幅に上振れた。国内需要の寄与度は前期比年率+5.1%ポイントと3四半期連続のプラス、純輸出は同-1.1%ポイントと6四半期ぶりのマイナス。内需主導型の堅調な回復となった。

    2.2017年4-6月期の関西経済は、緩やかな改善が続いている。家計部門、企業部門ともに持ち直しており、特に企業部門の景況感は先行きも明るい。またこれまで関西では改善が遅れていた所得環境でも、まだ楽観視はできないものの、ようやく上昇の気配が見えてきた。対外部門では、対アジアを中心に輸出輸入とも持ち直してきており、貿易収支は黒字基調が続いている。ただし公的部門は、弱い動きとなっている。

    3.関西の実質GRP成長率を2017年度+1.9%、18年度+1.7%と予測する。前回の予測結果と比較すると、関西経済の足下での底堅さと日本経済予測の上方修正を受けて、17年度+0.5%ポイント、18年度+0.4%ポイントとともに上方修正とした。なお過年度の実績見通しについては、前回予測から大きな修正はない。

    4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、2017年度は民間需要が+1.1%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.7%ポイントと、各項目がバランスよく成長に貢献する。18年度は民間需要+0.9%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.7%ポイントと前年度に比べるとやや内需が減速するが、前年度に続いてバランスの良い成長パターンを見込む。

    5.日本経済予測と比較すると、2015-16年度の回復の立ち遅れから転じて17年度は全国並み、18年度は全国を上回る成長率で推移しよう。内需の寄与は日本経済予測より小幅にとどまるが、外需はアジア向けを中心とした輸出の伸びが旺盛なことと純移出の貢献から、全国よりも寄与が大きくなる。

    6.インバウンド消費の関西経済に対する影響について分析した。訪日外国人消費は2016年の関西GRPを約0.86%、就業者を約1.25%押し上げる効果をもたらした。インバウンド需要は「爆買いから新たな拡張局面へ」移行したといえる。

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  • 稲田 義久

    インバウンド先進地域としての関西

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2017年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

     

    研究目的

    世界に通用する観光圏「関西」形成の必要性:日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。今や、その戦略のステージは、第1フェーズから「インバウンド先進地域としての関西社会をいかに設計していくのか」の第2フェーズにある。昨年度は、持続的経済成長を支える第2フェーズのテーマである「産業化」実現のキラーコンテンツとなり得る「健康」と「観光」を掛け合わせたウェルネス・ツーリズムの可能性について研究した。。

    研究の3つの方向:関西における第2フェーズのインバウンド戦略を検討するにおいて、本年度は以下の3つの軸を中心にバランスよく研究を進める。

    ① 関西基礎統計の整理

    ②マイクロデータによる分析

    ③観光戦略の在り方

    特に研究の中心は、②である。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査個票を用いたマイクロデータの分析である。

     

    研究内容

    <成長戦略立案のための実証分析>

    産業としての「インバウンド・ツーリズム」を確立するために、近畿運輸局などの協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。

    具体的には「訪日外国人消費動向調査」の個票データを用いて、消費品目別の需要関数を推定し、「爆買い」以降のインバウド需要決定の構造的要因を定量的に考察していく。

    <成長戦略立案のための課題の認識>

    政策担当官庁、推進組織、民間団体が認識する「爆買い」以降のマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる場を提供し、その解決策を発信する。

     

    リサーチャー

    大井達雄 和歌山大学観光学部 教授

    松林洋一 アジア太平洋研究所主席研究員、神戸大学教授

    研究協力者

    角谷敬二郎 国土交通省 近畿運輸局観光部 計画調整官

    森 健夫 関西観光本部 事務局長

    濱田浩一 関西観光本部 事務局次長

    角倉洋介 日本旅行業協会 事務局長

    筒井千恵 関西エアポート㈱ グループリーダー

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・関西インバウンド基礎統計の整備

    ・マイクロデータによる分析成果

    ・関西観光戦略の課題の共有化

    ・関西の観光産業の成長戦略の立案

    ・観光ハードとソフトのインフラ整備の選択・集中

    ・DMOのKPIとその検証

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2017年6月13日   キックオフミーティング開催

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  • 稲田 義久

    第112回景気分析と予測<着実な回復を予測するが、リスクは輸出の停滞とインフレの加速>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    着実な回復を予測するが、リスクは輸出の停滞とインフレの加速

    1.GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.2%と5四半期連続のプラスとなった。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査:+1.71%)から上振れた。CQM最終予測は、支出サイドが同+3.4%、生産サイドが同+1.5%、平均同+2.5%であった。実績は支出サイド予測より下振れ、両サイド平均にほぼ等しくなった。

    2.1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比年率+1.5%ポイントと3四半期ぶりのプラス、純輸出は同+0.6%ポイントと3四半期連続のプラスとなった。内需外需バランスよく実質GDP成長率に寄与した。輸出の3四半期連続のプラス、民間最終消費支出の回復、減少が続いていた在庫投資のプラス転換が今回の特徴といえよう。結果、2016年度の実質GDP成長率は+1.3%と2年連続のプラス、名目GDP成長率は+1.2%と5年連続のプラス成長となった。

    3.1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+1.4%、18年度+1.1%と予測する。前回(第111回)予測に比して、17年度は変化なし、18年度-0.1ポイント下方修正となった。予測結果に大きな変更はないが、内容的にはより輸出拡大に支えられた回復である。

    4.この数年、世界貿易の伸びが世界GDPの伸びを下回る状況が続いていたが、2017年以降はこの関係が逆転する。これを予測に反映して、日本の輸出の伸びは前回予測より強めとなった。ただし、米トランプ政権による貿易戦争や深刻な政策ミスがないという条件付きである。

    5.1-3月期に見られた民間最終消費支出の回復は、2017年度はあまり期待できない。雇用者数は増加するが、賃金の伸びが減速することに加えエネルギー価格の上昇から消費者物価が上昇し、結果、実質賃金の伸びがマイナスに転じるためである。着実な回復は18年度となろう。先述した米国発の貿易戦争に加え、消費者物価インフレの加速が回復シナリオにとってリスクとなろう。

    6.原油価格の上昇幅を前回予測から下方修正した。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.7%、18年度+0.8%と予測。前回から下方修正となっている。また国内企業物価指数は+1.9%、+1.0%となる。GDPデフレータは-0.1%、+1.0%と予測している。日銀は4月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+1.4%、18年度+1.7%としているが、この予測実現には困難が伴うと思われる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.34 <停滞を抜けて内外需とも好材料が見られる関西 先行きの力強い改善に期待>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / James Brady / CAO THI KHANH NGUYET / 生田 祐介

    ABSTRACT

    停滞を抜けて内外需とも好材料が見られる関西 先行きの力強い改善に期待

    1.2017年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)となった。5四半期連続のプラス成長で、潜在成長率を超える成長率が続いている。GDP成長率に対する寄与度をみると、国内需要が+1.5%ポイント、外需が+0.6%ポイントとバランスの良い成長となった。特に輸出と消費が成長を牽引した。

    2.2017年1-3月期の関西経済は、内需・外需の両方に好材料が見られはじめ、先行きの力強い改善に期待を持たせる内容となった。家計部門、企業部門ともに持ち直している。対外部門についても、対アジアを中心に輸出輸入とも持ち直してきており、貿易収支は黒字基調が続いている。一方、公的部門は、弱い動きとなっている。また所得環境については、前年割れが続き、全国の伸びと比べて低調である。

    3.関西の実質GRP成長率を2017年度+1.4%、18年度+1.3%と予測する。足下での景気指標の持ち直しの動きを反映して、前回予測から17年度+0.3%ポイント、18年度+0.2%ポイントのそれぞれ上方修正とした。また過年度の実績見通しについては県内GDP早期推計の改定を反映し、15年度は修正なし、16年度は-0.6%ポイントの下方修正とした。

    4.実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度は、2017年度は民間需要が+0.6%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイント、各項目がバランスよく成長に貢献する。18年度も内需外需ともに成長を牽引するパターンが続き、民間需要+0.6%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.6%ポイントと見込む。

    5.日本経済予測と比較すると、関西の成長率自体は全国に近い結果となるが、需要項目の寄与のパターンは異なる。民需は所得環境の回復の動きが緩慢であることから、民間消費の貢献が全国に比べて小さく、公的需要も日本経済予測に比べて小幅にとどまる。一方外需については、アジア向けを中心とした輸出の伸びが旺盛なことと純移出の貢献から、全国よりも寄与が幾分大きくなる。

    6.2015-16年度の県内GDP早期推計を改定した。関西2府4県の実質GRP(生産側)の合計は、2015年度が84.98兆円、16年度が84.80兆円となり、実質成長率では2015年度-0.06%、16年度-0.21%と予測される。全国でプラス成長が続いたのとは異なり、15-16年度の関西経済は、横ばいで停滞したことになる。

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  • 稲田 義久

    第111回景気分析と予測<新推計GDPを反映し成長率予測を上方修正>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    新推計GDPを反映し成長率予測を上方修正

    1.GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDP成長率は前期比年率+1.0%(前期比+0.2%)と4四半期連続のプラスとなった。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)から幾分下振れた。なおCQM最終予測は、支出サイドが前期比年率+1.0%、生産サイドが同+1.3%、平均同+1.1%と、ピンポイントの結果であった。

    2.10-12月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比年率-0.0%ポイントと小幅ながら2四半期連続のマイナス、純輸出は同+1.0%ポイントと2四半期連続のプラスとなった。内需は引き続き低調であるが、輸出の大幅プラスが実質GDP成長率プラスの主要因といえよう。

    3.米国大統領選後から就任式まで続いていた円安・株高の好調な風は幾分変化の兆しを見せている。トランプ大統領のダイナミックな政策対応が今後の国際環境をめぐる見通しの不確実性を強めているからだ。多くの米国経済のベースライン予測にみられるように、政策効果が表れる2018年は17年より成長加速が期待されている。ただし、貿易戦争や深刻な政策ミスがないという条件付きである。

    4.10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は+1.2%、17年度+1.4%、18年度+1.2%と予測する。前回(第110回)予測に比して、16年度0.2%ポイント、17年度0.3%ポイント、18年度0.3ポイント、いずれも上方修正となった。上方修正の主たる理由は、GDP推計方法の変更である。

    5.財政政策として「未来への投資を実現する経済対策」及び第2次補正予算の効果を期待したが、10-12月期の公的固定資本形成は2四半期連続の前期比マイナスとなった。公的需要は17-18年度にわたり景気を下支えしよう。18年度は保守的な当初予算を想定するため影響は幾分減じるが、これまでのパターンからすれば新たな補正予算成立の可能性が高い。

    6.12月のガソリン価格は25カ月ぶりに前年比プラスとなった。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2016年度-0.2%、17年度+0.8%、18年度+1.0%と予測。前回から上方修正となっている。また国内企業物価指数は-2.4%、+1.8%、+1.0%となる。GDPデフレータは-0.1%、-0.1%、+0.8%と予測している。日銀は1月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、16年度-0.2%、17年度+1.5%、18年度+1.7%としているが、この予測実現には困難が伴うと思われる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.33 <岐路に立つ関西経済、持ち直しの動きを持続できるか 内需の好循環で成長を持続しリスクに備えよ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady / CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    岐路に立つ関西経済、持ち直しの動きを持続できるか 内需の好循環で成長を持続しリスクに備えよ

    1.2016年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.0%(前期比+0.2%)となった。市場コンセンサスより下振れたが、APIR超短期予測とほぼ一致する結果であった。在庫循環の進展から在庫品増加がマイナスに寄与したこともあり、国内需要は小幅ながら2四半期連続のマイナスとなったが、輸出の大幅増で外需が下支えした。4期連続のプラス成長で、日本経済は潜在成長率よりも高い成長率で推移している。

    2.2016年10-12月期の関西経済は、緩やかな回復を示した。家計部門は、持ち直しの動きがみられる。消費者心理や百貨店販売額、雇用環境は改善しており、個人消費は底堅く推移している。企業部門も持ち直している。生産は増加基調が続いており、在庫調整が進展している。輸出は対アジアを中心に底打ちしている。

    3.景気の懸念材料として、所得環境の停滞と、企業の景況感の伸び悩みがある。所得環境は2016年下期以降マイナス圏での推移が続いており、これが消費の伸びの足枷となっている。また企業の先行き見通しは諸々の不確実性に伴うリスクからやや消極的となっている。持続的で底堅い景気回復、また諸々のリスクに対する備えのために、所得環境の改善を通じた内需の好循環が必要であろう。

    4.関西の実質GRP成長率を2016年度+0.8%、17年度+1.1%、18年度+1.1%と予測する。前回予測と比較して、2016-17年度はそれぞれ0.2%ポイント、0.3%ポイントの上方修正。足下での輸出の回復から外需の貢献を前回よりも大きく見積った。18年度は民需を上方修正、外需を下方修正した結果、トータルでは修正なしである。

    5.2016年度は民間需要が+0.4%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.2%ポイントで、主に内需が成長を押し上げる。17年度は外需も緩やかに復調し、民間需要+0.4%ポイント、公的需要+0.3%ポイント、外需+0.4%ポイントと、各項目がバランスよく成長に貢献する。18年度には民需の貢献がより大きくなり、民間需要+0.6%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.3%ポイントとなる。

    6.日本経済予測と比較すると、関西の成長率は日本経済予測の結果より下回って推移する。所得環境の回復の動きが緩慢であること等から、民需の伸びが全国に比べて小さいため。公的需要も、日本経済予測に比べて貢献は小さい。外需については、純移出の貢献から、17年度以降は全国よりも寄与が幾分大きくなる。

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  • 稲田 義久

    第110回景気分析と予測<7-9月期純輸出の上振れを反映し成長率予測を上方修正>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    7-9月期純輸出の上振れを反映し成長率予測を上方修正

    1.GDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)と3四半期連続のプラスとなった。実績は市場コンセンサスやCQM予測からから上振れ、ポジティブサプライズとなった。

    2.7-9月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比年率+0.4%ポイントと小幅ながら3四半期連続のプラス、純輸出は同+1.8%ポイントと2四半期ぶりのプラスとなった。純輸出の大幅プラスが実質GDP成長率プラスの主要因である。

    3.国際環境を見れば、BREXITに加えドナルド・トランプ氏の大統領選勝利は、世界経済に新たな不確実性とボラティリティ―をもたらした。トランプ大統領誕生の世界経済に与える影響の度合いは、(1)保護主義のポピュリズム、(2)成長加速のポピュリズムのどちらが、彼の主要なテーマとなるかで決まる。われわれは後者をメインシナリオと考えるが、いずれのテーマの実現にもしばらく時間がかかり、先行き不確実性は極めて高いといえよう。足下、日本経済にとっては円安・株高の好調な風が吹いているが、これがいつまで続くかの見極めが重要である。

    4.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は+1.0%、17年度は+1.1%、18年度は+0.9%と予測する。前回(第109回)予測に比して、16年度0.3%ポイント、17年度0.1%ポイント、いずれも上方修正となった。なお、今回新たに18年度を予測した。16年度は7-9月期の好調な純輸出を反映して前回予測から上方修正した。

    5.財政政策として「未来への投資を実現する経済対策」及び第2次補正予算の効果を考慮した結果、公的需要は16-17年度にわたり景気を下支えする。18年度は保守的な当初予算を想定するため影響は幾分減じる。

    6.足下消費者物価コア指数は前年比マイナスが続いている。これを織り込み、同指数のインフレ率は2016年度-0.4%、17年度+0.5%、18年度+1.0%と予測。国内企業物価指数は-2.7%、+0.4%、+0.3%となる。GDPデフレータは-0.1%、-0.4%、-0.1%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、16年度-0.1%、17年度+1.5%、18年度+1.7%としているが、実現には困難が伴うと思われる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.32 <足下は停滞局面続くも先行きに緩やかな持ち直しの兆し>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady / CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    足下は停滞局面続くも先行きに緩やかな持ち直しの兆し

    1.2016年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)となった。3四半期連続のプラス成長で、事前の市場コンセンサスを大きく上回る結果となった。家計消費をはじめとする国内需要は振るわなかったが、純輸出が高い伸びを示し、GDP成長率を押し上げた。

    2.足下の関西経済は、停滞局面を抜けて、先行きに緩やかな回復の兆しが見られはじめた。家計部門は、弱めの動きとなっている。消費者心理は改善しつつあるが、所得環境は足下で伸び悩んでいる。雇用環境では依然堅調な改善が続いているとはいえ、ペースはやや鈍化傾向にある。一方企業部門は、景況感や生産などで弱い動きから持ち直しの動きが見られる。域外取引では、貿易収支は黒字基調であるものの、輸出と輸入はともに停滞が続いている。

    3.関西の実質GRP成長率を2016年度+0.6%、17年度+0.8%、18年度+1.1%と予測する。前回の予測結果と比較すると、2016年度は小幅の下方修正、17年度は修正なしである。今回から18年度の予測を新たに追加した。

    4.日本経済予測と比較すると、関西の成長率は2016-17年度にかけて日本経済予測の結果より下回って推移すると見込む。所得環境の回復の動きが弱いこと等から民需の伸びは比較的緩慢である。また輸出の停滞から外需の寄与も全国に比べて小さい。一方18年度は、中国経済の復調で外需が伸び、全国よりも高い成長率を見込む。

    5.2016年度は民間需要が+0.4%ポイント、公的需要+0.2%ポイントと内需が成長を押し上げるが、外需は成長に対して寄与しない。17年度は小幅ながら各項目がバランスよく成長に貢献する。18年度は、民間需要+0.5%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.4%ポイントと、民需と外需の貢献が拡大する。

    6.県内GDP早期推計(2014-15年度実績見通し)を改定した。関西2府4県の実質GRP成長率(生産側)は2014年度+0.28%、15年度が-0.09%と予測。一部に堅調な成長を続ける府県があるものの、経済規模の大きい大阪府の景気が振るわないことなどにより、回復軌道になかなか乗れない状況にあったと見込まれる。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.31 <関西経済は弱い基調が定着、先行きも好材料に乏しい>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady / CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    関西経済は弱い基調が定着、先行きも好材料に乏しい
    民需外需は牽引力不足、景気対策の効果も関西では期待薄

    1.4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%(前期比+0.0%)と2四半期連続のプラスとなった。閏年要因を除けば年前半は小幅のプラス成長であり、日本経済は緩やかに回復しているといえる。寄与度を見ると、内需は前期比+1.2%ポイントと2四半期連続のプラスだが、純輸出は同-1.0%ポイントと4四半期ぶりのマイナス。

    2.関西経済は、足下弱い基調が定着しつつあり、かつ先行きも好材料に乏しい。家計部門は、前期から引き続いて弱含んでいる。企業部門は、景況感や生産などで足下では弱い動きが見え始めている。域外取引では、輸出と輸入の失速が続いており、かつマイナス幅が拡大し続けている。

    3.関西の実質GRP成長率を2016年度+0.7%、17年度+0.8%と予測する。前回予測と比較すると、2016年度は0.1%ポイントの下方修正、17年度は0.2%ポイントの上方修正となった。また景気対策の影響の大小の違いにより、関西の成長率は日本経済予測の結果より若干下回って推移すると見込む。

    4.成長に対する寄与度を見ると、2016年度は民間需要が+0.4%ポイントと3年ぶりにプラスに転じる。公的需要も+0.2%ポイント、外需も+0.1%ポイントと小幅ではあるが各項目ともプラスの寄与となる。17年度も、民間需要+0.3%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、外需+0.3%ポイントと各項目ともプラスの寄与となる。しかしいずれも小幅にとどまり、景気を牽引するような力強さには物足りない。

    5.8月2日、政府は新たな景気対策を閣議決定した。民需や外需の牽引力に期待しづらい関西経済において、公的需要が景気を幾分下支えする役割を果たそう。ただし関西では景気対策の影響が限定的となることから、公的需要の寄与は全国に比べると小幅にとどまる。

    6.2015年の関西経済におけるインバウンド需要の影響は歴史的なものであった。(1)訪日外国人消費は2015年の関西GRPを0.76%程度説明している。関西におけるインバウンド・ツーリズムの影響力は年々高まっているが、特に、15年のGRPに対する寄与は前年の1.73倍となっている。(2)就業者についてみると、15年は1.10%程度押し上げたことがわかる。15年の雇用押し上げ効果は前年比1.67倍である。

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  • 稲田 義久

    第109回景気分析と予測<新経済対策を考慮し予測を小幅上方修正>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    新経済対策を考慮し予測を小幅上方修正

    1.GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率+0.2%(前期比+0.0%)と2四半期連続のプラスとなった。実績は市場コンセンサスから幾分下振れた。内閣府は季節調整において閏年調整を行っておらず、その分4-6月期の成長率を押し下げたようである。閏年要因を均せば、年前半2四半期は小幅(1%程度)のプラス成長となり、景気は緩やかな回復といえよう。

    2.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比+1.2%ポイントと2四半期連続のプラスだが、純輸出は同-1.0%ポイントと4四半期ぶりのマイナスとなった。民間最終消費支出と民間住宅が伸び公的固定資本形成も増加する一方で、民間企業設備と輸出が減少したのは懸念材料である。

    3.2015年以降足下まで、財貨・サービス輸出の伸びは前期比プラス・マイナスを繰り返しており、均せば横ばいの動きとなっている。BREXITの影響は当面は限定的だが、今後は一定の影響が出てくる。米国経済の回復は緩やかで、中国経済も低迷から脱出できていない。しばらくは、日本経済にとって輸出市場の回復見込みは薄い。

    4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は前年を幾分下回る+0.7%、17年度は+1.0%と予測する。前回(第108回)予測に比して、16年度0.2%ポイント、17年度0.3%ポイント、いずれも上方修正となった。16年度は純輸出が世界経済の低迷、円高の進行から前回予測から下方修正、一方民間需要と公的需要が上方修正された。民間最終消費支出や民間住宅が幾分回復するが、企業設備が低調で輸出が減少し、成長牽引役が不在の状況となる。

    5.前回予測における財政政策の想定は、消費増税の再延期と補正予算の効果のみであった。今回は新たに経済対策(「未来への投資を実現する経済対策」)の影響を考慮した結果、公的需要は16-17年度にわたり景気を下支えする。純輸出は横ばいだが、民間需要と公的需要が成長を支えるパターンである。

    6.足下消費者物価コア指数は前年比マイナスが続いている。これを織り込み、同指数のインフレ率は2016年度-0.2%、17年度+0.6%と予測。国内企業物価指数は-2.7%、+0.1%となる。GDPデフレータは+0.2%、+0.2%と予測している。日銀は7月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、16年度+0.1%、17年度+1.7%としているが、実現には困難が伴うと思われる。

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  • 後藤 健太

    中所得国の新展開

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方

    RESEARCH LEADER : 
    後藤 健太

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 後藤健太 関西大学教授

     

    研究目的

    戦後の目覚ましい経済成長を通じ、アジアは世界経済の中で着実に存在感を高め、20世紀の終わりには「世界の工場」としてその地位を確立した。しかし21世紀に入ってからのアジアの隆盛を顧みたとき、今日のアジアが世界の工業製品のサプライヤーとしての立場から、消費と投資の側面を中心に、より重要なアクターへと変貌する萌芽的局面に差し掛かっているかのように見える。すでに所得水準で日本を越えてしまったシンガポールについて、そのポジションがアジアはもとより世界の中でも重要となった点はこれまでも言及されてきたことではあるが、中国をはじめマレーシア、タイ、インドネシアやベトナムなどといった「中所得国」がアジアで次々と台頭したことで、アジア域内の経済・ビジネス関係のあり方も一気に多極化・多様化した。こうした変化は、日本経済と企業にとって重要な意味を持つと思われる。つまり、これまで日本が一定のリーダーシップを発揮しながらアジアの国々と関わることで域内の発展を形作ることができた時代から、こうした「中所得国」の出現により、アジア域内でのこれまでのキャッチアップ型の序列、あるいは階層に準じた発展パターンに従わない、多様な発展ダイナミズムが起こりつつあることを示しているのではないだろうか。

    こうしたアジア観を前に、ますます深化する日本経済とアジアとの関係の多極化・多様化に注目し、まずはその現状を関西企業の立場から整理して理解することを試みる。その際、アジアの中でもダイナミックな展開を見せる、上述の「中所得国」に焦点を当てる。また、本研究案件ではさらに関西・アジア中所得国の双方にとってwin-winとなるような発展の可能性を、企業の戦略的な視点およびそれらを取り巻く制度的・環境的な視点から考察する。

     

    研究内容

    まずはアウトバウンド・インバウンドの双方で、現在どのような関係が日本経済・関西企業とアジア中所得国との間で展開しているのかを広くレビュー・分析し、可能であれば何らかの基準・方法で類型化する。

    具体的な研究方法としてはマクロレベルのデータの活用や先行研究の整理も必要に応じて実施するが、特に現在関西でアジアとの関わりを持っている企業や、これから持とうとする企業などへの個別インタビュー調査やフォーカス・グループ・ディスカッションなどを通じて、現場レベルの情報を汲み上げることで課題や可能性を考察する予定である。

    調査対象としては、関西在住の企業を中心とするが、場合によっては東南アジアへの出張調査もありうる(第1回目の研究会で検討予定)。

    東南アジアをはじめ、世界の中所得国についてはこれまで「中所得の罠」といったようなネガティブな観点からとらえたものが多かったが、本研究ではこれらの国々の展開可能性を日本(関西)経済との関係の中でポジティブにとらえなおしてみたい

     

    統括

    林 敏彦 APIR研究統括

    リサーチャー

    小井川広志 関西大学 商学部教授)

    夏田 郁 立命館アジア太平洋大学 国際経営学部准教授)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西経済と中所得国東南アジアとの間で、アウトバウンド・インバウンドの双方でどのような関係が展開しているのかを広くレビュー・分析し、可能であれば何らかの基準・方法で類型化した概説的なレポートの作成を目指す。

    今後の東南アジアとのビジネス関係の構築の際の参考資料となるようにする。

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  • 前田 正子

    関西における女性就業率の拡大に向けた提言

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 人口減少下における関西の成長戦略

    RESEARCH LEADER : 
    前田 正子

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 前田正子 甲南大学教授

     

    研究目的

    関西では、滋賀県と京都府以外の府県で女性の就業率が全国平均より低く、奈良県・大阪府・兵庫県でワースト3を占めている。関西の女性の就業率が全国平均まで高まれば、就業者数約25万人増加し、関西のGRPは約1.5兆円(約1.8%)増加すると、2014年の関西経済白書で分析した。さらに、アベノミクスの成長戦略では、「女性活躍推進」が目標として掲げられている。

    しかし2015年度の本研究会での分析によると、関西は保守的な意識が強く、女性の就業率が全国的に見ても低い一方で、未婚率が高く出生率も低い状況にある。関西から企業の流出とともに正規雇用の場が失われており、大卒女性は関西から流出し、主に首都圏に移動している。さらに、新卒時に正規の職に就けなかった女性は、著しく就業意欲が低く、支援策が講じにくい状況にある。他方で、一度でも正規就労したものの結婚・出産でやむなく離職した女性たちは就業意欲も能力も高い傾向にあり、支援のターゲットとして効果的である。女性の置かれている状況を丁寧に把握し、それぞれに対応する支援策や対策を講じることが必要だと指摘しており、こうした昨年度の分析と提案を深掘りし、地域ごとの状況・意識の違いを分析し、地域別・状況別にみた効果的な対応策を検討する。

     

    研究内容

    意識調査:インタビュー調査を、関西内の複数県の女性を対象に行い、地域ごとの違いを比較するとともに、必要な支援策について深掘りする。

    データ分析:国勢調査の詳細集計や就業構造基本調査を用い、配偶状態・就業状態などについて分析する。

    大阪府(都市部、若年無業女性が多い)、奈良県(周辺部、既婚無業女性が多い)、滋賀県(女性就業率は高いが管理職比率が低い)を取り出して分析することで、日本全体で応用することができる。状況別に課題と対応策を整理し、読者が自分の地域・会社に当てはまるところから取組みを考えることができる。

     

    リサーチャー

    長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員

     

    オブザーバー

    藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐

    佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長

    梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長

    九後順子 阪急電鉄株式会社 経営企画部課長

    高木和彦 滋賀県 商工観光労働部女性活躍推進課課長補佐

    夏原二朗 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進課課長補佐

    幡 恵子 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進係係長

    期待される成果と社会還元のイメージ

    提案を含む報告書をまとめ、HPで公開し、成果報告会を行い、広く発信する。対応策は、昨年度の関西の女性の分類に基づき、地域ごとの課題や意識とクロスさせて提案する。各読者はそれぞれ、表の分類により自社や各自の地域で当てはまるところを見て、それぞれの取組に活かす。

    各自治体の政策立案、各企業・団体での女性活躍推進のための計画・目標策定や女性活躍推進の必要性の理解(男性も含めて)、教育機関でのキャリア教育やインターンシップ、就活指導などの際の参考となる。特に、関西での女性の長期就業に関する意識形成や、人手不足の企業と意欲ある女性のマッチング促進に資する。

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  • 稲田 義久

    経済フォーキャスト

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 経済予測・分析、シミュレーション

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

     

    研究目的

    企業や政策主体(中央政府及び地方政府)にとって、正確で迅速な景気診断が、各主体の意思決定や政策判断にとって決定的に重要となる。本プロジェクトは、日本経済及び関西経済の高頻度の定点観測とともに、超短期予測モデル(CQM)や四半期マクロ計量モデルを用いてタイムリーで正確な短期経済見通しの提供に加え、刻一刻変化する経済に対する適切なコメントならびに政策評価を行うことを意図している。

     

    研究内容

    1. 月次レポートの作成

    経済の月次見通しに加え、関西経済の月次レポート(Kansai Economic Insight Monthly)を所内研究員の協力を経て毎月中旬以降に作成している。また翌月の初旬には関経連向けに『関西経済レポート』を提出している。この作業を通して所内エコノミストの分析力の向上を図っている。

    2. 日本経済予測・関西経済予測の四半期レポートの作成

    超短期予測の足下の正確な予測成果を反映し、QE(四半期GDP一次速報値)発表の1週間後に日本経済の四半期予測とともに関西経済の年次予測の四半期改訂が発表される。予測結果や予測改訂は、『景気分析と予測』と『Kansai Economic Insight Quarterly』として発表され、プレスリリリースされる。

    3. 府県別GRP早期推計と超短期予測

    各府県の県民経済計算確報値が発表され次第、5月予測では関西2府4県経済の成長率予測がアップデートされる。11月には、当該年度の月次指標を基にして超短期予測を行なう。

    4. 関西DSGEモデルの開発と関西GRP四半期QEデータベースの作成

    DSGEモデルの特性を活かし、地域固有の構造的課題の抽出や各種政策シミュレーションを行う。その際、DSGEモデルの実用にあたって考えられる課題に十分配慮する。またこのとき、関西の四半期データが必要になると思われるが、足りないところは線形補間や推定によって補い、必要に応じて新しい関西データの指標を作成する。

    また8月予測では関西2府4県経済の成長率予測がトッピクスとして発表される。これらの成果は関西各府県の早期推計として注目されている。また11月予測を受けて景気討論会を企画している。

     

    リサーチャー

    入江啓彰 近畿大学短期大学部准教授(早期推計、関西モデル、DSGEとデータベース)

    小川 亮 大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部准教授(早期推計、関西モデル)

    下田 充 日本アプライドリサーチ主任研究員(日本モデル、早期推計、関西モデル)

    松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科 教授(DSGEとデータベース)

    岡野光洋 大阪学院大学講師(DSGEとデータベース)

    井田大輔 桃山学院大学経済学部 准教授(DSGEとデータベース)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果はHP上で高頻度に提供。プレスリリースを行うことでマスコミに周知。一部成果はマクロモデル研究会やその他学会でも報告予定である。

    モデルを用いた関西経済の経済予測・構造分析の結果を客観的かつ定量的に示すことで、足元の経済情勢判断の材料として用いることが可能であるとともに、企業の経営戦略や自治体の政策形成を構築するうえでの重要な指針となり、関西経済の現状および構造的特徴を内外において説明する際の貴重な資料となりうる。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.30 <一部明るい兆しもあるが、総じて停滞している関西経済 先行きはリスク要素多く不透明感が強い>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 小川 亮 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1.2016年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.7%(前期比+0.4%)と2四半期ぶりのプラスとなった。内需は+0.9%ポイントと2四半期ぶりのプラス、純輸出は+0.8%ポイントと3四半期連続のプラスとなった。しかし閏年要因を除けば小幅のプラス成長にとどまっており、日本経済の景気の実態は横ばいないし停滞といえる。

    2.関西経済は、一部明るい兆しもあるが、総じて停滞している。家計部門は、弱含みである。雇用環境では堅調な改善が続いているものの、消費者心理、所得、大型小売店販売など弱い動きが目立つようになってきている。企業部門は、景況感については足下減速しており先行き不透明感が強いが、生産の動向や設備投資計画にはやや明るい兆しも見られる。域外取引では、輸出の失速が続いている。同時に輸入も縮小しており、貿易収支は黒字基調である。

    3.関西の実質GRP成長率を2016年度+1.2%、17年度-0.3%と予測する。今回の予測改定では、2013年度までの県民経済計算の公表を受けて、県内GDP早期推計の結果をもとに実績見通しを見直した。前回予測と比較すると、2016年度0.2%ポイントの下方修正、17年度は修正がなかった。

    4.成長に対する寄与度を見ると、16年度は翌年の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要から、民間需要が成長を押し上げる(+0.9%ポイント)。公的需要と外需の寄与はそれぞれ+0.1%ポイント、+0.2%ポイントと小さい。17年度は、消費税率引き上げにより民間需要は-0.6%ポイントと成長を抑制。公的需要と外需の寄与は+0.1%ポイントずつにとどまり、16年度に続き経済成長への影響は僅少である。

    5.今回の標準予測では、2017年4月に消費税率が引き上げられると想定している。しかし6月1日に安部首相は、消費税率引き上げを2年半延期すると表明した。シミュレーション結果によると、増税が延期された場合の実質GRP成長率は16年度+0.8%、17年度+0.6%と見込む。16年度は駆け込み需要が発生しないため成長率は抑制される(-0.4%ポイント)が、17年度は実質所得の増加から民間需要が増加し、成長率は+0.9%ポイント押し上げられる。影響の出方については、関西と全国で大きな差異はない。

    6.県内GDP早期推計を改定した。関西2府4県の実質GRP成長率は2014年度+0.04%、15年度が-0.83%と予測。国のGDPとは異なり、消費税率引き上げのあった2014年度から一年遅れて15年度にマイナス成長となる。

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  • 稲田 義久

    第106回景気分析と予測<民需を中心とするより緩やかな回復パターンへ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. 7-9月期実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-0.8%と2四半期連続のマイナス。同期は市場コンセンサスやCQM予測から下振れたが、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しにより、4-6月期の実質成長率は上方修正された。半期ベースでみると、2014年度後半(10-3月期)の前期比年率+1.5%から15年度前半(4-9月期)同+0.6%へと伸びは大幅に減速しており、景気は踊り場局面といえよう。
    2. 7-9月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-1.2%ポイント減少し3四半期ぶりのマイナス。一方、純輸出は+0.4%ポイントと3四半期ぶりのプラスとなった。4-6月期に大幅減少した民間最終消費支出と財貨サービスの輸出は、7-9月期にそれぞれ増加に転じたが、いずれも前期の落ち込みを回復できていない。また民間企業在庫品増加が在庫調整の進捗で成長率を大きく引き下げたのが今回の特徴である。
    3. 7-9月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+0.8%、16年度+1.5%、17年度を-0.2%と予測する。前回(第105回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.3%ポイント、17年度0.9%ポイント、いずれも下方修正した。
    4. 15年度の成長率の下方修正には、公的需要と純輸出が幾分上方修正されたものの、民間企業設備を中心とする民間需要の下方修正が影響している。先行き不透明感の強さから企業は当初の高い設備投資計画を先送りしているようである。
    5. 16年度については、前回予測より回復がより緩やかなものと見ている。民間需要を中心とする回復パターンとなる。純輸出の改善に加え、年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。今回の下方修正は、消費増税の影響をより厳しく見たためである。
    6. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.9%、17年度+2.2%となる。国内企業物価指数は-2.6%、-0.2%、+2.0%となる。GDPデフレータは+1.7%、0.0%、+1.3%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、コア消費者物価指数の見通しを、16年度+1.4%、17年度+3.1%としているが、実現には困難が伴うと思われる。
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