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「関西経済」の検索結果 [ 14/17 ]

  • 澤 昭裕

    東京一極集中の是正と地域における大学のあり方に関する調査研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » その他調査研究

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    副所長 澤 昭裕

     

    研究目的

    関西経済連合会は、2014年10月に「次期国土形成計画に望む」を取りまとめ、その中で東京一極集中是正のために地方大学が果たす役割の重要性を指摘した。地方における大学の社会的役割を明確化し、その機能を強化していくことが、東京一極集中の是正に寄与すると考えたからである。また、2015年2月の関西財界セミナー第3分科会において、地域における大学の役割について議論し、経済界として検討を深める必要があるとの結論を得た。そこで、関経連・APIR共同で、東京一極集中是正に寄与する地方大学の役割・機能を強化するための方策を調査研究し、その成果を国や自治体、大学に提言することとしたい。

     

    研究内容

    下記の視点に基づき、特徴的な取組を行う地方大学へのヒアリング等を実施して事例調査を行う。並行して研究会で企業・大学メンバーから意見聴取し、各事例から活用できる点や問題点・改善点、提案を取りまとめる。

    〇希望する若者が地域で働ける環境づくり

    〇地方大学の立場を活かした魅力ある高等教育機会の充実

    〇地域に役立つ地方大学のあり方

    〇国・経済界の役割

     

    委員

    寺岡英男 福井大学理事・副学長(教育・学生担当)

    法橋 誠 鳥取大学理事・副学長

    森口佳樹 和歌山大学経済学部教授

    横山俊夫 滋賀大学理事・副学長(社会連携担当)

    畑 正夫 兵庫県立大学地域創造機構教授

    磯 陽太郎 三菱東京UFJ銀行 企画部部長企画部部長

    大野 敬 西日本電信電話 秘書室担当部長

    中村 勝 住友商事 専務執行役員・関西地域担当役員・関西支社長

    柘植洋介 レンゴー 経営企画部長

    堀井孝一 大黒 代表取締役社長兼CEO

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    各地方大学の取り組み、活用できる点、改善点・問題点、企業の声、東京一極集中是正に向けた提案など報告書にとりまとめ公表する。

    各企業は大卒者の採用の参考に、政府・自治体は地方創生にむけた改革の参考にすることができる。大学関係者は、より地域に密着・貢献する大学づくりの参考にすることができる。

    2015年夏頃に閣議決定が予定されている国土形成計画、2015年度内に取りまとめられる広域地方計画への示唆を与える。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.26 <2013-14年度の関西2府4県のGDP早期推計結果を公表 14年度は大阪府・京都府が成長に貢献>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT
    1. 2015年5月20日に公表された2015年1-3月期のGDP1次速報によると、実質GDP成長率は前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と、2四半期連続のプラス成長となった。市場コンセンサスを上回る回復となったものの、成長に最も貢献した需要項目は民間在庫品増加で、中身に乏しい結果となった。
    2. 2015年1-3月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを継続している。企業部門については、収益環境の改善から足下の景況感に明るい兆しが見えつつある。特に生産は依然として全国を大きく上回る水準で推移している。また家計部門も緩やかに持ち直しの動きが見られる。域外取引も堅調に推移している。
    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+2.0%、16年度+2.3%と予測する。前回予測から、15年度は修正なし、16年度は0.2%ポイントの上方修正である。
    4. 2015年度は民間需要+1.2%ポイント、外需+0.8%ポイントとそれぞれバランスよく経済成長に貢献する。16年度も民間需要+1.4%ポイント、外需+0.8%ポイントと堅調に成長を下支えする。公的部門の寄与は15年度・16年度とも+0.1%ポイントで、景気に対する寄与は小さい。
    5. 県民経済計算確報が未公表である2013-14年度の実績見通しについて、関西2府4県のGDP早期推計を更新した。推計結果によると13年度+1.39%、14年度+0.10%となった。全国の実績値と比較すると、13年度は全国を下回り、14年度は上回っていたことになる。13年度は2府4県とも前年度比プラスとなり、寄与度でみると成長の大部分を担ったのは大阪府であった。14年度は、前年度比プラスとなったのは大阪府・京都府のみであった。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.23

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 木下 祐輔

    ABSTRACT

    <要 旨>

    1月の鉱工業生産指数は前月比+5.8%と2カ月連続の上昇。生産の基調は緩やかな回復である。

    2月関西の貿易は、輸出は24カ月連続で前年比増加、輸入は2カ月ぶりに同増加。結果、貿易収支は2カ月連続の赤字となり、赤字幅は同870億円悪化した。

    2月の消費者態度指数は3カ月連続の前月比改善。同月の景気ウォッチャー現状判断DIも3カ月連続の改善。春節もあり訪日外国人消費が改善に寄与。消費者心理に改善の動きがみられる。

    11月(関西2府4県)、12月(関西コア)の現金給与総額の伸びは前月から加速。賃金は上昇基調が続いている。

    1月の大型小売店販売は7カ月連続の前年比プラスで小幅改善を続けているものの、百貨店では前年増税前の駆け込み需要の影響がみられ、減少に転じた。

    1月の新設住宅着工戸数は5カ月連続の前年比大幅減。持家と貸家、分譲が全て減少した。

    1月の有効求人倍率は横ばい。2カ月続いた改善傾向が一服したが、インバウンド需要への対応から卸売・小売業や宿泊業で新規求人が増加。失業率は上昇したが非労働力人口減少と就業者数増加がみられる。

    2月の公共工事請負金額は前年比-18.3%と4カ月連続の大幅減。公共工事受注は引き続き減速している。

    1月の建設工事は前年比+1.4%と33カ月連続の増加も、伸びは10カ月連続で1桁となった。建設工事の伸びは停滞している。

    関空への訪日外客数は大幅な伸びが持続している。2015年1月には、訪日外客数が287,120人(前年比+34.0%)と、24カ月連続で増加。一方、出国日本人は239,090人(同-6.2%)と、13カ月連続の低下となった。

    2月の中国の製造業購買担当者景況指数は、2カ月ぶりに前月から改善したが、2カ月連続で50を下回っている。

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  • 木下 祐輔

    関西の実質賃金上昇は2015年度から

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    木下 祐輔

    ABSTRACT

    APIRが行った最新の経済予測(Kansai Economic Insight Quarterly No.25)によると、2014年度の関西経済の実質GRP(域内総生産)成長率は-0.4%となる見込みである。2014年度は消費増税による物価上昇が実質所得低下を通じて個人消費を低迷させ、大きな成長抑制要因となった。個人消費増加のためには実質賃金が上昇することが必要であるが、果たして今後実質賃金は上昇していくのか。企業収益の好転、人手不足による賃金上昇圧力、非正規雇用者の賃金増加、消費増税の影響剥落、原油価格の大幅下落という5つの点を考えると、関西の実質賃金は2015年度に入って上昇する。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.25 <緩やかな回復基調にある関西 さらなる力強い成長には好循環の持続が不可欠>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT

    <要 ?旨>

    1. 2014年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%で、3四半期ぶりのプラス成長となった。成長率の内訳は、内需が+1.4%ポイント、純輸出が+0.9%ポイントであった。内需の増加に寄与したのは民間最終消費支出と民間在庫品増加で、これら以外の内需項目は成長に対する貢献がほとんどなく、自律的な力強い回復とは言えない。

    2. 2014年10-12月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを継続している。特に企業部門については、関西は生産・投資計画ともに全国を上回る水準で推移しており、足下の景況感も回復してきている。輸出も堅調に推移している。しかしながら先行きの見通しには不透明感を伴っており、所得環境や雇用環境への大幅改善には至らず、家計部門の動向は全国並みにとどまっている。

    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2014年度-0.4%、15年度+2.0%、16年度+2.1%と予測する。前回から、14年度は0.3%ポイントの下方修正、15年度・16年度はそれぞれ0.2%ポイントずつの上方修正。また県民経済計算確報値の公表に伴い、実績見通しを修正した。

    4. 成長率に対する寄与度をみると、2014年度は民間需要の寄与が-0.8%ポイントと景気押し下げ要因となる。15年度は民間需要+1.0%ポイント、公的需要+0.1%ポイント、外需+0.9%ポイントと民間需要と外需がバランスよく経済成長に貢献する。16年度には、民間需要が+1.4%ポイントと景気をけん引する。

    5. 関西を訪れる外国人旅行者の急増とその購入行動に注目が集まっている。シミュレーションによると、訪日外国人旅行者の関西訪問率を40%まで引き上げられれば、関西経済に対して年間約579~4,645億円の効果が期待できる。

    6. 今後の関西経済の回復に着実にするために、企業部門から家計部門への還元とそれに伴う民間消費拡大が重要なポイントとなる。上述の訪日外国人観光客の消費による底上げと、中小企業における賃上げが鍵となろう。

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  • 木下 祐輔

    APIR Commentary No.35<アベノミクスのプラス面を評価せよ>

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    木下 祐輔

    ABSTRACT

    概要

    第47 回衆議院議員総選挙が12 月2 日に公示され、14 日の投開票に向けた選挙戦がスタートした。安倍総理は2015 年10 月に予定されていた消費税率再引き上げを2017 年4 月へ先送りするとともに、この判断の是非について国民の信を問うためとして解散を行った。アベノミクスを継続するか転換するかどうか。党首討論でも繰り返し議論されているように、雇用は重要な判断指標の一つである。本稿では、雇用関連指標を中心に、アベノミクスが関西経済にプラスの効果をもたらしたことを述べる。しかし、その裏では、人材のミスマッチなど労働供給のボトルネックが顕在化している。そのためには女性就業率の向上が必要であり、アベノミクスが目指す女性の労働参加促進による成長率引き上げは関西にこそふさわしいテーマである。

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  • 木下 祐輔

    関西における人手不足

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    木下 祐輔

    ABSTRACT

    2014 年4 月に消費税が5%から8%へと引き上げられたものの、関西の雇用環境は好調である。しかし、非製造業、特に中小企業で人手不足感が高まっている。

    今後、生産年齢人口の大幅な減少によって労働供給不足が起きることで、労働需給のひっ迫が予想されるが、雇用のミスマッチは解消されておらず、6 割の企業が雇用不足を懸念している。中には既に事業へ支障が出ている業種もある。

    関西は全国と比べて女性の就業率が低い府県が多い。ミスマッチの解消とあわせて、女性を中心とした人手不足の解消が必要である。

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  • 岡野 光洋

    新しいマクロ経済モデルの応用試行

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2014年度 » 人口減少・高齢化社会における需要構造の変化

    RESEARCH LEADER : 
    岡野 光洋

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究員 岡野光洋

     

    研究目的

    これまでに構築したモデルを用いてシミュレーションを試行し、関西経済への適用の可能性を探る。

    研究内容

    関西経済の構造的特徴(家計の嗜好、企業の技術構造など)を、パラメータ値の推定によって定量的に捉える。さらにマクロ経済理論をベースとする形で、各種の政策シミュレーションを行うことを可能とする。

    リサーチャー

    松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

    北野重人 神戸大学経済経営研究所教授

    井田大輔 桃山学院大学経済学部准教授

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    理論的に透明度の高いモデルを用いることによって、政策効果の波及メカニズムを、理論に即して追跡することが可能になり、企業・経済団体の方々にも、情勢判断の一助となる。本年度は特に、地方モデルの特性を活かして、地方政府と中央政府を区別する。これによって、国税と地方税を区別して分析することが可能になり、消費税、所得税、法人税といった各種税制の変更が地方経済に与える影響を理論的、定量的に把握できることをめざす。

     

  • 稲田 義久

    第20回 関西エコノミックインサイト<消費増税の影響の表れ方に差はあるか ― 影響の出方の比較:関西vs.全国 ―>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 劉 洋

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  • 稲田 義久

    第19回 関西エコノミックインサイト<足下の好調を持続可能とするために ― 成長戦略の加速による設備投資の拡大が必須―>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    トピックスには「速報性と正確性が両立する県内GDPの早期推計」プロジェクトについて解説し、関西2府4県のGDP予測を示している。

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  • 稲田 義久

    第18回 関西エコノミックインサイト<回復を持続可能とするための成長戦略の早期実現>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    トピックスには「速報性と正確性が両立する県内GDPの早期推計」プロジェクトについて解説し、大阪府、兵庫県、奈良県のGDP予測を示している。

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  • 高林 喜久生

    関西・アジア諸国間の経済連動関係の分析と関西独自景気指標の開発

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生 / 稲田 義久

    ABSTRACT

    研究成果概要

     

    本研究では関西の府県別の変動パターンに着目しました。「国際収支(=輸出-輸入)の地域版」である域際収支(=移出-移入)の関西府県分析からは、あらためて大阪府の重要性が浮き彫りになりました。一方、関西の府県別景気指標の分析によると、シェアが必ずしも大きくない滋賀県や福井県が関西の景気変動にとって重要な位置を占めています。そして韓国が関西の府県に先行していることも注目点です。また、ユニークな景気指標として「段ボール生産」に昨年度着目しましたが、大型小売店販売額等との時差相関係数を分析したところ、関西の消費動向の1 ヶ月の先行指標として利用可能なこともわかりました。詳細はこちら

    目的

    地域ごとの景気変動パターンの独自性が高まっている。この研究プロジェクトは、関西とアジア諸国・諸地域間の経済連動関係を明らかにし、その結果を踏まえて関西景気指標を独自に開発・応用を行うことを目的とする。読者は、このような情報提供を最も必要とする関西の企業・地方自治体を第一に想定する。

    内容

    アジア諸国・地域との経済的な連動関係を数量的に把握する。具体的には、国際地域間産業連関表の作成を行う。その際、常に新たな成長牽引産業を意識する。関西はバランスのよい産業構造を持っているとされるが、リーディング産業が無いという見方もできる。バランスのよい産業構造を生かすには産業間・企業間の連携が必要で、それが新たな成長を生み出すことに繋がると考えられる。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・関西と特定アジア諸国・地域間の国際地域間産業連関表の作成。

    ・景気指標による関西とアジア諸国間の経済連動関係の抽出。

    ・関西景気個別指標(例えば段ボール生産が有望視される)の発見。

    ・関西独自の景気指標の開発と応用・公表。

    これらの研究成果を体系的に整理したものを書籍(「関西経済論」の教科書としても利用可能なもの)としても世に問いたいと考えている。

     

  • 阿部 茂行

    関西企業とアジアの経済統合

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    阿部 茂行

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    阿部 茂行 同志社大学教授

    研究成果概要
    TPPが動き出すことによりアジア大の経済統合が現実味を帯びてきました。もとより「世界の工場」アジアは、デファクトに統合をすすめ、広範囲の生産ネットワークを築いてきたのです。2011年のタイ洪水はそうしたネットワークの中心にあったタイに甚大な被害を与え、世界の自動車・電機電子産業への影響も強いものがありました。このプロジェクトでは、タイ経済の回復過程、そして今後起こりうる変化を分析することにより、今後の経済統合の進展が及ぼす関西企業(ことに中小企業)への影響を考察しました。多国籍企業は人件費等の安さだけで立地決定をしているわけではなく、業種によっては裾野産業が育っていることが重要です。その意味でタイは、関西中小企業に格好の進出機会を与えてくれる、というのが結論です。詳細はこちら

    研究目的
    関西企業の東アジアに進出するモチベーション、技術移転、経済統合への対応、アジアへの貢献等を産業分野別に調査分析し、アジアの枠組みの中で関西経済を見直し、関西経済復権への具体的提言につなげる研究を行う。

    研究内容
    ○専門家、企業人を招いた研究会を開催
    ○関西企業のFTA/EPAに関するヒアリング
    ○タイにおいて現地企業から聞き取り調査を実施
    ○経済統合の進展とともに、どのようにサプライチェーンが構築されたか、今後の経済統合がどのようにサプライチェーンを変質させるか等のデータ分析

    メンバー
    Eric D.Ramstetter (国際東アジア研究センター)
    上田曜子 (同志社大学)
    後藤健太 (関西大学)
    久保彰宏 (富山大学)
    阿部良太 (神戸大学大学院生)

    期待される研究成果
    ・日本・アジアにおける関西企業の立ち位置を統計的に明示
    ・タイ洪水がもたらした生産ネットワークへの被害実態と対策について客観的に評価
    ・アジアにおける産業別生産ネットワークの実態の解明により、今後の方向性とリスク回避方法を探究
    ・日本企業の貢献に関する現地側の評価の明確化
    ・TPP等経済連携についての関西企業の取組み・期待に関するサーベイ
    ・関西経済復権につながる具体的な政策研究

     

  • 小川 一夫

    関西地域の投資戦略

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » 地域発展戦略

    RESEARCH LEADER : 
    小川 一夫

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    小川 一夫 大阪大学教授

    研究成果概要
    本プロジェクトでは、関西企業における高度な技術や専門的な知識を持った外国人財(高度外国人財)の活用状況を調査しました。関西の大学には多くの留学生が学んでいますが、卒業後に関西の企業に就職する割合は高くありません。その原因を明らかにするために、企業と留学生の両方を対象に、共通の質問項目を含むアンケート調査を同時に実施しました。その結果、企業と留学生の間には就業年数にミスマッチがあることがわかりました。一方、企業が期待する能力と留学生が発揮したい能力にはミスマッチは大きくないことから、留学生の定着のためには、多様なニーズを持つ企業と留学生をマッチングさせる仕組みを構築し、外国人にとって快適な生活環境を整備することが必要です。詳細はこちら

    研究目的
    自然災害、円高などの不確実な環境において関西が持続的な発展を維持するには、どのような投資戦略が必要 かを考察する。アジア新興国は高成長を遂げており、その原動力は活発な企業活動にある。このような企業を関西に呼び込むことで、関西における投資の呼び水 となり地域活性化がもたらされることも考えられる。また、留学生が卒業後関西で活躍できる場を提供することにより関西活性化につながることが期待できる。 関西への対内直接投資、人的投資を通して外国人による関西の活性化効果について検討する。

    研究内容
    ○研究者、企業関係者、行政関係者、シンクタンク等をメンバーとするオープンな研究体制
    ○関西への対内直接投資、関西における留学生・外国人労働者に関するデータ収集と分析、留学生・外国人労働者に対する関西活性化に関するアンケート
    ○アジアにおける対内直接投資が活発な地域、海外からの留学生・労働者を活用し活性化を行っている地域の現地調査

    メンバー
    荒井信幸 (和歌山大学)
    松林洋一 (神戸大学)

    期待される研究成果
    ・データ分析から関西における対内直接投資、留学生・外国人労働者の現状を描写し、投資や雇用の阻害要因を明確化
    ・阻害要因を克服し、投資や雇用を促進する戦略の明確化、 戦略の実施による関西経済への効果の定量的情報提供
    ・海外からの直接投資や人的投資による活性化を達成するために必要な民間の取組み、国・自治体による制度・政策対応の提言

     

  • 藤川 清史

    関西地域と広義の環境技術

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    藤川 清史 名古屋大学教授

    研究成果概要
    本研究で注目したのは、(1)都市の低炭素化と(2)ゴミの減量化です。(1)については、電気自動車の使用促進、スマートグリッドの導入、中小企業の省エネ投資を対象にしました。省エネ投資は需要増加の側面があることの広報、また中小企業に対しては各種補助制度の広報や周知が重要であることが確認されました。(2)については、食品工業・外食産業の食品廃棄物および畜産廃棄物からのメタンガス抽出(リサイクル)を対象にしました。このリサイクルを促進するためには、リサイクル施設の集約化および地方公共団体によるゴミ処理費用の「引き上げ」によって、リサイクル費用を相対的に低下させることが重要であると確認されました。詳細はこちら

    研究目的
    ○新環境政策の導入によって、関西の人々のライフスタイルやエネルギー消費行動がどのように変化し、それによりどのような新ビジネスの創造が可能であるかを探る。
    ○関西企業が環境配慮型のビジネスモデルを導入した場合、各産業部門の環境負荷構造がどのように変化し、またそれがどのような新ビジネスを創造するのかを検討する。

    研究内容
    ○市場を利用した環境政策(炭素税、固定価格買取制度、排出権取引)の導入による家計の負担上昇を把握し、不公平感が生じないような制度設計を提案する。また、エネルギー価格の上昇などマクロ経済への影響も検討する。
    ○国内CDMや国内REDDの推進によるPES(生態系への支払い)としての林業支援の可能性、食物残渣や畜産廃棄物の資源化による省資源・省エネ効果、耕作放棄地の発電施設としての利用による農家支援等の経済効果を分析する。
    ○エスコ事業などの事例を取り上げ、サービサイジング・ビジネスの省資源・省エネ効果を分析する。
    ○スマートグリッド関連設備投資の経済効果を検討する。

    メンバー
    楠部孝誠 (石川県立大学)
    下田 充 (日本アプライドリサーチ研究所)
    藤本高志 (大阪経済大学)
    松岡憲司 (龍谷大学)
    吉田 登 (和歌山大学)

    期待される研究成果
    アジア太平洋研究所研究資料「環境技術と関西経済」としてまとめ、幅広く発信

    研究成果
    7月27日に第4回研究会を開催しました。
    6月8日に第3回研究会を開催しました。
    5月18日に第2回研究会を開催しました。
    4月24日に第1回研究会を開催しました。

     

  • 小田 章

    関西における観光イノベーションモデルの構築

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    小田 章 和歌山大学名誉教授

    研究成果概要
    本研究のねらいは、関西における観光振興に資するTIMを構築し、経済の活性化を図ることにあります。そのためには、国内外の観光客を関西に集客することが肝要となります。
    ?本研究の成果としてのTIMは次のようなものといえます。(1)日本の魅力再発見、(2)観光の戦略性と推進体制の強化、(3)広報力の強化、(4)多様なツーリズムの開発、(5)インフラ整備、(6)ツーリズム・コミュニティー構想、(7)関西観光教育機構構想、です。これらのTIMの実現こそが、関西の観光振興につながり、引いては関西経済に大きな活力を生むことになると確信しています。詳細はこちら

    研究目的
    観光立国を実現するため、わが国の観光産業がなぜ世界の観光先進国の後塵を拝しているかについて、観光先進国との比較を行いながら分析し、関西に焦点を絞り観光振興イノベーションモデルを構築する。

    研究内容
    ○観光先進国、国内の観光先進地域における取組み及び特質の解明を、現地調査を含め実施
    ○観光に関して日本人と外国人の考え方や価値観等についてのアンケート・ヒアリング
    ○わが国の観光分野の問題点を明らかにし強み・弱みを分析
    ○観光先進国の取組みから何を導入すべきか(新たなものを産み出すことを前提に)を検討
    ○日本版観光イノベーションモデルの構築

    メンバー
    川端保至 (和歌山大学)
    戸塚敦子 (前和歌山大学)
    吉田順一 (大阪府立大学)
    林 健太 (甲南大学)
    三吉麻里子

    期待される研究成果
    ・観光施策や観光啓発等のあり方の提示
    ・わが国の観光事業への対応や内在する課題等の克服
    ・日本版観光イノベーションモデルによる観光関連企業、観光ビジネス従事者、官公庁、教育機関等への有意な情報提供

     

  • -

    関西エコノミックインサイト 第13号(2012年2月28日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授
    研究協力:近畿大学世界経済研究所入江啓彰助教)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。アジア太平洋研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第13号(2012年2月)の概要は以下の通りです。

    1.大震災による供給制約が解消され、回復基調にあった関西経済は、足下、円高の長期化や海外経済の減速などの影響が色濃くなっている。家計消費な ど一部に底堅い動きが見られるものの、輸出は大幅に減少し、生産は全国と比べても落ち込みが大きい。加えて火力発電増強による燃料輸入増加により関西の1 月の貿易収支は過去最大の赤字となった。

    2.震災以降の化石燃料の輸入量は、石炭を除いて、原油及び粗油、液化天然ガスはいずれも前年比増加した。しかし、全国の原油及び粗油の輸入数量は減少しており、関西とは異なる動きとなった。関西の原発依存度の高さを反映しており、今夏の電力需給の厳しさが予想される。

    3.関西の実質GRP成長率を2011年度-0.2%、12年度+0.7%、13年度+1.9%と予測する。今回の予測では、主要自治体の2012 年度当初予算案等を基にした政府支出見通しの改訂と足下の輸出減等を反映し、前回予測から2011年度0.6%ポイント、12年度0.7%ポイントの下方 修正とした。2013年度は1.0%ポイントの上方修正である。

    4.標準予測に対する下振れリスクとして世界経済の停滞が懸念される。EU発の金融危機が世界経済に伝播した場合、関西の実質GRPは2012年度 に1.11%、2013年度に1.04%標準予測より減少する。これは輸出の減少に加え国内他地域の経済の停滞の影響が大きい。

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    地域金融研究会報告書を取りまとめました。

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    地域金融研究会(主査 地主敏樹 神戸大学経済学部教授)では、地域金融研究会では、大阪中心に金融仲介機能が低 下しているのではないか、という問題意識のもと、2010年12月から約1年間にわたり合計8回の研究会を実施し、「関西圏における中小企業向けの金融」 に焦点をあてて、調査・分析を行いました。
    この報告書では、供給側と需要側、双方の問題点を検討しており、今後の関西経済の金融円滑化に役立つものと考えています。

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    関西エコノミックインサイト 第12号(2011年11月28日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授
    研究協力:近畿大学世界経済研究所入江啓彰助教)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。関西社会経済研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第12号(2011年11月)の概要は以下の通りです。

    1.前回予測に比して関西経済の景況は改善しておらず、回復と停滞を示す指標が混在している。電力供給問題やタイの洪水など、期待されていた急速な回復を抑制する要因の増加が先行きの見方を不透明なものとしている。企業や家計は先行きを慎重に見ている。

    2.足下、輸出は2ヵ月連続で減少しており、景気のダウンサイドリスクが高まっている。電気機器においては、関西とタイで中間財を中心とするサプライチェーンが形成されており、タイ洪水影響の長期化は今後の関西経済にとって懸念材料である。

    3.冬季の家庭の電力需要は全体の4割程度と夏季よりも1割程度高く、エアコンのスマートな使い方などによる家庭の節電の役割が大きい。関西広域連 合・自治体等には、効果的な連携により家庭・産業部門の節電を促進して今冬を乗り切る、という広域的課題への対応力が問われる。

    4.日本経済の最新予測と上述したダウンサイドリスクを反映し、関西の実質GRP成長率を2011年度+0.4%、2012年度+1.4%、 2013年度+0.9%と予測した。2011年度は足下の景気減速を反映して0.4%ポイントの下方修正。2012年度は前回予測から変化なし。成長率寄 与度をみると、民需が関西経済の成長を牽引する一方、外需の貢献は前回予測より比較的小幅となる。

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  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年11月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    企業誘致を考える
    ?パナソニック尼崎工場の生産計画撤回を受けて

    先ごろ、パナソニックのプラズマパネル尼崎工場の生産計画の撤回が発表され、多方面で大きな衝撃を持って受け止められた。このパナソニックの決断は、企業誘致について多くのことを考えさせるものであった。
    第1に、企業の意思決定は極めて早くてドラスティックであることである。今回の件では、企業にとってはスピードが命であることを改めて思い知らされた。生産計画の中止や工場の処分は大きな損失を伴うが判断を少しでも遅らせればより巨額の損失が予想されたからである。
    第2に、プラズマパネルの最新鋭工場である第3工場の生産中止とともに、太陽電池の生産計画の撤回も明らかにされたことに関してである。プラズマパネル については、これほど早い撤退は予想できなかったとはいえ、近い将来、後続選手へのバトンタッチが必要と見られていた。新産業として有望視されていた電池 生産の撤退の方が長期的な影響は深刻といえるかもしれない。製造業拠点としての大阪湾岸も「パネルベイからバッテリーベイへ」と期待されていたのに黄色信 号がともったのだ。
    第3に、自治体や地域経済も経済のグローバル化の影響をストレートに受けることをあらためて示したことである。今回のパナソニックの決断の背景には、円 高や中国メーカーとの競争激化によるパネル価格の下落で事業採算が悪化したこと、太陽電池の最大市場である欧州各国が財政危機で補助金による普及策を縮小 したことの影響があった。いまや自治体の財政や地域経済は否応なしに世界経済の動向と直接にリンクしているのだ。
    今後、自治体や地域は企業誘致政策とどのように向かい合っていけばよいのだろうか。まず、確認しておきたいことは、雇用や需要を生む企業誘致が有力な地 域活性化策であることに変わりはないことである。しかし、今回の件は、撤退等の場合に備えての自治体側のリスク管理も重要であることを示した。
    企業誘致の自治体間競争も限界に来ている。他の自治体も同様の誘致策で対抗し、とくに補助金などのインセンティブ政策では大きな差がつかないからだ。パ ナソニック尼崎工場の誘致においても県・市挙げてのワンストップサービス(窓口の一元化)の実施が決め手になったと思う。自治体に企業誘致に関するアン ケートをとると最大の課題は他の自治体との競争が激しいということが突出している(下図)。
    グローバル化の波を特定の自治体・地域で受け止めることには限界がある。企業誘致も今までのように個別自治体ベースではなく、関西広域で対応すべきとい える。関西広域で戦略を練り、個別自治体の利害を調整する。関西全体として国内や海外の他地域と競争する。その方が自治体同士の過当な競争も減るし、リス クにもふところ深く対応できると考えるのだ。

    注)関西社会経済研究所が関西2府4県4政令市に対して実施した「企業誘致方針 と具体的な企業誘致関連事業に関するウエブアンケート調査」(2010年5月)に基づき、自治体の「生産拠点及び研究開発拠点の誘致を含む事業(37事 業)」ついて、事業推進に当たっての課題についての回答結果をとりまとめたもの。
    出所)2010年版「関西経済白書」p.116
    [高林喜久生 マクロ経済分析プロジェクト主査 関西学院大学]

    日本
    10-12月期日本経済は一時的な踊り場へ

    11月14日発表のGDP1次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.0%となった。4期ぶりのプラス成長となり、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査:前期比年率5.82%)とほぼ同じ結果となった。
    超短期モデルの(支出サイドモデルと主成分分析モデル)の最終週(11月8日)における平均成長率予測は同+5.9%であり市場コンセンサスとほぼ同じ であった。うち、支出サイドモデル予測は同+6.0%、一方、主成分分析モデル予測は同+5.9%。重視している支出サイドモデルの予測値は実績と同じピ ンポイントの結果となった。
    超短期モデルの予測動態を見れば、7-9月期の基礎月次データが発表されない7月初旬の段階では+2%台半ばを予測していたが、7月のデータが更新され る8月の初旬には5%台の高成長を予測した。7-8月のデータが出そろう9月初旬には6%近くの高成長を予測し、以降安定的に高成長を予測した。
    7-9月期の実質GDP成長率を最も引き上げたのは純輸出であった。純輸出の寄与度(年率ベース)は+1.7%ポイントと5期ぶりのプラスとなった。一 方、内需の寄与度も+4.2%ポイントと2期連続のプラス。特に、民需である民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、民間在庫品増減がいずれも成長に 貢献した。
    11月15日の(支出サイドモデルによる)予測では、7-9月期GDP1次速報値と一部の10月データが更新されている。10-12月期の実質GDP成 長率は、内需は小幅縮小するが、純輸出は引き続き拡大するため前期比+0.2%、同年率+0.9%と予測する。日本経済は7-9月期の高成長から一時的な 踊り場へと局面を移すことになろう。2012年1-3月期の実質GDP成長率は、純輸出は横ばいとなるが内需が小幅拡大するため、前期比+0.6%、同年 率+2.5%と予測する。この結果、2011暦年の実質GDP成長率は-0.2%と小幅のマイナス成長にとどまろう。また2011年度は+0.5%と予測 する。
    10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.2%へと減速する。実質民間住宅は同+2.1%増加、実質民間企業設備は同 -1.3%減少する。実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同+0.6%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期 比+0.2%)に対する寄与度は-0.1%ポイントとマイナスの寄与となる。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同+1.7%と減速し、実質輸入は同-0.8%減少する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は+0.4%ポイントと引き続き景気を押し上げる。
    以上のように超短期予測は10-12月期を一時的な踊り場局面と見るが、この見方を修正する2つのリスクが考えられる。欧州債務問題と第3次補正の執行の遅れである。

    [稲田義久 KISER所長・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]
    米国

    未だ悲観的なメッセージを送り続けるバーナンキ連銀議長

    グラフに見るように、景気は10月はじめから回復をしており、11月11日の超短期予測では今期(10-12月期)の実質GDP伸び率が+3.1%にま で達していることが示されている。その他の実質アグリゲート指標(総需要、国内需要、最終需要)も同じように10月はじめから上昇トレンドにあり、それら の成長率はいずれも2%?3%の範囲となっている。インフレ、デフレへの懸念は全くなく、ヘッドラインインフレ、コアインフレも1%?2%の範囲にある。 米国経済は堅調な回復を示している。
    しかし、バーナンキFRB議長は未だ悲観的なメッセージを市場・人々に送り、異常なゼロ金利政策の維持、更なる量的金融緩和の正当性を求めようとしてい る。11月10日のテキサス郊外の米軍基地におけるタウンホールミーティングでバーナンキFRB議長は次のように言っている。「FRBは失業率を引き下げ ることに専念する。欧州財政危機がグローバルな経済ショックになる可能性がある」、また「多くの人々が今のリセッションが永久に終わらないと感じているこ とを私は知っている」と。バーナンキFRB議長は今の失業の多くが彼の言うような循環的なものではなく構造的なものであることを認めるべきである。実際に 求人数の水準は今ではリセッション前の水準にまで戻っているが、求人と職を求める人々の間でのミスマッチが非常に多い。
    FRB議長に求められているのはマスメディアのような欧州財政危機のグローバル危機への発展予測・懸念ではなく、米国がそれを避けるために何をしている か、また欧州危機の米国経済への影響をどのように最小にすべきかの話である。バーナンキ議長自ら、今のリセッションが永久に続くと言う感覚を示せば、彼は いままで何をしてきたのだろうかと市場・人々は思う。市場がFRBへの信頼性を失うことは間違いない。政策当局者にとって大事なことはリセッションや金融 危機を予測することではなく、それらを避け、経済を望ましい状況にもっていくことである。その為には、正確に経済動向を分析し、できるだけポジティブな メッセージを市場・人々に送ることである。実際、米経済の回復は堅調になっているが、FRBはこれを見逃している。経済政策当局者は”Pessimism Never solves any problem”と言うことを忘れてはならない。

    [ 熊坂有三 ITエコノミー]