研究成果

research

緊急事態宣言再発令の関西経済への影響 -高頻度・ビッグデータを用いた振り返りと分析-

Abstract

政府は2021年1月7日に1都3県に対して緊急事態宣言を再発令した。当初、対象地域のGDPシェアは33.2%であったが、1月13日には7府県が加えられたことで、シェアは約60%に拡大した。ほとんどの大都市圏が含まれたことから、経済全体への影響は深刻度を増している。関西でも大阪府、京都府、兵庫県がその対象となっており、経済的な影響が懸念されている。
そこで、本稿では、高頻度・ビッグデータを用いて緊急事態宣言の経済的影響を振り返り、そこで得られた知見をもとに、今回の緊急事態宣言再発令が関西経済に与える影響を分析した。結果は以下のように要約できる。

 

1. 緊急事態宣言により、人々は行動変容を迫られた。日次ベースの消費支出額は、4月7日以降前年比マイナス幅が拡大し、5月初旬を底として緩やかに縮小した。カテゴリー別では、半耐久財やサービスへの支出が大きく減少する一方、非耐久財や耐久財では増加がみられた。

 

2. 人流(経済活動)への影響では、前回は小売店・娯楽施設、公共交通機関、職場で人出が大きく減少した。一方、食料品店・薬局は大幅な減少は見られなかった。今回と前回を比べると、今回の方が公共交通機関、小売店・娯楽施設、職場で人出の戻りが観察できる。

 

3. 前回宣言時の経験と足下の人流の動向を踏まえ、緊急事態宣言再発令による家計消費減少額を試算した。基本ケース(1月14日~2月7日)では、今回緊急事態宣言の対象である大阪府・兵庫県・京都府の2府1県の消費減少額は1,858億円。関西2府4県では2,233億円となり、2020年度関西2府4県の名目GRPを0.3%程度追加的に引き下げることとなる。

 

4. 今回の再発令が経済に与える影響(基本ケース)は前回の4分の1強とみられる。しかし、コロナ禍によりサービス業を中心に弱い動きが続いている中、関西経済にとって大きな下押し圧力となる。結果、コロナ禍からの回復過程に水を差すことになろう。

本文

はじめに

APIRの最新の予測(第131回)によれば、実質GDPがコロナ禍以前の水準(2019年10-12月期)に戻るのは22年4-6月期、コロナ禍以前のピーク(19年7-9月期)に戻るのは23年以降とみている。図表0-1は日本経済の回復パターンを示したものであるが、このベースライン予測には今回の緊急事態宣言再発令によるマイナスの影響は反映されていない。

 

 

本稿の目的は、高頻度・ビッグデータを用いて緊急事態宣言の経済的影響を振り返り、そこで得られた知見をもとに、今回の緊急事態宣言再発令の関西経済に与える影響を分析することにある。

昨年4月7日~5月25日において、COVID-19感染拡大を防遏するために緊急事態宣言が発令された。それは、感染拡大をおさえるため経済成長を犠牲にするという壮大な社会実験といえよう。その実験結果及びその後のデータは、高頻度・ビッグデータの形で利用可能となっている。具体的には、家計消費や人流の日次データである。これらを用いて、緊急事態宣言の影響を詳細に分析し、そこから含意を得ようというものである。

以下、本稿は次のような構成をとる。1.では緊急事態宣言をめぐる chronology を確認しながら、緊急事態宣言による家計消費と人流に対する影響を日次ベースのデータを用いて確認する。2.では緊急事態宣言により家計がどの程度不要不急消費を削減したかを推計する。3.では 2.で得られた知見をもとに、今回の緊急事態宣言再発令の関西経済へ影響を分析する。

1. 緊急事態宣言による家計消費及び人流への影響

本節では前回発令された緊急事態宣言(2020年4月7日~5月25日)に関する chronology を整理しその経済的影響を振り返る。本稿の特徴は高頻度データ及びビッグデータを用いて緊急事態宣言の影響を明らかにすることにある。具体的に使用するデータは、総務省『家計調査』の日別消費支出と Google 社「コミュニティ モビリティ レポート」の人流データであり、いずれも日次ベースのデータである。

1-1. 緊急事態宣言を巡る chronology

図表1-1-1は、2度に渡る緊急事態宣言の経過を chronology 風に整理し、あわせて緊急事態宣言対象地域の経済規模を示したものである。

2020年4月7日に7都府県に対し緊急事態宣言が発令され、対象地域の域内総生産(GRP)の国内総生産(GDP)に占めるシェアは47.6%であった。16日には全都道府県に対し発令されたことで影響が拡大し(GDPシェア:100%)、5月4日には緊急事態宣言期間が5月末まで延長された。14日に政府は感染状況が落ち着いている39県の緊急事態宣言をまず解除した。これにより対象地域は8都道府県となり、GDPシェアは49.5%まで低下した。更に21日に京都府、大阪府、兵庫県が解除され(GDPシェア:36.6%)、25日には全国的に解除された。

前回の緊急事態宣言解除から約半年経った2020年11月以降、COVID-19の感染再拡大(第3波)を受け、政府は21年1月7日に1都3県に対して緊急事態宣言を再発令した。当初、対象地域のGDPシェアは33.2%であったが、13日には7府県が加えられたことで、シェアは約60%に拡大した。ほとんどの大都市圏が含まれたことから、経済全体への影響は深刻度を増している。

 

 

前回と今回の緊急事態宣言では、対象地域のみならず、制限の内容にも違いがある(図表1-1-2)。具体的には、休校措置は前回小中高に対して行われたが、今回は行われない。また、休業要請について、前回は遊興施設、運動・遊戯施設、劇場、商業施設などに対して行われた。しかし、今回は施設に対する休業要請は行われておらず、営業時間の短縮要請が中心となっている。

 

1-2. 緊急事態宣言の経済的影響:日次データでみた消費の動態

以下では昨年の緊急事態宣言期間及びその後の消費動態を日次ベースで確認する。図表1-2-1は総務省の『家計調査』の品目分類による日別支出(二人以上世帯、7日移動平均)の前年比の推移を示している。緊急事態宣言(4月7日~5月25日)により、人々は行動変容を迫られた。4月7日以降マイナス幅は拡大し、5月初旬を底として以降緩やかにマイナス幅は縮小していった。

 

 

次に図表1-2-2ではカテゴリー別の財・サービス支出の前年比の推移を示している。緊急事態宣言期間では、衣服やカバンなどの半耐久財やサービスの伸びが大きく減少していることがわかる。

一方、飲食料品などの非耐久財は内食需要などからプラスで推移しており、耐久財についてはテレワーク拡大によるパソコン需要や巣ごもり消費によるTV需要の高まりがみられる。また特別定額給付金支給の影響もあり、6月に入り支出全般が回復する局面がみられる。

 

 

1-3. 緊急事態宣言の経済的影響:月次データでみた消費の動態

図表1-3は緊急事態宣言時期を含む4~6月の消費動態を整理したものである。緊急事態宣言時期に絞れば、家計消費支出計は前年比-15.6%減少した。うち、財の支出は同-1.2%減だが、サービス支出は同-49.9%大幅減少となった。また、財支出のうち非耐久財は内食需要の影響もあり同+6.7%増加したが、不要不急の消費が多く含まれる半耐久財は同-36.7%大幅減少した。一方、巣ごもり消費やテレワークの拡大により、TVやパソコンなどの耐久財は同+8.8%増加している。

 

 

1-4. 人流への影響

COVID-19の家計消費への影響と同様に人流(経済活動)への影響をみていく。そのためには、Google 社の「コミュニティ モビリティ レポート」が有用である。このデータでは、各カテゴリー(①小売店・娯楽施設、②食料品店・薬局、③公園、④公共交通機関、⑤職場、⑥住居)に分類された場所への訪問者(またはその場所に滞在した時間)が曜日別基準値と比べてどのように変化したかを示している。

図表1-4-1では、6つのカテゴリーから緊急事態宣言の影響を受けるものを選んでいる。うち、小売店・娯楽施設、公共交通機関、職場では前回の緊急事態宣言期間中に人出が大きく減少していることがわかる。一方で、食料品店・薬局への人出は巣ごもり需要の高まりもあり、生活必需品購入のため人出の大幅な減少は見られない。

今回の緊急事態宣言再発令と前回を比較すれば、公共交通機関、小売店・娯楽施設、職場への人出は基準時点よりも減少しているが、人出の戻りが観察できる。一方、食料品店・薬局への人出は前回よりも減少幅が拡大しているようである。

 

 

月次ベースで前回と今回の緊急事態宣言の人流への影響(1月8日~22日)を比較すると、公共交通機関は11.8%ポイント(前回:-47.0%→今回:-35.2%)、小売店・娯楽施設への人出は 10.8%ポイント(前回:-31.5%→今回:-20.8%)、職場への人出は 8.8%ポイント(前回:-26.4%→今回:-17.6%)上昇し、いずれも前回よりも人出が戻っている。一方、食料品店・薬局は 4.1%ポイント(前回:-1.8%→今回:-5.9%)低下しており、人出は減少していることがわかる(図表 1-4-2)。

 

 

2. 緊急事態宣言による不要不急消費減少額の推計

筆者らは昨年5月、緊急事態宣言の発令を受けた関西各府県における家計消費の減少額を試算した。そこでは、家計が消費支出費目の中でも「不要不急消費」を削減すると想定していた。2.では、改めて不要不急消費の定義を確認するとともに、家計が昨年4月7日から5月25日までの緊急事態宣言下で、不要不急消費に該当する品目をどの程度減少させたか確認する。筆者らの関心は、同期間における実際の消費の減少額を通じて、家計がどの程度「行動変容」を行ったかを把握することにある。前回の緊急事態宣言の経験を踏まえ、今回の再発令によって、どの程度消費の減少が見込まれるか考察したい。

2-1. 推計のフロー

本稿で行う不要不急消費減少額の推計フローは以下のとおりである。図表2-1が示すように、最終的な不要不急消費減少額は、ベンチマークとなる家計消費額に、3つのパラメータ([1]不要不急消費の割合、[2]減少率、[3]期間)を乗じて計算される。2.ではこれらのパラメータについてそれぞれ説明し、3.でベンチマークとなる家計消費支出と関西における消費減少額の推計結果について述べる。

 

 

2-2. 家計消費に占める不要不急消費の割合

総務省『家計調査』では、各消費費目を「基礎的支出」と「選択的支出」の2つに分類している。

中でも「基礎的支出」は、主に食料、家賃、光熱費、保健医療サービスなどが含まれており、生活必需品と考えることができる。一方、「選択的支出」は家電をはじめとする教養娯楽用耐久財、被服、月謝などが含まれており、ぜいたく品とみなすことができる。

緊急事態宣言下では、家計はこれらの選択的支出の中から不要不急の消費を削減することとなる。

そこで、筆者らは『家計調査』の「収支項目分類表」を用いて、「1世帯当たり1か月間の日別支出」に記載されている500を超える品目の中から、不要不急の消費に該当する品目を抽出した。

2019年通年の財・サービス支出計に占める不要不急消費の割合(第1のパラメータ)を計算したところ、29.3%であった。問題は、家計消費支出の3割弱を占める不要不急消費が緊急事態宣言によって、実際にどの程度削減されたかである。

2-3. 不要不急消費額の減少率

ここでは、第2のパラメータである家計の不要不急消費額の減少率を確認する。1.で見たように、『家計調査』では日別の支出額が利用できる。そこで、緊急事態宣言が発令された4月7日から全国的に解除された5月25日までの49日間で、家計がどの程度不要不急消費を減少させたかを示したのが図表2-2である。これを見ると、前回の緊急事態宣言期間において、家計は不要不急消費額を41.6%減少させたことがわかる。減少率が大きかった品目を見ると、サービス支出のうち、鉄道運賃などの公共サービスが88.2%、旅行費などの娯楽関連が72.5%、外食は67.3%となっている。外出自粛に伴い、関連する家計消費が大幅に減少していることが確認できる。一方で、耐久財は巣ごもり需要の高まりにより+6.6%増加している。

 

 

今回の緊急事態宣言による不要不急消費減少額の推計にあたり、考慮すべき点がある。それは、前回の緊急事態宣言と今回を比べると、制限の内容が異なっているため、人々の行動が変化した可能性である。

まず、制限の内容について、前回は遊興施設や運動・遊戯施設、劇場、商業施設など幅広い業種を対象として休業要請が行われていた(前掲図表1-1-2を参照)。しかし、今回はクラスター(全国各地で報告されている感染者の集団)の多くが歓楽街や飲食店で発生していることから、飲食店への時短要請に絞った内容となっている。

次に、人々の行動が変化した可能性について、Google 社の「コニュミティ モビリティ レポート」から人流の動態を確認したところ、感染再拡大(第3波)の中にあっても、多くのカテゴリーで前回と比べて人出が戻っている(前掲図表1-4-2を参照)。コロナ禍慣れの現象がみられるようである。また、今回の緊急事態宣言が再発令された京都府・大阪府・兵庫県の3府県において、初めての週末である17日の人出の調査によれば、繁華街では特に昼間の往来が抑制されず、前回の緊急事態宣言時に比べ2.5~3倍となったと報告されている。

これらの状況を踏まえ、今回の緊急事態宣言における不要不急消費の減少率を以下のように設定した。外食については、前回の緊急事態宣言における減少幅の3分の1、それ以外の品目では、2分の1と、減少率を設定した。その結果、今回の不要不急消費の減少率は 22.7%となる。

2-4. 緊急事態宣言期間の想定

第3のパラメータである推計期間については、2021年1月14日から2月7日の25日間を基本ケースとして設定する。また、足下の感染状況を踏まえ、参考ケースとして2月末(2月28日)まで延長された場合(46日間)についても推計を行った。

3. 緊急事態宣言再発令が関西経済に与える影響

3.では、まず不要不急消費減少額推計のベンチマークとなる関西2府4県における家計消費支出の導出方法について述べる。その後、家計消費減少額の推計結果を確認する。

3-1. 関西各府県のベンチマーク消費の推計

消費減少額推計のベンチマークとなるのは、2019年度の名目民間家計最終消費支出である。名目民間家計最終消費支出は、内閣府『県民経済計算』を用いる。しかし、『県民経済計算』は最新の値が17年度値であることから、19年度値に延長推計する必要がある。そこで、実質民間家計最終消費支出(17年度値)を、APIRが行った関西各府県の実質GRP早期推計の伸び率で延長することで、19年度値(実質値)を計算した。次に、GRPデフレータ(APIR推計)を用いて、実質値を名目値へと変換した。なお、今回の緊急事態宣言は大阪府、兵庫県、京都府の2府1県を対象に発令されたが、近隣府県でも同等の影響を受けるとみなし、滋賀県、奈良県、和歌山県の3県も推計の対象に加えている。

図表3-1はベンチマークとなる 2019 年度関西各府県の名目民間家計最終消費支出(APIR推計値、太枠内)を示したものである。関西2府4県では19年度の消費支出額は49.0兆円となる。なお、関西2府1県では40.8兆円となり、関西全体の8割以上を占めている。

 

 

3-2. 関西各府県における消費減少額の試算結果

図表3-2は関西各府県について、緊急事態宣言再発令による家計消費支出の減少額を示したものである。ここでは基本ケース(1月14日~2月7日まで)と参考ケース(2月末まで)の2つを示す。

それぞれ確認すると、基本ケースにおける家計消費減少額は、大阪府が991億円、兵庫県で583億円、京都府で284億円となる。今回緊急事態宣言の対象となっている大阪府・兵庫県・京都府の2府1県の損失額は1,858 億円と推計される。その他の府県の消費減少額は、滋賀県で143億円、奈良県で143億円、和歌山県で89億円となり、関西2府4県では2,233億円の損失額になる。今回対象となった2府1県の損失額は全体の83.2%となる。また、参考ケースでは、家計消費減少額は関西2府1県では3,419億円、2府4県では4,109億円と推計される。

この結果に基づき、2020年度の関西2府4県の域内名目総生産(GRP)への影響を見ると、基本ケースでは、名目GRPを0.3%程度追加的に引き下げる9。APIR の関西経済予測(11月26日時点、Kansai Economic Insight Quarterly No.51)では、実質GRPを2020年度-5.2%の大幅なマイナス成長と予測しているが、マイナス幅は幾分拡大する。また、参考ケースでは引き下げ幅は0.5%程度となっている。感染状況が改善せず、期限が延長された場合は、より経済に与える影響は大きくなる。

なお、図表3-2では前回の緊急事態宣言下における消費支出の減少額も推計している。これを見ると、関西2府4県の名目家計消費支出の減少額は8,004億円となっている。前回と比較すると、今回の緊急事態宣言再発令が経済に与える影響は4分の1強とみられる(基本ケース)。しかし、現状では、コロナ禍によりサービス業を中心に弱い動きが続いており、関西経済にとって大きな下押し圧力となる。結果、コロナ禍からの回復過程に水を差すこととなろう。

 

 

4. おわりに:今回の緊急事態宣言再発令への含意

本稿では、高頻度・ビッグデータを用いて緊急事態宣言の経済的影響を振り返り、そこで得られた知見をもとに、今回の緊急事態宣言再発令の関西経済に与える影響を分析した。本稿の分析結果を要約し、そこから得られた含意は次の通りである。

1. COVID-19の感染再拡大(第3波)を受け、政府は1月7日に1都3県に対して緊急事態宣言を再発令した。1月13日に7府県が追加されたことで、対象地域のGDPシェアは約60%に拡大した。ほとんどの大都市圏が含まれており、経済全体への影響は深刻度を増している。

2. 緊急事態宣言により、人々は行動変容を迫られた。日次ベースの消費支出額は、4月7日以降前年比マイナス幅が拡大し、5月初旬を底として緩やかに縮小した。カテゴリー別では、半耐久財やサービスが大きく減少する一方、非耐久財や耐久財では増加がみられた。

3. 人流(経済活動)への影響では、前回宣言時は小売店・娯楽施設、公共交通機関、職場で人出が大きく減少した。一方、食料品店・薬局は大幅な減少は見られなかった。今回と前回を比べると、今回の方が公共交通機関、小売店・娯楽施設、職場で人出の戻りが観察できる。

4. 前回宣言時の経験と足下の人流の動向を踏まえ、緊急事態宣言再発令による家計消費減少額を試算した。基本ケース(1月14日~2月7日)では、今回緊急事態宣言の対象である大阪府・兵庫県・京都府の2府1県の消費減少額は1,858億円。関西2府4県では2,233億円となり、2020年度関西2府4県の名目GRPを0.3%程度追加的に引き下げることとなる。

5. また、2月末まで延長された参考ケースでは、消費減少額は関西2府1県では3,419億円、2府4県では4,109億円。2020年度関西2府4県の名目GRPを0.5%程度引き下げる。感染状況が改善せず、期限が延長された場合は、より経済に与える影響は大きくなる。

6. 今回の再発令が経済に与える影響(基本ケース)は前回の4分の1強とみられる。しかし、コロナ禍によりサービス業を中心に弱い動きが続いている中、関西経済にとって大きな下押し圧力となる。結果、コロナ禍からの回復過程に水を差すことになろう。

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    都道府県別訪日外客数と訪問率:5月レポート No.60

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    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、5月の訪日外客総数(推計値)は304万100人。桜シンガポールやインド等における学校休暇や中国の大型連休があったことが影響し、3カ月連続で300万人超の水準となった。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)では、3月は308万1,781人。うち、、観光客は277万1,105人と6カ月連続で200万人を超えており、単月として過去最高を更新した。

    ・先行きの訪日外客については引き続き堅調に推移すると見込まれる。一方で、訪日外客が一部の地域に集中する結果、オーバーツーリズムが深刻化しつつある。今後、地域の観光資源を一層磨き上げ、訪日外客へ訴求することで、広域観光を促進していくかが重要となろう。

     

     

    【トピックス1】

    ・関西5月の輸出額は前年同月比+10.4%と2カ月ぶりの増加。また、輸入額は同+8.1%と2カ月連続の増加となった。輸出の伸びが輸入のそれを上回った結果、関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となり、黒字幅は拡大した。

    ・5月の関空への訪日外客数は79万8,812人となり、過去最高値を更新。全国と同様に好調を維持している。

    ・4月のサービス業の活動は一進一退で推移している。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも2カ月ぶりの前月比上昇。また、観光関連指数は旅行業や旅客運送業が上昇に寄与し、2カ月ぶりの同上昇となった。

     

    【トピックス2】

    ・3月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,659.5千人泊で、2019年同月比+7.9%と7カ月連続の増加となった。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,039.3千人泊で、2019年同月比+0.1%と7カ月連続の増加だが、増加は小幅にとどまった。一方、外国人延べ宿泊者数は3,602.2千人泊で、同+30.3%と8カ月連続で増加し、増加幅は拡大。日本人宿泊者に比して外国人宿泊者は堅調に推移している。

     

    【トピックス3】

    ・2024年1-3月期における関西各府県の訪問率をみれば、大阪府36.2%が最も高く、次いで京都府27.3%、奈良県7.7%、兵庫県4.9%、三重県0.8%、和歌山県0.8%、滋賀県0.4%、鳥取県0.2%、福井県0.1%、徳島県0.1%と続く。

    ・2024年1-3月期の関西2府4県の訪日外国人消費単価(旅行者1人1回当たりの旅行消費金額)は19年同期比+13.2%増加。費目別では、飲宿泊費や娯楽等サービス費が大幅増加した一方、買物代は減少した。訪日外客の消費行動はモノ消費からコト消費へ着実に移りつつある。

    ・関西2府4県の訪日外客数と消費単価を用いて、2024年10-12月期の関西における消費額を推計した。結果、訪日外客消費額は3,827億9,198万円となり、19年同期比では+32.2%とコロナ禍前を大きく回復した。

     

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    経済予測 » Monthly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    5月発表データのレビュー

    ▶今回の予測では5月末までに発表されたデータを更新。また1-3月期GDP1次速報を追加した。家計消費関連指標、公共工事、及び国際収支状況を除けば、4-6月期GDP推計に必要な基礎月次データのほぼ1/3が更新された。

    ▶GDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率-2.0%と2四半期ぶりのマイナス成長。CQM最終予測の予測誤差はほぼ想定内に収まった。

    ▶4月の生産指数は前月比-0.1%と2カ月ぶりのマイナスだが、1-3月平均比+2.6%上昇した。経産省は生産の基調判断を「一進一退ながら弱含み」と据え置いた。

    ▶4月を1-3月平均と比較すれば、建築工事費予定額は+14.0%、資本財出荷指数は+3.0%上昇した。民間住宅や民間企業設備は前期の低迷から回復。1-3月期の実質総消費動向指数は前期比+0.1%と4四半期ぶりの小幅増、公共工事は同+5.6%と3四半期ぶりのプラスとなった。

    ▶4月の輸出入動向(日銀ベース)を1-3月平均と比較すれば、実質輸出額は+1.3%、実質輸入額は+2.9%、それぞれ増加した。実質財貨純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度はマイナスとなっている。

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    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT
    1. 7月1日発表の1-3月期GDP2次速報改定によれば、実質GDP成長率は前期比年率-2.9%となり、2次速報(同-1.8%)から下方修正された。2四半期ぶりのマイナスと成長率のパターンは前回より変化がなかったが、大幅な下方修正。このため、2024年度への成長の下駄が前回から低下した。2次速報改定で、下方修正されたのは民間住宅と公的固定資本形成である。これらの基礎統計である建設総合統計が4月発表時に過去値が大幅に遡及改定されたためである。
    2. 過去1年の実質成長率を2次速報改定と2次速報を比較すると、2023年1-3月期+0.4%ポイント上方修正だが、4-6月期-0.4%ポイント、7-9月期-0.3%ポイント、10-12月期-0.4%ポイント、24年1-3月期-1.0%ポイントといずれも下方修正となった。結果、23年度の実質成長率は-0.2%ポイント下方修正された。
    3. 2023年度の実質GDPは前年度比+1.0%と3年連続のプラスとなったが、成長率を年度内(前年同期比)でみると-0.8%と3年ぶりのマイナス成長であった。このため、2024年1-3月期の実質GDPは再びコロナ前のピークを割り込んだ。
    4. デフレータを見ると、1-3月期の国内需要デフレータは前期比+0.6%と13四半期連続のプラスだが、交易条件は6四半期ぶりに悪化。結果、GDPデフレータは同+0.5%と6四半期連続で上昇し、名目GDPは前期比年率-0.9%と2四半期ぶりの減少となった。2023年度の名目GDPは前年度比+5.0%と3年連続のプラス。バブル崩壊の影響が残る1991年以来の高成長である。
    5. 1-3月期GDP2次速報改定と新たな外生変数の想定を織り込み、2024-25年度日本経済の見通しを改定。実質GDP成長率を、24年度+0.3%、25年度+1.2%と予測。前回(148回予測)から、24年度を-0.2%ポイント、25年度を-0.1%ポイントそれぞれ下方修正した。24年4-6月期には自動車の減産や輸出の反動減からの回復を予測している。1-3月期の大幅下方修正により24年度成長率への下駄が低下したため、4-6月以降は回復が見込まれるものの、24年度平均成長率は低めにとどまる。内需と純輸出のバランスのとれた回復は25年度となろう。
    6. 実質賃金がプラス反転せず、また自動車減産(耐久消費財大幅減)の影響もあり、1-3月期の実質民間最終消費支出は4四半期連続の減少となり、減少幅も前期から拡大した。実質賃金のプラス反転は、インフレ高止まりの影響が剥落する24年後半以降となろう。加えて、7-9月期には定額減税の効果が表れるため可処分所得の増加も期待できるため、民間消費は緩やかに持ち直そう。
    7. 24年度前半にかけて消費者物価インフレ率は加速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、24年度+2.4%、25年度+1.7%と予測する。前回予測から変化なし。GDPデフレータは23年度交易条件改善の裏が出るため、24年度+1.6%、25年度+1.6%となる。
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    経済予測 » Monthly Report(関西)

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    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 劉 子瑩 / 吉田 茂一 / 古山 健大 / 宮本 瑛 / 新田 洋介 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気の判断は、現況、先行きともに悪化の兆しがみられるとした。現況判断CIは前月差上昇したが、基調判断を引き上げる程度ではなかったために前月から据え置いた。8月には「酷暑乗り切り緊急支援」が実施されるものの、電気・ガス負担軽減策終了につれてエネルギー価格の一時的な上昇が見込まれるため、景気の先行きに対して下押し圧力となろう。
    • 足下、生産は2カ月連続の増産。雇用環境は、失業率が4カ月ぶりに改善したものの、有効求人倍率と新規求人倍率はいずれも低下した。大型小売は、好調なインバウンド需要により百貨店を中心に持ち直している。貿易収支は輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、4カ月連続の黒字である。
    • 関西4月の生産は、2カ月連続の増産。業種別にみれば、生産用機械は半導体製造装置の増産が影響し、大幅上昇となった。
    • 4月の失業率は前月より改善し、就業者数と労働力人口の大幅な増加がみられた。また、就業率も前月より上昇し、足下の雇用情勢は回復傾向にある。ただし、昨年10‐12月期から1‐3月期にかけて停滞がみられたため、今後の動向に注意を要する。
    • 3月の現金給与総額は4カ月連続の前年比増加となり、伸びは前月より小幅拡大。しかし、物価上昇に追いついておらず、実質賃金の減少が続いている。
    • 4月の大型小売店販売額は31カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンドによる高額品の売上が堅調だったことから、26カ月連続のプラス。スーパーは飲食料品などの単価上昇が影響し19カ月連続で増加した。
    • 4月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりに前月比増加。持家が減少したものの、貸家と分譲は増加となり、着工数全体を押し上げた。
    • 4月の建設工事出来高は3カ月ぶりの前年比増加。民間工事、公共工事ともに全国に比して強い。5月の公共工事請負金額は前年比、前月比ともに2カ月連続の増加となった。結果、1-3月期の落ち込みから大幅回復した。
    • 5月の景気ウォッチャー現状判断、先行き判断DIいずれも3カ月連続で前月比悪化。物価の高止まりやコストの上昇が景況感に悪影響を与えている。
    • 5月は輸出入ともに前年比増加となった。輸出は好調な対中国と対欧米の影響で2カ月ぶりに増加に転じた。一方、輸入は対中及び対ASEANが堅調に推移し、対EUが増加に転じたため、2カ月連続で増加した。輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、貿易収支は4カ月連続の黒字となった。
    • 5月の関空経由の外国人入国者数は過去最高値を更新し、インバウンド需要は好調を維持している。
    • 5月の中国経済は、生産の回復が停滞気味である一方、消費の回復は6カ月ぶりに加速した。しかし、雇用回復の遅れに加えて、不動産市場の不況も短期間での改善が望めないため、消費の更なる加速は期待しにくい。そのため、4-6月期の景気は1-3月期より大きな改善が見込まれないと予想される。

      【関西経済のトレンド】

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.59

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値)は304万2,900人。桜の開花シーズンの影響もあり、2カ月連続で300万人超の水準となった。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば2月は278万8,224人。うち、うち、観光客は254万8,085人と5カ月連続で200万人を超える水準となった。

     

    【トピックス1】

    ・関西4月の輸出額は前年同月比-1.8%と2カ月ぶりの減少。一方、輸入額は同+1.4%と2カ月ぶりの増加となった。結果、貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小した。

    ・4月の関空への訪日外客数は77万2,860人となり、過去最高値を更新した。

    ・3月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に悪化した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数は旅行業や旅客運送業が低下に寄与し、4カ月ぶりの同低下となった。

     

    【トピックス2】

    ・1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,352.4千人泊で、2019年同月比+7.9%と6カ月連続の増加となった。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は6,574.0千人泊で、2019年同月比+5.3%と6カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,778.4千人泊で、同+14.5%と7カ月連続で増加した。

     

    【トピックス3】

    ・2024年1-3月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆350億円。新型コロナ5類移行後、初めての年始休暇の影響もあり、宿泊旅行消費、日帰り旅行消費ともに増加した

    ・国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は8,158億円、日帰り旅行消費額は2,193億円であった。

     

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  • 稲田 義久

    人口減少下における活力ある関西を目指して~2050年を見据えて~

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2024年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

    研究計画

    研究の背景

    2024年4月に人口戦略会議は、全国地方自治体の「持続可能性」についての分析レポートを発表した。その中で、2020年から2050年までの間に若年女性人口の減少率が50%以上になる自治体(消滅可能性自治体)は全国1,729のうち744(43%)あるとし、関西は全198のうち門真市等81の自治体(41%)が該当している。まずは、この状況が前回2014年のレポートと比較して改善しているのか、そして今何が問題になっているかを把握する必要がある。

    国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の最新の推計によると、日本の総人口は2023年の1億2,435万人から2056年に1億人を割り、2070年には8,700万人になるとされている。特に関西(2府4県)は、全国や関東に比べて人口減少のスピードが速い。社人研の推計を基に2022年~2050年の減少率をみると、全国-19.4%、関東-7.5%に対し、関西は-23.3%となる。

    また、高齢化の進行も厳しい。社人研の推計によると2050年には生産年齢人口が5,540万人と2023年(7,395万人)比25.1%の減少、およそ4人に1人が75歳以上になるとされている。将来の労働力となる子どもの出生数も年々減少しており、人手不足によって社会インフラの維持が困難になる可能性も指摘されている。

    人手不足は足下でも深刻である。帝国データバンクによると、2023年の人手不足を理由とした倒産件数は260件で前年比1.9倍(前年:140件)と過去最多を更新した。業種別では建設業や運輸業が多く、生活に必要不可欠な職種(エッセンシャルワーカー)の人手不足は深刻である。

    一方で、労働参加率を上げ、特にサービス業の生産性を向上させれば人口が減少しても問題ないとする議論もあるが、最適解はどこにあるかについて検討する必要があると考える。

    そこで、全国に比して人口減少・高齢化が厳しい関西において、人口や労働等に関する様々な基礎データを整理し、加えてAPIRがこれまで蓄積してきたデータベースや知識を組み合わせながら総合的に分析しつつ、データを可視化することで、関西各府県及び自治体の特徴と課題を明らかにする。そして中長期的な視点で、この先人口が減っても豊かさと活力を維持・向上させていくための方策を模索していきたい。

    研究内容

    ●関西基礎統計の整理
    ・労働に関する基礎データ(就業構造基本調査、賃金構造基本統計調査 等)を基に、関西の地域別、産業別、企業規模、性別、年齢別の5軸でデータベースを構築し、県民経済計算に対応できるようなシステム開発及びメンテナンスを行う。
    ・地域別将来人口推計データを整理しつつ、足下と比較して関西の特徴を明らかにする。

    ●関西における詳細なデータ分析と労働需給分析
    ・整理したデータベースを基に産業構造や雇用構造、年齢構造、賃金構造等から、関西が抱える労働問題を総合的に明らかにする。
    ・介護、建設、宿泊サービスの分野に焦点を絞って詳細なデータ分析を行い、どの職種に労働需給のミスマッチが起きるのかを明らかにし、中長期視点で解決策を検討する。

    ●経済成長を維持し、持続可能な社会をつくるための施策の検討
    ・労働需給の課題に対してどのような処方箋が考えられるか、有識者等から様々な視点での知見をもらい、関西において実現できる未来の姿を模索する。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・マクロデータの分析成果(関西経済白書、トレンドウォッチ)
    ・人口減少による人手不足の課題の共有化(研究会等での情報提供と議論)

    ・人手不足(特に介護、建設、宿泊分野)の解消に向けた対応の検討
    ・人口減少下においても人手不足を補い経済力を維持するための施策の立案

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学 名誉教授

     

    サブリサーチリーダー

    松林 洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科 教授

     

    リサーチャー

    野村 亮輔  APIR副主任研究員
    吉田 茂一  APIR研究推進部員
    古山 健大  APIR研究推進部員
  • 稲田 義久

    日本経済(月次)予測(2024年5月)<5月末の統計集中発表日のデータを更新して、4-6月期の実質GDP成長率予測を前期比年率+2.0%に上方修正>

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    5月発表データのレビュー

    ▶今回の予測では5月末までに発表されたデータを更新。また1-3月期GDP1次速報を追加した。家計消費関連指標、公共工事、及び国際収支状況を除けば、4-6月期GDP推計に必要な基礎月次データのほぼ1/3が更新された。

    ▶GDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率-2.0%と2四半期ぶりのマイナス成長。CQM最終予測の予測誤差はほぼ想定内に収まった。

    ▶4月の生産指数は前月比-0.1%と2カ月ぶりのマイナスだが、1-3月平均比+2.6%上昇した。経産省は生産の基調判断を「一進一退ながら弱含み」と据え置いた。

    ▶4月を1-3月平均と比較すれば、建築工事費予定額は+14.0%、資本財出荷指数は+3.0%上昇した。民間住宅や民間企業設備は前期の低迷から回復。1-3月期の実質総消費動向指数は前期比+0.1%と4四半期ぶりの小幅増、公共工事は同+5.6%と3四半期ぶりのプラスとなった。

    ▶4月の輸出入動向(日銀ベース)を1-3月平均と比較すれば、実質輸出額は+1.3%、実質輸入額は+2.9%、それぞれ増加した。実質財貨純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度はマイナスとなっている。

     

    4-6月期実質GDP成長率予測の動態

    ▶今回のCQM(支出サイド)は、4-6月期実質GDP成長率を前期比年率+2.0%、生産サイドは同+2.4%、平均同+2.2%と予測する。市場コンセンサス(同+2.10%)は支出サイドとほぼ同じ成長率を予測(図表1参照)。

    図表1

     

    4-6月期インフレ予測の動態

    ▶4月の全国消費者物価コア指数は前年同月比+2.2%と32カ月連続の上昇だが、インフレ率は2カ月連続で前月から縮小。一方、コアコア指数(除く生鮮食品及びエネルギー)は同+2.4%と25カ月連続の上昇だが、インフレ率は8カ月連続で減速している。

    ▶今回のCQMは、4-6月期の民間最終消費支出デフレータを前期比+0.4%、国内需要デフレータを同+0.6%と予測。交易条件は悪化するため、ヘッドライン(GDPデフレータ)インフレ率を同+0.3%と予測する(図表2参照)。

    図表2

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  • 高林 喜久生

    大阪・関西万博の経済波及効果 -3機関による試算の比較-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下田 充 / 下山 朗 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    本稿では3機関(経済産業省、大阪府市、アジア太平洋研究所(以下、APIR))の産業連関表による大阪・関西万博の経済波及効果の試算を比較し、試算結果の違いを分析した。その結果、各機関が想定した最終需要の大きさが違うこと、取り扱う最終需要の範囲が異なること、加えて産業連関表の対象地域が異なることが、経済波及効果の違いを生じさせていることが明らかとなった。分析を整理し、得られた含意は以下の通りである。

     

    1. 経済波及効果を比較するうえで、まず最終需要の想定が重要である。最終需要のうち、万博関連事業費(建設投資・運営・イベント・その他)及び来場者消費において、APIRが経済産業省及び大阪府市の想定を上回っている。
    2. 経済産業省と大阪府市は発生した需要額(発生需要)をそのまま用いて経済波及効果を計算しているのに対し、APIRでは2府8県以外のその他地域分を除いた直接需要ベースで行っており、そこからも効果の違いが表れている。
    3. 経済産業省は全国表、APIRは2府8県とその他地域の産業連関表を含む関西地域間産業連関表を用いているので、両者がカバーする地域は同一である。そのため、経済波及効果を発生需要もしくは直接需要で除した両者の乗数には大きな違いはない。一方、大阪府域への経済波及効果はAPIRの方が大きい。理由は、大阪府市が用いている産業連関表は大阪府内を対象とするものであり、府県間をまたいだ経済波及効果を考慮できないためである。
    4. より高い経済効果を実現するためにも来場者消費の効果の引上げが重要となろう。そのためにもAPIRが主張する「拡張万博」のコンセプトが重要であり、それに基づいた旅行コンテンツの一層の磨き上げが重要となる。
    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.69 -足踏み局面から緩やかな持ち直しへ:先行きの回復は企業の賃上げペース次第-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 小川 亮 / 郭 秋薇 / 劉 子瑩 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 古山 健大

    ABSTRACT
    1. 2024年1-3月期の関西経済は、足踏み状況から緩やかな持ち直しに向かう局面にある。家計部門では、消費者センチメント、所得、雇用など力強い回復には至らないものの、底打ちの兆しが見られる。企業部門では、生産は自動車工業の大幅減産で弱い動きであるが、景況感は堅調である。対外部門では、インバウンド需要はコロナ禍前の水準以上に回復しており、財輸出は持ち直してきている。
    2. 家計部門は一部に弱い動きも見られるが、緩やかに持ち直しつつある。大型小売店販売、センチメント、所得、雇用など多くの指標で回復ないし持ち直しの動きとなっている。実質賃金も依然として前年比マイナスが続いているが、底打ちの兆しが見られる。一方、住宅市場は低調である。
    3. 企業部門は、足踏みの状況が続いている。生産は自動車工業の大幅減産で弱い動きとなっている。設備投資計画は、非製造業で前年の反動が見られるなど全国に比べてやや控えめとなっている。景況感は製造業・非製造業ともに堅調に推移している。
    4. 対外部門のうち、財貿易は輸出・輸入ともに底打ちの兆しが見られる。輸出は対中国向けの持ち直しを背景に4四半期ぶりの前年比プラスとなった。インバウンド需要は順調に回復している。関空経由の外国人入国者数、免税売上高など増加傾向が続いている。
    5. 公的部門は、請負金額・出来高とも前年を下回り、弱い動きとなった。
    6. 関西の実質GRP成長率を2024年度+1.2%、25年度+1.4%と予測。22年度以降1%台前半の緩やかな伸びが続く。24年度は日本経済を上回る伸びとなる見通し。前回予測に比べて、24年度は-0.3%ポイント、25年度は-0.1%ポイントといずれも下方修正。
    7. 成長に対する寄与を見ると、民間需要は24年度+0.5%ポイント、25年度+1.0%ポイントとなり、緩やかな回復で成長を支える。公的需要は万博関連の投資により24年度+0.4%ポイントと成長を下支えるが、25年度には万博効果が剥落し、小幅寄与となる。域外需要は24年度+0.3%ポイント、25年度+1%ポイントとなる。
    8. 経済成長率を日本経済予測と比較すると、24年度は関西が全国を上回り、25年度はほぼ同程度となる。24年度は設備投資や公共投資など万博関連需要の押し上げにより全国を上回る伸びとなる。25年度は関西、全国とも民間需要が成長の牽引役となる。
    9. 今号のトピックスでは「関西各府県GRPの早期推計」および「各機関における大阪・関西万博の経済波及効果の比較」を取り上げる。

     

    予測結果表

     

    ※説明動画は下記の通り5つのパートに分かれています。

    ①00’00”~01’42”: Executive summary

    ②01’42”~26’14”: 第148回「景気分析と予測」 <自動車減産の影響は一時的、緩やかな回復を予測>

    ③26’14”~36’10”: Kansai Economic Insight Quarterly No.69 <足踏み局面から緩やかな持ち直しへ―先行きの回復は企業賃上げペース次第―>

    ④36’10”~38’45”: トピックス1 <関西2府4県GRPの早期推計>

    ⑤38’45”~43’34”: トピックス2 <大阪・関西万博の経済波及効果—3機関による試算の比較->

  • 稲田 義久

    148回景気分析と予測:詳細版<自動車減産の影響は一時的、緩やかな回復を予測 - 実質GDP成長率予測:24年度+0.5%、25年度+1.3% ->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT
    1. 5月16日発表のGDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率-2.0%減少し、2四半期ぶりのマイナス成長となった。実績は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査)の最終予測(同-1.17%)から下振れた。またCQM最終予測(支出サイド)は同-1.4%となり、予測誤差はほぼ想定内に収まった
    2. 1-3月期の実質GDP成長率(前期比-0.5%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.2%ポイントと4四半期連続のマイナス寄与。うち、民間需要は同-0.4%ポイントと4四半期連続のマイナス寄与。民間最終消費支出、民間住宅及び民間企業設備はいずれも減少した。一方、純輸出も同-0.3%ポイントと2四半期ぶりのマイナス寄与となった。不正問題発覚に伴う自動車減産の影響が民間最終消費支出、民間企業設備や輸出の減少に表れたようであるが、影響は一時的にとどまろう
    3. 結果、2023年度の実質GDPは前年度比+1.2%と3年連続のプラスとなったが、成長率を年度内(前年同期比)でみると-0.4%と3年ぶりのマイナス成長であった。このため、2024年1-3月期の実質GDPは再びコロナ前のピークを5%割り込んだ。
    4. デフレータを見ると、1-3月期の国内需要デフレータは前期比+0.7%と13四半期連続のプラスだが、交易条件は6四半期ぶりに悪化した。結果、GDPデフレータは同+0.6%と6四半期連続で上昇し、名目GDPは前期比年率+0.4%と2四半期連続の増加となった。2023年度の名目GDPは前年度比+5.3%と3年連続のプラス、バブル崩壊の影響が残る1991年以来の高成長となった。
    5. 1-3月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2024-25年度日本経済の見通しを改定。実質GDP成長率を、24年度+0.5%、25年度+1.3%と予測。前回(147回予測)から、24年度を-0.3%ポイント下方修正、25年度を+0.2%ポイント上方修正した。24年4-6月期は自動車の減産や輸出の反動減からの回復を予測している。4-6月期以降は強めの回復を見込むが、1-3月期のマイナス成長のため24年度成長率への下駄が低下した。このため24年度平均成長率は低めにとどまる。25年度は内需と純輸出のバランスのとれた潜在成長率を上回る回復となろう。
    6. 8四半期連続の実質賃金減少と自動車減産(耐久消費財大幅減)の影響もあり、1-3月期の実質民間最終消費支出は4四半期連続の減少となり、減少幅も前期から拡大した。実質賃金のプラス反転は、昨年春闘を上回る賃上げが実現し、インフレ高止まりの影響が剥落する、24年後半以降となろう。また、7-9月期には定額減税の効果から可処分所得の増加も期待できるため、民間消費は緩やかに持ち直そう。
    7. 2024年夏場にかけ消費者物価インフレ率は加速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、24年度+2.4%、25年度+1.7%と予測する。前回予測から+0.4%ポイント、+0.3%ポイントそれぞれ上方修正した。GDPデフレータは23年度交易条件改善の裏が出るため、24年度+1.4%、25年度+1.5%となる。

     

    予測結果の概要

     

    ※説明動画は下記の通り5つのパートに分かれています。

    ①00’00”~01’42”: Executive summary

    ②01’42”~26’14”: 第148回「景気分析と予測」 <自動車減産の影響は一時的、緩やかな回復を予測>

    ③26’14”~36’10”: Kansai Economic Insight Quarterly No.69 <足踏み局面から緩やかな持ち直しへ―先行きの回復は企業賃上げペース次第―>

    ④36’10”~38’45”: トピックス1 <関西2府4県GRPの早期推計>

    ⑤38’45”~43’34”: トピックス2 <大阪・関西万博の経済波及効果—3機関による試算の比較->