研究成果

research

都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.57

Abstract

【ポイント】

・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値)は278万8,000人、2019年同月比+7.1%であった。春節休暇やうるう年で日数が増加した影響もあり、単月過去最高を更新した。

・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば12月は273万4,115人。うち、観光客は255万1,290人、商用客は8万703人、その他客は10万2,122人であった。

・国土交通省が公表した2024年夏季運航スケジュール(3月31日~10月26日)によれば、国際線の旅客便は週4,875便で、19年同期比-7%とコロナ禍前をほぼ回復。面別にみれば、韓国、米国はコロナ禍前を上回った一方、中国は依然コロナ禍前の6割程度にとどまっている。今後、中国を除くアジア地域を中心に回復が見込まれるが、中国人客は緩やかな回復にとどまろう。

 

【トピックス1】

・関西2月の輸出は春節休暇の時期のズレも影響し、2カ月ぶりの前年比減少。一方、輸入は11カ月ぶりに増加した。結果、貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は縮小した。

・2月の関空経由の外国人入国者数は春節休暇の影響もあり、単月としては過去最高を記録。インバウンド需要は堅調に推移している。

・1月のサービス業の活動は2カ月連続の改善だが小幅にとどまり、足踏みの状態が続く。第3次産業活動指数は2カ月連続の前月比上昇。また、対面型サービス業指数も2カ月連続で同上昇した。観光関連指数はコロナ5類移行後初めての年始休暇の影響もあり、劇場・興行団や旅客運送業が上昇に寄与し、2カ月連続の同上昇となった。

 

【トピックス2】

・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,068.0千人泊で、2019年同月比+12.8%と4カ月連続の増加となった。

・うち、日本人延べ宿泊者数は7,593.7千人泊、2019年同月比+3.1%と4カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は3,474.3千人泊となり、同+41.6%と5カ月連続で増加した。

 

【トピックス3】

・2023年10-12月期における関西各府県の訪問率をみれば、大阪府39.3%が最も高く、次いで京都府28.9%、奈良県6.8%、兵庫県5.5%、和歌山県1.2%、三重県0.8%、滋賀県0.6%、鳥取県0.3%、徳島県0.2%、福井県0.2%と続く。

・2023年10-12月期の関西2府4県の訪日外国人消費単価(旅行者1人1回当たりの旅行消費金額)は19年同期比+29.2%増加。費目別では、飲宿泊費や娯楽等サービス費が大幅増加した。

・関西2府4県の訪日外客数と消費単価を用いて、2023年10-12月期の関西における消費額を推計した。結果、訪日外客消費額は4,164億9,716万円となり、19年同期比では+25.7%とコロナ禍前を回復した。

 

本文

ポイント

3 月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1)、2 月の訪日外客総数(推計値)は 278 万 8,000 人であった。春節休暇やうるう年で日数が増加した影響もあり、単月過去最高を更新2019 年同月比では+7.1%と 2 カ月ぶりに増加した。なお、中国人客を除いた総数は 232 万 8,600 人で、同+23.8%と 8 カ月連続のプラス(前月:同+17.4%)。また、同月の出国日本人数は 97 万 8,900人となった(前月:83 万 8,581 人)。19 年同月比-36.2%と前月(同-42.3%)から減少幅は縮小した。

 

 

 

訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると(図 2)、韓国が 81 万 8,500 人(2019 年同月比+14.3%)と最多であり、次いで台湾が 50 万 2,200 人(同+25.6%)、中国が 45 万 9,400 人(同36.5%)、香港が 20 万 5,900 人(同+14.8%)、米国が 14 万 8,700 人(同+60.5%)と続く。

 

 

目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、12 月は 273 万 4,115 人となった(2019 年同月比+8.2%)(図 3)。うち、観光客は 255 万 1,290 人(同+11.3%)、商用客は 8 万 703 人(同35.1%)、その他客は 10 万 2,122 人(同-7.2%)であった。

 

 

2023年通年の目的別訪日外客総数(暫定値)は、2,506万6,350 人、19 年比-21.4%となった。うち、観光客は 2,237 万 9,962 人と前年(248 万 7,835 人)から大幅増加(同-20.8%)。また、商用客は 106 万 7,684 人(同-39.2%)、その他客は 161 万 8,074 人(同-13.3%)であった。

▶なお、12 月の観光客の TOP5 を国・地域別にみれば、韓国が 75 万 7,696 人(2019 年同月比+260.4%)と最多であった。次いで
台湾が 38 万 8,567 人(同+16.9%)、中国が 26 万 9,957 人(同 58.2%)、香港が24 万 8,105 人(同+0.9%)、米国が17 万 2,056 人(同+37.7%)と続く。

▶国土交通省が公表した 2024 年夏季運航スケジュール(3 月 31 日~10 月 26 日)によれば、国際線の旅客便は週 4,875 便で、19 年同期比-7%とコロナ禍前をほぼ回復した。方面別にみれば、韓国は週 1,211 便(同+56%)、米国は週 329 便(同+11%)とコロナ禍前を上回った。また、台湾は週 594 便(同-7%)、香港は週 414 便(同-1%)とほぼコロナ禍前を回復。一方、中国は週 1,054 便と依然コロナ禍前の 6 割程度(同-38%)の回復にとどまっている。今後、中国を除くアジア地域を中心に回復が見込まれる一方、中国人客の回復は緩やかなものにとどまろう。

トピックス1

2 月関西の財貨・サービス貿易及び 1 月のサービス産業動向

関西 2 月の輸出額は前年同月比-1.0%と 2 カ月ぶりに減少(前月:同+6.2%)。一方、輸入額は同+2.9%と 11 カ月ぶりの増加となった(前月:同-9.5%)。結果、貿易収支は+1,957 億円と 2 カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は前年同月比-22.8%縮小した(前月:同85.9%)(図 4)。

 

 

▶うち、対中貿易動向をみると(図 5)、関西 2 月の対中輸出は前年同月比-7.0%と 3 カ月ぶりに減少した(前月:同+21.8%)。春節休暇の時期のズレ(23 年 1 月→24 年 2 月)が影響したためである。輸出減に寄与したのは半導体等電子部品や医薬品等であった。一方、対中輸入は同+13.0%と 10 カ月ぶりの増加(前月:同-10.4%)。輸入増に寄与したのは衣類及び同附属品及び金属製品等であった。結果、対中貿易収支は-449 億円と 2 カ月連続の赤字となった(前年同月差-721 億円)。

 

 

2 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 71 万 5,170 人と、全国と同様に単月としては過去最高を記録した(前月:70 万 402 人)。2019 年同月比では+6.0%と 3 カ月連続のプラス。また、日本人出国者数は 18 万 3,012 人であった(前月:15 万 652 人)。19 年同月比では-40.1%と、前月(同-47.7%)からマイナス幅は縮小したが、インバウンド需要に比してアウトバウンド需要は低調である(図 6)。

 

 

1 月のサービス業の活動は 2 カ月連続の改善だが小幅にとどまり、足踏みの状態が続く。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば(図 7)、1 月は100.9 で前月比+0.3%小幅上昇し、2 カ月連続のプラスとなった(前月:同+0.5%)。1 月を 10-12 月平均と比較すると、+0.5%上昇した(10-12 月期:前期比-1.3%)。また、対面型サービス業指数は 97.3 で同+2.2%上昇し、2 カ月連続のプラス(前月:同+1.6%)。うち、飲食店、飲食サービス業(同+9.9%、2 カ月連続)や運輸業(同+0.4%、2 カ月ぶり)が上昇に寄与。1 月の対面型サービス業指数は 10-12 月平均比+2.7%上昇した(10-12 月期:同2.4%)。

観光関連指数(2015 年平均=100)は、95.8 と前月比+6.0%上昇し、2 カ月連続のプラス(前月:同+2.3%)(図 7)。うち、コロナ 5 類移行後初めての年始休暇の影響もあり、劇場・興行団(同+49.7%、6 カ月連続)や旅客運送業(同+3.1%、3 カ月連続)が上昇に寄与した。1 月の観光関連指数を 10-12 月平均と比較すると+6.8%上昇した(10-12 月期:前期比-2.5%)。

 

 

トピックス2

12 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、12 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は11,068.0 千人泊であった(表 1)。2019 年同月比+12.8%と 4 カ月連続で増加した(前月:同+10.0%)。

日本人延べ宿泊者数は 7,593.7 千人泊となった。2019 年同月比+3.1%と 4 カ月連続で増加した(前月:同+1.3%)(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,637.7 千人泊、京都府 1,842.2 千人泊、兵庫県 1,174.0 千人泊、三重県 607.1 千人泊、滋賀県 334.0 千人泊、和歌山県 292.2 千人泊、福井県 237.6 千人泊、奈良県 172.1 千人泊、徳島県 163.0 千人泊、鳥取県 151.9 千人泊であった。2019 年同月比では、京都府が 7 カ月連続のプラス、大阪府、兵庫県、奈良県はそれぞれ 4 カ月連続のプラス。滋賀県もコロナ禍以降、初めてプラスに転じた。

 

外国人延べ宿泊者数は 3,474.3 千人泊となった。2019 年同月比+41.6%と 5 か月連続のプラスとなり、増加幅は前月(同+34.6%)から拡大(表 1 及び図 9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,154.7 千人泊、京都府 1,080.9 千人泊、兵庫県 104.1 千人泊、和歌山県 38.3 千人泊、奈良県 28.4 千人泊、滋賀県 23.4 千人泊、三重県 21.6 千人泊、徳島県 8.5 千人泊、鳥取県 7.9 千人泊、福井県 6.7 千人泊であった。2019 年同月比では、大阪府と京都府はいずれも 6 カ月連続のプラス。また、兵庫県、和歌山県はそれぞれ 2 カ月連続でプラスとなった。

 

 

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者数を居住地別にみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,426.0 千人泊、県外は 9,241.2 千人泊であった。2019 年同月比をみれば、県内は同+12.6%と 27 カ月連続のプラス。県外(含む外国人)は同+15.8%と 4 カ月連続でプラスとなり、増加幅は前月(同+12.6%)から拡大した。

 

 

2023 年関西の延べ宿泊者数は 1 億 2,386 万人泊、19 年比-1.3%となった(22年:8,724万人泊、同-29.6%)。うち、日本人延べ宿泊者数は 8,906 万人泊(同-1.2%)、外国人延べ宿泊者数は 3,314 万人泊(同-1.8%)であった。COVID-19 が 5 類に移行し、社会経済活動が正常化したことで、国内旅行及びインバウンド需要が回復した。

トピックス3

2023 年 10-12 月期訪日外国人訪問率と消費単価:関西

2023 年 10-12 月期における関西各府県の訪問率をみると(図11)、大阪府39.3%が最も高く、次いで京都府28.9%、奈良県 6.8%、兵庫県 5.5%、和歌山県 1.2%、三重県0.8%、滋賀県 0.6%、鳥取県 0.3%、徳島県 0.2%、福井県0.2%と続く。2019 年同期と比較すると、大阪府(+0.3%ポイント)や京都府(+0.2%ポイント)はいずれも上昇。一方、奈良県(-5.3%ポイント)、兵庫県(-0.6%ポイント)、和歌山県(-0.2%ポイント)、滋賀県(-0.2%ポイント)はそれぞれ低下した。

 

 

▶当該期間の各府県の訪問率に訪日外客数を乗じて推計した関西における訪日外客数を要約しておこう。推計された2023 年 10-12 月期の訪問者数を降順にみれば(表 2)、大阪府が 302 万 2,248 人(2019 年同期比+3.9%)と最も多く、次いで京都府が 222 万 5,188 人(同+3.8%)、奈良県が 52 万 1,369 人(同-42.2%)、兵庫県が 42 万 1,601 人(同8.0%)、和歌山県が 9 万 3,346 人(同-9.0%)、三重県が 5 万 8,487 人(同-0.5%)、 滋 賀 県 が 4 万 5,242 人(同22.2%)、鳥取県が 2 万 544 人(同-33.2%)、徳島県が 1 万 8,875 人(同-38.8%)、福井県が 1 万 6,375 人(同+1.1%)と続く。19 年同期比では大阪府、京都府と福井県がプラスとなった。奈良県については訪問率が大幅低下した影響もあり、同-42.2%減少した。

 

 

▶表 3 は 2023 年 10-12 月期の関西における訪日外国人消費単価(旅行者 1 人 1 回当たりの旅行消費金額)を示している。関西 2 府 4 県では 19 年同期比+29.2%増加した。費目別にみれば、 宿泊費(同+81.9%)や 娯 楽 等 サ ー ビ ス 費(同+75.7%)が大幅増加した。

▶なお、関西 2 府 4 県の訪日外客数(表 2)と消費単価(表 3)を用いて、2023 年 10-12 月期の関西における消費額を推計した。結果、訪日外客消費額は 4,164 億 9,716 万円となった。19 年同期比では+25.7%と、コロナ禍前を回復した。同期の全国の消費額は 1 兆 6,688 億円、同+37.6%となっており、関西は全国の伸びを幾分下回った。

 

関連論文

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.134-景気は現況、先行きともに悪化の兆し: 生産回復が見込まれるが物価上昇加速が景気下押し圧力-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 劉 子瑩 / 吉田 茂一 / 古山 健大 / 宮本 瑛 / 新田 洋介 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気の判断は、現況、先行きともに悪化の兆しがみられるとした。現況判断CIは前月差上昇したが、基調判断を引き上げる程度ではなかったために前月から据え置いた。8月には「酷暑乗り切り緊急支援」が実施されるものの、電気・ガス負担軽減策終了につれてエネルギー価格の一時的な上昇が見込まれるため、景気の先行きに対して下押し圧力となろう。
    • 足下、生産は2カ月連続の増産。雇用環境は、失業率が4カ月ぶりに改善したものの、有効求人倍率と新規求人倍率はいずれも低下した。大型小売は、好調なインバウンド需要により百貨店を中心に持ち直している。貿易収支は輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、4カ月連続の黒字である。
    • 関西4月の生産は、2カ月連続の増産。業種別にみれば、生産用機械は半導体製造装置の増産が影響し、大幅上昇となった。
    • 4月の失業率は前月より改善し、就業者数と労働力人口の大幅な増加がみられた。また、就業率も前月より上昇し、足下の雇用情勢は回復傾向にある。ただし、昨年10‐12月期から1‐3月期にかけて停滞がみられたため、今後の動向に注意を要する。
    • 3月の現金給与総額は4カ月連続の前年比増加となり、伸びは前月より小幅拡大。しかし、物価上昇に追いついておらず、実質賃金の減少が続いている。
    • 4月の大型小売店販売額は31カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンドによる高額品の売上が堅調だったことから、26カ月連続のプラス。スーパーは飲食料品などの単価上昇が影響し19カ月連続で増加した。
    • 4月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりに前月比増加。持家が減少したものの、貸家と分譲は増加となり、着工数全体を押し上げた。
    • 4月の建設工事出来高は3カ月ぶりの前年比増加。民間工事、公共工事ともに全国に比して強い。5月の公共工事請負金額は前年比、前月比ともに2カ月連続の増加となった。結果、1-3月期の落ち込みから大幅回復した。
    • 5月の景気ウォッチャー現状判断、先行き判断DIいずれも3カ月連続で前月比悪化。物価の高止まりやコストの上昇が景況感に悪影響を与えている。
    • 5月は輸出入ともに前年比増加となった。輸出は好調な対中国と対欧米の影響で2カ月ぶりに増加に転じた。一方、輸入は対中及び対ASEANが堅調に推移し、対EUが増加に転じたため、2カ月連続で増加した。輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、貿易収支は4カ月連続の黒字となった。
    • 5月の関空経由の外国人入国者数は過去最高値を更新し、インバウンド需要は好調を維持している。
    • 5月の中国経済は、生産の回復が停滞気味である一方、消費の回復は6カ月ぶりに加速した。しかし、雇用回復の遅れに加えて、不動産市場の不況も短期間での改善が望めないため、消費の更なる加速は期待しにくい。そのため、4-6月期の景気は1-3月期より大きな改善が見込まれないと予想される。

      【関西経済のトレンド】

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.59

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値)は304万2,900人。桜の開花シーズンの影響もあり、2カ月連続で300万人超の水準となった。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば2月は278万8,224人。うち、うち、観光客は254万8,085人と5カ月連続で200万人を超える水準となった。

     

    【トピックス1】

    ・関西4月の輸出額は前年同月比-1.8%と2カ月ぶりの減少。一方、輸入額は同+1.4%と2カ月ぶりの増加となった。結果、貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小した。

    ・4月の関空への訪日外客数は77万2,860人となり、過去最高値を更新した。

    ・3月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に悪化した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数は旅行業や旅客運送業が低下に寄与し、4カ月ぶりの同低下となった。

     

    【トピックス2】

    ・1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,352.4千人泊で、2019年同月比+7.9%と6カ月連続の増加となった。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は6,574.0千人泊で、2019年同月比+5.3%と6カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,778.4千人泊で、同+14.5%と7カ月連続で増加した。

     

    【トピックス3】

    ・2024年1-3月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆350億円。新型コロナ5類移行後、初めての年始休暇の影響もあり、宿泊旅行消費、日帰り旅行消費ともに増加した

    ・国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は8,158億円、日帰り旅行消費額は2,193億円であった。

     

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  • 高林 喜久生

    大阪・関西万博の経済波及効果 -3機関による試算の比較-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下田 充 / 下山 朗 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    本稿では3機関(経済産業省、大阪府市、アジア太平洋研究所(以下、APIR))の産業連関表による大阪・関西万博の経済波及効果の試算を比較し、試算結果の違いを分析した。その結果、各機関が想定した最終需要の大きさが違うこと、取り扱う最終需要の範囲が異なること、加えて産業連関表の対象地域が異なることが、経済波及効果の違いを生じさせていることが明らかとなった。分析を整理し、得られた含意は以下の通りである。

     

    1. 経済波及効果を比較するうえで、まず最終需要の想定が重要である。最終需要のうち、万博関連事業費(建設投資・運営・イベント・その他)及び来場者消費において、APIRが経済産業省及び大阪府市の想定を上回っている。
    2. 経済産業省と大阪府市は発生した需要額(発生需要)をそのまま用いて経済波及効果を計算しているのに対し、APIRでは2府8県以外のその他地域分を除いた直接需要ベースで行っており、そこからも効果の違いが表れている。
    3. 経済産業省は全国表、APIRは2府8県とその他地域の産業連関表を含む関西地域間産業連関表を用いているので、両者がカバーする地域は同一である。そのため、経済波及効果を発生需要もしくは直接需要で除した両者の乗数には大きな違いはない。一方、大阪府域への経済波及効果はAPIRの方が大きい。理由は、大阪府市が用いている産業連関表は大阪府内を対象とするものであり、府県間をまたいだ経済波及効果を考慮できないためである。
    4. より高い経済効果を実現するためにも来場者消費の効果の引上げが重要となろう。そのためにもAPIRが主張する「拡張万博」のコンセプトが重要であり、それに基づいた旅行コンテンツの一層の磨き上げが重要となる。
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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.69 -足踏み局面から緩やかな持ち直しへ:先行きの回復は企業の賃上げペース次第-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 小川 亮 / 郭 秋薇 / 劉 子瑩 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 古山 健大

    ABSTRACT
    1. 2024年1-3月期の関西経済は、足踏み状況から緩やかな持ち直しに向かう局面にある。家計部門では、消費者センチメント、所得、雇用など力強い回復には至らないものの、底打ちの兆しが見られる。企業部門では、生産は自動車工業の大幅減産で弱い動きであるが、景況感は堅調である。対外部門では、インバウンド需要はコロナ禍前の水準以上に回復しており、財輸出は持ち直してきている。
    2. 家計部門は一部に弱い動きも見られるが、緩やかに持ち直しつつある。大型小売店販売、センチメント、所得、雇用など多くの指標で回復ないし持ち直しの動きとなっている。実質賃金も依然として前年比マイナスが続いているが、底打ちの兆しが見られる。一方、住宅市場は低調である。
    3. 企業部門は、足踏みの状況が続いている。生産は自動車工業の大幅減産で弱い動きとなっている。設備投資計画は、非製造業で前年の反動が見られるなど全国に比べてやや控えめとなっている。景況感は製造業・非製造業ともに堅調に推移している。
    4. 対外部門のうち、財貿易は輸出・輸入ともに底打ちの兆しが見られる。輸出は対中国向けの持ち直しを背景に4四半期ぶりの前年比プラスとなった。インバウンド需要は順調に回復している。関空経由の外国人入国者数、免税売上高など増加傾向が続いている。
    5. 公的部門は、請負金額・出来高とも前年を下回り、弱い動きとなった。
    6. 関西の実質GRP成長率を2024年度+1.2%、25年度+1.4%と予測。22年度以降1%台前半の緩やかな伸びが続く。24年度は日本経済を上回る伸びとなる見通し。前回予測に比べて、24年度は-0.3%ポイント、25年度は-0.1%ポイントといずれも下方修正。
    7. 成長に対する寄与を見ると、民間需要は24年度+0.5%ポイント、25年度+1.0%ポイントとなり、緩やかな回復で成長を支える。公的需要は万博関連の投資により24年度+0.4%ポイントと成長を下支えるが、25年度には万博効果が剥落し、小幅寄与となる。域外需要は24年度+0.3%ポイント、25年度+1%ポイントとなる。
    8. 経済成長率を日本経済予測と比較すると、24年度は関西が全国を上回り、25年度はほぼ同程度となる。24年度は設備投資や公共投資など万博関連需要の押し上げにより全国を上回る伸びとなる。25年度は関西、全国とも民間需要が成長の牽引役となる。
    9. 今号のトピックスでは「関西各府県GRPの早期推計」および「各機関における大阪・関西万博の経済波及効果の比較」を取り上げる。

     

    予測結果表

     

    ※説明動画は下記の通り5つのパートに分かれています。

    ①00’00”~01’42”: Executive summary

    ②01’42”~26’14”: 第148回「景気分析と予測」 <自動車減産の影響は一時的、緩やかな回復を予測>

    ③26’14”~36’10”: Kansai Economic Insight Quarterly No.69 <足踏み局面から緩やかな持ち直しへ―先行きの回復は企業賃上げペース次第―>

    ④36’10”~38’45”: トピックス1 <関西2府4県GRPの早期推計>

    ⑤38’45”~43’34”: トピックス2 <大阪・関西万博の経済波及効果—3機関による試算の比較->

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.133-景気は足下、先行きともに悪化の兆し: 生産回復が見込まれるが物価の高止まりがリスク要因-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 劉 子瑩 / 吉田 茂一 / 古山 健大 / 宮本 瑛 / 新田 洋介 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気は、足下、先行きともに悪化の兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりの増産だが、1-3月期は大幅な落ち込み。雇用環境は、失業率は横ばいだが、就業者数と労働者数が減少しており回復に停滞がみられる。大型小売は、堅調なインバウンド需要が影響し持ち直している。貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小。先行きは自動車の生産回復が見込まれているものの、消費者物価の高止まりが景気の下押しリスクとなっている。
    • 輸送機械、生産用機械や電子部品・デバイス等の増産もあり、3月の生産は3カ月ぶりに前月比上昇した。しかし、1-3月期は、輸送機械の落ち込みが影響し、大幅減産となった。
    • 3月の失業率は前月からほぼ横ばいだが、就業者数と労働力人口に減少がみられた。また、就業率も前月より低下した。足下の雇用情勢に改善はみられず、労働需給はともに低調である。
    • 2月の現金給与総額は3カ月連続の前年比増加となり、伸びは前月より拡大した。しかし、物価上昇に追いついておらず、実質賃金の減少が続いている。
    • 3月の大型小売店販売額は30カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要の増加やオケージョン需要が堅調だったことから、25カ月連続のプラス。スーパーも18カ月連続で拡大した。
    • 3月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前月比減少。持家、分譲は増加となったが、貸家は減少した。依然弱い動きとなっている。
    • 3月の建設工事出来高のうち、公共工事は3カ月連続の前年比減少。一方、4月の公共工事請負金額は4カ月ぶりに増加に転じた。
    • 4月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で前月から悪化。円安による輸入コストの上昇や物価の高止まりが影響した。また、先行き判断DIも引き続き警戒感が強いこともあり、2カ月連続で悪化した。
    • 4月の輸出は2カ月ぶりに前年比減少。中国向けは2カ月連続で持ち直したものの、EUと米国向けが大幅減少したためである。一方、輸入は2カ月ぶりの前年比増加。結果、貿易収支は3カ月連続の黒字だが、黒字幅は前年比縮小。
    • 4月の関空経由の外国人入国者数は桜の開花時期でインバウンド需要が高まり、開港以来最高値を更新。外国人入国者数は堅調に推移している。
    • 4月の中国経済は、生産は堅調な推移が続くが、消費の回復には停滞感が強まっている。雇用回復の遅れと不動産市場の不況には依然として大きな改善が見られない。そのため、4-6月期の景気は1-3月期より大きな改善が見込まれないと予想される。

    【関西経済のトレンド】

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート No.58

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    • JNTO訪日外客統計によれば、3月の訪日外客総数(推計値)は308万1,600人。イースター休暇や桜の開花シーズンの影響もあり、単月として初めて300万人を超えた。
    • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば1月は268万8,478人。うち、観光客は238万6,640人と4か月連続で200万人を超える水準となった。また、商用客は8万8,781人(同-35.9%)、その他客は21万3,057人(同+3.6%)であった。
    • 先行きの訪日外客数は引き続き中国を除くアジア地域や欧米を中心に増加が見込まれよう。また、1人当たりの消費単価が着実に上昇しており、コト消費も増加しつつある。観光立国推進閣僚会議(2024年4月17日)で述べられているように、今後は日本における受入体制の強化に加え、各地域の観光資源の一層の磨き上げがより重要となろう。

    【トピックス1】

    • 関西3月の輸出は前年同月比+1.5%と2カ月ぶりの増加。一方、輸入額は同-13.6%と2カ月ぶりの減少となった。結果、貿易収支は2カ月連続の黒字となり、黒字幅は拡大した。
    • 3月の関空への訪日外客数は77万2,640人となり、開港以来、過去最高値を記録した。
    • 2月のサービス業の活動は対面型サービス業を中心に持ち直した。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数いずれも2カ月ぶりに前月比上昇。また、観光関連指数は旅行業
      旅客運送業が上昇に寄与し、3カ月連続の同上昇となった。

    【トピックス2】

    • 1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,040.0千人泊で、2019年同月比+7.5%と5カ月連続の増加となった。
    • うち、日本人延べ宿泊者数は6,231.0千人泊で、2019年同月比+3.5%と5カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,809.0千人泊で、同+17.7%と6カ月連続で増加した。

    【トピックス3】

    • 2024年1-3月期の訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は1兆7,505億円となり、四半期調査としては過去最高額を更新。円安の影響もあり、旅行者の消費意欲が高まり、1人当たりの旅行支出が増加した影響が表れた。
    • 一般客1人当たり旅行支出(全目的)は20万8,760円となった。2019年同期比+41.6%と2四半期連続で増加幅が拡大。欧米豪を中心に単価は着実に上昇しつつある。
    • 1人1泊当たり旅行支出をみれば、2万2,456円となり、2019年同期比+29.5%増加。買物代に比して、娯楽等サービス費等のコト消費に加え、宿泊費が大きく伸びていることが特徴的である。
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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.132-景気は足下局面変化、先行きは悪化の兆し: 生産停滞と消費者物価高止まりがリスク要因-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 劉 子瑩 / 吉田 茂一 / 古山 健大 / 宮本 瑛 / 新田 洋介 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気は、足下局面変化、先行きは悪化の兆しがみられる。足下、生産は2カ月連続の減産。雇用環境は失業率が前月から小幅悪化したことに加え、就業者数も減少した。消費はインバウンド需要の好調で百貨店を中心に緩やかに改善。貿易収支は2カ月連続の黒字となり、黒字幅は拡大した。先行きは生産の停滞と消費者物価の高止まりがリスク要因となろう。
    • 2月の生産は2カ月連続の前月比低下。前月大幅減産となった輸送機械は増産となったものの、生産用機械の大幅落ち込みが低下に寄与した。
    • 2月の失業率は前月より小幅悪化したと同時に、就業者数も減少に転じた。また、就業率も前月より低下した。雇用情勢に多少の停滞が見られる。なお、足下労働需要の動きは低調である一方、新規求職者数の大幅増加が見られる。
    • 1月の現金給与総額は2カ月連続の前年比増加となったが、伸びは前月より縮小した。結果、実質賃金の減少が続き、減少幅は前月より拡大した。
    • 2月の大型小売店販売額は29カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要の増加や春物衣料品などの好調で、24カ月連続のプラス。スーパーも17カ月連続で拡大した。
    • 2月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりの前月比減少。貸家は増加だが、持家、分譲は減少となった。特にマンションの大幅な落ち込みが全体を押し下げた。
    • 2月の建設工事は公共工事が引き続きマイナスとなり2カ月連続の前年比減少。また、3月の公共工事請負金額も3カ月連続の同減少となった。
    • 3月の現状判断DIは2カ月ぶりの前月比悪化。天候不順の影響で春物商材の売行きが伸びなかったことが影響した。また、先行き判断DIも物価やコストの上昇に加え、人手不足への不安感の高まりから2カ月ぶりの悪化となった。
    • 3月の貿易は輸出が2カ月ぶりに前年比増加に転じた。中国向け輸出が好調で、3月としては過去最高額を更新した。一方、輸入は2カ月ぶりに前年比減少し、23年12月以来の2桁マイナスとなった。
    • 3月の関空経由の外国人入国者数は桜のシーズンやイースター休暇の影響もあり、開港以来過去最高値を記録。インバウンド需要は好調に推移している。
      中国の1-3月期実質GDPは前年同期比+5.3%と前期からわずかに加速した。足元は生産の堅調な推移が続くが、雇用回復の遅れと不動産市場の不況は依然として改善が見られず、消費の回復の勢いは鈍化している。そのため、4-6月期の景気は1-3月期より大きな改善が見込まれないと予想される。
    【関西経済のトレンド】

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.131-景気は足下局面変化、先行きは下げ止まりの兆し: 生産回復の遅れが景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 新田 洋介 / 宮本 瑛 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気は、足下局面変化、先行きは下げ止まりの兆しがみられる。足下、生産は大幅減産となった。雇用環境は失業率が小幅悪化したものの、労働力人口と就業者数はともに増加していることもあり、持ち直している。消費は初売りセールやインバウンド需要の増加で好調。貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は大幅縮小。先行きは令和6年能登半島地震の影響が和らぎつつあるものの、生産回復の遅れが景気の下押しリスクとなろう。
    • 1月の生産は自動車生産の停止が影響し、大幅減産となった。正常化にはしばらく時間を要することもあり、1-3月期は大幅減産となる可能性が高い。
    • 1月の失業率は前月より小幅悪化したが、労働力人口と就業者数はともに増加。また、就業率も前月より上昇した。雇用情勢は持ち直している。なお、一部の産業を除いて、足下では労働需給の動きはともに低調である。
    • 12月の現金給与総額は2カ月ぶりの前年比増加となり、伸びは前月より大きく拡大した。結果、実質賃金の減少は続いているが、減少幅は前月より縮小した。
    • 1月の大型小売店販売額は28カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要の増加や身の回り品などの好調で、23カ月連続のプラス。スーパーも16カ月連続で拡大した。
    • 1月の新設住宅着工戸数は2カ月連続で前月比増加。貸家は減少したものの、持家、分譲は増加となったためである。
    • 1月の建設工事は公共工事がマイナスに転じた影響で25カ月ぶりの減少。2月の公共工事請負金額も2カ月連続の前年比減少となった。
    • 2月の景気ウォッチャー現状判断は2カ月ぶりに前月比改善。令和6年能登半島地震の影響が和らいだことやインバウンド需要の増加が景況感に好影響となった。また、先行き判断は賃上げへの期待もあり、4カ月連続で改善した。
    • 2月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、黒字幅は前年比大幅縮小。春節の時期のずれから、対中輸出が減少に転じた影響とみられる。一方、輸入は11カ月ぶりに前年比増加となった。
    • 2月の関空経由の外国人入国者数は春節休暇の影響もあり、単月としては過去最高を記録。インバウンド需要は堅調に推移している。
    • 1-2月の中国経済は、前月より大きな改善が見られなかった。工業生産は前月比で減速となったうえ、個人消費の回復も勢いを欠いている。中国政府は今年の実質経済成長率の目標を「5%前後」と定めたが、個人消費を直接支援する景気刺激策の実施には慎重である。そのため、1-3月期の景気は10-12月期より大きな改善が見込まれないと予想される。
    【関西経済のトレンド】

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.56

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は268万8,100人、2019年同月比では-0.0%と2カ月ぶりに小幅マイナスに転じたが、コロナ禍前とほぼ同程度となった。なお、国・地域別では韓国、台湾とオーストラリアが単月で過去最高を記録した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は244万890人。観光客は220万6,883人となり、2カ月連続で200万人超の水準となった。

    ・令和6年能登半島地震は新潟県、富山県、石川県、福井県の観光業に大きな影響を与えている。政府は当該地域で落ち込んだ観光需要を喚起するために、3月より「北陸応援割」を開始した。喚起策により、国内旅行者及び訪日旅行者の増加が期待されよう。

    【トピックス1】

    ・関西1月の輸出は春節休暇の時期のズレも影響し、9カ月ぶりの前年比増加。一方、輸入は10カ月連続で減少した。貿易収支は12カ月ぶりの赤字となった。

    ・1月の関西国際空港への訪日外客数は70万402人と、2カ月連続で70万人超の水準。低調なアウトバウンド需要に比してインバウンド需要は堅調に推移している。

    ・12月のサービス業の活動は小幅改善だが、足踏みの状態が続く。第3次産業活動指数は4カ月ぶりの前月比上昇。また、対面型サービス業指数は2カ月ぶりに同上昇した。観光関連指数も年末の旅行需要増加の影響もあり、旅行業や宿泊業が上昇に寄与し、4カ月ぶりの同上昇となった。

    【トピックス2】

    ・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,949.3千人泊で、2019年同月比+10.0%と3カ月連続の増加となった。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,124.0千人泊、2019年同月比+1.3%と3カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は3,825.3千人泊となり、同+34.6%と4カ月連続で増加した。日本人宿泊者に比して外国人宿泊者は着実に増加している。

    【トピックス3】

    ・2023年10-12月期における関西2府8県の国内旅行消費額(速報)は1兆1,331億円、19年同期比+12.4%と3四半期連続のプラス。23年通年では4兆1,034億円となり、コロナ禍前(19年比-0.6%)をほぼ回復した。

    ・国内旅行消費額のうち、10-12月期の宿泊旅行消費額は9,101億円で2019年同期比+21.2%となり、2四半期連続のプラス。一方、日帰り旅行消費額は2,230億円。2019年同期比-13.1%と7-9月期(同-21.4%)からマイナス幅は縮小したものの、宿泊旅行消費額に比して回復ペースは緩慢である。

     

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  • 稲田 義久

    令和6年能登半島地震の影響と北陸3県経済 -ストック、フロー、人流を中心に-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 野村 亮輔 / 壁谷 紗代 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」の影響が懸念されている。震災によって大きな被害を受けた新潟県、富山県、石川県の3県(以下、北陸3県と記す)の被害状況に基づき、復旧復興の観点からその経済的な影響を考察した。それを整理し得られた含意は以下の通りである。

     

    1. ストックの観点から北陸3県経済をみれば、民間企業資本ストックは、各県とも「サービス」が最も大きい。次いで新潟県、石川県では「農林水産」が、富山県では「化学」が大きい。また、住宅ストックは新潟県が最も大きく、次いで石川県、富山県と続く。
    2. フローの観点から北陸3県経済をみれば、各県とも製造業のシェアが最も高い。うち、新潟県は「食料品」が、富山県は「化学」が、石川県は「はん用・生産用・業務用機械」がそれぞれ最も高いシェアを占めている。
    3. 今回の震災による北陸3県の直接被害(建築物等)を推計すれば、新潟県は5,177億円、富山県は2,946億円、石川県は5,827億円、3県計で1兆3,951億円となる。また、間接被害は4兆円となり、これは2020年度の名目GDPの0.4%に相当する。
    4. 人口移動の観点からみれば、北陸新幹線開業を契機に富山県、石川県でみられたような人口移動が今回の震災を契機に一層進む可能性がある。3月16日に金沢-敦賀間の延伸が実現するが、この効果は福井県では限定的と思われる。
    5. 今回の震災で北陸の観光業の特徴が明らかとなった。北陸は国内市場に強く依存した構造となっている。人口減少が長期トレンド下にあるため、この構造から脱却する必要がある。地域創生戦略にとって、インバウンド需要の一層の取り込みを実現する戦略が重要となろう。

     

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