第84回 景気分析と予測(2010年08月24日)

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ABSTRUCT

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
8月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2011年度の改訂経済見通しとなっている。

ポイントは以下の通り。
*2010年度および2011年度の改訂見通し…2010年度の実質GDP成長率は+2.2%、11年度も+1.7%と予測する。前回から2010年度は0.6%ポイント下方に、2011年度は0.3%ポイント上方に修正された。
下方修正の理由としては、2010年度への成長率のゲタが0.2%ポイント下がったこと、民需の見通しが前回から下方修正されたためである。
*2010年度後半経済の四半期成長パターンは乱高下(bumpy)の様相を示す。政策の変更に伴う駆け込み需要とその後の反動が発生するためであ る。エコカー補助金が9月末に終了し、タバコ値上げが10月に予定されている。また12月には家電エコポイント制度が終了する。特にその規模から無視でき ない影響が、乗用車販売台数とタバコ販売に発生する。
*日本経済にとって円高の昂進は大きなリスクである。現行の水準から10円円高に振られた場合、実質GDP成長率は2010年度に0.3%ポイント、2011年度に0.6%ポイントと大きく低下する。この影響はこれまでの政策効果を帳消しにする大きさである。

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