関西企業におけるイノベーションと人材

研究プロジェクト 2013年度

ABSTRACT

研究成果概要

本プロジェクトでは、高い生産性の伸びを維持している関西企業を抽出して、ヒアリング調査を通じて高生産性の秘訣を探りました。この調査の大きな特徴は2つあります。第1に、生産性の指標として全要素生産性(TFP; Total factor productivity 付加価値に対する労働や資本といった生産要素の貢献以外の部分)を取り上げ、個別企業の財務データを使用して定量的な分析により各企業の生産性の伸び率を算出し、グローバル金融危機や東日本大震災といった大きなショックが発生した2009年度から2011年度について全国の平均的な企業よりも生産性の伸びが高い関西企業を抽出したことです。

第2に、抽出された関西企業を対象にヒアリング調査を施し、何が高生産性をもたらしたのか定性的な分析を行った点です。高生産性企業ではさまざまなイノベーションが打ち出されていることがわかりましたが、さらにイノベーションを推進する上で優秀な人材をいかに確保し、企業組織内でどのように活用しているのかという点についても検討を加えました。

その結果、多様な人材が持つ遠心力と企業の基本理念の共有化という求心力が備わって始めて、組織の実行力が高められる中で多様な人材の能力が最大限に発揮され、企業の生産性の向上が実現することがわかりました。詳細はこちら

目的

・TPPに象徴される地域経済協定の進展により各国間で貿易への制約が撤廃された場合、企業が生き残っていくためには、絶え間なく高い生産性を維持し、新製品開発により積極的なイノベー ションを推進していかなければならない。こうした企業の創造的活動を推進する上では人材や柔軟な企業組織が果たす役割は大きい。

・高い生産性を誇る関西企業が、優秀な人材をいかに確保して企業組織内でどのように配置することによってイノベーションの創造に成功しているのか、外国人財の活用、大学・地方自治体の役割も考察に入れながら、分析を進めていく。

・読者としては企業、大学そして地方自治体が対象となる。

内容

・大学・研究機関、企業、行政、シンクタンク等をメンバーとするオープンな研究チームを組織し以下の調査を実施する。

(1)企業財務データから生産性を算出するためのデータ収集と分析

(2)関西の高生産性企業へのヒアリング

(3)生産性向上に大学や地方自治体が果たす役割について調査

・財務データという客観的なデータに基づいて高生産性企業を特定するとともに、ヒアリングを通してデータに表れない企業内の無形の工夫を調べ、イノベーション企業の特徴を明らかにする。

期待される成果と社会還元のイメージ

・関西企業の中の高生産性企業を特定し、その人材採用、活用、企業組織における配置といった特徴を明らかにすることにより、企業が生産性の向上を図るために必要な方策を提示する。これは、企業戦略を立案する上で貴重な情報となりうる。

・企業の生産性向上ため、大学や地方自治体とどのような連携を行うべきかについても提言として纏める。

 

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