関西独自の景気指標の開発と応用

研究プロジェクト 2016年度

ABSTRUCT

リサーチリーダー

主席研究員 豊原法彦 関西学院大学経済学部教授

 

研究目的

関西地域では、大阪府、兵庫県、和歌山県などが公表している景気動向指数(先行指数、一致指数、遅行指数)に基づき、景気の山と谷を決定している。その目的は景気の動向を判断することで現状を把握し、さらに将来を予測することで経済的ショックの緩和することにある。 同様の目的にために用いられる指標の1つにOECDが開発しているCLI(Composite Leading Indicators)があり、その特徴は景気に先行して変動するという点にあり、OECD各国や地域で用いられている。

利用するデータは基本的には月次データであり、各府県や機関が公表しているものを用いるので、担当部局のヒアリングを行うことで、各府県で利用可能なCLIの試算値を企業はじめ各公共機関などに提供したい。

 

研究内容

実際の景気変動よりも数か月先に変化する指標を作成することで、景気の予測が可能となる。とくに公表されたデータを用いることから、再現性も高く景気動向指数を公表していない地域においても同じ枠組みで対応することが可能となる。

いったん、ソフトウエアが開発でき、採用系列が確定できれば、あとは毎月データの更新のみで指数が計算できるようにシステムを運用することができる。

2015年度分析では関西地区を対象に段ボール生産などを用いて景気に先行して変化する指標を作成し、経済状況を予想できることが明らかとなった。それを踏まえて各府県で公表される月次データのうち、鉱工業生産指数(大阪府は工業生産指数)や雇用関係の指標、段ボールの近畿地区生産高などの項目を組み合わせることでCLIを試算する。

そして、何カ月数先行したCLI試算値とCI一致指数間における相関係数やその試算値から景気の転換点を求め、大阪府、兵庫県などが設定している景気基準日付と比較して、両者間で景気の拡大または後退局面の一致度合い(concordance指数)を計算することで採用系列を決める。

 

統括

稲田義久 APIR数量経済分析センター センター長

リサーチャー

根岸 紳 関西学院大学経済学部教授

高林喜久生 関西学院大学経済学部教授

入江啓彰 近畿大学短期大学部准教授

オブザーバー

芦谷恒憲 兵庫県企画県民部統計課参事

 

期待される成果と社会還元のイメージ

ある程度データがたまった段階で、試作CLIを公開する

試作であることを明記したうえで、関学内またはAPIRのサーバで公開することにより、情報提供するとともに、そこからのフィードバックを受けて改善したい。

pagetop
loading