ABSTRUCT
リサーチリーダー
上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
中小企業の事業承継は喫緊の課題とされている。多くの事業承継者にとって、事業承継は「初めて」の体験であり、事業面はもちろん、借入への対処など様々な問題にぶつかる。そのために、高い技術やノウハウを持つ中小企業まで廃業してしまっている実態がある。そこで、政府は事業承継税制の改正を実施するなど、事業承継をしやすい環境を創ろうとして取り組んでいる。金融面においても、民間金融機関、政府系金融機関や信用保証協会などによる事業承継支援の強化が求められている。
そこで本研究会では、兵庫県信用保証協会と連携して実施した兵庫県の中小企業約8,500社(最近事業承継を済ませたと思われる約2250社と近いうちに事業承継が必要だと思われる高齢の経営者の企業約6250社)に対する事業承継に関するアンケート調査(2019年2月実施)を活用し、その調査結果を利用した分析をまとめて、関西における地域金融面からの事業承継支援の課題を明らかにして、政策的な提言を行いたい。
研究内容
中小企業の事業承継について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。
・現在、わが国で行われている事業承継支援の現状について把握する。このために、行政当局、金融機関、支援機関等の実務家に対するヒアリングを実施する。
・兵庫県の中小企業を具体的な対象にして、実際の事業承継がどのように行われているか、また、どのような点が障害になっているかを把握する。このために、兵庫県信用保証協会と連携して実施したアンケート調査の個票を入手できるので、クロス集計や回帰分析によって回答結果の詳細な分析を行う。
・得られた分析結果およびそれに基づく我々の解釈を、外部の研究者や実務家に対して提示し、そのフィードバックを活用して、精緻な提言としていく。
研究会では、アンケート結果の分析についてメンバー間やゲストスピーカーとの間で議論を行い、報告書の執筆に役立てる。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授
リサーチャー
岩坪加紋 摂南大学教授
尾島雅夫 神戸大学経済経営研究所研究員 (姫路獨協大学・非常勤講師)
小塚匡文 摂南大学教授
柴本昌彦 神戸大学経済経営研究所准教授
内木栄莉子 愛知学院大学助教
播磨谷浩三 立命館大学教授
中山健悟 APIR研究員・調査役
期待される成果と社会還元のイメージ
・事業承継が必要だが、未実施企業の状況や特徴、事業承継に直面して感じる課題を明らかにして、地域金融機関が効果的な事業承継提案をできるようにどうすれば良いかを提言する。
・事業承継に成功した企業がどういった点で金融機関の支援を評価し、どういった点で不満を感 じているかを明らかにし、地域金融機関のこれまでの取り組みを評価することで、金融行政当局や中小企業政策当局に対する監督および政策立案のための参考資料を提供する。
・事業承継を課題として考えている関西の企業に対して、事業承継に成功した企業の事例を紹 介することで、自らの準備のヒントを提供する。
また、研究内容に厚みをつけるために、当該分野の実務家や研究者などを招いた研究会や意見交換会を開催する。
<研究会の活動>
研究会
・2019年5月8日 第1回研究会開催
・2019年7月31日 第2回研究会開催
・2019年9月11日 第3回研究会開催
・2019年10月4日 第4回研究会開催