インバウンド先進地域としての関西 持続可能な観光戦略を目指して

研究プロジェクト 2019年度

ABSTRUCT

リサーチリーダー

研究統括兼数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学経済学部教授

 

研究目的

・世界に通用する観光圏「関西」形成のための、関西におけるインバウンド戦略の必要性

日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。本テーマでは、関西におけるインバウンド戦略を検討するための関西基礎統計の整理、マイクロデータによる分析に取り組んできた。これらを引き続き深化させる。

・持続可能な戦略策定のために考慮すべき課題

インバウンド需要を持続的に拡大するうえで課題となるオーバーツーリズムの解消に加え、最近の課題として、今後数年の間に動向変化が見込まれるIR/MICEの観点、関西三空港の観点も研究に含める必要がある。

 

研究内容

2018年度に引き続き、以下4つの軸でバランスよく進めるが、特に②に重点をおく。

①関西基礎統計の整理

インバウンド関係基礎データ(観光庁の公開データ、RESAS等)の整理に加え、18年度に開発した府県別外客数の月次推計手法を用いて動態を分析する 。

②マイクロデータによる実証分析

近畿運輸局等の協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査(個票をもとに、訪日外国人の多面的な移動パターンの分析)・宿泊旅行統計調査(同じく、府県別宿泊者数の動態分析)等の分析を行う。

③観光戦略の在り方成長戦略立案のための課題の認識と共有

政策担当官庁、推進組織、民間団体と、持続可能なマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる「場」を提供し、分析を通じて得られた解決策を発信する。

④IR/MICEに関する調査分析

動向調査による現状把握をもとに、課題抽出と提言の検討を行う。

 

研究体制

リサーチャー

松林洋一  APIR主席研究員、神戸大学大学院教授

森本 裕  甲南大学経済学部 准教授

研究協力者

柴谷淳一  国土交通省・近畿運輸局観光部 計画調整官

村上良明  国土交通省・近畿運輸局観光部 観光企画課 課長

野口礼子  関西観光本部 事務局長

都留敦徳  日本旅行業協会 事務局長

筒井千恵  関西エアポート株式会社 グループリーダー

※必要に応じてDMOや民間企業、IR/MICE関係者 等にも参画いただく。

 

期待される成果と社会還元のイメージ

関西の各自治体・観光団体・経済界に対して

基礎的な観光指標を公表する

昨年に続いてインバウンド関係基礎データを整理し、関西観光本部と協力して公表する。

インバウンド戦略策定に向けた実績推計値とマーケティング情報を提供する

観光庁データのより詳細な分析により、関西におけるインバウンド需要の特性を分析し、観光戦略を検討するために必要となる実績推計を行う 。これらは、新たなツーリズム施策の効果検証を可能にする。

また個票データ等の分析による関西と他地域の比較から、関西の強みを活かしたマーケティングの立案に貢献することができる情報を提供する。インバウンド消費需要の数量的分析(需要関数の推定)もここで行う。

観光戦略の在り方と課題を共有するための、情報と「場」を提供する

関西三空港の動向も踏まえ、四半期毎の研究会を想定する。

IR/MICEについて、現状分析と新たな提言を行う

最近の動向を含む分析から、新たな提言を行う。

 

<研究会の活動>

研究会

・2019年 7月31日   第1回研究会開催

・2019年11月21日   シンポジウム開催  (シンポジウム概要はこちら

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