ABSTRUCT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
2014年9月に公表された金融庁の『平成26事務年度 金融モニタリング基本方針』において「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれて以来、金融行政や地域金融機関経営のキーワードとして「事業性評価」が注目を集めている。
従来からの事業性評価(事業性評価1.0と呼ぶ)は、外側からみえにくい企業の強みや弱みを十分に見極める点に重点があった。今後もこの点での能力を向上させていくことが必要である。一方で、事業性評価の質的拡大が求められていると考えられる。すなわち、将来の外部環境の変化が急速でかつ大規模であると予想されることから、そうした変化が企業に及ぼす影響を予め検討して、その対応策を企業と一緒になって考え、企業が対応策を実行していく際に伴走していくことが、新しい事業性評価のあり方(事業性評価2.0)だと考えられる。
研究内容
2021年度は5回の研究会を実施する。
研究会の前半では従来型の事業性評価の深化を図り、後半では事業性評価の質的な向上として、ESG要素を含んだ事業性評価への発展を取り上げる。
具体的には、それぞれの研究者が文献や各種のデータを活用して研究を行い、その成果を持ち寄り、議論を重ね、研究の精緻化を図る。また、ESG金融に関しての外部の専門家や実務家の講演会を実施し、講師との質疑を通じて、現状を正確に把握し、課題についての理解を深める。
外部専門家の講演として、ESG金融の専門家や進んだ取り組みを実行している金融機関を招いての研究会実施を予定。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
期待される成果と社会還元のイメージ
事業性評価の質的向上の優れた実践の紹介や課題の分析を行った書籍の刊行を予定している。
ESG金融に関する分析については、APIR報告書の形で取りまとめた後に、論文や各種の講演の形で社会や金融機関に還元する。