ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久
成果報告
2023年度は22年度に引き続き観光基礎統計を用いて、回復するインバウンド需要並びに国内旅行需要に関する分析を行いました。また、急速に回復するインバウンド需要下において、関西における大型ホテル建設の動向に着目し、コロナ禍における宿泊事業者の対応を明らかにしました。さらに、訪日中国人客の回復が遅れていることに注目し、オープンデータを基に回復パターンを想定するとともに、関西及び日本経済に与える影響についても分析を行いました。加えて、昨年度に引き続き観光地の「ブランド力」確立に向けて、Webアンケート調査を実施しました。今年度はサンプル数及び対象となる関西の観光地を拡充するとともに、日本人並びに日本在住の外国人を対象に調査を実施しました。アンケート調査から得られた結果より、観光客の属性に基づいた関西広域周遊を明らかにするための基礎研究を行いました。
当初計画
研究目的
・自治体・DMO等での、持続可能なツーリズム戦略策定への情報提供の必要性
コロナ後の観光戦略には、万博開催に向けて急回復が見込まれるインバウンドの獲得に加えて、国内客も含めた高付加価値化、さらにSDGs・観光地域づくりも踏まえ、経済、環境、地域社会いずれの面でも持続可能であることが求められている。自治体・DMO等での今後の戦略策定に寄与するため、数量分析を中心に現状の課題と解決の方向性を検討したい。
・観光地の「ブランド力」指標の必要性
本研究が示してきたインバウンド消費の4つの決定要因のうち、地域のツーリズム関係者が唯一、自力で向上できる「ブランド力」には定量的な指標が確立されていない。ブランド力向上の戦略策定に寄与すべく、これを定量化する指標を作りたい。
研究内容
2022年度に引き続き、以下の5つの軸でバランスよく進める。
①関西基礎統計の整理
②マイクロデータによる実証分析
③ブランド力指標の開発のための、アンケート調査と結果の解釈
④観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題検討
⑤万博に向けた戦略を官民で意見交換する場の設定
期待される成果と社会還元のイメージ
研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(トレンドウォッチ)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、フォーラム等での情報提供と議論)を予定している。
また、上記研究成果を「ポストコロナにおける観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。
研究体制
研究統括・リサーチリーダー
リサーチャー