地産地消型の地域経済圏
~「食と農」でつなぐコミュニティモデル~

研究プロジェクト 2024年度

ABSTRACT

リサーチリーダー

APIR主席研究員 中塚 雅也(神戸大学大学院農学研究科 教授)

研究の進捗

  • 2024年6月5日(水) 第1回研究会開催
  • 2024年9月11日(水)第2回研究会開催
  • 2024年12月9日(月)第3回研究会開催

研究計画

研究の背景

日本全体で人口減少が進む中、都市部と地方部で一体化した新たな地域経済圏の構築が今後必要となる。この地域経済圏の実現には、地方の基幹産業である「農業」を儲かるビジネスにすることが、重要なアプローチの一つとなる。

現在、日本の農業が置かれている状況は、以下に示す通りである。

 

  1. 国内の農業就業者は、人口減少と平均年齢の上昇が続き、農業の担い手を増やすことが急務となっている。(図1)
  2. 地方移住の阻害要因として、農業分野の平均所得の低さが指摘されており、『農業を儲かるビジネスにする』ことが必要である。(図2)
  3. 政府は、農地集積・大規模化する方針だが、中山間地域の集積が足踏み状態。関西では中山間地域が50%と全国平均より高く(図3)、大規模化が困難のため、『高付加価値の野菜・果樹栽培』が今後進む可能性がある。

 

本研究プロジェクトでは、日本の中でも都市と地方が近接する強みを持つ関西で、『都市と地方を一体化した地産地消型コミュニティによる“儲かる農業”』の実現方法を提案する。

研究内容

以下の3つの分析観点から、フィールドワーク・ヒアリング調査を進めて、事例評価とコミュニティ実現に向けた課題をまとめる。

  1. 都市部農空間の地方との連携方法
    マルシェ・市民農園の活用
    ex)うめきた2期グラングリーン、卸売市場(木津・西宮)の地方交流拠点化など
  2. 農産地のファン化を促す交流モデル
    農業学習・人的交流をセットにした観光農園・農業体験による関係人口の増加
    地方での体験・人的交流を基に、観光→援農→移住体験を促す移住者獲得プログラム
  3. 地産地消を支える中小規模流通モデル
    都市部・地方部の双方で集荷拠点を集約して相乗り配送を増やし、個配を無くす事例の収集・評価

期待される成果と社会貢献のイメージ

  • 企業各社による、SDGs・地域貢献・健康経営の観点での取組み/参画方法に利用
  • 交通・流通業界による、地産地消型コミュニティ実現に向けた効率的な流通基盤の在り方検討
    ex)貨客混載・小さな拠点の実現方法の検討に利用
  • 観光業界・地方自治体による、食と農でつなぐ広域周遊ツーリズムの検討に利用

研究体制

研究統括

本多 佑三  APIR研究統括、大阪大学 名誉教授

 

リサーチリーダー

中塚 雅也  APIR主席研究員、神戸大学大学院農学研究科 教授

 

リサーチャー

石田 奈津子 ブリコルーズ合同会社 代表、駒澤大学 研究員
武田 重昭  大阪公立大学大学院農学研究科 准教授
若菜 千穂  いわて地域づくり支援センター 常務理事
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