アジア太平洋地域軸
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
PDFリサーチリーダー
APIR上席研究員 木村 福成 慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト
研究目的
アジア諸国は、日EU EPA、TPP11(CPTPP)の発効、RCEPの署名を受け、新たな段階に入りつつある。グローバリゼーションを押し戻した感もあるコロナ禍はワクチン普及が切望されるものの各国ごとの格差は大きい。バイデン政権に代わった米国は、前政権の保護主義的な通商政策からの転換が期待されるが、人権問題をはじめとした中国との論争は政治問題に拡大し、米中貿易戦争の終結は見通しにくい状況にある。アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、デジタルエコノミーの急速な進歩はこれまでのグローバル・バリューチェーンをどう変えていくのか、高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは進むのかなど、グローバル企業の事業活動に強い影響を及ぼす局面は多岐にして早いスピードで更新されている。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジアの経済統合について研究を進めていく。
研究内容
2021年度は2020年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていく。また、コロナ禍の影響でアジアをめぐる情勢は急激に変化しているため、日本、関西経済への影響についても最新状況を踏まえて分析していく。
木村リサーチリーダーによるASEANと日本の経済活動研究による考察を軸に学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションや話題提供につなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。
オープンなシンポジウム形式の研究会とすることで、会員企業等の方々との情報共有を進め、また同時に多方面の方々からアンケート等でフィードバックを受ける。時事的な課題についても積極的にテーマに取り込むため、事態の新展開を常に追っていく必要がある。それら最新の情勢に関して専門性をもって解釈し、将来を見据えた議論を展開していくところに、本プロジェクトの独自性が存在する。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
期待される成果と社会還元のイメージ
講演会の内容を基にした会員企業向けの年次報告書は、2021年度内に取りまとめる。
オープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々に還元する。
アジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。
研究プロジェクト
2021-07-27
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ABSTRACT
PDFリサーチリーダー
APIR主席研究員 後藤 健太 関西大学経済学部教授
研究の背景
アジアにおけるビジネス戦略を考えるうえで、SDGs(Sustainable Development Goals)の達成、持続可能なサプライチェーンの構築は欠かせない視点である。
当研究所においては、設立当初からアセアン諸国の研究機関等との連携を通じて、アジア太平洋地域の持続的な発展をサポートしていく調査研究を進めていくことをひとつの使命としている。
研究内容
2025年大阪・関西万博をにらみ、中堅中小企業を含む関西企業もSDGs実装化する必要性に直面している。これにあたり、バックキャスティング、目標のトレードオフを前提とした取組みを行うことにより、SDGsウォッシュにならないよう、一般社団法人SDGsオープンイノベーションプラットフォームの活動と連携しながら、調査研究活動を通じて、啓蒙する。
SDGsオープンイノベーションプラットフォームのビジネスマッチングを実例として、リサーチャーの知見を活用し、SDGsウォッシュにならないような真の意味での持続可能なビジネス創出に関与することを通じてSDGsの実装化を支援する。
研究体制
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
期待される成果と社会還元のイメージ
会員企業をはじめ、企業、経済団体など民間で利活用可能な好事例の創出とその分析。
SDGsが直接ビジネスと直結するグローバルな企業活動展開において重要な要素であることの理解促進。
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
PDFリサーチリーダー
APIR上席研究員 守屋 貴司 立命館大学経営学部教授
研究の背景
米国の大手IT企業のCEO(Google、マイクロソフト等)として多くのインド出身者が活躍している。インド工科大学(IIT)は超難関大学として知られ、卒業生は現地のGAFA関連などの巨大企業の研究所への高度人材供給源となっており、国内起業家の育成にもIITは熱心に取り組んでいる。また、インドを含め、シンガポール、ベトナムなどアジア諸国も各国とも大学教育(産業界との連携)を含めて、先進的な取り組みを行い、高度人材を自国の経済発展への繋げる動きが活発、加速化している。特に、インドの場合においてはカースト制などの社会構造制度などの理解も不可欠である。そこで、本研究プロジェクトでは、アジア人材(インド、ベトナム、シンガポールなど)に焦点をあて検討を進める。
研究内容
2021年度は、日本で働くインド・ベトナム人エンジニアへのアンケート調査と先進的な企業事例のヒアリングなども実施し、日本企業がアジア人材との共働社会を実現するために必要な制度や取り組みへの提言を報告書としてまとめる。
①アジアに進出する日系企業の先進事例の調査・検討
既にアジアに進出している(アジア人材を採用している)日系企業の先行事例を調査・検討し、今後の日本企業に必要な要素を抽出する。
②日本企業とアジア企業との連携・イノベーションの調査・検討
「アジア人材と日本人材の『協働』によるイノベーション」が実現していることを定量的・定性的データ(特許データ〔PCT出願〕)から明らかにし、それに基づきながら「アジアの高度人材との共働のための企業政策」について検討する。
③日印間の移動と在日インド系IT人材の動向
インド人人材が日本でどのように就労しているのかについて、各種統計や公表されている資料を中心に分析を行う。
④日本企業におけるアジアの高度人材とのダイバーシティマネジメントとイノベーション
②の研究事例として日本企業、アジア現地企業のケーススタディを行い、日本企業への提案としてまとめる。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
期待される成果と社会還元のイメージ
「アジア人材との共働社会」フォーラム開催し、2021年度末に研究会成果報告書を取りまとめ、APIRホームページに掲載する。
アジア人材との共働社会を実現するための企業の具体的な人事制度設計や取り組みなどに関して活用されることを想定している。
日本・関西経済軸
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
PDFリサーチリーダー
APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久
研究目的
・持続可能なインバウンド産業にむけての戦略転換の指針の導出
コロナ前のインバウンド産業では訪日外客の量的拡大を志向する傾向が強く、供給制約に直面した場合、持続可能な発展が望めない状況にあった。こういった量的拡大志向から、コロナ後を見据えて1人当たりの付加価値を高める戦略への転換が必要であり、コロナ禍によって訪日外客が途絶えている現在は戦略を再考する好機といえる。
2020年度、本研究PJではインバウンド消費を分析する視点として「ブランド力」「広域・周遊化」「イノベーション」「安全・安心・安堵」を提示した。2021年度は特に「ブランド力」の向上のために、日本人が気づきにくい観光資源の魅力や課題を抽出する施策を検討し、戦略転換の指針を導きたい。
・ポストコロナのインバウンド戦略策定を意識した、基礎的分析の継続
本テーマでは、マーケティングの指標となるインバウンド関係基礎データの整理・推計や、戦略策定に参考となるマイクロデータ分析といった基礎的な分析を継続的に行い、得られた知見をトレンド・ウォッチ等の形で都度発表してきた。2021年度はコロナ禍の影響も取り入れた分析を継続し、コロナ後のインバウンド戦略の策定に資する情報として成果を発信したい。コロナ禍により訪日外客のデータが公表されない期間については、対象を拡大して国内旅行について同様の分析を行う。
研究内容
2020年度に引き続き、以下の5つの軸でバランスよく進める。
①関西基礎統計の整理
②マイクロデータによる実証分析
③ブランド力指標の開発のための基礎調査、アンケート調査の実施
④観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題検討
⑤成果の発信、課題共有の「場」作り
<研究体制>
研究統括・リサーチリーダー
リサーチャー
研究協力者
オブザーバー
※必要に応じてDMO、自治体や民間企業等関係者にも参画いただく。
期待される成果と社会還元のイメージ
研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(研究報告書)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、シンポジウム等での情報提供と議論)を予定している。
また、上記研究成果を「ポストコロナ禍における観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
PDFリサーチリーダー
APIR上席研究員 下條 真司
研究目的
コロナ禍によって日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが改めて浮き彫りとなり、官民ともにDX推進の機運が高まった。一方、DXには事業の転換や業務プロセスの変革を含む場合があり、拙速に行うと組織内外に負の影響を伴うにも関わらず、DXの「進め方」に比べて、有効なDXとするために守るべき「規範」に関する考察は少ない。DXの有効性をより高めるには、「規範となる考え方」が広く共有される必要があると思われる。
16~20年度の研究PJ「都市におけるIoTの活用」では、「『人々の幸せ』を中心とする、持続的に成長する都市」実現のためのIoT/ICTのあるべき姿を考察してきたが、それを都市ぐるみ、都市レベルのDXの取り組みへと発展させ、個々の企業にも役立つ指針としたい。21年度はこれまでの考察に加え、DX実施に伴う課題、負の面ならびにその対策を検討して、関西・大阪における都市レベルのDXの「規範となる考え方」を提案することを目指す。
研究内容
(1) 複数の視点を設定し、それぞれの視点での文献調査、政策レビュー、事例調査を通じて、DXの際に想定される課題と、それに対応する規範の内容案を多面的に検討する。
(2) 研究期間中には複数のクール(検討期間)を設定し、各クールの最後には産官学のオブザーバーを交えた研究会を開催する。研究会ではそれまでの検討結果を報告するとともに、規範の考え方について実務者との意見交換を行い、規範案のブラシュアップを行う。関連する事例の共有も行う。
(3) 国内外の代表的な展示会に出席し、DXに関連する官民の技術の方向性を現地調査する。調査結果は所内研究会で報告するとともに、示唆を抽出する際の参考情報とする。
(4)21年度の成果報告と、産官学有識者との意見交換を通じた規範案のPRとさらなるブラシュアップを目的としたフォーラムを開催する。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
※必要に応じて、大学、自治体や企業等にも参画いただく。
期待される成果と社会還元のイメージ
2025年万博、都市OSに向けた提言を含め、関西・大阪におけるDX推進の規範となる考え方をまとめた報告書を取りまとめる。産官学それぞれの枠を超えた、DX/スマートシティの諸課題に関する情報共有と議論の場を提供する。
関西・大阪の自治体・企業において、今後DXの実行計画を策定する際、目的・仕様の上位概念として参照いただく。また研究会を通じて、DX/スマートシティ構築に関して各社間で交流・連携いただく。
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
PDFリサーチリーダー
APIR上席研究員 家森 信善 神戸大学経済経営研究所教授
研究目的
2014年9月に公表された金融庁の『平成26事務年度 金融モニタリング基本方針』において「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれて以来、金融行政や地域金融機関経営のキーワードとして「事業性評価」が注目を集めている。
従来からの事業性評価(事業性評価1.0と呼ぶ)は、外側からみえにくい企業の強みや弱みを十分に見極める点に重点があった。今後もこの点での能力を向上させていくことが必要である。一方で、事業性評価の質的拡大が求められていると考えられる。すなわち、将来の外部環境の変化が急速でかつ大規模であると予想されることから、そうした変化が企業に及ぼす影響を予め検討して、その対応策を企業と一緒になって考え、企業が対応策を実行していく際に伴走していくことが、新しい事業性評価のあり方(事業性評価2.0)だと考えられる。
研究内容
2021年度は5回の研究会を実施する。
研究会の前半では従来型の事業性評価の深化を図り、後半では事業性評価の質的な向上として、ESG要素を含んだ事業性評価への発展を取り上げる。
具体的には、それぞれの研究者が文献や各種のデータを活用して研究を行い、その成果を持ち寄り、議論を重ね、研究の精緻化を図る。また、ESG金融に関しての外部の専門家や実務家の講演会を実施し、講師との質疑を通じて、現状を正確に把握し、課題についての理解を深める。
外部専門家の講演として、ESG金融の専門家や進んだ取り組みを実行している金融機関を招いての研究会実施を予定。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
期待される成果と社会還元のイメージ
事業性評価の質的向上の優れた実践の紹介や課題の分析を行った書籍の刊行を予定している。
ESG金融に関する分析については、APIR報告書の形で取りまとめた後に、論文や各種の講演の形で社会や金融機関に還元する。
経済予測・分析軸
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » 経済予測・分析軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 松林 洋一 神戸大学大学院経済学研究科長・経済学部長・教授
研究目的
従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究ではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。
研究内容
本研究で基本となる成果物は、テキストデータから推定された景気関連指数(S-APIR指数)である。指数を推定するため、2020年度から引き続き、人工知能の一種である深層学習を用いる。深層学習のモデルとして、これまでと同様にリカレント・ニューラル・ネットワーク(Recurrent Neural Network、以下RNN)に加え、Google社が開発した最新の学習モデルであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いる。BERTは、RNNのように単語の順序を考慮した上で学習することはせず、文中の全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数の各バージョンを推定するモデルを構築する。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
期待される成果と社会還元のイメージ
新聞記事のテキストデータから景況感を推定するモデルを構築し、その出力値をS-APIR指数と称している。これを政府による既存の景況感指数と比較することで、我々のモデルが有する特徴を明らかにする。その結果を踏まえて、「S-APIR指数」を一般に公表していく。
景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用して頂くことを検討する。具体的に、本研究の成果の一つとして期待できる「単語のデモ・システム」を、ユーザーへ公開する。ユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「東京五輪」という単語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、東京五輪が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。
研究プロジェクト
2021-07-27
- 2021年度 » 経済予測・分析軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 高林 喜久生 関西学院大学経済学部教授
研究目的
APIRでは、前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。
COVID-19は経済社会活動に大きな影響をもたらし、特に観光産業に大きな打撃を与えた。世界的な感染拡大に伴い、観光消費額は日本人、外国人ともに大きく落ち込んだ。観光消費額に関する統計は「旅行・観光消費動向調査」などがあるが、観光消費額の減少が地域経済にどのような経済波及効果をもたらすか分析した研究は少ない。したがって、2021年度は観光産業に焦点を当て、全国や関西各府県の産業連関表を用いて分析を行う。
また、昨年度末にかけて地域間表の作成に必要な関西2府8県の「2015年地域産業連関表」がほぼ出そろったことから、「2015年 APIR関西地域間産業連関表(以下2015年表)」の作成を行う。
研究内容
1)観光庁TSAに基づく観光産業分析のフレームワークの構築
現在入手できる最新版の全国表である経済産業省「平成29年 延長産業連関表(平成27年基準)」の各産業部門を観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、「観光部門」と「非観光部門」に分割し、他産業と比較した観光産業の特徴を明らかにする。同様に、関西2府8県の「2015年地域産業連関表」を用いて、観光産業の特徴を分析する。
2)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
2020年度実施したWEBアンケート結果を基に、府県間の取引関係を示した交易マトリックスを更新する。また、関西2府8県の「2015年地域産業連関表」から統合小分類をベースに産業部門の統合・調整を行い、2015年表の作成を行う。
3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
2025年に予定されている大阪・関西万博に向けた交通ネットワークの整備や今後備えるべき災害への対応を始め、関西で課題となっているインフラに関する勉強会を数回程度実施する。
既存の研究との差異は以下の2点である。
1つ目は、観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、観光に関連する産業を「観光部門」と「非観光部門」に分割する。観光産業はすそ野が広く、産業連関表の産業分類では観光関連とそれ以外が分かれておらず、分析が粗くなってしまうという問題がある。そのため、観光部門と非観光部門を分けることで、分析の精緻化を図っている。
2つ目は、分析ツールとしてAPIRが持つ2015年表を用いることである。現存する最新版の関西の地域間産業連関表はAPIRが作成した2011年表のみである。地域間かつ広域で経済活動を把握することができる地域間産業連関表について、年次を2015年に更新したものを用いることで2011年表よりも直近の経済構造を反映でき、より実態に即した分析が可能となると考えられる。
なお、関西地域間産業連関表の対象地域は広域関西2府8県であり、関西広域連合や関西観光本部の対象地域をカバーしている。これにより関西を広域で捉えた際の経済波及効果等の分析を行うことが可能となる。
<研究体制>
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
期待される成果と社会貢献のイメージ
成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会など外部の研究会で報告することを予定している。
地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。