研究プロジェクト 2008年度

Research Projects 2008

米国経済最新事情(2009年3月)

研究プロジェクト

2009-03-19

  • 2008年度

ABSTRACT

(財)関西社会経済研究所
政策提言グループ 長尾正博
このショートペーパーは、関西発展戦略構築の一助とすべく「米国のタウンマネジメント手法に学ぶ」をテーマに、3月8日より1週間、大阪市立大学の嘉 名先生、矢作先生、金先生に同行して、ニューヨーク、クリーブランド、ボストンへ出張した時に体感した米国経済最新事情についてのレポートです。その主要 な部分は、UniCredit Markets & Investment Banking の主席エコノミストである Roger Kubarych 氏のご教授によるものであり、紙面を借りてあらためて御礼申し上げます。

現在世界が直面している経済恐慌の引き金をひいた米国そのものの経済事情は次の3点に要約できます。すなわち1点目は、直近の特に消費行動を中 心とした経済事情についてです。労働省が発表した雇用統計によれば、先月(2009年2月)の失業率が25年振りに8%を超え、昨年12月の小売りも最悪 の状態となりました。しかし、今年に入って車関係の販売を除けば、1?2月の売り上げは前月比プラスに転じた様です。季節要因を除いた小売りの前月比推移 は、昨年12月がマイナス3.2%だったのに対して、今年の1月がプラス1.6パーセント、2月がプラス0.7パーセントとなりました。クリスマス商戦で 大幅に増えた在庫を販売店が値下げをしたことは大きな要因のひとつですが、必需品を中心に需要の回復が見られます。エレクトロニクス分野では、趣味趣向度 の高いビデオカメラやデジカメの販売は依然苦戦を強いられているものの、カラーテレビの販売は前年を上回る兆しが見られます。旅行や外食などの贅沢を慎む 代わりに、家に居てテレビ番組を楽しむというライフスタイルでは、テレビはなくてはならないものなのです。DVDの次世代技術であるブルーレイも自宅で映 画などの高画質映像を楽しみたいということから、プレーヤーならびにソフトも好調のようです。出張日最後の14日の土曜日は、ジョージ・ワシントン・ブ リッジを渡って、ニュージャージー州の代表的なショッピングセンターであるガーデン・ステート・モールを訪問してみました。すると、モールの周りの駐車場 は買い物客で一杯で、今回の様に時間的に余裕の少ない出張では、パーキングスペースが空くのを待って、モールの中を覗いてみるということはできませんでし た。
但し、米国内でも地域別にみると、経済事情は違っています。今回の訪問先の一つであるオハイオ州のクリーブランド市は、Kubarych 氏も指摘された様に、シュリンキングシティの代表格であり、その落ち込みは相当ひどい様です。私たちが泊まったクラウンプラザホテルの専用バス運転手も、 そこで25年働いているそうですが、今年に入って宿泊客ががた減りで、現在は週の内、3日間しか出勤させてもらえないとのことでした。各州はそれぞれ独自 の対策(失業保険の上積み等)に追われているようです。

2点目は、米国の消費者が「自分達は貧乏(poor)である。」ことを真に自覚し、お金の使い方(expenditure habit)を根本的に変えてきているという構造的な側面です。持ち家は彼らの「金の成る木」でした。常に売買益が期待でき、結婚すれば、小さいながらも 家を買います。家族が増えるにつれ、また、給料が上がるにつれて、大きな家に買い換えていく訳です。このキャピタルゲインが旺盛な消費を呼んできました。 また株や色々な証券商品も彼らの財産であり、これを充てに借金をしながらも、ふんだんにお金を使い、ある意味では、世界経済の牽引役となってきたと言えま す。これらの前提が、特に昨年10月を境に大きく崩れたのです。典型的なサラリーマンでそろそろ引退しようかと思ってた人も、401K(確定拠出年金) で、老後の生活に備えてきた例えば40万ドルが、ある日突然その半分の20万ドルに減った訳です。持ち家は、特に若い年代で最近家を買った人、または買い 換えたという人々は、キャピタルロスに直面しています。住居の次にお金が掛かるのが子供の教育です。年間の授業料はいい私立大学の場合、4?5万ドル掛か ります。奨学金をもらえる子供でないと大変です。これまで新車にどんどん買い替えてきた人も、もっと長く乗ることになるでしょう。ニュージャージ州に住ん でいる私の友人は車の修理工場を経営されていますが、最近は小さな修理が減って大きな修理が増えている、何とか今の車を乗り続けようとしているとコメント されていました。
以上を要約すると、これまで謳歌していた土地や金融商品による資産効果(wealth effect)が、現在逆効果(negative wealth effect)となって現れているということです。 可処分所得に対する貯蓄率は、昨年の7?9月は1.3パーセントであり、それ以前も1パーセント以下の状況が続いていました。それが、昨年12月は3.9 パーセントに上昇し、今年1月は5.0パーセントへと、急速に増えています。一方、日本の貯蓄率(家計調査による)も、最近は5パーセント程度にまで減っ ておりますが、20年前は、12パーセント程度と高率でした。現在米国で起こっている土地価格下落によるさまざまの影響は、1990年代初頭の日本の類似 していることもあり、私たちの経験が米国再生のヒントになるのは間違いないと思います。

最後の3つ目のアジェンダは、この状態がどれだけ続くかということです。
Kubarych 氏による米国経済の予測は、実質GDPの伸び率でみて、今年はマイナス2.1パーセント、2010年は、プラス1.3パーセントでした。景気先行きの鍵を 握る家(housing)の動向ですが、2月の新規着工件数が前月比(年率、季節修正値)22%上昇したとニュースが帰国後入ってきました。ところが同氏 によれば、これは2月だけの一時的な数字で新規着工件数の下落は年末まで続くとのことです。家の価格が底をうつのは来年一杯まで掛かるという予測もありま す。私は家の価格が景気上昇のきっかけになると考えていましたので、同氏の予測は、オバマ政権の景気対策を考慮し、上積みされたものであることを改めて認 識しました。先行き不透明感の強い個人消費、家計とは対称的に、企業業績は雇用調整などを通じて比較的早く回復する可能性があるとのことですが、前項で述 べたように、「これまでの不況とは構造的に違っている。例えば失業率の動きから説明すれば、2007年7月以降から直近までの数字は、1973年7月以降 の数字と、ほぼ同期している.....。」とのこと、今回はnegative wealth effectという構造的な変化は根強いものがあり、悪い状態が一層長期化するかもしれません。

当研究所の「日本経済」の最新予測は、2009年度マイナス3.7パーセン ト、2010年度プラス1.5パーセントと、Kubarych 氏による「米国経済」の予測に比べると更に悪いが、これは、政府の経済対策の違いに起因すると思われます。私はこれまで、30年以上も米国を見てきました が、この国は本当に「問題解決型」思考が根付いており、情緒的で「問題座視型」が主流を占める日本との違いを痛感させられます。今回の出張の主目的である 「タウンマネジメント」手法でも、それが如実に出ており、「問題解決型」思考を取り入れグローバル市場で活躍する日本の製造業に対し、日本の公的機関、公 共政策の復活がない限り、本当に日本は取り残されてしまうでしょう。

にぎわう関西に向けた地域観光戦略 -実態調査に基づく分析- (2009年3月)

研究プロジェクト

2009-03-09

  • 2008年度

ABSTRACT

PDF

(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授、高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )
当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加による研究会を組織し、稲田主査指導のもとマクロ計 量モデルによる景気予測を行なうとともに、高林主査指導のもと時宜に適ったテーマを取り上げ、特別研究を実施している。2008年度の特別研究は関西の魅 力ある観光資源の活用というテーマに取り組み、2009年3月5日にその成果を公表した。

<<要旨>>

【関西の観光をとりまく状況】
(1)観光資源の量・質ともに充実
・特AおよびAランクの観光資源(日本交通公社「観光資源評価台帳」による)の件数。
①関西91件(23%),②関東63件(16%),③東北58件(15%), 全国399件(100%)
(2)アジア人観光客、欧米人観光客両方の嗜好に対応できる観光資源
・アジア人はショッピング・テーマパーク、欧米人は伝統文化・歴史的施設を嗜好。
(3)修学旅行のメッカ
・関西以外の国民の72%が修学旅行で関西を訪問した経験あり。
(4)外国人観光客への対応は発展途上(当研究所アンケートによる)
・駅・バス停標記や案内板標記の外国語表記は大手・関東が先行。
駅・バス停の英語表記:関西75%,関東100%, 同 中国語表記:関西13%,関東33%。
ただし、関西は大手5社に限ると英語は100%。
・「外国人向けサービスを今後強化する方針」と回答した割合は関西25%,関東50%。

【観光の経済効果】
(1)2010年に向けて行われる平城遷都1300年記念事業が奈良県に与える経済効果は990億円。
(2)奈良県を含む関西全体への効果は1560億円。内訳は大阪府320億円、兵庫県95億円、京都府74億円等。
(3)産業別にみると、いずれの府県でも食料品・飲料部門への影響が大。

【にぎわう関西に向けた観光戦略のカギ −連携−】
(1)「地域住民・民間・行政の連携を」
・心斎橋筋商店街と周辺店舗、他業種(金融機関等)、行政等が取り組む「大阪ミナミおい でやすプロジェクト」の成功。
(2)「同業種間の連携を」
・大型小売店舗での外国語ホームページの充実や、交通機関における外国語表示などの整備。
(3)「自治体間の連携を」
・トップセールスによるプロモーションや、道路・空港などのインフラ整備。

にぎわう関西に向けた地域観光戦略 -実態調査に基づく分析- (2009年3月)

研究プロジェクト

2009-03-09

  • 2008年度

ABSTRACT

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(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授、高林喜久生・関西学院大学経済学部教授 )
当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加による研究会を組織し、稲田主査指導のもとマクロ計 量モデルによる景気予測を行なうとともに、高林主査指導のもと時宜に適ったテーマを取り上げ、特別研究を実施している。2008年度の特別研究は関西の魅 力ある観光資源の活用というテーマに取り組み、2009年3月5日にその成果を公表した。

<<要旨>>

【関西の観光をとりまく状況】
(1)観光資源の量・質ともに充実
・特AおよびAランクの観光資源(日本交通公社「観光資源評価台帳」による)の件数。
①関西91件(23%),②関東63件(16%),③東北58件(15%), 全国399件(100%)
(2)アジア人観光客、欧米人観光客両方の嗜好に対応できる観光資源
・アジア人はショッピング・テーマパーク、欧米人は伝統文化・歴史的施設を嗜好。
(3)修学旅行のメッカ
・関西以外の国民の72%が修学旅行で関西を訪問した経験あり。
(4)外国人観光客への対応は発展途上(当研究所アンケートによる)
・駅・バス停標記や案内板標記の外国語表記は大手・関東が先行。
駅・バス停の英語表記:関西75%,関東100%, 同 中国語表記:関西13%,関東33%。
ただし、関西は大手5社に限ると英語は100%。
・「外国人向けサービスを今後強化する方針」と回答した割合は関西25%,関東50%。

【観光の経済効果】
(1)2010年に向けて行われる平城遷都1300年記念事業が奈良県に与える経済効果は990億円。
(2)奈良県を含む関西全体への効果は1560億円。内訳は大阪府320億円、兵庫県95億円、京都府74億円等。
(3)産業別にみると、いずれの府県でも食料品・飲料部門への影響が大。

【にぎわう関西に向けた観光戦略のカギ ?連携?】
(1)「地域住民・民間・行政の連携を」
・心斎橋筋商店街と周辺店舗、他業種(金融機関等)、行政等が取り組む「大阪ミナミおい でやすプロジェクト」の成功。
(2)「同業種間の連携を」
・大型小売店舗での外国語ホームページの充実や、交通機関における外国語表示などの整備。
(3)「自治体間の連携を」
・トップセールスによるプロモーションや、道路・空港などのインフラ整備。

中国ビジネスの課題(2009年3月)

研究プロジェクト

2009-03-01

  • 2008年度

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講演会『中国ビジネスの課題』の記録

1.日時
平成21年3月12日(木曜)15時?17時

2.会場
リーガロイヤルNCB「雪の間」(中之島センタービル3階)

3.講師
竹内 常善 大阪産業大学経済学部教授
同   アジア研究センター研究員
中国江蘇省社会科学院客座研究員
広島大学名誉教授
北浦 義朗 関西社会経済研究所副主任研究員

4.講演会
◇中国経済の現状とリスク
北浦氏から最近の中国経済に関する状況が示された。
殆どの指標が下降を示しているが、株式市場など一部の指標が
年明け以降に上昇している点がリマインドされた。
◇中国進出企業の課題
最初に、中国と日本の社会経済システムの違いが説明された。
日本では融資の際の担保は不動産であることが多いが、中国では
「経営者の人物」が評価されるケースも多いなど。
中国に進出している日系企業の経営課題が示された。
代金回収の困難さは日系企業の殆どが直面する課題であるが、
これは中国文化そのものへの対応と考えるべき。
「Cash on Delivery」は中国では当然と考えるべき。
中国の発展パターンは日本と異なる可能性が高いと考える。
日本では、経済発展により中間層が拡大し市場も拡大、そして社会が安定するというのが大方の見方。中国はそうではないパターンと考える。

**講演会で使用した資料は下記をご参照ください

中国経済緊急レポート

研究プロジェクト

2008-12-25

  • 2008年度

ABSTRACT

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(関西社会経済研究所)北浦義朗、丸山喜茂、島章弘
中国経済は急激に減速している。過去数年間は年率10%を超える経済成長を実現してきたが、今後は10%を大きく 下回るものと見られる。世界金融市場の混乱に端を発する世界同時不況の影響に加え、経済政策の方針転換も経済減速の要因となっている。KISERでは11 月下旬に約1週間の現地調査を実施した。詳細は添付ファイルをご覧ください。

大阪湾岸大型設備投資の経済波及効果(2008年7月)

研究プロジェクト

2008-11-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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(主査:福重 元嗣 大阪大学大学院経済学研究科 教授
委員:高林 喜久生 関西学院大学経済学部 教授 )

当研究所は学界、官界、関連研究機関の専門家と連携・協力しつつ、「関西マクロ経済分析モデル」の開発に取り組んできた。今回は、その過程で作成 した関西7府県(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、福井)の産業連関表を結合した「関西地域間産業連関表」を利用して、大阪湾岸に立地する大型設備 投資の経済波及効果を試算した。

●対象とした設備投資と初期投資額
* シャープ堺工場(大阪府):4,520億円(土地代込み。太陽電池工場含む)
* IPSアルファテクノロジ姫路工場(兵庫県):3,000億円(土地代込み)
* 松下電器産業尼崎第3・4・5工場(兵庫県):計5,500億円(同上)
* 住友金属和歌山製鉄所の新高炉(和歌山県):2,500億円(土地代抜き)

●初期投資による効果
1. これらの投資によって、関西2府5県の生産額は1.4兆円増加。内訳は、大阪府6,000億円、兵庫県5,300億円、和歌山県1,700億円など(10 億円の位を四捨五入。以下同じ)。設備投資別では、シャープ堺によって3,700億円、IPSアルファテクノロジ姫路2,600億円、松下電器尼崎 4,900億円、住友金属和歌山2,700億円。
2. 付加価値額(GRPベース)では、関西全体で7,500億円増加(関西の名目GRPの0.9%に相当)。設備投資別では、シャープ堺によって2,000億 円、IPSアルファテクノロジ姫路1,400億円、松下電器尼崎2,600億円、住友金属和歌山1,500億円。

●製品出荷による効果(フル稼動時)
1. これらの設備稼働(製品出荷)によって、関西の生産額は3兆7,700億円増加。内訳は大阪府1兆4,800億円、兵庫県1兆8,700億円、和歌山県 2,300億円など。設備投資別では、シャープ堺1兆4,200億円、IPSアルファテクノロジ姫路8,900億円、松下電器尼崎1兆2,300億円、住 友金属和歌山2,200億円。
2. 付加価値額(GRPベース)では、関西全体で1兆5,300億円(関西の名目GRPの1.8%に相当)。設備投資別では、シャープ堺6,200億円、IPSアルファテクノロジ姫路3,500億円、松下電器尼崎4,900億円、住友金属和歌山700億円。

(注)文中の数字は全て2008年7月8日に公表した時点のものである。

「法人実効税率の引き下げに関する分析」報告 (2008年11月)

研究プロジェクト

2008-11-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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◇抜本的税財政改革研究会◇
本研究会では国と地方の構造改革に資する政策提言を目指して研究を行ってきた。
2008年度は次のテーマで研究を行い報告書にとりまとめた。
・小泉改革の検証
・消費税率の引き上げについて
・法人税課税と設備投資
・定額給付金の経済分析
・租税支出の推計と経済的意義
・たばこ税増税について
残された課題については、2009年度において引き続き検討を行うこととする。

2008年度抜本的税財政研究会報告書

政府の追加経済対策(H20.10.30発表)に関する緊急アンケート結果 (2008年11月)

研究プロジェクト

2008-11-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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財団法人関西社会経済研究所(所長:本間正明)では、経済予測や税財政改革を重要な研究テーマとして取り組んで います。その基礎データ収集の一環として、麻生内閣による追加経済対策(生活対策)に対して家計の関心が高い項目(定額給付金、消費税増税、高速道路料金 引き下げ、道路特定財源1兆円の地方財源化)について緊急アンケート調査を実施しました。
<アンケートの実施方法>
・ウェブアンケート形式、11月7日~11月8日
・分析対象数は全国1000名

【質問と回答】
設問1. あなたは、今回の経済対策全般についてどう思いますか。
結果:今回の経済対策全般については、「評価しない」と「あまり評価しない」を合わせると86%に達し、「積極的に評価する」はわずか8%にとどまっている。

 

設問2. 今回政府が発表した経済対策の一つとして、定額給付金(一人1.5万円程度の予定)が支給され、/景気回復後(2011年)に消費税が増税されることが発表されました。/定額給付金が支給されたら、あなたの考えは下記のうちどれに一番近いですか。
結果:定額給付金については「買う予定のなかったものに使う」が12%、「半分くらいは予定のなかったものに使う」は8%であった (あわせて20%)。「余分に使わない」または「貯蓄やローン返済などにまわす」と答えたひとは80%であった。この結果から読み取れることは、以下の通 り。

※ 政策が経済対策への消費効果として表われる部分は、
「1.全額を買う予定のなかったものに使う」と「2.半分位は買う予定のなかったものに使う」の部分である。「3.全額買う予定のものに使う」、「4.半 分を貯蓄・ローン返済にまわし、半分を生活必需品に使う」、「5.全額を貯蓄やローン返済などにまわす」への回答は、表現、対応は異なるが、実質的には同 じであり、「貯蓄する」と答えていることに等しい。1.を回答した人の割合と2.を回答した人の半分を足すと16%となり、これが追加的消費効果になる。 単純に比例按分すれば、2兆円の定額給付金による追加的消費は3,200億円であり、経済全体への効果はさほど大きくないといえる。

※ 給付金の追加的消費傾向は所得階層別に異なる。1000万円以上の所得階層では、追加的消費を考えている人の割合は30%程度(下段の補足資料を参照のこと)であり、特に高い。マクロ的な消費効果の見地からは、所得制限を設けることは望ましくない。

設問3. ■前問で、「全額を買う予定のなかった商品やサービス購入に使う」/「半分くらいを買う予定のなかった商品やサービス購入に使う」とお答えの方に伺います■/「買う予定のなかった商品やサービス」とは、下記のうちどれに一番近いですか。
結果:給付金を「買う予定のなかったものに使う」ひとの購入対象は、
多い順に「旅行・レジャー(31%)」、「耐久消費財(23%)」、「服・アクセサリー(19%)」、「外食(11%)」であった。この結果から読み取れることは、以下の通り。

※ 定額給付金の追加的消費対象として最大の項目は「旅行、レジャー」であった。年齢階層別に見ると、50代や60代の比較的所得が高い 層やアクティブシニアにおいて平均値より高い数値が得られた。20代の若い年齢層では平均値より低い値が得られた。耐久消費財の割合がこれより低いのは給 付金のボリュ?ムが小さいからであると思われる。

設問4. 地方経済対策として、「高速道路料金の引き下げ」と「道路特定財源のうち1兆円を新たに地方財源とする」/案が出されましたが、あなたの考えは下記のうちどれに一番近いですか。
結果:高速道路料金値下げや道路財源のうち1兆円を地方財源にするという地方経済対策については、「与党の選挙対策であり意味がない」又 は「もっと別の地方対策を実施べきである」と答えているひとは50%にも達している。「両方共に実施すべき」は17%にとどまっている。「高速料値下げす べき」16%、「道路財源の移転」8%であった。

※ 補足資料(下段)によれば、地域的に評価のバラツキがある。
東海、四国は政策に対して相対的に高い評価をしている。東北は高い評価をしている割合は平均よりわずかに上回っているが、「別の政策を実施すべき」と答えている割合が全体の24%に対して34%と地域別に見て最も高い。
設問5. 消費税増税について、あなたの考えは下記のうちどれに一番近いですか。/※食料品・医療品は消費税5%維持を前提とする。
結果:消費税増税については、「賛成」が41%、「反対」が54%、「わからない」が5%であった。

※ 麻生首相が3年後消費税率引上げについて言及したが、3年後の増税に反対している割合(17%)を加えると71%の人が3年後の消費 税引き上げに反対である。バラマキを止め、歳出削減の徹底がなければ、消費税率の引き上げそのものに反対の人が54%に達している。消費税アレルギーは依 然として根強いことがわかる。

【設問2、3、4、5 のグラフ及び補足資料は下記をクリック下さい。】

「2008-2009年度 国と地方の制度設計」研究会<br>中間報告 (2008年11月)

研究プロジェクト

2008-11-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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国と地方の制度設計研究会にてとりまとめた報告書、「地域の将来を踏まえた都道府県財政の予測と制度改革」では、地方財政を根本から立て直すための条件 を、地方税財政制度改革、地域経済の活性化という視点で明らかにすることを目的とし、そのために、地域が置かれている現状、過去から現在までのトレンド、 そして将来の姿を見据えた地方税財政制度改革のあるべき姿を検証することが研究の主たる内容となっています。

研究結果は下記ファイルをご覧ください。

2008年版関西経済白書「グローバル化に向けた関西の胎動」(2008年9月)

研究プロジェクト

2008-09-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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財団法人 関西社会経済研究所

財団法人 関西社会経済研究所(会長 下妻博、所長 本間正明)は、この度「2008年版関西経済白書 グローバル化に向けた関西の胎動」を発行しました。本年の白書はグローバル化という大きな環境変化の 中で、関西が国内外から企業や人を惹き付ける魅力ある地域となるためには、地域の活力の基盤ともいえる産業の再生を図っていく必要があるとの認識を基本に 編集しております。本白書が、関西経済理解のための必読文献となることを目指し、今後とも内容の一層の充実に努めてまいります。

<構 成>
[本編]
第1章 日本経済・関西経済への視点
第2章 2007年度の動きと2008?09年度の見通し
第3章 関西の注目産業とその課題
第4章 企業立地と関西産業発展の方向性
第5章 関西自治体の財政危機とその課題
第6章 関西年表
[資料編 I ]
1. データでみる関西
2. 関西年表
[資料編 II ]
1. シフトシェア分析からみた関西の産業構造の特徴
2. 関西のプロジェクトの動向
3. 関西の主要研究拠点の動向と課題
4. 水都ジェントリフィケーション??柔らかな都市再生への転換に向けて
[ 概 要 ]
下記PDFよりご確認ください。
[ ご参考 ]
*「2008年版 関西経済白書 報告会・シンポジウム「グローバル化に向けた関西の胎動」を開催いたしました(9/3)。

大手書店で発売中。定価1,500円(税込み)。

橋下府政改革・広域連携に関するアンケート結果(2008年8月)

研究プロジェクト

2008-08-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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財団法人関西社会経済研究所(会長:下妻博関西経済連合会会長・住友金属工業会長)では、自治体改革や国と地方制 度改革の問題も重要な研究テーマとして取り組んでいます。橋下府政改革により地域住民の自治体改革に対する関心が高まっていることから、広域連携関連の意 識と併せてアンケート調査を実施しました。
設問中、関西地域住民の橋下府政改革や広域連携に関する意識が端的に読み取れる内容を中心に紹介させていただきます。

アンケート結果概要

橋下知事の改革に対する支持率は73%と高く、しかも「生活への痛み」を十分に認識した上での評価となっている。これまでの財政悪化の責任者としては、自治体議員、職員、首長を挙げる比率が高くなっている。
広域連携の必要性に関しては、82%が必要と認識し、関西広域連合への取り組みに対する期待は高いといえる。
しかし、道州制導入による府県合併については意見がわかれており、現状ではコンセンサスはないといえる。

☆ 『自治体財政破綻のおそれを感じる』は74%。大阪府では80%と更に高い。
☆ 『橋下知事の改革による生活への痛み』は大阪府では62%が予想
☆ 橋下大阪府知事の財政再建プログラムは大阪府では「断固決行」63%と「来年度から」10%をあわせると73%の支持。
☆ 『大阪府財政悪化の責任』は、自治体議員、自治体職員、自治体首長が三大責任者との認識。
☆ 『行政サービスのための自治体増税』は「少々なら納得できる」が63%。「納得できる」は8%。このふたつの合計は3府県とも70%台。
☆ 『府県連携の行政協力について』は82%が必要と回答。(大阪府83%、京都府82%、兵庫県75%)
☆ 『関西広域連合が連携すべき分野』としては「救急医療」(70%)と「大規模災害」(40%)が上位。
☆ 『道州制による大阪府、兵庫県、京都府の合併』は、「合理性あり」「抵抗感あり」「どちらともいえない」が各30%台と意見がわかれる。但し、京都府で「抵抗感あり」が44%とやや多い。
☆ 尚、住民意識としては各府県とも「関西人」意識が最も高く(39?42%)、「府県民意識」が最も低い(4?14%)。中でも兵庫県での「県民意識」の低さは際立っている(4%)。

<アンケートの実施方法>
・ ウェブアンケート形式、6月上旬
・ 分析対象数は大阪府400名、京都府100名、兵庫県100名で合計600名

「橋下府政改革・広域連携に関するアンケート結果」

関西の全都市の財政健全性を評価 (2008年8月)

研究プロジェクト

2008-08-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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財団法人関西社会経済研究所(会長:下妻博関西経済連合会会長・住友金属工業会長)では、関西の全ての都市の財 政健全性分析を実施しました。そして、関西の各都市が全国の都市の中でどのポジションにあるかも明らかにしました。さらに、人口構成や産業構造などの要因 と財政指標の関係についても調査しました。
これらの研究により、外部環境が悪い中で効率的な行政サービスを運営している自治体、或いは逆に、環境は良いが効率が悪い自治体などを数値で分類しました。

研究成果のポイント

☆ 全国平均の一人当り基礎的経常収支(地方交付税除く)は2000年度から2005年度にかけて12.7千円悪化。地方交付税を含むベースで比較しても、12.5千円悪化。
☆ 地方交付税を含まないベースで見ると、2000年度、2005年度ともに芦屋市が全国最良で1位。また、兵庫県と大阪府の地方税収に恵まれた都市が上位にある。
政令指定13都市の中で、大阪市は8位。
☆ 1人当り地方税収と65才以上人口比率は基礎的経常収支に影響している。
これらを非裁量要因として、その影響を除去した数値と現実の値を比較することで、財政運営の効率性を評価した。
関西では芦屋、田辺、三木の評価が高い。
全国13政令市の中では、神戸市は上位にランクされるが、京都と大阪は下位にランクされており、課題が残されているといえる。

今回の調査結果が、自治体住民及び行政に広く理解され、効率的な自治体運営につながることを期待しています。

<政令指定都市中、下位の大阪市本庁舎>    <全国トップランクの芦屋市の街並み>

**写真は大阪市、芦屋市提供

関西社会経済研究所「自治体財政健全性」研究会メンバー
主査:
林  宏昭 関西大学経済学部教授
アドバイザー:
跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
委員:
後藤 達也 大阪産業大学経済学部准教授

関西社会経済研究所が、関西の全都市の財政健全性を評価

水都ジェントリフィケーション 大阪Triangle構想 を提案!!(2008年7月)

研究プロジェクト

2008-07-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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財団法人関西社会経済研究所では、かつての“港”としての賑わいを急速に失いつつある安治川、木津川、尻無川の川 沿いを中心としたエリアにスポットをあて、水辺の都市の長期的転換手法として、従来のハード主体・大規模開発手法とは異なった、文化芸術を含むソフト主 体・段階的転換の手法を研究し、「水都ジェントリフィケーション 大阪トライアングル構想」として、発表しました。
これは昨年度の同研究所が提案したグレーター中之島に焦点をあて打ち出した「社交都心 21世紀版大阪の“都心の磁石”」(平成18年12月)の大阪 東西軸コンセプトを更に西に延長し完成させたものであり、水都大阪創生の1つの方向として、行政・経済界はじめ各界の関係者の皆様にご高覧、ご検討頂くこ とを期待しております。

関西社会経済研究所「都市創生」研究会メンバー
・主査
嘉名 光市 大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻准教授
・アドバイザー
跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
・アドバイザー
橋爪 紳也 大阪府立大学特別教授
・委員
竹林 幹雄 神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻准教授
・委員
谷口 康彦 (株)URサポート執行役員・都市再生企画部長
・委員
中谷ノボル (株)アートアンドクラフト代表・建築家
・委員
弘本由香里 大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所客員研究員
・オブザーバー
藤原 幸則 (社)関西経済連合会地域連携部部長
・オブザーバー
日高 明子 (社)関西経済連合会地域連携部次長
・コンサルタント
岸田 文夫 (株)環境開発研究所専門部長

「提言:水都ジェントリフィケーション 大阪Triangle構想」

関西地域間産業連関表(2000年版)の作成方法の改訂

研究プロジェクト

2008-06-10

  • 2008年度

ABSTRACT

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主査:福重元嗣氏(大阪大学大学院経済学研究科 教授)
委員:高林喜久生氏(関西学院大学経済学部 教授)
研究協力者:下田充氏(日本アプライドリサーチ研究所)

各地域が独自の発展戦略をもつことが求められる「地方分権の時代」にあって、経済分析モデルを利用したシミュ レーションや将来予測は、戦略の立案や各種施策の評価、外生的なショックの影響測定に有効な情報を与えてくれる。関西に拠点をおく企業や個人にとっても経 済分析モデルは有力な武器となろう。
当研究所は2003年5月から学界、官界、関連研究機関の専門家と連携・協力しつつ、「関西マクロ経済分析モデル」の開発に取り組んでいる。その一環とし て、このたび関西7府県(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、福井)の産業連関表を結合した「関西地域間産業連関表(2000年版)」の作成方法を改 訂した。

関西地域間産業連関表を利用したシミュレーションの一例としては、シャープ堺 工場、IPSアルファテクノロジ姫路工場、パナソニック尼崎第3・4・5工場、住友金属和歌山製鉄所の設備投資および生産効果を対象とした「大阪湾岸に立 地する大型設備投資の経済波及効果について」を2008年7月に公表している。
2009年3月には、平城遷都1300年記念事業が奈良県とそれ以外の関西2府4県に与える経済波及効果を試算・公表した。

広域連携・地方分権 アンケート結果の速報 (2008年6月)

研究プロジェクト

2008-06-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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産業創生報告書「関西における中小企業の現状と課題」(2008年5月)

研究プロジェクト

2008-05-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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産業創生研究会
<研究体制>
・主査
竹内 常善 大阪産業大学アジア共同体研究センター研究員
・委員
後藤 達也 大阪産業大学経済学部准教授
・アドバイザー
跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
・協力者
北浦 義朗 関西社会経済研究所研究員
(順不同、敬称略)

<研究テーマと狙い>
☆テーマ : 「関西における中小企業の現状と課題」
☆狙  い : 関西経済の発展を考える上で中小企業の発展は欠かせない。
これまでも中小企業振興の観点から、様々な政策提言そして施策が実施されてきた。
しかし、関西の中小企業の現況は全国平均を上回る廃業率に象徴される通り、満足できる状況にはない。真に効果的な産業振興策を立案するには、再度、中小企業の現況を分析し、成長の桎梏点を明らかにすることが有益である。

<研究成果の概要>
☆成功している中小企業には様々なパターンがある。
海外進出で成功、国内にとどまり成功
伝統的技術で成功、新技術で成功
伝統市場で成功、新市場で成功
☆共通する成功要因
確固たる経営の意思と持続力
人材育成
世界レベルの技術とブランド
☆今後の課題
モノづくりだけで競争に勝つのは困難か(収益性含め)
地域、街、住民が産業レベルを向上させるとの観点からは、現状の関西の取り組みは不十分か
国及び行政の産業振興への取り組みも再検討の必要有りか

自治体経営力評価報告書 (2008年5月)

研究プロジェクト

2008-05-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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■自治体経営力評価研究会
主査
跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
委員
鷲見 英司 新潟大学経済学部経営学科准教授
中村 _克 高崎経済大学地域政策学部観光政策学科准教授
中澤 克佳 東洋大学経済学部社会経済システム学科講師
■研究テーマと内容
☆テーマ:
「全国政令指定都市の経営力評価」
☆研究内容:
・因子分析の手法を用いた、客観性の高い自治体経営力評価システムの確立
・関西の政令指定都市の経営力を全国の他の政令市と比較する
■研究成果の概要
* まず、財務ならびにサービス項目(変数)のデータ群から、因子分析を用いて、地方自治体の財政状況、財政状況改善努力、サービス充実度、サービスコストの 効率性を表す因子を抽出し、得られた因子にウェイトを付けて合成することによって、「財政状況評価指標」、「財政状況改善評価指標」、「行政サービス評価 指標」、「行政サービスコスト評価指標」という4つの評価指標を構築した。さらに、それら4つの評価指標に再びウェイトを付けて統合することで「経営力評 価指標」を構築し、地方自治体の総合的な評価を行った。
* データは平成17年度のものを主に用いた。また、本研究の分析対象は、財務ならびにサービス項目(変数)のデータ群を収集・整理する必要から、札幌市、仙 台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市の13政令指定都市とした。
* 分析の結果、「財政状況評価指標」ではさいたま市が1位、神戸市が最下位、「財政状況改善評価指標」では神戸市が1位、さいたま市が最下位、「行政サービ ス評価指標」では大阪市が1位で、福岡市が最下位、「行政サービスコスト評価指標」ではさいたま市が1位で、大阪市が最下位であった。
* 「経営力評価指標」に基づく自治体経営力については、次のような総合評価が得られた。13の政令指定都市のうち、自治体経営力が高いのは、1位 川崎市、2位 さいたま市、3位神戸市であった。一方、自治体経営力が低いのは、13位 大阪市、12位 京都市、11位 北九州市であった。

「自治体経営力評価報告書」

「抜本的税制改革に向けた調査研究」最終報告 (2008年4月)

研究プロジェクト

2008-04-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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((社)関西経済連合会委託調査研究)

主査:
跡田直澄 慶應義塾大学商学部教授

ゆるやかな経済成長を続ける日本経済ではあるが、実際の成長率は2%程度と低迷している。経済構造改革は着実に進み、法人税収等にはその成果が明確に現 れている。一方、政府の財政構造改革はその端緒についたばかりであり、その成果はまだほとんど現れていない。にもかかわらず、先の参議院選挙の結果を勘案 すると、構造改革路線の一時的後退も予想されるところである。
しかしながら、日本経済の再生には政府の構造改革は不可欠である。肥大化した財政のスリム化により、民間部門の活性化をはからなければ21 世紀の高齢社会は乗り切れない。この点からみれば、今、取り組まなければならない課題は、やはり、歳出の徹底的な削減であり、同時に民間活力の増強にむけ た税制の再構築である。そして、その結果を踏まえて、超高齢社会を乗り切るための次なる改革を考えることである。
そこで、本研究では、総合的な財政改革とマクロ経済パフォーマンスとの関係をシミュレーション分析を踏まえて検討し、改革の必要性とそのあり方を模索し てみる。さらに、財政改革の中でも税制改革 は 経済のさまざまな側面に影響を与えることになるので、その影響を考慮しながら、抜本的改革のあり方を議論してみた 。

第1章  2011年度までの財政の状況を予想しながら、取り組むべき改革を明らかにする。
第2章  法人課税の実効負担分析に基づき税制が企業の投資行動に与える影響を明らかにし、減税の必要性に言及する。
第3章  所得格差の原因を明らかにした上で、所得課税における給与所得控除、所得控除、さらには税率表のあり方を議論する。
第4章  消費税の増税根拠を再考し、増税時期や増税論議における消費税偏重の問題を検討する。
第5章  財源格差と地方課税の問題をとりあげ、法人税割と事業税を地方消費税に交換した場合のシミュレーションを行い、その影響を踏まえて税源交換のあり方を検討する。
終 章  本報告書における分析結果を再述するとともに、その意義をまとめ今後の課題に言及する。

2008年版関西のプロジェクト動向調査

研究プロジェクト

2008-01-01

  • 2008年度

ABSTRACT

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中期的な原油価格の目安

研究プロジェクト

2008-01-01

  • 2008年度

ABSTRACT

原油価格(ここでは油種WTI)の値動きは非常に荒く(volatile)、予測しづらい。この1年の値動きを 振り返ってみよう。米国でサブプライムローン問題が注目された2007年7月には、1バーレル70ドルをつけ、9月半ばに80ドルを突破、10月後半には 90ドルを抜け、2008年2月半ばにはついに100ドルという記録的な水準に達する。KISERの前回の四半期景気予測時点(5月20日)では120ド ル半ばであった。原油価格はさらに加速を続け、7月3日に145.28ドルのピークをつける。以降マーケットは弱気に転じ、直近の8月15日では 113.77ドルとピークから30ドル以上も下落している。このように非常に荒い値動きを示してきたが、7月で見るとこの1年で2倍になったという事実の 持つ意義は大きい。

われわれの景気予測では原油価格(モデルではWTI、ドバイ、ブレントの平 均)は外生変数であるが、この1年間のトレンドを持った荒い値動きから、その想定は常に上方修正となった。中期的な原油の均衡価格についてはほぼ推測がつ くが、短期的にはそれから乖離する部分の予測が非常に難しい。
短期の原油価格については、基本的にはタイトな需給バランスと地政学的な問題により高値は避けられないが、需給条件から決まる部分以外の投機を含むプレ ミアム部分が相当あると考えられている。最近の経済産業省の分析(通商白書2008年第1章)では、2008年4月の原油価格(125.5ドル)のうち、 在庫の変化で説明できる部分が74.7ドルで、プレミアムが50.8ドルと推計されている。
中期的な均衡価格の目安として参考になるのが、代替エネルギーのコストであり、現在では70ドル程度と考えられている。もう1つの参考価格が、原油生産 者がその実質価値を維持した場合の価格である。1980年以降、世界の消費者物価指数は2.5倍になっているから、当時の原油価格40ドルを考慮すると、 現在原油価格が100ドル程度と見込まれるのである。このことから、直近の原油価格はピークから30ドル程度下落しているが、さらに100ドルを目指して 値を下げる可能性がある。ただ、基本的には需給条件がタイトなことから、一方的な下落は想定しづらく、やがて底打ちして高値の水準がしばらく続くと思われ る。
今回の四半期予測(8月20日発表)では、最近の価格動向を反映させて2008年7-9月期を前回予測の想定より11ドル程度上方修正した(106.6 ドル→117.8ドル)。需要期の2008年末には120ドル前半間まで上昇し、2009年は120ドル程度の高値圏で推移するが、年末には110ドル台 に緩やかに低下すると想定する。

原油価格には、需給条件で説明できる部分以外に投機を含むプレミアム部分が相当 あるようである。最近の経済産業省の分析(通商白書2008年第1 章)では、2008年4月の原油価格(125.5ドル)のうち、在庫の変化で説明できる部分が74.7ドルで、プレミアム部分が50.8ドルと推計されて いる。

各国予測要約

【日本】
<年後半の経済、不況に陥らないためのポイントは「民間最終消費」と「輸出」>
4-6月期の日本経済は4四半期ぶりのマイナス成長となった。8月13日に発表されたGDP1次速報値によれば、同期の実質GDPは前期比 -0.6%、同年率換算-2.4%のマイナス成長となり、1-3月期の同年率換算+3.2%から大幅な低下であった。図からわかるように、実績はほぼ市場 コンセンサス予測(-2.0%)と同じであった。超短期予測は、支出サイドモデル予測が前期比-0.9%、主成分分析モデル予測が同-1.6%といずれも 若干過大推計となった。今回の予測動態を振り返れば、6月初旬以来、超短期モデル、市場コンセンサスともにマイナス成長を予測しており、早くから低調な経 済が一致した見方となっていた。
4-6月期の実質GDP成長率への寄与度を見れば、国内需要は経済成長率を0.6%ポイント引き下げ、また純輸出の寄与はゼロとなった。
今回の特徴は、民間需要、公的需要、輸出のすべての需要項目で減少したことである。民間需要では、実質民間最終消費支出、実質民間住宅の低迷が実質 GDP成長率を0.3%ポイント、0.1%ポイントそれぞれ引き下げた。公的需要も経済全体の成長率を0.2%ポイント引き下げた。
加えて、4四半期ぶりのマイナス成長には、米国経済低迷による輸出の減少が影響している。これまで経済成長を牽引してきた実質輸出は同2.3%低下し、 経済成長率を0.4%ポイント引き下げた。実質輸入は同2.8%大幅下落し、3期ぶりのマイナスとなった。輸入の減少は経済全体の成長率を0.5%ポイン ト引き上げたが、輸出がほぼ同程度減少したので、実質純輸出の実質GDP成長率への貢献はゼロとなった。
4-6月期のGDPを反映した最新の超短期モデル予測によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比+0.5%、同年率換算+2.2%と高めの見通しと なっている。2期連続のマイナス成長は今のところ避けられそうである。また10-12月期は前期比+0.4%、同年率換算+1.8%の予測となっている。 この結果、現時点では2008暦年の経済成長率は1.2%と見込んでいる。
マーケットの見方からすれば、若干強気の予測となっているようである。たしかに年末にかけての景気減速は否めないが、不況に陥らないためのポイントは民間最終消費支出と輸出の動向にあるといえよう。その意味で、7月の通関統計が最初の重要なデータとなろう。

【米国】
<7月半ばから景気は下降状態にある?メンタルリセッションからリセッションへ?>
2008年4-6月期の経済成長率が1.9%(速報値)と発表され、多くのエコノミストが懸念していたリセッション懸念とは程遠いものとなった。 この速報値が発表される直前の市場のコンセンサスは2.2%であり、超短期予測も2.8%を支出サイドから予測していた。速報値が市場のコンセンサスや超 短期予測よりもかなり低い経済成長率となったのは、製造業の実質在庫増が-324億ドルと大幅なマイナスになったことにある。センサス局の毎月の製造業在 庫統計からこのような大幅な在庫減は想定されないことから、この大幅減は在庫評価調整によるものである。ちなみに、在庫をGDPから除いた実質最終需要の 4-6月期の伸び率は+3.9%と非常に高い。
このように最終需要の伸びが高い成長率は今後の経済成長に希望をもたらすものであるが、超短期予測では、グラフにみるように8月15日の予測で7-9月 期の支出・所得サイドからの平均実質GDP伸び率を-0.5%と予測している。さらに悪いことは、7月半ばから景気が下降状態にあることである。原油価格 の下落傾向、株式市場の持ち直し傾向など明るい材料があるものの、次のような懸念材料がある。
* 個人消費のうち、サービス支出がスローダウンしており、耐久財支出がマイナス成長を続けている。
* 還付税の経済への影響が10-12月期にはかなり小さくなるだろう。
* 設備・ソフトウエア投資の回復が遅い。
* 住宅市場の停滞が続く。
* 在庫調整も長引くと思われる。
* ドル高から純輸出の改善がみられなくなる。
* 賃金・俸給の伸び率が前期比年率3%?4%と非常に小さい。
* インフレ率(3%?5%)がFRBの許容範囲を大きく超えることから、景気のスローダウンに対して政策金利引き下げが難しくなる。

【中国】
<7月の経済指標は勢いを強めている>
国家統計局発表の7月の経済指標によれば、中国経済は4-6月期に減速したものの、7-9月期の始めに勢いを強めている。注目すべきは、インフレ圧力は消費者物価では幾分緩和したが生産者物価では引き続き強いことである。
小売販売額は、2008年上半期の前年同期比+21.4%に続いて、7月も前年比+23.3%と好調である。 北京オリンピックが旅行や小売販売を後押ししたことは確実である。商品部門の好調により、投資も勢いを強めている。
4-6月期の貿易黒字は減速したが、7月は反発した。同月の貿易黒字は253億ドルとなり、前年同月比+4%となり、年初以来もっとも高い伸びを記録し た。中国の対米貿易黒字は前年同月比+13.8%の164億ドルと拡大し、米国にとって中国は、日本を抜いて最大の貿易相手国になった。対EU貿易黒字は 同+22.9%増加して150億ドルとなった。
工業生産は依然強い勢いを維持しているが、最近やや減速している。7月の工業生産は前年同月比+14.7%を記録したが、昨年7月の同+18.0%から は低い伸びとなっている。同月の鉄鋼生産の伸びは40%を上回り、繊維生産は同10%増加したが、自動車生産量は同8%にとどまっている。またセメント生 産は同6.8%増加した。
われわれは、中国経済が2008年7-9月期、10-12月期に幾分ながら減速するものの強い成長モメンタムを維持するものと予測する。7-9月期の実質GDP成長率を+10.5%、10-12月期は+10.4%と予測する(いずれも累積ベース)。
インフレについてみると、7-9月期の消費者物価指数は前年同期比+6.2%、10-12月期は同+5.6%と、いずれも4-6月期の同+7.8%から 減速する。一方、生産者物価指数は、今後6ヵ月をみると減速傾向は見られず高い伸びを維持するものと予測する。すなわち、7-9月期は前年同期 比+9.9%、10-12月期は同+9.7%と見ている。

[ウエンディ・マック ペンシルベニア大学客員研究員]

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