ABSTRUCT
リサーチリーダー
岩壷 健太郎 神戸大学経済学研究科・経済学部教授
研究成果概要
近年、中堅・中小企業の積極的な東南アジア進出に対応して、地域銀行(地方銀行及び第二地方銀行)や信用金庫の海外進出が盛んになっています。その現状と課題について、東南アジア、特にタイとシンガポールを中心に調査・研究を実施しました。預金・融資業務が許されていない地域銀行はタイの地場銀行と積極的に提携していますが、現在のところ、スタンドバイ融資やクロスボーダー融資は親子ローンほど魅力的ではありません。進出企業による現地通貨建て資金需要が増える中、これらの融資をどうやって増やしていくかが課題となっています。一方、各国に支店や現地法人を開設して包括的な業務を行っているメガバンクはリテールや地場企業向けの取引拡大を目指して、東南アジアの地場銀行に対して買収・資本参加を本格化させています。GSIFI(グローバルに重要な金融機関)になるためには企業風土・企業文化・人材の面で企業を大幅に変革させていくことが不可欠になっています。詳細はこちら
目的
企業と同様、日本の金融機関も成長著しいアジア地域への進出が本格化しようとしている。チャイナプラスワンが進む中、昨年実施した中国地域への邦銀の海外進出に関わる調査研究に引き続き、本年度は東南アジア地域での邦銀の進出や、企業進出を支援する資金調達の実態を把握する。これにより、課題やチャンスを調査研究し、アジア地域への邦銀および日本企業の進出に資する施策として発信する。
内容
下記の調査・分析を行う。
1)タイ・シンガポールでの銀行、日系企業の調査
2)アジア地域への進出で先進する地銀(山口、中国、横浜、名古屋等)へのヒアリング
3)その他必要に応じて、企業・政府機関などへのヒアリングや、研究会への有識者の招へい等。
昨年の東南アジア調査で得た課題等を勘案して本年度調査を行い、より具体的な実態把握と分析を行う。
メンバー
砂川 伸幸 神戸大学経営学研究科・経営学部教授
猪口 真大 京都産業大学経営学部准教授
梶谷 懐 神戸大学経済学研究科・経済学部准教授
地主 敏樹 神戸大学経済学研究科・経済学部教授
唐 成 桃山学院大学経済学部教授
播磨谷 浩三 立命館大学経営学部教授
三重野 文晴 京都大学東南アジア研究所准教授
期待される成果と社会還元のイメージ
メガ銀については国際競争力の現状を明らかにするとともに、更なる競争力向上に向けた課題と提言の実施、地銀については海外展開進展のための提言を行う。企業に対しては、特に中小企業に対し、従前から日本国内において取引のある地銀の海外進出の加速が、中小企業の海外進出支援につながる事を通じての支援を想定する。 これらは邦銀および海外進出企業の海外展開戦略立案、 行政の海外進出支援策に資する。