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(内閣府経済社会総合研究所 平成15年度委託調査)
関西社会経済研究所は、平成15年度において内閣府経済社会総合研究所より『持続可能な成長経路への戦略に関する国際共同研究調査(国内等研究グルー プ)』)*を受託し、その一環として、「州制の導入および地方分権改革と地域経済の活性化に関する調査研究」(委員長 齊藤 愼大阪大学大学院経済学研究 科教授)を実施した。本研究の趣旨以下の通り。
【趣旨】
本研究は、財政学・公共経済学のみならず、計量経済学や金融論など経済学の多岐にわたる分野の研究者と研究所のスタッフが集まり、州制の導入および地方 分権改革と地域経済の活性化に関して1年間をかけて調査研究した成果である。その結果、これまでに行われた数多くの提言・研究等より、一歩踏み込んだ研究 と豊富な情報を提供することができたのではないかと期待している。
地方分権のあり方については、これまでも様々な提言等がなされてきたが、近年、「州制」の導入に関する議論が盛んである。また、以前のような議論にとど まらず具体的な動きもみられる。東北の青森、岩手、秋田3県合併の動きや、大阪都構想など、地域により様々な検討が行われており、また北海道では道州制特 区を活用して、権限、財源の移譲、出先機関の統合などに取り組みつつある。その狙いの重要な部分は、地域独自の政策を立案遂行できる行政メカニズムを創出 して、地域経済の活性化を図ることにある。
これまで、日本の政府間関係は中央集権的であると指摘されてきた。日本経済の沈滞状況を引き起こしている一因は中央政府による規制の強さにあり、政府間 関係における規制の問題もその一部である。このことが地域経済活性化への障害となり、地域の自立を妨げているのではないかと思われる。
そこで、本研究では、まず、基礎的な調査として、市区レベルのデータに基づく関西経済空洞化の数量的な分析を行い、労働力移動の円滑化による域内全体の労働生産性向上の可能性について研究した。
次いで、各地域から見た「州制」の利害得失を具体的に検討し、これが今後の地域活性化のための有力な方策であることを検証した。さらに関西地域をモデル として州制導入の効果を経済・財政面からシミュレーションの手法によって明らかにし、関西地域以外の地域についても試算を行った。また、日本での「州制」 導入に際する問題点を調査するために、ドイツの事例を研究し、財政調整と地域の経済自立などについて研究した。
「州制」導入によって地域経済活性化が期待されるが、現状の地方行政制度における産業政策を総括し、過去の政策評価、地域経済への影響を分析した。その結果として、地域の連携・広域化の必要性を明らかにした。
このような経済的分析、財政学的分析に加えて、金融のあり方の側面からも調査を行ったことが本研究の大きな特徴である。財政部門を分析する際に金融は、 ともすれば捨象されがちであるが、「州制」導入を議論する際には、この問題は避けて通れない。地方債への資金供給はどのようになされるのか、また地域金融 システムの変革の方向と、州制導入後の日本の地域金融システムの構想についても検討した。
このような調査研究を実施することで、これまで理念型で語られることの多かった州制の効果について具体的に示すことが可能になり、より現実的な議論ができる土俵を提供できることを期待している。
* 国際共同研究の成果は内閣府hpでご覧いただけます。
http://www.esri.go.jp/jp/prj-rc/macro/macro15/syousai2.html
http://www.esri.go.jp/en/prj-rc/macro/macro15/syousai2-e.html
http://www.esri.go.jp/jp/prj-rc/kankyou/kankyou16/syousai.html
http://www.esri.go.jp/en/prj-rc/kankyou/kankyou16/syousai-e.html