大阪湾岸大型設備投資の経済波及効果(2008年7月)

研究プロジェクト 2008年度

ABSTRUCT

(主査:福重 元嗣 大阪大学大学院経済学研究科 教授
委員:高林 喜久生 関西学院大学経済学部 教授 )

当研究所は学界、官界、関連研究機関の専門家と連携・協力しつつ、「関西マクロ経済分析モデル」の開発に取り組んできた。今回は、その過程で作成 した関西7府県(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、福井)の産業連関表を結合した「関西地域間産業連関表」を利用して、大阪湾岸に立地する大型設備 投資の経済波及効果を試算した。

●対象とした設備投資と初期投資額
* シャープ堺工場(大阪府):4,520億円(土地代込み。太陽電池工場含む)
* IPSアルファテクノロジ姫路工場(兵庫県):3,000億円(土地代込み)
* 松下電器産業尼崎第3・4・5工場(兵庫県):計5,500億円(同上)
* 住友金属和歌山製鉄所の新高炉(和歌山県):2,500億円(土地代抜き)

●初期投資による効果
1. これらの投資によって、関西2府5県の生産額は1.4兆円増加。内訳は、大阪府6,000億円、兵庫県5,300億円、和歌山県1,700億円など(10 億円の位を四捨五入。以下同じ)。設備投資別では、シャープ堺によって3,700億円、IPSアルファテクノロジ姫路2,600億円、松下電器尼崎 4,900億円、住友金属和歌山2,700億円。
2. 付加価値額(GRPベース)では、関西全体で7,500億円増加(関西の名目GRPの0.9%に相当)。設備投資別では、シャープ堺によって2,000億 円、IPSアルファテクノロジ姫路1,400億円、松下電器尼崎2,600億円、住友金属和歌山1,500億円。

●製品出荷による効果(フル稼動時)
1. これらの設備稼働(製品出荷)によって、関西の生産額は3兆7,700億円増加。内訳は大阪府1兆4,800億円、兵庫県1兆8,700億円、和歌山県 2,300億円など。設備投資別では、シャープ堺1兆4,200億円、IPSアルファテクノロジ姫路8,900億円、松下電器尼崎1兆2,300億円、住 友金属和歌山2,200億円。
2. 付加価値額(GRPベース)では、関西全体で1兆5,300億円(関西の名目GRPの1.8%に相当)。設備投資別では、シャープ堺6,200億円、IPSアルファテクノロジ姫路3,500億円、松下電器尼崎4,900億円、住友金属和歌山700億円。

(注)文中の数字は全て2008年7月8日に公表した時点のものである。

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