アジア太平洋軸
研究プロジェクト
2024-06-06
- 2024年度 » アジア太平洋軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 木村 福成 (慶應義塾大学 経済学部 シニア教授、日本貿易振興機構アジア経済研究所所長)
フォーラムの開催
- 8月29日(木)APIRフォーラム「岐路に立つ中国と東アジア諸国経済への影響~政治・経済の視点から~」
- 11月7日(木)APIRフォーラム「インドネシアの展望~政治・経済の視点から~」
研究計画
研究の背景
岸田首相は4月11日、米議会の上下両院合同会議で “国際秩序守るため大きな責任担う”と日米の結束を呼びかける一方、経済的威圧や「債務の罠」外交で経済的依存を悪用、武器化する中国を非難する演説を行った。
国際情勢の不安定化が加速する中、一方で東アジア全域において展開されている国際的生産ネットワークは引き続き活発に動いている。
本プロジェクトでは、経済安保上の利益とグローバル化の経済的利益の間の折り合いをつけながら、国際通商ルールに基づき自由で開かれた経済活動を発展させていくことの重要性を再確認していく。
国際経済学のみならず、国際法学、政治学ならびに企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジア太平洋地域における政治・経済協力のあり方について研究を進めていく。
分析の手法または現地調査の詳細
2024年度は昨年度に引き続き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点から知見を深めていく。
米中対立、2つの戦争の影響による地政学的緊張が継続するなか、今年は米中と繋がりながら経済成長を続けるASEANで、むしろ中国のプレゼンスが高まってきている現状を検証しつつ、合わせて活力を維持している東アジアの生産ネットワークの現状や、ルールに基づく国際貿易秩序の行方についても検討していく。
木村リサーチリーダーによるASEANと日本についての経済研究を軸に、学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションにつなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。
期待される成果と社会還元のイメージ
オープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々を中心に還元する。対海外、特にアジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。
研究体制
研究統括
リサーチリーダー
研究プロジェクト
2024-06-06
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ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR主席研究員 後藤 健太(関西大学経済学部 教授)
研究の進捗
- 5月1日(水) 第1回研究会開催
- 7月30日(火) APIRフォーラム「サステナブル社会と消費者~市民・消費者を環境や人権配慮の行動に促すための方策~」開催
- 11月29日(金)APIRフォーラム「企業と市民社会の対話~どうすれば対話を活性化できるだろうか?~」開催
研究計画
研究の背景
アジアにおけるビジネス戦略を考えるうえで、SDGs(Sustainable Development Goals)の達成、ESG投資、持続可能なサプライチェーンの構築は欠かせない視点である。
2019年度から5年にわたり、これらの視点(人権を含む)を持った企業経営やグローバル・バリューチェーンの重要性を情報発信するとともに、具体的な事例(22年度:ベトナムのエビ養殖バリューチェーン、23年度:繊維産業のバリューチェーンとSDGs経営の実態)の調査研究を通じ、SDGs経営のあり方や実装化の課題について議論を深めてきた。
2025年大阪・関西万博の開幕まで準備が進む中で、日本・関西企業のSDGs経営とその視点(人権を含む)に対してこれまで以上に国際社会からの注目が集まっている。そのため、当研究から得られる今後取り組むべき対応や進むべき道筋の示唆、企業や消費者のSDGsを重視した行動変容に資する情報発信に期待が高まっている。
研究内容
国際社会から求められるSDGs経営のレベルと日本企業の対応状況とのギャップを明らかにするとともに、SDGs経営(人権を含む)に対する意識をどのようにして高めてゆくか、グローバル・バリューチェーン全体に対してどのようにSDGs経営を担保するか、SDGs経営の実装化の課題について、引き続き議論を深めてゆく。
期待される成果と社会還元のイメージ
■サスティナビリティ(人権含む)視点を取り入れたグローバル・バリューチェーンの構築やSDGs経営の実装化に取り組む企業や団体の一助となる。
- SDGs経営等に取り組む企業側のメリット(取り組まないことによるデメリット)の提示。
- 2025年4月より開催予定の大阪・関西万博にむけた人権を含む持続可能性の社会的側面の重要性に関わる啓蒙。
これからアジア進出を予定している企業に対してはアジアにおけるビジネス展開の際の留意事項として、既に進出済みの企業に対しては早急に対策すべき課題として、取り組むための動機付けや事業展開策定等に資する。
研究体制
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
オブザーバー
日本・関西経済軸
研究プロジェクト
2024-06-06
- 2024年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 下條 真司(青森大学ソフトウェア情報学部 教授)
研究の進捗
- 6月13日(木)第1回研究会開催
- 8月2日(金)第2回研究会開催
- 9月13日(金)APIRフォーラム「”推し”でつくるデジタル共感社会の未来」
研究計画
研究の背景
日本創生会議で示された「2040年自治体消滅マップ」、いわゆる増田レポートにおいて、人口減少とともに東京圏への人口転入が進み、「2040年までに消滅可能性都市が896に上る」と指摘された。
その後、2014年に「まち・ひと・しごと創生法」が施行され、地方創生の取組みが進められてきたが、新型コロナの拡大によりテレワークの浸透や地方移住への関心が高まり、2021年11月、岸田内閣のもとで「デジタル田園都市国家構想」の検討が開始された。
この構想の下で、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持・強化と地域経済の活性化を図り、社会変革の実現に向けて、地域の個性を生かしながらデジタルの力によって地方創生の取組を加速化・深化させていくこととなっている。また、その際には、個々の事業者による取組だけでは足りず、それぞれの地域全体として個々の事業者を巻き込みながら戦略的に取り組んでいくことを推進し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指すとしている。
しかし、国内での取組み以上に、GAFAを中心とした米系プラットフォーマーによるデータ収集と利活用の動きは目覚ましく、本来個人や地域で管理し活用するべきデータが、個人・地域から離れたグローバル・プラットフォーマーが一極集中管理する事態を招いている。
本研究プロジェクトでは、2023年度の報告内容「地域のデータプラットフォームによる“まちづくり”の必要性」を題材として、今後目指すべき都市OS基盤の在り方について有識者を招いたフォーラム開催により、議論を深めると共に市場関係者への発信を図る。
研究内容
- 視点(1) これまでのデジタルプラットフォーム と 予測される未来
論点① 現在主流となっている集中型プラットフォームの課題
論点② 集中型プラットフォームが進展した未来社会 - 視点(2) 脱・集中型プラットフォームに向けた動向
論点③ 脱・集中型プラットフォームを目指すために
論点④ 国際ルール連携・データ連携の重要性 - 視点(3) 地域のデータプラットフォームによる“まちづくり”
論点⑤ データの地産地消
論点⑥ デジタル民主主義の実現に向けた仕組み
期待される成果と社会還元のイメージ
- 大阪府市のスーパーシティ、都市OS、万博へのアピールに向けた提言。
- 産官学・各社の枠を超えた、DX/スマートシティの諸課題に関する情報共有と議論の場。
- 企業各社は、DX/スマートシティ構築に関する事業戦略立案。
- 自治体が地域データプラットフォームを推進するための制度検討。
- フォーラムは、DX/スマートシティ構築に関する各社が交流の場とすることで、実証実験のパートナーやきっかけを作る機会となる。
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
オブザーバー
研究プロジェクト
2024-06-06
- 2024年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR主席研究員 中塚 雅也(神戸大学大学院農学研究科 教授)
研究の進捗
- 6月5日(水) 第1回研究会開催
- 9月11日(水)第2回研究会開催
- 12月9日(月)第3回研究会開催
研究計画
研究の背景
日本全体で人口減少が進む中、都市部と地方部で一体化した新たな地域経済圏の構築が今後必要となる。この地域経済圏の実現には、地方の基幹産業である「農業」を儲かるビジネスにすることが、重要なアプローチの一つとなる。
現在、日本の農業が置かれている状況は、以下に示す通りである。
- 国内の農業就業者は、人口減少と平均年齢の上昇が続き、農業の担い手を増やすことが急務となっている。(図1)
- 地方移住の阻害要因として、農業分野の平均所得の低さが指摘されており、『農業を儲かるビジネスにする』ことが必要である。(図2)
- 政府は、農地集積・大規模化する方針だが、中山間地域の集積が足踏み状態。関西では中山間地域が50%と全国平均より高く(図3)、大規模化が困難のため、『高付加価値の野菜・果樹栽培』が今後進む可能性がある。
本研究プロジェクトでは、日本の中でも都市と地方が近接する強みを持つ関西で、『都市と地方を一体化した地産地消型コミュニティによる“儲かる農業”』の実現方法を提案する。
研究内容
以下の3つの分析観点から、フィールドワーク・ヒアリング調査を進めて、事例評価とコミュニティ実現に向けた課題をまとめる。
- 都市部農空間の地方との連携方法
マルシェ・市民農園の活用
ex)うめきた2期グラングリーン、卸売市場(木津・西宮)の地方交流拠点化など - 農産地のファン化を促す交流モデル
農業学習・人的交流をセットにした観光農園・農業体験による関係人口の増加
地方での体験・人的交流を基に、観光→援農→移住体験を促す移住者獲得プログラム - 地産地消を支える中小規模流通モデル
都市部・地方部の双方で集荷拠点を集約して相乗り配送を増やし、個配を無くす事例の収集・評価
期待される成果と社会貢献のイメージ
- 企業各社による、SDGs・地域貢献・健康経営の観点での取組み/参画方法に利用
- 交通・流通業界による、地産地消型コミュニティ実現に向けた効率的な流通基盤の在り方検討
ex)貨客混載・小さな拠点の実現方法の検討に利用 - 観光業界・地方自治体による、食と農でつなぐ広域周遊ツーリズムの検討に利用
研究体制
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー
研究プロジェクト
2024-06-06
- 2024年度 » 日本・関西経済軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久
研究の進捗
- 10月4日(金)第1回研究会開催
研究計画
研究の背景
2024年4月に人口戦略会議は、全国地方自治体の「持続可能性」についての分析レポートを発表した。その中で、2020年から2050年までの間に若年女性人口の減少率が50%以上になる自治体(消滅可能性自治体)は全国1,729のうち744(43%)あるとし、関西は全198のうち門真市等81の自治体(41%)が該当している。まずは、この状況が前回2014年のレポートと比較して改善しているのか、そして今何が問題になっているかを把握する必要がある。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の最新の推計によると、日本の総人口は2023年の1億2,435万人から2056年に1億人を割り、2070年には8,700万人になるとされている。特に関西(2府4県)は、全国や関東に比べて人口減少のスピードが速い。社人研の推計を基に2022年~2050年の減少率をみると、全国-19.4%、関東-7.5%に対し、関西は-23.3%となる。
また、高齢化の進行も厳しい。社人研の推計によると2050年には生産年齢人口が5,540万人と2023年(7,395万人)比25.1%の減少、およそ4人に1人が75歳以上になるとされている。将来の労働力となる子どもの出生数も年々減少しており、人手不足によって社会インフラの維持が困難になる可能性も指摘されている。
人手不足は足下でも深刻である。帝国データバンクによると、2023年の人手不足を理由とした倒産件数は260件で前年比1.9倍(前年:140件)と過去最多を更新した。業種別では建設業や運輸業が多く、生活に必要不可欠な職種(エッセンシャルワーカー)の人手不足は深刻である。
一方で、労働参加率を上げ、特にサービス業の生産性を向上させれば人口が減少しても問題ないとする議論もあるが、最適解はどこにあるかについて検討する必要があると考える。
そこで、全国に比して人口減少・高齢化が厳しい関西において、人口や労働等に関する様々な基礎データを整理し、加えてAPIRがこれまで蓄積してきたデータベースや知識を組み合わせながら総合的に分析しつつ、データを可視化することで、関西各府県及び自治体の特徴と課題を明らかにする。そして中長期的な視点で、この先人口が減っても豊かさと活力を維持・向上させていくための方策を模索していきたい。
研究内容
●関西基礎統計の整理
- 労働に関する基礎データ(就業構造基本調査、賃金構造基本統計調査 等)を基に、関西の地域別、産業別、企業規模、性別、年齢別の5軸でデータベースを構築し、県民経済計算に対応できるようなシステム開発及びメンテナンスを行う。
- 地域別将来人口推計データを整理しつつ、足下と比較して関西の特徴を明らかにする。
●関西における詳細なデータ分析と労働需給分析
- 整理したデータベースを基に産業構造や雇用構造、年齢構造、賃金構造等から、関西が抱える労働問題を総合的に明らかにする。
- 介護、建設、宿泊サービスの分野に焦点を絞って詳細なデータ分析を行い、どの職種に労働需給のミスマッチが起きるのかを明らかにし、中長期視点で解決策を検討する。
●経済成長を維持し、持続可能な社会をつくるための施策の検討
- 労働需給の課題に対してどのような処方箋が考えられるか、有識者等から様々な視点での知見をもらい、関西において実現できる未来の姿を模索する。
期待される成果と社会還元のイメージ
- マクロデータの分析成果(関西経済白書、トレンドウォッチ)
- 人口減少による人手不足の課題の共有化(研究会等での情報提供と議論)
- 人手不足(特に介護、建設、宿泊分野)の解消に向けた対応の検討
- 人口減少下においても人手不足を補い経済力を維持するための施策の立案
研究体制
研究統括・リサーチリーダー
サブリサーチリーダー
リサーチャー
吉田 茂一 APIR研究推進部員
古山 健大 APIR研究推進部員
経済予測・分析軸
研究プロジェクト
2024-06-06
- 2024年度 » 経済予測・分析軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 高林 喜久生(大阪経済法科大学経済学部 教授)
研究の進捗
- 5月29日(水) 第1回研究会開催
- 6月4日(火)第1回分科会開催
- 6月20日(木)第2回分科会開催
- 7月3日(水)第2回研究会開催
- 8月7日(水)第3回分科会開催
- 9月27日(金)第4回分科会開催
- 10月16日(水)第5回分科会開催
研究計画
研究の背景
関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。本研究プロジェクトでは、これまで様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては、2025年大阪・関西万博をはじめとするイベントの開催、さらにIRを機とした新たな産業の展開が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。
研究内容
- 関西地域間産業連関表2020年版の作成に向けたWebアンケート調査の実施
- 2020年時点と2023年時点のデータを取得し、コロナ禍と平時の比較分析
- 関西地域間産業連関表2015年版を使用し、各種イベントの経済分析
- 国、大阪府市、APIRの3機関による大阪・関西万博の経済波及効果を比較・分析
- 対中貿易減速による関西各府県への影響についての分析
- 関西地域間産業連関表2015年版を用いた経済構造の分析、2011年版との比較分析
- 分析結果を関西経済白書やAPIRの各種レポートに掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算の一層のPR
期待される成果と社会貢献のイメージ
地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。
これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。
研究体制
研究統括
リサーチリーダー
リサーチャー